138 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編
クラス対抗戦はやはり入賞できませんでした
しおりを挟む
「只今より、クラス対抗演劇祭り。表彰式を行います」
アナウンスがあった。
場所は講堂から中庭に移り、立食形式の後夜祭が始まろうとしていた。
まず、学園長の長い挨拶があった。
そんなのはどうでもいいんだけど。
でも、ここでなにか言うと、またフェリシー先生のお小言が始まるので、私は静かに黙っていた。
「では、これより、順位を発表します。
1年生第三位はD組の『海賊なんか許さない』でした」
「おおおお!」
「やったー」
アナウンスの声とともにD組が盛上っている。
「ええええ! あれって私の海賊退治そのまんまよね。著作権料が欲しいくらいだわ」
「まあまあ」
横のメラニーもこの時はまだ余裕があった。
「第二位はA組の『ルートンの薔薇』でした」
「おお」
パチパチ。
A組は一位を取れなかったので、盛り上がりはもう一つだった。
あれターザンは?
あれがベスト3に入らないはずはない。
やっぱり我がクラスの中途半端に終ってしまったから、駄目だったんだ。
私はそう思った。
メラニー達は祈っているんだけど。無理だって!
「では、栄えある一位の発表です。第一位はC組の『ターザン』でした」
「やったー!」
「おおおお!」
C組の面々は手を挙げて、ハイタッチしたりして喜んでいる。
抱き合ったりしてもう、凄い興奮状態だ。
対する我がE組は深海に沈んだようになっていた。私を筆頭に……
「やっぱり、最後に先生に怒られて終わったのが、最悪だったのよ」
私はがっかりして言った。
「そ、そんな、あそこまでうまく行っていたのに」
メラニーがブツブツ言っている。
「アルメリアの野郎覚えていろよ」とか、何か物騒なことをブツブツ言っているんだけど。
ちょっとこれはまずくない? メラニーが心血注いだ劇が評価されなかったのだ。本人はアルメリアのせいだと言っているけど、ターザンに勝つのは中々難しかったのではなかったかと私は思うんだけど。
メラニーの怒りようを見ると、私達の帰りの船のコースがいつの間にかアルメリア王国になっているかもしれない!
このメラニーの怒りようならやりかねないんだけど。
アルメリアは馬鹿だ。メラニーの怒りを買うなんて!
メラニーは私と違って根に持つタイプだし、腹黒だ。
私は絶対にメラニーの怒りを買いたくない!
私は国際問題は起こすなって言われているのにどうしてくれるのよ!
私のストッパー役の1人が壊れちゃったんだけど。
メラニーにやれって言われたら、後のことが怖くてやるしかなくなるんだけど……
「そして、皆さん。ここに特別賞があります」
何だろう、特別賞って?
碌でもない賞のような気がした。
「演劇の最中にアルメリア王国の襲撃を受けて、それを撃退されたフランソワーズ嬢にルートン特別勲章を後で陛下より授与していただきます」
何か勲章もらっても順位が変わらないんなら一緒じゃないかと私はもう一つだった。既に一つもらったし。それが2つになった所で何になるんだろう?
それだけでなくって、ルートン王国の永住権が与えられてるって言われても、別にこの国に住まないし、たまに遊びに来るのは良いけれど。
皆は「フラン、すごいじゃない」
「おめでとう」
とか言ってくれるけれど、私はそれがどうしたって感じなのだ。
どのみちならばそれで一位にしてほしかった。
まあ、演劇がターザンに比べてイマイチだったから仕方がないか。
と思わないでもなかったが。
そして、成績優秀クラスが壇上に上がった。
私も呼ばれて最後に端に上がった。
クラスの皆と一緒じゃないからもう一つだった。
「あれ?」
そして、私は一年A組にシルビアの姿がないのに気付いた。
あの目立ちたがり屋で、嫌味なシルビアがいない。私を馬鹿にする折角のチャンスにいないのだ。
あり得なかった。あいつは風邪で熱をだそうが、絶対にいると思ったのに。
代りにディオとソニアがいるんだけど。なんでだろう?
「ではまず第一位の一年生C組から」
口笛が鳴ってC組の皆飛び上がる。私もそうしたかった。
「ありがとうございます」
表彰状を受け取って二人がお礼を言う。
「フラン様の活躍をそのままパクらせていただきました」
「ありがとうございました」
代表の二人がまたしても私に土下座せんばかりの礼をしてくれるんだけど、もう止めて!
「第二位、1年A組」
「ありがとうございます」
ディオとソニアが受け取っていた。シルビアはどこに行ったんだろう?
そして、三位のD組の後に私は名前を呼ばれて
「アルメリア王国の暗殺者共の襲撃を撃退して捕獲に協力頂けたとこと感謝の言葉もない」
陛下から勲章を渡されたのだ。
私は愛想笑いして勲章を受け取った。なんかメラニーの視線が怖いんだけど。この勲章後でメラニーに渡したらそれで許してくれるだろうか?
あれ、遠目にメラニーの手のシナリオがぐしゃぐしゃになっているんだけど……
後が怖い……
私はクラス対抗戦で勝てなかったことがとても残念だった。
そして、これで終わるはずだったのだ。
この後、あんなことが起こるなんて思ってもいなかったのだ。
アナウンスがあった。
場所は講堂から中庭に移り、立食形式の後夜祭が始まろうとしていた。
まず、学園長の長い挨拶があった。
そんなのはどうでもいいんだけど。
でも、ここでなにか言うと、またフェリシー先生のお小言が始まるので、私は静かに黙っていた。
「では、これより、順位を発表します。
1年生第三位はD組の『海賊なんか許さない』でした」
「おおおお!」
「やったー」
アナウンスの声とともにD組が盛上っている。
「ええええ! あれって私の海賊退治そのまんまよね。著作権料が欲しいくらいだわ」
「まあまあ」
横のメラニーもこの時はまだ余裕があった。
「第二位はA組の『ルートンの薔薇』でした」
「おお」
パチパチ。
A組は一位を取れなかったので、盛り上がりはもう一つだった。
あれターザンは?
あれがベスト3に入らないはずはない。
やっぱり我がクラスの中途半端に終ってしまったから、駄目だったんだ。
私はそう思った。
メラニー達は祈っているんだけど。無理だって!
「では、栄えある一位の発表です。第一位はC組の『ターザン』でした」
「やったー!」
「おおおお!」
C組の面々は手を挙げて、ハイタッチしたりして喜んでいる。
抱き合ったりしてもう、凄い興奮状態だ。
対する我がE組は深海に沈んだようになっていた。私を筆頭に……
「やっぱり、最後に先生に怒られて終わったのが、最悪だったのよ」
私はがっかりして言った。
「そ、そんな、あそこまでうまく行っていたのに」
メラニーがブツブツ言っている。
「アルメリアの野郎覚えていろよ」とか、何か物騒なことをブツブツ言っているんだけど。
ちょっとこれはまずくない? メラニーが心血注いだ劇が評価されなかったのだ。本人はアルメリアのせいだと言っているけど、ターザンに勝つのは中々難しかったのではなかったかと私は思うんだけど。
メラニーの怒りようを見ると、私達の帰りの船のコースがいつの間にかアルメリア王国になっているかもしれない!
このメラニーの怒りようならやりかねないんだけど。
アルメリアは馬鹿だ。メラニーの怒りを買うなんて!
メラニーは私と違って根に持つタイプだし、腹黒だ。
私は絶対にメラニーの怒りを買いたくない!
私は国際問題は起こすなって言われているのにどうしてくれるのよ!
私のストッパー役の1人が壊れちゃったんだけど。
メラニーにやれって言われたら、後のことが怖くてやるしかなくなるんだけど……
「そして、皆さん。ここに特別賞があります」
何だろう、特別賞って?
碌でもない賞のような気がした。
「演劇の最中にアルメリア王国の襲撃を受けて、それを撃退されたフランソワーズ嬢にルートン特別勲章を後で陛下より授与していただきます」
何か勲章もらっても順位が変わらないんなら一緒じゃないかと私はもう一つだった。既に一つもらったし。それが2つになった所で何になるんだろう?
それだけでなくって、ルートン王国の永住権が与えられてるって言われても、別にこの国に住まないし、たまに遊びに来るのは良いけれど。
皆は「フラン、すごいじゃない」
「おめでとう」
とか言ってくれるけれど、私はそれがどうしたって感じなのだ。
どのみちならばそれで一位にしてほしかった。
まあ、演劇がターザンに比べてイマイチだったから仕方がないか。
と思わないでもなかったが。
そして、成績優秀クラスが壇上に上がった。
私も呼ばれて最後に端に上がった。
クラスの皆と一緒じゃないからもう一つだった。
「あれ?」
そして、私は一年A組にシルビアの姿がないのに気付いた。
あの目立ちたがり屋で、嫌味なシルビアがいない。私を馬鹿にする折角のチャンスにいないのだ。
あり得なかった。あいつは風邪で熱をだそうが、絶対にいると思ったのに。
代りにディオとソニアがいるんだけど。なんでだろう?
「ではまず第一位の一年生C組から」
口笛が鳴ってC組の皆飛び上がる。私もそうしたかった。
「ありがとうございます」
表彰状を受け取って二人がお礼を言う。
「フラン様の活躍をそのままパクらせていただきました」
「ありがとうございました」
代表の二人がまたしても私に土下座せんばかりの礼をしてくれるんだけど、もう止めて!
「第二位、1年A組」
「ありがとうございます」
ディオとソニアが受け取っていた。シルビアはどこに行ったんだろう?
そして、三位のD組の後に私は名前を呼ばれて
「アルメリア王国の暗殺者共の襲撃を撃退して捕獲に協力頂けたとこと感謝の言葉もない」
陛下から勲章を渡されたのだ。
私は愛想笑いして勲章を受け取った。なんかメラニーの視線が怖いんだけど。この勲章後でメラニーに渡したらそれで許してくれるだろうか?
あれ、遠目にメラニーの手のシナリオがぐしゃぐしゃになっているんだけど……
後が怖い……
私はクラス対抗戦で勝てなかったことがとても残念だった。
そして、これで終わるはずだったのだ。
この後、あんなことが起こるなんて思ってもいなかったのだ。
2
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933

「次にくるライトノベル大賞2023」
に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。

表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。
お気に入りに追加
4,170
あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜
白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。
舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。
王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。
「ヒナコのノートを汚したな!」
「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」
小説家になろう様でも投稿しています。

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します
青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。
キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。
結界が消えた王国はいかに?


【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。


追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。