悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
232 / 309
第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

公爵家の令嬢が処刑されるかもしれないと聞いて寝間着のまま寮を飛び出しました

しおりを挟む
戦いは終わった。

私のパンチを受けたクラリスの髪から髪飾りが吹っ飛んだ。
文字通り木端微塵に粉砕されたのだ。
そしてその瞬間、クラリスは人間に戻ったのだ。

アドは証拠品だから何も壊すことなかっただろうって後で愚痴口文句を言ってきたが、クラリスを人間に戻すためには必要だと思ったのだ。
下らない呪い道具よりも人が大切なのだ。
「何も散々悪口言われたからって、殴り倒す必要はなかったのに!」
これ見よがしにグレースが言ってくれたが、一度魔人になった人間が元に戻ったことは確か無かったはずだ。誰が何と言おうとあそこはああするしかなかったのだ。

「クラリス!」
ぼろぼろになったクラリスに縋りついてトルクレール公爵は抱きついていた。

「フランソワーズ様、どうもありがとうございました」
公爵は私に何度も頭を下げてくれた。
でも、何か公爵の目が私を恨めしそうに見ているんだけど。
クラリスの顔が私に殴られた後で凄まじく腫れていた。


ええええ!

でも、公爵が土下座して頼むからエクちゃんで真っ二つに斬るの止めたのに……それにちゃんと人間に戻してあげたじゃない……それをその目はないんじゃない!

まあ、その顔は少しきつく殴り過ぎたかもしれないけれど。

「フランも、もう少し手加減ってものを覚えたら良いのに!」
後でメラニーに言われたんだけど。
「だって仕方がないじゃない。下手に手加減して魔人から戻らなかったら後悔してもしきれないし、ちゃんと死なないようには手加減したわよ」
私が言うと
「あれで? あの顔は本当にお岩さんみたいになっていたわよ」
「……」
メラニーの言葉には何も言い返せなかった。
ちょっときつく殴り過ぎたかもしれない。
だってどれだけ強く殴れば人間に戻るか判らなかったんだから……


残った残党は陛下が指示して近衛たちが拘束していた。
「ルブランの小娘、よくもやってくれたな」
「礼儀作法のなっていないお前にこのような目にあわされるとは」
「絶対に許さないんだから」
引っ立てられながら大公一家から罵声を浴びて、私はげんなりした。
魔人から攻撃を受けそうになった時に、ちゃんと助けてあげたじゃない。普通は御礼を言えよ。

でも親の心子知らずなのだ。
私は嫌になった。

「あんたがそれを言う?」
メラニーが後で言ってくれたんだけど、何よ、その呆れた目は! 私はうちの親よりは余程ましよ!
「どっちもどっちじゃない?」
メラニーは容赦がなかった。



「バスチアン、お前は何て事をしてくれたのだ」
陛下が王弟殿下に向かって怒って言った。

「兄上に俺の何が判る。今まで散々、王太后にきつく当たられた俺の気持ちの何が判るのだ」
「何を言っている! 母上が厳しいのはみんなに対してだぞ。俺も散々、『そんな事ではバスチアンに敵わないわ。それでも私のお腹から生まれた子供なの。バスチアンの方が余程、国王にふさわしいわ』と言われ続けて育てられたのだぞ」
「はあ、あの王太后がそんなこと言うわけないだろう」
「お前のいないところで散々言われたわ。礼儀作法がバスチアンの方がきれいだとか、剣筋はバスチアンの方が良いとか。人の心はバスチアンの方が良く判っているとか」
「俺は兄上の方が勉強ができるとか魔術は得意だとかさんざん言われたぞ。そんなので王族が務まるのですかとまで言われたんだから」
「俺と何が違うのだ!」
「王となれないのと王族にふさわしくないなら王族にふさわしくない方が酷いだろうが……」
この二人は何の言い合いをしているんだろう。疲れ切った私は疲れきったのかそのまま倒れ混むようにねこんでしまった。

その倒れる前に暖かい手で抱かれるのを感じたが……




次に気付いた時には私は寮の部屋だった。

ぼうっとしているとメラニーが入ってきた。
「あっ、やっと気付いたのね! あんたは3日も寝込んでいたのよ!」
メラニーが呆れて言ってくれた。
「そうだったんだ」
私はやけに寝起きが良いと思ったのだ。

「皆は無事だった?」
「生徒の重傷者はあんたと戦おうとした奴以外はいないわよ」
「そうなんだ。良かった」
私はほっとした。
「でも校舎に隠れていた敵の騎士たちは、あんたが壊した校舎の瓦礫の下敷きになって結構大変だったみたいよ」
「あれは三代目に言ってよね。私は何もしてないし」
「うーん、皆はあんたがやったって言っているけど」
「ええええ! さすがに私はあんなひどいことはしないわよ!」
「でもなんか校舎の上に出てきた人があんたとそっくりだったみたいよ」
「ご先祖様なんだから似ていても仕方がないでしょ」
「まあ、あんたの日頃の言動と同じだったから」
「はああああ! あそこまで酷くないわよ」
私は言ったが中々メラニーは信じてくれなかった。

「クラリスの顔の腫れは退いたの?」
「それは判らないわ! まあ、でも、クラリス様もあんなことやったんだから、下手したら処刑なんじゃない?」
「何ですって!」
私は思わず飛び起きてしまった。

靴を履くやそのまま、部屋を飛び出したのだ。

「ちょっとフラン! その格好は寝巻きよ」
メラニーに何か言われるが、良く聞こえていなかった。

*************************************************************
ここまでお忙しい中読んで頂いて有難うございます。
読んで頂いた皆々様には感謝の言葉もございません。
明日第四部完結予定です。

現在この話の本が全国書店で絶賛販売中です。生まれて初めて自分の書いた物語が書籍化されて、歓喜に震えている作者です。本屋さんで自分の本が平積みされているのを見て感激しました。

皆様もぜひとも読んでいただければ嬉しいです!

しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

姉妹同然に育った幼馴染に裏切られて悪役令嬢にされた私、地方領主の嫁からやり直します

しろいるか
恋愛
第一王子との婚約が決まり、王室で暮らしていた私。でも、幼馴染で姉妹同然に育ってきた使用人に裏切られ、私は王子から婚約解消を叩きつけられ、王室からも追い出されてしまった。 失意のうち、私は遠い縁戚の地方領主に引き取られる。 そこで知らされたのは、裏切った使用人についての真実だった……! 悪役令嬢にされた少女が挑む、やり直しストーリー。

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

伯爵令嬢が婚約破棄され、兄の騎士団長が激怒した。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。