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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

アド視点1 気になる問題が起こりました

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パシーーーーン

信じられないことに俺はフランに張り飛ばされていたのだ。

何も張り飛ばすことないんじゃないか?

新学期始まる前に、俺は王宮に来たフランに嬉しさのあまり、抱きついたのだ。

なのにフランに引っ叩かれたのだ。

俺はオーレリアンに愚痴ると

「いや、殿下、それは殿下が王妃様と噂好きのボンネット夫人の前で抱きつかれたからじゃないですか」
なんと、オーレリアンはフランの肩を持つんだけど。

「いや、お前、何も思いっきり引っ叩くこと無いだろう」
俺は頬を押さえた。確実にもみじマークがついている。

「何言っているんですか、殿下。フラン様が本気で引っ叩いたらまた、あんなものじゃすみませんよ。少なくとも殿下は王宮の部屋の壁に突き刺さっていると思います」
オーレリアンがとんでもないことを言ってくれた。

「それはそうだと思うが。何も叩くことあるか」
「まあ、王妃様は体面を気にされますから。人前であんな事されたから、フラン様が怒られていたじゃないですか。それに、ボンネット夫人の情報拡散能力は凄いですからね。明日にはルブラン公爵が怒って殿下の所に飛んでくるんじゃないですか」
「えっ、母はどうでもいいが、ルブラン公爵は不味いな」
俺は怒り狂ったフランの父を思い浮かべた。巷なの父親と同じく、フランの父親も娘には限りなく甘いのだ。
下手したら訓練場でまた、ボコボコにされるかもしれない。

何しろ、あの一家はジェド以外はエルグランの最終兵器なのだ。
フラン一人でも、爆裂魔術で帝国の一個師団は殲滅できるだろう。ついこの間もアルメリア王国の誇る海賊船団を殲滅したところだし。

その母は破壊の魔女で、世界最強魔術師だ。
その父の剣技は我が国の剣聖と並ぶ。
スーパーカップルなのだ。

何しろ去年はそのカップルで、世界で最も恐れられている帝国の王宮を木端微塵に破壊してきたのだ。
最悪の師団と呼ばれた帝国最強の第二師団も殲滅してきたし……

それが両親で来られたら俺の命もやばいかも。

「まあ、フラン様の母上がいらっしゃったら問題ないのではないですか。さっさと孫が見たいとこの前もおっしゃってましたし」
「いや、オーレリアン。俺達はまだ結婚もしていないんだから流石にそれは不味いだろう」
オーレリアンの言葉に俺は思わず睨んでいた。

「えっ、そうですか? エルグラン王家としてはフラン様の子供が生まれたら、戦力的に鬼に金棒ですよ。今でも公爵はお子様の二人には甘いですからね。お孫さんが出来たらもっと甘くなるのは確実ですよ。お孫さんのためならば、何でもしてくれるんじゃないですか?」
「まあ、戦力的には無敵にはなると思うが、統治に関してはだめだろう」
「そこはラクロワ公爵家を中心とした文官達がちゃんとやりますよ。フラン様は基本は判らないことは下に任せますから。このクラス対抗戦でも、メラニーとかに任せていましたし。公爵も政治に対しては口出ししてきませんよ。まあ、毎日孫見たさに王宮に顔出すかもしれませんが」
「まあ、オーレリアン。ルブランはもともとそう言う家系だからな。戦闘はルブランが政治はラクロワがするのが決まりだ」
「そこは昔からですよね」
オーレリアンも頷いた。

「それよりも殿下。こんなところで油売っていて良いんですか。王妃様が呼んでいらっしゃったような」
「ああ、公国の子供が留学してきたから紹介したいってあれだろう」
オーレリアンの言葉に俺は思い出した。
「公国なんて我が国では子爵待遇なんだから、わざわざ俺らが動くこともないのに」
俺はうんざりしながら立ち上がった。

まず、フランを呼びに行ったのだが、フランの機嫌は直っていなかった。

それを母が呼んでいると一言言うと慌てて逃げようとしだした。

これが良くわからないんだが、アルメリアの国王だろうが、ルートンの王妃だろうがびくともしないフランが、何故か母が苦手なのだ。

俺は母よりはより厳しい祖母の王太后が苦手なんだか、そこはフランは完全にお気に入りで、祖母は俺に土産なんか持ってきたこともないのに、フランにはいつも珍しいお菓子とかを持ってきているのだ。
そう、俺らがいるよりもフランがいたほうが機嫌が良いので、相手をしたくない父も母も王太后が来たときは何はさておいてもフランを呼ぶのだ。

そんなフランの苦手が母だという意味がよく判らない。

そして、その母もよくわからないところがある。何かとても権威に弱いのだ。

今回の旧帝国の元公爵家の公国なんてほっておけばいいのに、フランのために呼んだとかふざけたこと言っているし。

公国の娘と母を紹介してもらった後で、フランだけまた呼んでいるし。

フランが母を苦手とするのはこういうところかもしれない。

公国の小娘とか絶対にフランのためにならないと俺は思うんだが。

フランが母に呼ばれた後に父に呼ばれて、俺がそう話すと、父も頷いていた。

「まあ、フランソワーズ嬢も、いずれ、このエルグランの王妃となるのだ。いろんな考えの者がいるということを知るのも勉強になろう」
父はそういうが、俺はそれには懐疑的だ。

周辺諸国を恐慌に陥れていた帝国の周辺国はその帝国を攻撃してくれたフランの両親にとても感謝していたし、今回海賊王国で周りに恐怖を与えていたアルメリア王国に鉄槌を下したフランは南方諸国での人気は鰻登りだ。

そんなフランに下らない礼儀作法の喧嘩をふっかけて、その国のプラスになんてなるんだろうか?
まあ、俺が心配してやるのもお門違いかもしれないが。

「まあ、そうだが、その息子の魔術の腕前は相当なものだと思うぞ」
「そうですね。それはそう聞いています」
一度見ておく必要もあろう、と俺は思った。

「それより、アドルフ。王弟一家が遊学から帰ってきたのは知っておるな」
父がいきなり言いだした。王弟とはまた他人行儀だ。父の腹違いの兄弟だとは聞いているが、中央部に遊学経験の長い叔父とは会ったことは殆どない。

「はい、それは聞いておりますが」
俺は不審そうに聞いた。
「言う事はそれだけか」
父は残念そうに俺を見るのだが。

温厚な性格だと思っていたのだが、違うのだろうか?
少し探る必要があるのか、俺は早速情報を集めることにした。

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