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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

王弟の息子視点 凶暴な女は嫌いです。

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俺はカミーユ・エルグラン、この国の王弟の息子、すなわち、国王の甥だ。
当然、第一王子のアドルフは従兄弟にあたる。

そして、俺は小さい時からそのアドルフの婚約者が嫌いだった。

高々公爵家の娘に過ぎないのに、やたらなれなれしいのだ。

俺がアドルフと一緒にいても、やれ、おままごとに付き合いなさいだの、お姫様ごっこをして、
「私はお姫様役だから、騎士役のあなたは跪きなさい」だの、本当にうっとおしい。
何様のつもりだ。

あまりにも煩いから一度「煩いブス」って思わず叫んだら

「なんですって!」
鬼のような形相で睨まれて、

バシーーーーン

そのまま張り倒されてしまったのだ。
な、何故だ!

俺は王弟殿下の息子なのに。何故、公爵の娘風情に手を上げられないといけないのだ。

それに、侍女たちや騎士達も控えていたのに、誰もその暴虐女を咎めようとしないのだ。
何故だ。
俺は暴虐女よりも余程偉いはずだ。
いくら子供とはいえ、これは不敬でないのか?

頭にきた俺は
「お母さま、フランに手を上げられた」
仕方がないから俺は母に泣き込んだのだ。

「なんですって。あの子娘。私の可愛いカミーユに手を上げるなんて許さないわ」
流石に母は怒ってくれて、そのまま王妃様に文句を言いに行ってくれたのだ。

俺はあの暴虐女めざまあみろと思ったのだ。

そして、涙で顔を腫らしたフランが謝りに来た。
礼儀作法の先生というフェリシーとかいう女に連れられて。

「カミーユ」
「カニーユ殿下です」
呼び捨てにしたフランは更にフェリシーに怒られていた。良い気味だ。

「殿下。女だてらに引っぱたいてごめんなさい」
フランは一応謝ってきた。まあ、言い方が、少しおかしいが、そこは許してやろう。

「うむ」
俺はわざわざ許してやったのだ。殿下である俺様がだ。

なのに、フランは不満そうに俺を見てくる。

何故だ? 無理して、許してやったのに!

「フランソワーズさん。何ですか。その態度は」
フェリシーが怒ってくれた。

「だって、カミーユも」
「殿下!」
「殿下も私の事を、顔も見れないブスって言ったのに」
いや、そこまでひどいことは言っていないぞ。ブスにブスって言って何が悪いと俺は思ったのだが、フェリシーの顔が少し怖いのだが、何故だ。

俺の後ろに立っていた侍女も少し下がっている。
母上まで少し顔が引きつっているんだが……


「殿下、本当にそのような事をおっしゃられたのですか」
そこには氷のように冷ややかなフェリシーが立っていた。
これはまずい奴だ。
俺は母の陰に隠れようとた。


しかし、母を見ると
「カミーユ、本当にそのような事を言ったの?」
何故か母まで少し怖いのだけど……

「いや、顔を見れないとは」
「淑女に対してブスと言われたのですか」
フェリシーも怖い。

俺は思わず頷いていた。

「殿下。殿下はまだ幼いとはいえ、王族の一員です。その王族たるものが女性に対してブスなど言うとはどういう事ですか」
「いえ、フェリシー、これはそのあまりに、その少女が煩く付きまとうからではないかしら」
母が言い訳してくれるが……

「王弟妃殿下。たとえどのような理由があろうが、紳士たるものいくら幼くとも淑女に対して絶対に言ってはいけない言葉があるのです。それも殿下はこのエルグラン王家の王族であらせられます。
その王族がそれを言われたという事はどういう教育をなさっているのですか?
そもそも、あなた様にも散々お話しさせていただいたはずです。子供の時から教育は必要だと。
しかし、あなた様はまだ早いと思われるとおっしゃったから私は貴方様におまかせしたのです。
なのに、このようなことになるとはどういうことなのですか」
「いや、でも、その子が息子を引っぱたいたのが悪いのではなくて」
「それはそうですが、この子はアンナの娘ですから……」
何故かフェリシーは口を濁すんだけど。

「それはそうだけれど、どう考えても悪いのはその子でしょう」
「だから、謝らせました」
「でも、今は笑って聞いていたけれど」
後ろで笑っていたフランはフェリシーの視線を受けて引きつった笑みに変わった。

ざまあみろ!

「殿下! フランソワーズさん! どういう事ですか?……」
しかし、フェリシーの視線は俺にも釘付けなのだ。

そこからなぜかまた二人して延々と怒られたのだ。
そんなこんなで俺まで王妃王子教育にかり出されたのだ。

その礼儀作法の授業は本当に厳しくて、フェリシーは怖いなんてものではなかった。
恐ろしいし、怒ると延々と続くのだ。これがたまらなかった。
お腹が空いているのに、延々2時間お説教とか溜まったものではなかった。
あまりに長いと立ったままフランは寝ているし、更にお説教が伸びるんだけど……

俺はこのような場に俺を引きずり出したフランを絶対に許さないと心に誓ったのだ。



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