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第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望
クラス対抗戦4 B組のウドの大木は完全に切れた私に弾き飛ばされました
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私はアドに群がる女どもを見て完全にプッツン切れていた。
そう、それを許しているアドも。
確かに私はメラニーに言われて、アドと話すのを止めた。それも我がクラスがクラス対抗戦で勝つためだ。なのに、それを良いことにしてアドは女の子達を侍らせて、喜んでいるってどういうことなのよ!
私には許せなかった。
特にあのララ、今まではピンク頭とかグレースとか帝国の王女とかに隠れていたけれど、ここに来て出てくるとは許せない。
模擬剣の柄が私が力を入れて思わず歪んでしまったんだけど……。
「えっ、フラン、その剣って」
アルマンが恐る恐る声をかけてくるけれど、私がじろりと睨みつけると
「ヒィィィィ」
思いっきり私から遠ざかるんだけど。
「まあ、フラン、あの伯爵令嬢こちらを見て、ニタリと笑ったわよ」
「な、何ですって」
メラニーの言葉に私の怒りは更に油を注がれてヒートアップする。
「ちょっとメラニー、これ以上フラン様の怒りに油を注ぐな」
オーレリアンが注意するが、
「何言っているのよ。オーレリアン。決勝で二人で仲良く戦われたら結果はどうなるかわからないけれど、怒り狂ったフランの前に敵なしよ」
メラニーの言葉の最後の方は小さくでよく聞こえなかった。
メラニーのことだから碌な事は言っていないだろう。
しかし、アドへの怒りの前にそんな事は些細な事だ。
「ちょっとメラニー、フラン様と殿下の仲が悪くなるのは俺としては避けたいんだけど」
オーレリアンがなんか言っている。
「それはアドに注意しなさいよね」
「いや、まあ、殿下がフラン様に会えなくて悶々とされるよりは他の女の子と過ごされて気を発散されたほうが……あっ?!」
思わずオーレリアンが余計なことを言ってしまったと口を閉じたが、もう遅い。
「ふうん、オーレリアンもそう思っているんだ」
「いや、違います。それは誤解で……」
「どう誤解なのよ」
私が低い声でそう言うと
「ヒィィィィ」
オーレリアンも震え上がってくれた。
「まあ、フランも、怒りは決勝で晴らせるわよ」
「そうね。決勝が楽しみだわ」
メラニーの言葉に私がニコリと頷くと
「ヒィェェェェ、このままじゃ殿下がやばい」
オーレリアンが青くなっているんだけど。
「フランソワーズさん」
そんな時だ。先生に私の名前が呼ばれたのだ。
私はゆっくりと立ち上った。
対戦相手は二年B組のアシルだった。男爵家の出身だ。父は近衛騎士だったと思う。
「ふんっ、魔術師のフラン様が、剣など持たれてどうされたのですか? E組を勝たせるためにやむを得ずですか」
大男のアシルはニヤニヤ笑ってなんか言っている。
こいつは先程の騎馬戦で、昨年同様に我がE組のオリーブらにやられたというのを忘れたのか? 本当にしつこい。
「俺も魔術ならばフラン様に勝てはしないですが、剣を持つと今までの奴らみたいに手加減する気はありませんよ」
なんか訳の判らないことを言っているんだけど。
「あなた、何言っているの? 今までの私の対戦見たの?」
私は不審そうにアシルを見た。
こいつ、本当に今までの私と他の者の剣術見たんだろうか?
相手が手加減するも何も、そんな暇もなく対戦相手が私に吹っ飛ばされているのを見て、この言いざまならば本当の馬鹿だ。
そうか、余程剣の嗜みがないのか。どっちかだ。
「皆、公爵家の力を恐れて手加減したようですな」
アシルは笑って言っているんだけど。
「でも、俺は騎士を目指しているので、手加減は出来ません。私の前に剣を掴んで立っていることを後悔させてあげますよ」
こいつは本当に馬鹿だ。
特に今は機嫌が悪いのだ。
「じゃあ私も手加減しないわ」
私は笑って言ってあげた。少しは手加減しないと大変かなと思ったんだけど……
完全に手加減する気が全く無くなった。相手が自分でしないって言ったからそれでいいよね。
アドが女どもに囲まれてこちらに笑みを向けてきたのも更に私の怒りに火を注ぐんだげと。
「そのほざいた言葉を後悔させてやるわ」
「ふんっ、そっくり返してあげるわ」
私は微笑んだ。そう、私は完全に切れていたのだ。
「ああああ、アシルは本当に馬鹿だ。今のフラン様にあんなことを言うなんて」
オーレリアンのつぶやきが遠くから聞こえたけれど……
「はじめ」
審判の合図とともに私はそのままアシルの側に走り込む。
「喰らえ」
私のいた所に渾身の打ち込みをアシルがしてきた。
少しは鍛えているようだ。
しかし、それを身を少し動かして躱す。
そのまま、私は剣を真横に振り抜いた。
その一撃は唖然としたアシルの顔面をモロに直撃し、そのままアシルを弾き飛ばしたのだ。
その先には胸を腕にスリスリされて喜んでいるアドとララ達が居た。それを見て更に切れた私は、思わずそのまま剣を手放してしまったのだ。
「きゃ」
「ギャー」
女どもに囲まれてニヤつくアドらの一団の中にアシルは飛び込んだのだ。
アドは女どもとアシルに押し倒されていた。
そして、更にこれ幸いと悲鳴を上げてアドに抱きつこうとしたララの顔先の地面に、私の手放した剣がグサリと突き刺さったのだった。
「ギャッ」
あまりのショックにララは泡を吹いて気絶していた。
***************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
フランの怒りの向かう先は?
決勝の相手は誰になるのか?
続きは今夜です!
そう、それを許しているアドも。
確かに私はメラニーに言われて、アドと話すのを止めた。それも我がクラスがクラス対抗戦で勝つためだ。なのに、それを良いことにしてアドは女の子達を侍らせて、喜んでいるってどういうことなのよ!
私には許せなかった。
特にあのララ、今まではピンク頭とかグレースとか帝国の王女とかに隠れていたけれど、ここに来て出てくるとは許せない。
模擬剣の柄が私が力を入れて思わず歪んでしまったんだけど……。
「えっ、フラン、その剣って」
アルマンが恐る恐る声をかけてくるけれど、私がじろりと睨みつけると
「ヒィィィィ」
思いっきり私から遠ざかるんだけど。
「まあ、フラン、あの伯爵令嬢こちらを見て、ニタリと笑ったわよ」
「な、何ですって」
メラニーの言葉に私の怒りは更に油を注がれてヒートアップする。
「ちょっとメラニー、これ以上フラン様の怒りに油を注ぐな」
オーレリアンが注意するが、
「何言っているのよ。オーレリアン。決勝で二人で仲良く戦われたら結果はどうなるかわからないけれど、怒り狂ったフランの前に敵なしよ」
メラニーの言葉の最後の方は小さくでよく聞こえなかった。
メラニーのことだから碌な事は言っていないだろう。
しかし、アドへの怒りの前にそんな事は些細な事だ。
「ちょっとメラニー、フラン様と殿下の仲が悪くなるのは俺としては避けたいんだけど」
オーレリアンがなんか言っている。
「それはアドに注意しなさいよね」
「いや、まあ、殿下がフラン様に会えなくて悶々とされるよりは他の女の子と過ごされて気を発散されたほうが……あっ?!」
思わずオーレリアンが余計なことを言ってしまったと口を閉じたが、もう遅い。
「ふうん、オーレリアンもそう思っているんだ」
「いや、違います。それは誤解で……」
「どう誤解なのよ」
私が低い声でそう言うと
「ヒィィィィ」
オーレリアンも震え上がってくれた。
「まあ、フランも、怒りは決勝で晴らせるわよ」
「そうね。決勝が楽しみだわ」
メラニーの言葉に私がニコリと頷くと
「ヒィェェェェ、このままじゃ殿下がやばい」
オーレリアンが青くなっているんだけど。
「フランソワーズさん」
そんな時だ。先生に私の名前が呼ばれたのだ。
私はゆっくりと立ち上った。
対戦相手は二年B組のアシルだった。男爵家の出身だ。父は近衛騎士だったと思う。
「ふんっ、魔術師のフラン様が、剣など持たれてどうされたのですか? E組を勝たせるためにやむを得ずですか」
大男のアシルはニヤニヤ笑ってなんか言っている。
こいつは先程の騎馬戦で、昨年同様に我がE組のオリーブらにやられたというのを忘れたのか? 本当にしつこい。
「俺も魔術ならばフラン様に勝てはしないですが、剣を持つと今までの奴らみたいに手加減する気はありませんよ」
なんか訳の判らないことを言っているんだけど。
「あなた、何言っているの? 今までの私の対戦見たの?」
私は不審そうにアシルを見た。
こいつ、本当に今までの私と他の者の剣術見たんだろうか?
相手が手加減するも何も、そんな暇もなく対戦相手が私に吹っ飛ばされているのを見て、この言いざまならば本当の馬鹿だ。
そうか、余程剣の嗜みがないのか。どっちかだ。
「皆、公爵家の力を恐れて手加減したようですな」
アシルは笑って言っているんだけど。
「でも、俺は騎士を目指しているので、手加減は出来ません。私の前に剣を掴んで立っていることを後悔させてあげますよ」
こいつは本当に馬鹿だ。
特に今は機嫌が悪いのだ。
「じゃあ私も手加減しないわ」
私は笑って言ってあげた。少しは手加減しないと大変かなと思ったんだけど……
完全に手加減する気が全く無くなった。相手が自分でしないって言ったからそれでいいよね。
アドが女どもに囲まれてこちらに笑みを向けてきたのも更に私の怒りに火を注ぐんだげと。
「そのほざいた言葉を後悔させてやるわ」
「ふんっ、そっくり返してあげるわ」
私は微笑んだ。そう、私は完全に切れていたのだ。
「ああああ、アシルは本当に馬鹿だ。今のフラン様にあんなことを言うなんて」
オーレリアンのつぶやきが遠くから聞こえたけれど……
「はじめ」
審判の合図とともに私はそのままアシルの側に走り込む。
「喰らえ」
私のいた所に渾身の打ち込みをアシルがしてきた。
少しは鍛えているようだ。
しかし、それを身を少し動かして躱す。
そのまま、私は剣を真横に振り抜いた。
その一撃は唖然としたアシルの顔面をモロに直撃し、そのままアシルを弾き飛ばしたのだ。
その先には胸を腕にスリスリされて喜んでいるアドとララ達が居た。それを見て更に切れた私は、思わずそのまま剣を手放してしまったのだ。
「きゃ」
「ギャー」
女どもに囲まれてニヤつくアドらの一団の中にアシルは飛び込んだのだ。
アドは女どもとアシルに押し倒されていた。
そして、更にこれ幸いと悲鳴を上げてアドに抱きつこうとしたララの顔先の地面に、私の手放した剣がグサリと突き刺さったのだった。
「ギャッ」
あまりのショックにララは泡を吹いて気絶していた。
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ここまで読んでいただいてありがとうございました。
フランの怒りの向かう先は?
決勝の相手は誰になるのか?
続きは今夜です!
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