悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
178 / 309
第四部 第四部 古の古代帝国公爵家の野望

大けがをしたアルマンに友人が泣き叫びだして、礼儀作法の先生に何故か私が犯人だと決めつけられました

しおりを挟む
「アルマン、大丈夫なの?」
私は訓練施設で倒れているアルマンに駆け寄った。

アルマンは全身血だらけで倒れていた。

「な、なんとかな」
アルマンは目を開けて、何とか声を出した。

「どうすればこんなになるのよ」
私が怒りの声を上げると、

「フランソワーズ様、申し訳ありません」
傍にいた、クラリスが頭を下げてくるんだけど。

「私の癒し魔術で治せるだけは治しました」
「それは有難う。でもどうしてこうなったの?」
「すみません。フランソワーズ様。わがクラスのエーリック様がやり過ぎたみたいで」
言いにくそうにクラリスが言う。

また、あの顔だけ気障男か。

もう、許さない!
プチっと私の我慢の限界線が切れる音がした。
こうなったら、私が本気でやってやる。私が怒りの目で四方を見渡した時だ。

「キャーーーー、アルマン、アルマン、大丈夫なの?」
そこにメラニーがアルマンに縋りついて泣き叫び出したんだけど……

「えっ?」
その様子に私は頭の中が真っ白になった。
私のクラスの面々もその様子に唖然としている。

あのメラニーが、あのいつも沈着冷静なメラニーが取り乱しているんだけど、何故? 
それもアルマンに抱きついているんだけど、この二人付き合っていたっけ?
いやいや、例え付き合っていたとしても、メラニーがこんな状況になるなんてあり得ない。まだ、ノエルとかジャッキーならば判るけれど、メラニーが取り乱して男にしがみつくなんてありえないのだ……

「酷い! 私のアルマンがこんなことになるなんて」
ええええ! 本当に、メラニーってアルマンと付き合っていたの? 
でも、抱きつかれているアルマンが、どう見てもドン引きしているんだけど……

その顔も引きつっているし……

「も、申し訳ありません。メラニー様。我がクラスのエーリック様がとんでもないことをしてしまって」
クラリスが慌てて頭を下げるが、
「本当ですわ。私のアルマンがこんなになるなんて。酷い!」
メラニーが涙目でクラリスを見上げているんだけど、なんか、絶対に胡散臭い。
単純なクラリスは同情しているけれど、絶対にこれは変だ!

「学内の暴力沙汰は停学処分ですわね」
泣きながら、メラニーが言うんだけど……
いきなりとても現実的なんだけど……

「えっ、でも、これは訓練場の中の出来事ですし」
動揺したクラリスがなんとか、言い訳する。
「そうだ。そもそもそいつが挑発してきたんだ」
遠くから王弟の息子のカミーユに抑えられて引き離されていたエーリックが叫んできた。

「ああああ、なんて酷い。アルマンが平民だからってこんなことまでされるなんて。さすが、A組の皆様は人間の心がおありではないのですね」
メラニーが真柏の演技を始めるんだけど。
いや、絶対に演技だ!

私が他人事で感心して見つめていると、その足を思いっきり叩かれたんだけど。それも弁慶の泣き所だ。
「ギャッ」
私は脚を抱えて思わず叫んでいた。

「あなたもそう思うわよね。フラン」
私はもう涙目で頷くしかなかった。
覚えていなさいよ、メラニー、涙目で睨みつけるけど、メラニーはびくともしない。

「そ、そんな、確かにエーリック様はやり過ぎでしたけど、停学までは」
「そうよ。お兄様はその男にお情けで残された公国と馬鹿にされたのよ」
妹の緑頭まで言ってくるんだけど。

「そんなことで殺そうとするなんて、酷いですわ」
「そんな事ですって……」
「マドレーヌ様、落ち着いて」
叫びだそうとしたマドレーヌの口をクラリスが防ぐ。

「さすが、公国のお貴族様は、平民の命なんて虫けら同然としかお考えになっていらっしゃらないのですね」
「いや、そんな事は無いかと」
クラリスが必至に言い訳しようとするが、緑頭といい顔だけ気障男といい、絶対にそう思っているに違いないわ。

「ああん。酷いわ、私のアルマンをこんなにして、学園で殺人未遂が起こるなんて、信じられない。殿下の婚約者のフランソワーズ様もそう思われるでしょ」
メラニーの演技は更に続くんだけど、私もこれ以上痛い目に合うのは嫌なので、私は精一杯、涙目で頷いたのだ。

「まさか、クラリス様は平民のアルマンなんか死んでも良いと、公国の御曹司のエーリック様の肩を持たれるのですか」
メラニーの演技が続くんだげと、何処からか取り出した黄色いハンカチまで噛んで悔しさを表しているんだけど……

「いえ、そのような事は」
「いや、絶対にそいつが悪いぞ」
クラリスが困ったように言うのに、遠くでエーリックが叫んでそれをぶち壊していた。

「エーリック、お前は頼むから黙ってくれ」
カミーユが必死に言い聞かせているんだけど。

「ひどい。やはり、公国の御曹司は平民の命なんて虫けらいかにしか思われていないんですわ」
そう言ってメラニーが泣き出したのだ……。

「ちょっと、フランソワーズさん。これはあなたがやったのですか?」
そこへ飛んできたフェリシー先生が晴天の霹靂の言葉で叱責してきたんだけど……

いや、今回は絶対に何も関係していないから!
私は心の底から叫んでいた。


************************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
さて、フランの心の叫びは信じてもらえるのか?
次話はまた明日です。

しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。