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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望
大公視点2 命の洞窟で悪巧みが練られました
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「ゲオルク! どうなっておるのだ。良い連絡が全然ないではないか」
真っ暗な洞窟から低い魔王のような声が響いてきた。
ここはシュタイン公国の城の地下深くにある太古から存在する生命の洞窟だ。
太古人はここから生まれたという説もあるくらい古い。
そして、古代帝国の叡智の跡とも言われている。
幾万もの生命が古代帝国の名の下作られたとも……
この地に、破壊女によって半死半生の目に合わされたドワイヤン教皇が運び込まてきたのは半年前の事だ。
我が国の魔術師達が必死に治療を行い、なんとか生きながらえさせたというのが実情だ。
私はため息を付きたくなったが、話さざるを得なかった。
「はっ、猊下に置かれましてはご機嫌麗しく」
「全然麗しくはないわ。まさか、エルグランの奴らに適当にあしらわれておるのではあるまいな」
教皇は今日も機嫌は悪いようだった。
「滅相もございません。計画は着々と進んでおります」
「しかし、あのルブランの小娘がくたばったという噂話は一向に聞こえてこん」
自らが半死半生の目に合わされたからか、教皇はルブランの小娘、すなわち破壊女に執着していた。
本当に面倒なことだ。
「猊下、何しろルブランの小娘は流石に魔力も凄まじく、すぐに手を出すのは難しいかと」
「なんじゃ。貴様の息子がルブランの小娘など目でもないとうそぶいておったではないか。あれは偽りだったのか」
教皇の言葉に流石に私はムッとする。
「猊下。手を出したところで他の準備が間に合わねばしても仕方がないでしょう」
「ゲオルク、障壁は一つずつ片付けるのが良いのじゃぞ。一度に全てを片付けようとすれば無理が生じる」
教皇はそんな私に、なおも言い張ってくれた。
確かに、それはそうだ。
現在エルグラン王国の王都にいる最強の魔術師は間違いなくルブランの小娘だ。
そして、その小娘を自由にしておけば、計画を起こした時に確実に邪魔になってくる。
「グロヴレが失敗したのも、あの小娘を最後まで残していたからだ」
私は流石に鼻白んだ。
「ルブランの小娘は単細胞だ。うまく行けば簡単に罠にかかるはずだ。間違ってもきゃつに力で対抗しようとするな。そのためにそちらにちゃんと予の手駒を渡しておるではないか」
「しかし、猊下。その手駒は最後まで残しておいたほうが」
「愚か者。ル・ブランの小娘を始末するのが一番難しいのであろうが。貴様らの計画など小娘を始末した後にゆっくりとやれば良かろう」
こいつはいつもそうだ。自分のことを最優先にしろと言ってくる。
しかし、小娘に手を出して警戒されても困るのだ。
できれば計画を発動するまでエルグランの奴らはのんびりと平和を謳歌しておいてほしいのだ。
その方が計画は成功しやすい。
「猊下、我らにも予定がございます」
私はやむを得ず反論した。
その途端だ。
「まだ判らんのか。愚か者めが」
教皇は激昂すると私は喉が締め付けられるような痛みを感じた。
「な、何を」
私は慌てて喉を掻きむしる。
「あの小娘のせいでどれほどの手駒が殺されたと思っておるのだ。それがまだ判らんのか」
教皇が叫んで私は釣り上げられたのだ。
「猊下、お止めを」
私は必死に叫んだ。
もう終わりだと諦めかけた時、やっと私の首の圧迫感がなくなった。
次の瞬間ドサリと地面に叩きつけられた。
ゴホンゴホン、私は必死にむせた。
「その方らはなんとしても小娘を連れてくるのじゃ。全てはそれからぞ。判ったか」
教皇はそう言うと洞窟の奥に入っていった。
「閣下大丈夫ですか」
護衛隊長のフレゲンツが私を見て慌てて駆けてきた。
「ああ、なんとかな」
私は咳き込みながら答えた。
「しかし、大丈夫なのですか?」
「ふんっ、知るか。取り敢えず、猊下はルブランの小娘を引っ掛けて連れてこいと仰せだ」
「あの破壊女をですか」
フレゲンツは私を不安そうに見てきた。
そう、簡単に連れてこれたら苦労はないところなのだ。
「まあ、猊下の手駒を使って良いとのことだ。息子たちは絶対に動かすな」
「宜しいのですか」
「息子たちは最後の計画にどうしても必要だ。
それに、こんな子供だましの手でルブランの小娘が捕まえられるなら、それに越したことはなかろう」
私は自嘲した。
「それはそうですが、そんなに簡単に行きますかね」
「まあ、良い。猊下のお手並みを拝見といこうではないか」
こんな手で捕まえられるほど、破壊女は馬鹿ではあるまいと私は思っていたのだ。
しかし、私は判っていなかったのだ。
破壊女は本当に疑うことを知らない馬鹿であることを。
**************************************************
完全に無知な単細胞扱いのフランですが、フランの運命やいかに。
次話は明朝更新予定です。
真っ暗な洞窟から低い魔王のような声が響いてきた。
ここはシュタイン公国の城の地下深くにある太古から存在する生命の洞窟だ。
太古人はここから生まれたという説もあるくらい古い。
そして、古代帝国の叡智の跡とも言われている。
幾万もの生命が古代帝国の名の下作られたとも……
この地に、破壊女によって半死半生の目に合わされたドワイヤン教皇が運び込まてきたのは半年前の事だ。
我が国の魔術師達が必死に治療を行い、なんとか生きながらえさせたというのが実情だ。
私はため息を付きたくなったが、話さざるを得なかった。
「はっ、猊下に置かれましてはご機嫌麗しく」
「全然麗しくはないわ。まさか、エルグランの奴らに適当にあしらわれておるのではあるまいな」
教皇は今日も機嫌は悪いようだった。
「滅相もございません。計画は着々と進んでおります」
「しかし、あのルブランの小娘がくたばったという噂話は一向に聞こえてこん」
自らが半死半生の目に合わされたからか、教皇はルブランの小娘、すなわち破壊女に執着していた。
本当に面倒なことだ。
「猊下、何しろルブランの小娘は流石に魔力も凄まじく、すぐに手を出すのは難しいかと」
「なんじゃ。貴様の息子がルブランの小娘など目でもないとうそぶいておったではないか。あれは偽りだったのか」
教皇の言葉に流石に私はムッとする。
「猊下。手を出したところで他の準備が間に合わねばしても仕方がないでしょう」
「ゲオルク、障壁は一つずつ片付けるのが良いのじゃぞ。一度に全てを片付けようとすれば無理が生じる」
教皇はそんな私に、なおも言い張ってくれた。
確かに、それはそうだ。
現在エルグラン王国の王都にいる最強の魔術師は間違いなくルブランの小娘だ。
そして、その小娘を自由にしておけば、計画を起こした時に確実に邪魔になってくる。
「グロヴレが失敗したのも、あの小娘を最後まで残していたからだ」
私は流石に鼻白んだ。
「ルブランの小娘は単細胞だ。うまく行けば簡単に罠にかかるはずだ。間違ってもきゃつに力で対抗しようとするな。そのためにそちらにちゃんと予の手駒を渡しておるではないか」
「しかし、猊下。その手駒は最後まで残しておいたほうが」
「愚か者。ル・ブランの小娘を始末するのが一番難しいのであろうが。貴様らの計画など小娘を始末した後にゆっくりとやれば良かろう」
こいつはいつもそうだ。自分のことを最優先にしろと言ってくる。
しかし、小娘に手を出して警戒されても困るのだ。
できれば計画を発動するまでエルグランの奴らはのんびりと平和を謳歌しておいてほしいのだ。
その方が計画は成功しやすい。
「猊下、我らにも予定がございます」
私はやむを得ず反論した。
その途端だ。
「まだ判らんのか。愚か者めが」
教皇は激昂すると私は喉が締め付けられるような痛みを感じた。
「な、何を」
私は慌てて喉を掻きむしる。
「あの小娘のせいでどれほどの手駒が殺されたと思っておるのだ。それがまだ判らんのか」
教皇が叫んで私は釣り上げられたのだ。
「猊下、お止めを」
私は必死に叫んだ。
もう終わりだと諦めかけた時、やっと私の首の圧迫感がなくなった。
次の瞬間ドサリと地面に叩きつけられた。
ゴホンゴホン、私は必死にむせた。
「その方らはなんとしても小娘を連れてくるのじゃ。全てはそれからぞ。判ったか」
教皇はそう言うと洞窟の奥に入っていった。
「閣下大丈夫ですか」
護衛隊長のフレゲンツが私を見て慌てて駆けてきた。
「ああ、なんとかな」
私は咳き込みながら答えた。
「しかし、大丈夫なのですか?」
「ふんっ、知るか。取り敢えず、猊下はルブランの小娘を引っ掛けて連れてこいと仰せだ」
「あの破壊女をですか」
フレゲンツは私を不安そうに見てきた。
そう、簡単に連れてこれたら苦労はないところなのだ。
「まあ、猊下の手駒を使って良いとのことだ。息子たちは絶対に動かすな」
「宜しいのですか」
「息子たちは最後の計画にどうしても必要だ。
それに、こんな子供だましの手でルブランの小娘が捕まえられるなら、それに越したことはなかろう」
私は自嘲した。
「それはそうですが、そんなに簡単に行きますかね」
「まあ、良い。猊下のお手並みを拝見といこうではないか」
こんな手で捕まえられるほど、破壊女は馬鹿ではあるまいと私は思っていたのだ。
しかし、私は判っていなかったのだ。
破壊女は本当に疑うことを知らない馬鹿であることを。
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完全に無知な単細胞扱いのフランですが、フランの運命やいかに。
次話は明朝更新予定です。
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