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第三部 ルートン王国交換留学編
イエクラ国王視点 アルメリア国王夫妻を弑逆しました
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俺はディエゴ・イエクラ、代々宰相を輩出する侯爵家の四男だった。当然四男なので、家を継ぐ気はなかった。
伯爵家の令嬢サラ様を見るまでは。
たまたま彼女とは学園の同学年だったのだ。同じクラスになった私はあっという間に可憐な彼女の虜になったのだ。しかし、彼女は人気があり、侯爵家とはいえ四男の私では太刀打ちできそうになかった。
私は彼女に言ったのだ。絶対に侯爵家を継げるようになるよう頑張るから、それまで待ってほしいと。
なんと、彼女はほのかに頷いてくれたのだ。
私は天にも昇る気持ちだった。
私はそれから必死に頑張った。
学業では学年の主席になり、領地の経営も必死に学んだ。
しかし、宰相の父は忙しく、私に目も向けてくれなかった。
私がその男を知ったのはたまたまだった。
屋敷の中でたまたま兄が怒り声を上げているのに、出くわしたのだ。
その怒られている相手がこの男だった。
黒っぽい衣装を身に纏った目立たない男だった。でも、それからよくこの男に会うようになった。
男は兄の部下だったが、兄はいつもその男を見下すように接していた。
俺は言ったのだ。
「あんな兄の下にいると大変だな」
と。
「いえいえ、仕事ですから」
男はそう言ったが、それから色んな事を折に触れて教えてくれるようになった。
その頃、学園の花となっていたサラに兄が懸想しているのもその男から教えてもらった。
それを知って俺は怒り狂ったのだ。
でも、侯爵家の跡取りの兄と四男の俺ではどちらに歩があるかは明白だった。
「兄上が憎たらしいですか?」
「当たり前だ。殺したいくらいだ」
男の質問に俺は思わずそう言ってしまったのだ。
「やりますか」
男がぽろりと言ってくれた。
「えっ」
俺は驚いて男を見た。
「その覚悟があればやりますよ。でもその代わり、若様には当主になってもらわねば困ります。その覚悟がありますか」
「なれるのならば是非なりたい」
それは俺の希望でもあったのだ。
それから俺とその男は悪巧みの仲間になった。
男はこの家の影、というか隠密だったのだ。
俺はその男と組んで、兄を馬車の事故と見せかけて殺したのだ。
兄は冷血で四男の俺など歯牙にもかけていなかったから、いい気味だった。
二男三男はあまり、覇気もなく、俺の敵ではなかった。
俺は侯爵家を継げる目処が立ってサラに会いに行ったのだ。
しかし、サラは既に国の王太子と婚約することが決まっていたのだ。
俺はサラに約束が違うと詰ったが、約束なんてしていないとサラは冷たく言い放った。
俺は自暴自棄になった。酒に走り、使用人に当たり散らした。
そんな俺に、男は言ったのだ。
「何年かかっても良いのならば、あの子をあなたのものにしてあげますよ」
俺はそれを聞いて、もう一度初めからやり直すことにしたのだ。
父について政治の勉強を初めたのだ。
父に言われて、最初は辺鄙な地方の役所の勤務から始めたのだ。
地方の役所は人が居なくて雑用はすべて1人でやらされた。
こんな雑用が何になると思ったこともあるが、殆どの事を1人でこなすという事は無理矢理にでもやり方を覚えざるを得ない事で、俺は多くのことを覚えた。
そして、三年間、地方できっちり勤め上げて、中央に帰ってきたのだ。
そこからはトントン拍子に出世して、30の時には内務省の部局長になり、外務卿等を経て、父の宰相の跡を四十手前で継いだのだ。
俺は何食わぬ顔で憎き王太子、今は国王について政治を行っていった。
しかし、国王は優柔不断で海賊対策も碌に出来ず、遊び呆けていた。
そんな王に対して商人たちの不満が溜まっていた。
一方、私の影として男は勢力拡大に努めてくれた。
ありとあらゆるところに諜報網を築いてくれたのだ。
俺は影の活躍で多くの貴族たちを助け、あるいは弱みを握り、味方にしていった。
俺はそんな影に言って海賊共をも手懐けていったのだ。
そして、四十でサラを奪った国王を毒殺することに成功したのだ。
俺は嬉々としてサラに会いに行った。
「あなたが陛下を殺したの?」
しかし、サラは目を吊り上げて俺を詰って来たのだ。
俺は黒い欲望のまま、サラを抱こうとした。
しかし、サラは抵抗してナイフで俺を刺してきたのだ。
腕にナイフを刺された俺は逆上してしまった。
気付いたら俺はサラをメッタ刺しにしていたのだった。
*********************************************************************
ここまで読んで頂いて有難うございます。
第三部完結まで後少しです。
最後までお楽しみ頂ければと思います。
今夜フランの全力攻撃が炸裂します。
お楽しみに!
伯爵家の令嬢サラ様を見るまでは。
たまたま彼女とは学園の同学年だったのだ。同じクラスになった私はあっという間に可憐な彼女の虜になったのだ。しかし、彼女は人気があり、侯爵家とはいえ四男の私では太刀打ちできそうになかった。
私は彼女に言ったのだ。絶対に侯爵家を継げるようになるよう頑張るから、それまで待ってほしいと。
なんと、彼女はほのかに頷いてくれたのだ。
私は天にも昇る気持ちだった。
私はそれから必死に頑張った。
学業では学年の主席になり、領地の経営も必死に学んだ。
しかし、宰相の父は忙しく、私に目も向けてくれなかった。
私がその男を知ったのはたまたまだった。
屋敷の中でたまたま兄が怒り声を上げているのに、出くわしたのだ。
その怒られている相手がこの男だった。
黒っぽい衣装を身に纏った目立たない男だった。でも、それからよくこの男に会うようになった。
男は兄の部下だったが、兄はいつもその男を見下すように接していた。
俺は言ったのだ。
「あんな兄の下にいると大変だな」
と。
「いえいえ、仕事ですから」
男はそう言ったが、それから色んな事を折に触れて教えてくれるようになった。
その頃、学園の花となっていたサラに兄が懸想しているのもその男から教えてもらった。
それを知って俺は怒り狂ったのだ。
でも、侯爵家の跡取りの兄と四男の俺ではどちらに歩があるかは明白だった。
「兄上が憎たらしいですか?」
「当たり前だ。殺したいくらいだ」
男の質問に俺は思わずそう言ってしまったのだ。
「やりますか」
男がぽろりと言ってくれた。
「えっ」
俺は驚いて男を見た。
「その覚悟があればやりますよ。でもその代わり、若様には当主になってもらわねば困ります。その覚悟がありますか」
「なれるのならば是非なりたい」
それは俺の希望でもあったのだ。
それから俺とその男は悪巧みの仲間になった。
男はこの家の影、というか隠密だったのだ。
俺はその男と組んで、兄を馬車の事故と見せかけて殺したのだ。
兄は冷血で四男の俺など歯牙にもかけていなかったから、いい気味だった。
二男三男はあまり、覇気もなく、俺の敵ではなかった。
俺は侯爵家を継げる目処が立ってサラに会いに行ったのだ。
しかし、サラは既に国の王太子と婚約することが決まっていたのだ。
俺はサラに約束が違うと詰ったが、約束なんてしていないとサラは冷たく言い放った。
俺は自暴自棄になった。酒に走り、使用人に当たり散らした。
そんな俺に、男は言ったのだ。
「何年かかっても良いのならば、あの子をあなたのものにしてあげますよ」
俺はそれを聞いて、もう一度初めからやり直すことにしたのだ。
父について政治の勉強を初めたのだ。
父に言われて、最初は辺鄙な地方の役所の勤務から始めたのだ。
地方の役所は人が居なくて雑用はすべて1人でやらされた。
こんな雑用が何になると思ったこともあるが、殆どの事を1人でこなすという事は無理矢理にでもやり方を覚えざるを得ない事で、俺は多くのことを覚えた。
そして、三年間、地方できっちり勤め上げて、中央に帰ってきたのだ。
そこからはトントン拍子に出世して、30の時には内務省の部局長になり、外務卿等を経て、父の宰相の跡を四十手前で継いだのだ。
俺は何食わぬ顔で憎き王太子、今は国王について政治を行っていった。
しかし、国王は優柔不断で海賊対策も碌に出来ず、遊び呆けていた。
そんな王に対して商人たちの不満が溜まっていた。
一方、私の影として男は勢力拡大に努めてくれた。
ありとあらゆるところに諜報網を築いてくれたのだ。
俺は影の活躍で多くの貴族たちを助け、あるいは弱みを握り、味方にしていった。
俺はそんな影に言って海賊共をも手懐けていったのだ。
そして、四十でサラを奪った国王を毒殺することに成功したのだ。
俺は嬉々としてサラに会いに行った。
「あなたが陛下を殺したの?」
しかし、サラは目を吊り上げて俺を詰って来たのだ。
俺は黒い欲望のまま、サラを抱こうとした。
しかし、サラは抵抗してナイフで俺を刺してきたのだ。
腕にナイフを刺された俺は逆上してしまった。
気付いたら俺はサラをメッタ刺しにしていたのだった。
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ここまで読んで頂いて有難うございます。
第三部完結まで後少しです。
最後までお楽しみ頂ければと思います。
今夜フランの全力攻撃が炸裂します。
お楽しみに!
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