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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

絶食中に食事を持ってきた後輩のまえで、喉をつまらせたら、剣で貫かれました

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いつも皆様方には応援して頂いてありがとうございます。

本日、この本が、皆様方のお陰で全国1200以上の書店様に並びました。

未だに現実だとは思え無かったのですが、実際に本屋さんで自分の本が山積みになっているのを見て感激しました。

本当にありがとうございました。

この3年、辛いときも苦しい時もありました。

でも、ここまで続けられたのは応援していたただいた皆様方のおかげです。

これからも頑張って更新していくので、よろしくお願い致します。

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翌朝から私は最悪だった。
前日夜遅くまで延々とフェリシー先生にお小言を頂いて、なおかつ、せっかくメラニーにもらった乾パンまで取り上げられたのだ。
それでなくても最近はろくな食事を食べられていなかったのに。今日は絶食なんてどうするんだ。

グーーーー!
昨日延々と怒られたからか、私のお腹の時計は朝から盛大に鳴っていた。

でも、今日は絶食なのだ。

朝からあの腐ったパンとスープもない。まずいご飯は食べられないなんて言わなければ良かった。
あれでも、無いよりはマシだったのだ。

「お腹が減った……」
私は朝からダラーーーーっとしていた。

その上、魔術理論の先生が来て転移の魔法陣を作動しないようにしてくれたのだ。
いや、それって絶対にまずい。
しかし、私は魔術理論は良く判らなくって、当然魔法陣も魔導具もちんぷんかんぷんだった。

私では直しようがなかった。

メラニーらは私が転移不可能になったことを理解してくれただろうか。
サマーパーティーは今日なのだ。すなわち決行は今日って聞いていたのに、このままじゃまずい。

でも、本当に今日結構するんだろうか?

それも判らなかった。

今日決行するのならば、なんとしてでも、この反省房を出て行かなければならない。

でも、もし、決行しないのならば、ここを壊して勝手に脱出したとして今度こそ、退学処分が下るかもしれない。

メラニーはおそらく、大公らは決行するつもりだと言うけれど、もし、決行しなかったらどうしてくれるのだ?

そもそも、今回の作戦はメラニーの所に転移して、変装して陛下らを守るというものだった。

もし、王弟殿下らが、決行しなかったら、そのまま帰ってくれば良いだけの話だった。

それが、この反省房をぶち破って行くとなると、もし決行しなかったら、あるいはデマだった場合、被害に合うのは私だけだった。

そうなった時はアドも私を見捨ててくれそうだし、メラニーは一緒に謝ってくれるかと言うとそんなこともないはずだ。

でも、メラニーが言うのだから、絶対に可能性は高いはずだし、でも、退学は流石に嫌だ。

私は頭の中がグラグラした。

それにお腹も減ってきた。

こんなのでは満足に考えることも出来なかった。

「お腹が空いた」

私はベッドにグタと寝転んでいた。

そこへ、ノックの音がして、食事のワゴンを押したヴァネッサが現れたのだ。

「えっ、ヴァネッサどうしたの?」
「フラン先輩がお腹空かしていらっしゃると思って、フェリシー先生に頼み込んだんです」
「うっそーー、ヴァネッサ、あなた、天使よ。メラニーに爪の垢飲ませたいわ」
私は後輩の登場に感動したのだ。

こんなに先輩思いの後輩はいない。ジェドにしろヴァンにしろ、フェリシー先生絡みだと、途端に無視し出すのだ。メラニーもしかりだ。

私は嬉しさのあまり、ヴァネッサの顔色が少し悪いのに気付かなかったのだ。

机の上にヴァネツサが食器を並べてくれる。
でも、なんか、その手付きが少し可怪しいんだけど。どうしたんだろう?

スープをこぼしそうになるし、食器をガチガチ鳴らすし、何か手が震えているんだけど。

「どうしたの? ヴァネッサ」
私が聞くと

「すいません。フラン先輩。テストの時徹夜してしまったので、あまり寝れてなくて」
「そうなんだ。じゃあ、無理せずに寝てきていいわよ」
「でも、それじゃあ、フラン先輩にご飯届けられないじゃないですか」
「ヴァネッサ、あんた本当に良いやつね」
私はヴァネッサを思いっきり抱きしめたのだ。

「や、止めて下さい。フラン先輩。私、先輩に言われるほど良いやつじゃありません」
何故かムキになってヴァネッサは否定するんだけど……

何でだろう?

「それよりも、急いで食べて下さい。フェリシー先生の気が変わるといけませんから」
私はそのとおりだと思ったのだ。そもそも私に食べ物を持って行かせるのを許した事自体奇跡だ。

「じゃあ、ヴァネッサ頂くわね」
私はヴァネッサに礼を言うと思いっきり肉にがぶりついたのだ。
ヴァネッサは蒼白な顔をしている。

「大丈夫よ。ヴァネッサ。先生に何か言われても全部私が責任を取るから」
私はむしゃむしゃと食べながら言っていた。

久しぶりのまともな食事だ。
「あれっ、何か少し変な味がしない」
「気の所為ですよ」
私はヴァネッサの声にそれもそうかもしれないと頷いたのだ。

むしゃむしゃと食べる私をヴァネッサは唖然と見ていた。

ちょっと、公爵令嬢らしくなかったかもしれない。

でも、久々の食事に私は気にする余裕など無かったのだ。

そして、あまりにも、一気に食べ過ぎて、喉をつまらせたのだ。

「うううう」
喉を思わず押さえてのたうち回る。

「ビフ」
水をくれと喉をつまらせながら後ろを振り向いた時だ。

私はヴァネッサの手に握られた剣で貫かれたのだった。

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