上 下
135 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編

襲撃された側なのに、何故か怒られるわ、敵国への母の襲撃の事を心配しなければいけないわ、もう最悪でした

しおりを挟む
それからが大変だった。
フェリシー先生は私が襲撃されたということをなかなか納得してくれなかったのだ。私がまた良からぬことを画策したとしか取ってくれなかったのだ。

ヴァンとかジェドは私を助けるどころか、騎士たちと協力してさっさと男達を捕まえて、どこかに連れていくし、クラスの皆は気絶したイネを看病するためとかでこれまた、舞台から消えてくれたし。

観客や見ていた生徒もこれ幸いと会場から出て行って……

ちょっと、待ちなさいよ。なんで、私だけがフェリシー先生に怒られ続けているのよ!

まあ、残党とかはヴァンとかが何とかしてくれていると思うけど。

先生には、これは襲撃だって私も襲われた被害者だって言っているのに、夫以外に初めて胸を触られたとかで興奮して完全にプッツン切れて切れているし、私が何を言っても全く聞いてくれたないのだ。

メラニーは何故、先生に説明してくれないの?

もう本当に最悪だった。

私は襲われた被害者なのに……


三十分くらい怒られた時にやっと王太子がやってきて、事のあらましを説明してくれたんだけど、今度はフェリシー先生が、何故演劇の最中に襲われたのですかって私を怒りだしたんだけど、それは襲ってきたアルメリア王国か、警備の責任者、あるいは王太子に怒って欲しい。

普通、可憐な公爵令嬢が襲われたのだ。大丈夫だったかと私が心配されるはずなのに。
何か加害者扱いなんだけど。

「まあ、姉上の日頃の行いだね」
後でやって来たジェドとかは平気で言ってくれたけど、違うだろうと叫びたい。


それに、絶対にヴァンもジェドも襲撃に前もって掴んでいて、事前に止めることも可能だったはずなのだ。

それを二人に文句言ったら、
「だって、姉上は前に事前に止めたら『何故やらせなかったのよ』って怒ったじゃないか」
逆にジェドに文句を言われたんだけど。

あの時は私が囮をやるって決まっていたからであって、私は反撃するつもり満々だったのだ。
それを前もって捕まえたって言うからだ。いつまで待っても来ない襲撃犯を二時間も待ちぼうけを食らった私の怒りを他に持っていきようが無かったから、ジェドらに向けただけだし……

「今回の襲撃は周りに被害を及ぼしたかもしれないじゃない」
私がむっとして言うと
「そのために、聖女も配置していたし、対策は万全だったよ」
ジェドとかは言ってくれるんだけど。

「それよりも私が襲撃されたって聞いたらまた母が何かするかもしれないじゃない」
「それを僕に言われても困るよ。それは姉上を襲撃したアルメリア側の責任なんだから」
「まあ、酷い政治をしているみたいだから、国王が襲われた方が、その国の民のためなんじゃない」
ジェドもヴァンも全然気にしていない。

「でも、王宮がまた火の海になるじゃない」
「まあ、でも、アルメリア王とは母上も面識はないと思うし、この前は帝国だったから、母上もやったんだと思うよ。むかつく帝国をやっつけてくれた救国の英雄、破壊の魔女様って一躍有名になったから。
アルメリアなんてちゃちな国壊しても誰も称賛してくれないかもしれないから、やらないんじゃないかな」
ジェドは言ってくれるんだけど。

「でも、今度は、『アルメリアなんてちゃちな国、やられたらあんたがやり返しなさいよ』って私に怒って来ない?」
私が言うと、
「ちょっと待ってよ、姉上。そんなこと姉上がしたら国際問題だよ。フェリシー先生に叱られるだけじゃ終わらないからね」
ジェドが他人事宜しく言ってくれるんだけど。
でも、あの母は怒ると何言ってくるか判らないのだ。五歳の私を魔の森に放り込むくらいだし。
それに、いくら私でも母には絶対に勝てない。

「ちょっと姉上、止めてよ。母上とここで戦うのは。二人で戦ったらこの王都が灰燼と化すからね。やるなら魔の森でやってよね」
この前、母とやりあったときは魔の森が三分の一、灰と化していたんだけど。

「ちょっとジェド、なによ。その他人事のようなセリフは」
私がムッとして言うと、
「そんな事言ったって事実じゃないか。本当に母上と姉上がここで戦ったら王都は壊滅するからね」
「気にするのはそこなの? 前の時は私が一週間寝たきりになったじゃない」
「母上とやりあって一週間で済むならいいでしょ。帝国の皇帝なんて今でも寝たきりだそうだよ」
「じゃああなたが、寝たきりになってご覧なさいよ」
「無理だよ。姉上だからあの母上とやりあえるんでしょ。僕なら瞬殺されちゃうよ」
慌てて、ジェドが言うんだけど。

「そうだ。ジェドに止められたから襲撃は止めたことにしよう」
私はいいことを思いついた。

「ちょっと姉上止めてよ」
「あんたならあの母を適当に誤魔化せるでしょ」
そうだ。留学も後少し、こんな下らないことに関わっている時間はないのだ。青春は一分一秒が大切なのだから。

私はぎゃあぎゃあ言っている弟を残して寮の部屋に帰ったのだった。

**************************************************************

ここまで読んで頂いて有難うございます。

前に紹介した『好きになったイケメンは王子様でした~失恋から始まるシンデレラ物語・悪役令嬢もヒロインにも負けません』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/377591254
読んで頂けました?
作者の私はまた読んでしまって感動していました……
作者が感動してどうする? とも思いますが……

今回は『ブス眼鏡と呼ばれても王太子に恋してる~私が本物の聖女なのに魔王の仕返しが怖いので、目立たないようにしているつもりです』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/845615056

これも面白いのでぜひともお読み下さい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話

ラララキヲ
恋愛
 長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。  初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。  しかし寝室に居た妻は……  希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──  一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……── <【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました> ◇テンプレ浮気クソ男女。 ◇軽い触れ合い表現があるのでR15に ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾は察して下さい… ◇なろうにも上げてます。 ※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)

完結 若い愛人がいる?それは良かったです。

音爽(ネソウ)
恋愛
妻が余命宣告を受けた、愛人を抱える夫は小躍りするのだが……

王子様は王妃の出産後すぐ離縁するつもりです~貴方が欲しいのは私の魔力を受け継ぐ世継ぎだけですよね?~

五月ふう
恋愛
ここはロマリア国の大神殿。ロマリア歴417年。雪が降りしきる冬の夜。 「最初から……子供を奪って……離縁するつもりだったのでしょう?」  ロマリア国王子エドワーズの妃、セラ・スチュワートは無表情で言った。セラは両手両足を拘束され、王子エドワーズの前に跪いている。 「……子供をどこに隠した?!」  質問には答えず、エドワーズはセラを怒鳴りつけた。背が高く黒い髪を持つ美しい王子エドワードの顔が、醜く歪んでいる。  「教えてあげない。」  その目には何の感情も浮かんでいない。セラは魔導士達が作る魔法陣の中央に座っていた。魔法陣は少しずつセラから魔力を奪っていく。 (もう……限界ね)  セラは生まれたときから誰よりも強い魔力を持っていた。その強い魔力は彼女から大切なものを奪い、不幸をもたらすものだった。魔力が人並み外れて強くなければ、セラはエドワーズの妃に望まれることも、大切な人と引き離されることもなかったはずだ。  「ちくしょう!もういいっ!セラの魔力を奪え!」    「良いのかしら?魔力がすべて失われたら、私は死んでしまうわよ?貴方の探し物は、きっと見つからないままになるでしょう。」    「魔力を失い、死にたくなかったら、子供の居場所を教えろ!」  「嫌よ。貴方には……絶対見つけられない場所に……隠しておいたから……。」  セラの体は白く光っている。魔力は彼女の生命力を維持するものだ。魔力がなくなれば、セラは空っぽの動かない人形になってしまう。  「もういいっ!母親がいなくなれば、赤子はすぐに見つかるっ。さあ、この死にぞこないから全ての魔力を奪え!」  広い神殿にエドワーズのわめき声が響いた。耳を澄ませば、ゴゴオオオという、吹雪の音が聞こえてくる。  (ねえ、もう一度だけ……貴方に会いたかったわ。)  セラは目を閉じて、大切な元婚約者の顔を思い浮かべる。彼はセラが残したものを見つけて、幸せになってくれるだろうか。  「セラの魔力をすべて奪うまで、あと少しです!」  魔法陣は目を開けていられないほどのまばゆい光を放っている。セラに残された魔力が根こそぎ奪われていく。もはや抵抗は無意味だった。  (ああ……ついに終わるのね……。)  ついにセラは力を失い、糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。  「ねえ、***…………。ずっと貴方を……愛していたわ……。」  彼の傍にいる間、一度も伝えたことのなかった想いをセラは最後にそっと呟いた。  

【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?

つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。 彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。 次の婚約者は恋人であるアリス。 アリスはキャサリンの義妹。 愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。 同じ高位貴族。 少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。 八番目の教育係も辞めていく。 王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。 だが、エドワードは知らなかった事がある。 彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。 他サイトにも公開中。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

お飾りの妃なんて可哀想だと思ったら

mios
恋愛
妃を亡くした国王には愛妾が一人いる。 新しく迎えた若い王妃は、そんな愛妾に見向きもしない。

【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。

112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。 目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。  死にたくない。あんな最期になりたくない。  そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。