215 / 309
第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望
友人と今後の作戦を考えました
しおりを挟む
「で、お菓子の件は良いから、何が起ころうとしていると思う?」
私は聞いた。
まあ、そこまでメラニーが言うんだからある程度の事は計画しているんだろう。
「確信はないけれど、最悪の事態は反逆ね」
メラニーが少し考えて言った。
「また? 首謀者はあの親切な王弟殿下だっていうの?」
わたしはいつもにこにこしてお菓子をくれた王弟殿下を思い出した。
到底、反逆するなんて思えないんだけど。
王弟殿下が王太后様に虐められていたって言うけれど、ガーデンパーティーとかに行った時に感じたのは王太后様は皆に敬遠されていたのだ。
私の両親でさえ、決して近寄ろうとはしなかったのだ。
私の前で、陛下とか王妃様とかが王太后様に良く怒られていた事しか覚えていないんだけど。
私は食べている時が一番幸せだ。
その幸せな時に周りが怒られていると私も悲しくなる。
私は怒っている王太后様の口に
「王太后様。このお菓子、とても美味しいから食べてください」
って言って、怒っている王太后様の前にスプーンですくって持って行ったのだ。
「いや、フランソワーズ、それは」
怒られていた王妃様が真っ青になっていたと思う。
「はい、あーーーーン」
でも、私は止めなかったのだ。美味しいは正義なのだ。
私に見つめられた王太后様は怒るのを止めて私を見た。
「あーーーーン」
仕方無しに王太后様が口を開けてくれた。
その口の中にクリームいっぱいのお菓子を入れた。
「美味しい?」
私がニコニコ笑って聞くと
「有難う。とても美味しかったわ」
そう言うと王太后様は笑ってくれたのだ。
「王太后様。このお菓子はできたてが美味しいの。一緒に食べましょう」
なおかつ、まだ、王妃様に怒りそうな王太后様を連れて私は強引に王太后様の膝の上に座って一緒に食べ出した記憶があった。
まあ、確かに王弟殿下の母は王太后様ではなかったけれど、実の息子の陛下でさえ、苦手にしていたんだから、それで恨むのは違うような気がするんだけど。
「でも、フラン。それはあなたの知っている王弟殿下であって、人は周りにいる人の影響を受けると思うわ。殿下はここずうーっと旧帝国領内にいたんだから、いろんな人の思惑を受けていると思うのよ」
メラニーの言う事はたしかに正論ではある。あまりピンとは来ないが。
「で、やるならいつやると思うの?」
「学園のサマーパーティーの時ではないかと思うの。陛下も、両殿下もいらっしゃるわ。3人を捕まえるか殺せば王弟殿下は必然的に国王になれるもの」
「でも、うちの両親がいるのよ。うちの両親がやって来れば一瞬で逆転してしまうけれど」
「だから、魔の森で何か起こす気なんじゃないかしら。あなた達の両親が外に出られないくらいの大事を」
「そんな事、簡単に行くのかな?」
私は疑問しかわかなかったけれど。
「だって、邪魔なあんたをわざわざ嘘ついてまで、反省房に閉じ込めたのよ」
「でも、陛下の護衛とかは中央騎士団がやっているのよ。そんじょそこらの騎士たちでは難しいと思うんだけど」
「でも、それだけの戦力を投入するのかもしれないわ」
「そんな変な動きがあれば掴んでいると思うけれど」
「それはそうだけど、じゃああんたはどう思う」
メラニーに聞かれてしまった。
私の知っている王弟殿下はそんなことはしないと思うが、公国が私に反発しているのは事実だ。子供たちも私に食ってかかってくるし。カミーユは元々私に反発してくるし、クラリスも何か怪しい。
メラニーの言う事もその通りだ。
「まあ、いいわ。私は何をすれば良いの?」
「取り敢えず、何かあった時に陛下達を守るのが大切だと思うのよ。サマーパーティーの前にこちらに転移してきて、変装して陛下らの近くに行けるわよね」
「判ったわ。そして、何かあった時に、陛下とヴァンを守ればいいのよね。それっくらい大丈夫だけど」
「アドルフ殿下は守らなくて良いの?」
驚いた顔でメラニーが聞いてきた。
「ふんっ、アドも少しくらい苦労したら良いのよ。私が反省房で苦労している時にのうのうと王宮で暮らしているなんて許されないわ」
私がむっとして言うと
「殿下も、外交の準備とかで大変で、あんたの事なんて気にしている余裕がないんじゃないの?」
メラニーが何故かアドの肩を持つんだけど、
「でも、アドのせいで私が反省房に閉じ込められて飢え死にさせられそうになったのよ」
私がむっとして言うと、
「あんたって、本当に食い意地張っているのね」
メラニーが言うんだけど、
「何言っているのよ。あんたもあの腐った野菜スープ飲んでみなさいよ」
「それは遠慮するわ。そんなの飲んで大丈夫なのは、フランの鋼鉄の胃袋だけよ」
「ちょっと失礼ね。私の胃は普通よ」
「普通なわけないでしょ。普通は腐ったスープ飲んだらお腹壊すのに、あなた全然平気だったんでしょう?」
メラニーは呆れて言ってくれた。
そこは鍛えていると言って欲しかった。何しろ小さい時から仕方なしに魔の森の草木を食べているのだ。間違えて毒草も食べているはずだ。そこで絶対に鍛えられたはずなのだ。
私はメラニーと詳細を打ち合わせすると、乾パンの袋を3袋持たせてもらって帰ることにしたのだ。この反省房の管理はフェリシー先生がしているはずだ。ということはこんな食事を出したのは絶対に先生も噛んでいるはずだ。私は許せなかった。
「フェリシー先生の人でなし!」
そう叫ぶと反省房に戻ったのだった。
******************************************************************:
本日書籍発売です。
早いところで書店に並ぶと思います。
本当にドキドキしています。
皆様も手に取っていただけたら嬉しいです!
私は聞いた。
まあ、そこまでメラニーが言うんだからある程度の事は計画しているんだろう。
「確信はないけれど、最悪の事態は反逆ね」
メラニーが少し考えて言った。
「また? 首謀者はあの親切な王弟殿下だっていうの?」
わたしはいつもにこにこしてお菓子をくれた王弟殿下を思い出した。
到底、反逆するなんて思えないんだけど。
王弟殿下が王太后様に虐められていたって言うけれど、ガーデンパーティーとかに行った時に感じたのは王太后様は皆に敬遠されていたのだ。
私の両親でさえ、決して近寄ろうとはしなかったのだ。
私の前で、陛下とか王妃様とかが王太后様に良く怒られていた事しか覚えていないんだけど。
私は食べている時が一番幸せだ。
その幸せな時に周りが怒られていると私も悲しくなる。
私は怒っている王太后様の口に
「王太后様。このお菓子、とても美味しいから食べてください」
って言って、怒っている王太后様の前にスプーンですくって持って行ったのだ。
「いや、フランソワーズ、それは」
怒られていた王妃様が真っ青になっていたと思う。
「はい、あーーーーン」
でも、私は止めなかったのだ。美味しいは正義なのだ。
私に見つめられた王太后様は怒るのを止めて私を見た。
「あーーーーン」
仕方無しに王太后様が口を開けてくれた。
その口の中にクリームいっぱいのお菓子を入れた。
「美味しい?」
私がニコニコ笑って聞くと
「有難う。とても美味しかったわ」
そう言うと王太后様は笑ってくれたのだ。
「王太后様。このお菓子はできたてが美味しいの。一緒に食べましょう」
なおかつ、まだ、王妃様に怒りそうな王太后様を連れて私は強引に王太后様の膝の上に座って一緒に食べ出した記憶があった。
まあ、確かに王弟殿下の母は王太后様ではなかったけれど、実の息子の陛下でさえ、苦手にしていたんだから、それで恨むのは違うような気がするんだけど。
「でも、フラン。それはあなたの知っている王弟殿下であって、人は周りにいる人の影響を受けると思うわ。殿下はここずうーっと旧帝国領内にいたんだから、いろんな人の思惑を受けていると思うのよ」
メラニーの言う事はたしかに正論ではある。あまりピンとは来ないが。
「で、やるならいつやると思うの?」
「学園のサマーパーティーの時ではないかと思うの。陛下も、両殿下もいらっしゃるわ。3人を捕まえるか殺せば王弟殿下は必然的に国王になれるもの」
「でも、うちの両親がいるのよ。うちの両親がやって来れば一瞬で逆転してしまうけれど」
「だから、魔の森で何か起こす気なんじゃないかしら。あなた達の両親が外に出られないくらいの大事を」
「そんな事、簡単に行くのかな?」
私は疑問しかわかなかったけれど。
「だって、邪魔なあんたをわざわざ嘘ついてまで、反省房に閉じ込めたのよ」
「でも、陛下の護衛とかは中央騎士団がやっているのよ。そんじょそこらの騎士たちでは難しいと思うんだけど」
「でも、それだけの戦力を投入するのかもしれないわ」
「そんな変な動きがあれば掴んでいると思うけれど」
「それはそうだけど、じゃああんたはどう思う」
メラニーに聞かれてしまった。
私の知っている王弟殿下はそんなことはしないと思うが、公国が私に反発しているのは事実だ。子供たちも私に食ってかかってくるし。カミーユは元々私に反発してくるし、クラリスも何か怪しい。
メラニーの言う事もその通りだ。
「まあ、いいわ。私は何をすれば良いの?」
「取り敢えず、何かあった時に陛下達を守るのが大切だと思うのよ。サマーパーティーの前にこちらに転移してきて、変装して陛下らの近くに行けるわよね」
「判ったわ。そして、何かあった時に、陛下とヴァンを守ればいいのよね。それっくらい大丈夫だけど」
「アドルフ殿下は守らなくて良いの?」
驚いた顔でメラニーが聞いてきた。
「ふんっ、アドも少しくらい苦労したら良いのよ。私が反省房で苦労している時にのうのうと王宮で暮らしているなんて許されないわ」
私がむっとして言うと
「殿下も、外交の準備とかで大変で、あんたの事なんて気にしている余裕がないんじゃないの?」
メラニーが何故かアドの肩を持つんだけど、
「でも、アドのせいで私が反省房に閉じ込められて飢え死にさせられそうになったのよ」
私がむっとして言うと、
「あんたって、本当に食い意地張っているのね」
メラニーが言うんだけど、
「何言っているのよ。あんたもあの腐った野菜スープ飲んでみなさいよ」
「それは遠慮するわ。そんなの飲んで大丈夫なのは、フランの鋼鉄の胃袋だけよ」
「ちょっと失礼ね。私の胃は普通よ」
「普通なわけないでしょ。普通は腐ったスープ飲んだらお腹壊すのに、あなた全然平気だったんでしょう?」
メラニーは呆れて言ってくれた。
そこは鍛えていると言って欲しかった。何しろ小さい時から仕方なしに魔の森の草木を食べているのだ。間違えて毒草も食べているはずだ。そこで絶対に鍛えられたはずなのだ。
私はメラニーと詳細を打ち合わせすると、乾パンの袋を3袋持たせてもらって帰ることにしたのだ。この反省房の管理はフェリシー先生がしているはずだ。ということはこんな食事を出したのは絶対に先生も噛んでいるはずだ。私は許せなかった。
「フェリシー先生の人でなし!」
そう叫ぶと反省房に戻ったのだった。
******************************************************************:
本日書籍発売です。
早いところで書店に並ぶと思います。
本当にドキドキしています。
皆様も手に取っていただけたら嬉しいです!
1
お気に入りに追加
4,161
あなたにおすすめの小説
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
この誓いを違えぬと
豆狸
恋愛
「先ほどの誓いを取り消します。女神様に嘘はつけませんもの。私は愛せません。女神様に誓って、この命ある限りジェイク様を愛することはありません」
──私は、絶対にこの誓いを違えることはありません。
※子どもに関するセンシティブな内容があります。
※7/18大公の過去を追加しました。長くて暗くて救いがありませんが、よろしければお読みください。
なろう様でも公開中です。
契約破棄された聖女は帰りますけど
基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」
「…かしこまりました」
王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。
では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。
「…何故理由を聞かない」
※短編(勢い)
ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。
ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。
そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。
皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。
小説家になろう、カクヨムでも連載中です。
【完結】私は死んだ。だからわたしは笑うことにした。
彩華(あやはな)
恋愛
最後に見たのは恋人の手をとる婚約者の姿。私はそれを見ながら階段から落ちた。
目を覚ましたわたしは変わった。見舞いにも来ない両親にー。婚約者にもー。わたしは私の為に彼らをやり込める。わたしは・・・私の為に、笑う。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。