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第三部 ルートン王国交換留学編
客席からナイフが何本も飛んできて私に突き刺さりました
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「わっはっはっはっはっ」
私は魔王の高笑いをした。散々教皇とかにやった、メラニーの言う所の魔王の高笑いだ。
もう年季物だった。
もう、私は完全にやけだったのだ。
「ふんっ、イネもアルマンもまだまだよな。私を南の島に島流しにしようとするなど。そこまでしようとしなければ、まだ、雑用係としてこき使ってやったものを」
私の周りではアルマンらが私にやられて倒れ伏していた。
「フラン様。一生涯ついて行きます。雑用としてこき使ってください」
そして、急遽捏造されて出て来た第二王子のドミンゴ達は私に跪いたのだ。
「こうして魔王フランはこの世界を千年以上支配することになるのでした」
ルフィナのナレーションで劇は終わったんだけど。こんなので本当にターザンに勝てるんだろうか?
私は疑問しか残らなかった。
「はい。E組の皆さん。そろそろ出番です。準備お願いします」
係の人が呼びに来てくれた。
私達は舞台の袖に案内された。
私達の前はD組だ。私はD組がC組みたいな変な劇をやっていないことを期待したのだが。
「わっはっはっはっはっ」
ちょっと、また魔王の高笑いじゃない!
「思い知ったか、アルメ海賊国よ。わがフランの前に不可能はないのだ」
何か大笑いしているのが、どう見ても私のようにみえるのは気のせいだろうか?
これ絶対に私の海賊退治をモチーフにしてくれている。アルメ海賊国ってどう考えてもアルメリア王国だし、もし、アルメリアの奴らがこれを見たら切れるんじゃないだろうか? と私はルートン王国の未来を少しだけ心配した。
でも、それ以前に、何かどいつもこいつも私を演じてくれるんだけど。
凄くむかつく! それに私はそこまでえらそうじゃないわよ!
そして、最後の私達が1年生のトリなんだけど。
こんなので勝てるのか?
私は思ったのだ。
「では、これより、1年E組の演劇『悪役令嬢フランは魔王になる』をお送りします」
おい、どう考えてもそのままじゃん! 私はメラニーが変えた題名に頭を抱えたくなった。
前半は今までのままだ。
アルマン王子と平民イネの出会いと心の通い合う二人を中心に話が進んでいく。
しかし、それを快く思わない私が登場して
「まあ、何か臭いわ。平民の匂いがするんだけど」
私が叫ぶ。
「本当ですわね。フラン様
「私も匂いましてよ」
「フラン様。ここに平民がおりました」
まあ、これを大半が平民が貴族に扮して、貴族のイネが平民に扮しているのにやるのが肝だとかなんとか、メラニーが言うんだけど、見ただけでは誰が元々平民で、誰が元々貴族なんて判らないじゃない!
それくらいにテオドラ達はうまくなっていた。
「あんたにそう言われてもね」とメラニーに言われたけれど。私は一応、公爵令嬢なんだけど……
「まあ、ニオイのもとを絶たないと」
私が手で合図すると水をガスペルが用意した魔道具で落とす。
イネが水でずぶ濡れになった。
「本当に」
更にテオドラが手を挙げるとまたガスペルが魔道具で水を落とす。
「私も少し」
ジュセニアの声に更に水が……
「あと一つ」
ベロニカの声に更に水がイネに降りかかる。
本当に酷いいじめなのだ。
私は良心の呵責だらけなんだけど……
「酷いわ。さすが鬼のフランよ」
A組の方からシルビアの声が聴こえてくるが、ここは我慢だ。
「まあ、これくらいで良いわ。本当は濡れ鼠も処分したいところだけど」
高笑いを残して私達が去った後にアルマンが出てくるのだ。
「イネス、どうしたのだ。水浸しじゃないか」
そう言うと
「乾け!」
呪文とともに温風魔術を出してアルマンがイネスを乾かした。
「殿下有難うございます」
「誰がこのようなことをしたのだ」
アルマンが格好つけて言うんだけど。
「それは……」
イネスが下を見て言いよどむ。
「言わずとも良い。嫉妬したフランがしたのであろう」
「……」
「すまんな。イネス。私が不甲斐ないばかりにその方に苦労をかけて」
「いえ、殿下もったいないお言葉です」
「イネス」
アルマンがイネスを抱きしめた。
「殿下」
イネスが驚いてアルマンを見た。
「いつか、必ず、フランを断罪する。それまで待ってほしい」
「はい、殿下。私はいつまでも、お待ちしております」
二人は見つめ合って、暗転した。
このまま、どんどんいじめはエスカレートしていったのだ。
私に張られてボロ雑巾のように倒れていたイネスのもとにアルマンが駆け寄った。
「殿下。私、もう耐えられそうにありません」
イネスがアルマンの胸の中で泣き出した。
「イネス、判った。私ももう我慢の限界だ。フランは明日の卒業パーティーで断罪する」
アルマンがはっきり言い切ったのだ。
「でも、殿下、そんな事をして大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。その方への酷い仕打ちは陛下にも報告してある。そこまで言うならば好きにしても良いと父からは言われているのだ」
「でも、公爵家の力は凄いのではありませんか?」
「なあに、騎士団は私に付いてくれるのが決まった。フランの取り巻きの中でも私に付いてくれる者も2、3人いる。明日の卒業パーティーでは必ず断罪は成功するのだ。そうすればその方を私の婚約者に出来る」
「殿下」
二人ははたと抱き合ったのだ。
「わっはっはっはっはっ。何をしておいでなのですか、殿下? このような物陰で下賤な者と逢引とは。それもコソコソと良からぬ事を考えていらっしゃるようですが」
そこに取り巻きを連れて私が登場したのだ。
「な、何を言うのだ。その方こそ、物陰で盗み聞きをするとは下品ではないか」
「盗み聞きなどと人聞きの悪い。私は殿下の側近のオーレリアンから注進を受けてここにわざわざ参ったのです」
「な、何だと、オーレリアン。その方私を裏切るのか?」
「殿下、申し訳ありません。フラン様に脅されて全て話してしまいました」
力なくオーレリアンが言ってくれた。
「ええい、もう良いわ。フラン、その方のイネスに対する凄惨ないじめの数々、証拠は上がっているぞ」
アルマンが私を指差して言ってくれた。
「何をおっしゃっていらっしゃるかわかりかねますわ。大方、殿下の隣の下賤の者のお言葉を信じられただけではございませんこと?」
私は二人を見下して言い切った。
「何を言う。テオドラ嬢、ルフィナ嬢からもはっきりとその旨聞いておるわ」
アルマンが自信を持って言ってきた。
「何を仰るのやら。テオドラ、そのようなことがあったのかしら」
私がテオドラにふると
「いいえ、大方、イネス嬢が大げさに申されているだけだと」
テオドラが笑って答えてくれた。
「な、何だと、その方はイネスがフランに何の罪もないのに水をかけられたと申してくれたではないか」
アルマンが慌てるが、
「殿下のお聞き違いかと」
平然とテオドラが言い切ったのだ。
「ルフィナ嬢、その方はイネスがフランに張り倒されていたと」
「いいえ、そのような事実はございませんわ」
「な、何だと、その方らフランに寝返ったのか」
アルマンが焦って言うけれど。
「何を仰っていらっしゃるやら。殿下ももう少し賢いと思っておりましたけれど、そのような平民の小娘に誑かされるようでは王太子の地位は難しいでしょう。ドミンゴ様」
私は第二王子役のドミンゴを呼んだのだ。平民を王子にする暇はなくて、偉そうに見えるとメラニーの判断でドミンゴが第二王子に急遽成らされたのだ。
「これは兄上、また平民風情の女と仲良くなるなど、好き勝手にしておられますな」
「何故、この場に貴様が出てくるのだ」
アルマンが叫ぶ。
「それは私がお呼びしましたからですわ。殿下は平民風情と愛の巣を築かれたいご様子。南の島の領地が空いておりますから、そちらに移られれば良いのです」
私は冷たく言い切った。
「な、何だと」
アルマンが叫ぶが、
「そうですよ。兄上。後は私が引き継ぎますから」
ガスペルが笑って言ってくれた。
「おのれ。誰かおらんか出会え、出会うのだ。者共、このフランを捕まえるのだ」
アルマンの声に数人の騎士達がかけてきた。
そして、それに合わせて客席から何本ものナイフが投げ込まれて私に突き刺さったのだ。
「えっ?」
私は驚いて自分の体に突き刺さったナイフを見つめていた。
こんなの演劇にはなかったはずだ。一体どうしたんだろう? 私の頭は回っていなかった。
「ふ、フラン!」
側にいたアルマンが叫んだ。
「キャーーーーー」
私を見てイネは悲鳴を上げるとゆっくりと倒れたのだった。
私は魔王の高笑いをした。散々教皇とかにやった、メラニーの言う所の魔王の高笑いだ。
もう年季物だった。
もう、私は完全にやけだったのだ。
「ふんっ、イネもアルマンもまだまだよな。私を南の島に島流しにしようとするなど。そこまでしようとしなければ、まだ、雑用係としてこき使ってやったものを」
私の周りではアルマンらが私にやられて倒れ伏していた。
「フラン様。一生涯ついて行きます。雑用としてこき使ってください」
そして、急遽捏造されて出て来た第二王子のドミンゴ達は私に跪いたのだ。
「こうして魔王フランはこの世界を千年以上支配することになるのでした」
ルフィナのナレーションで劇は終わったんだけど。こんなので本当にターザンに勝てるんだろうか?
私は疑問しか残らなかった。
「はい。E組の皆さん。そろそろ出番です。準備お願いします」
係の人が呼びに来てくれた。
私達は舞台の袖に案内された。
私達の前はD組だ。私はD組がC組みたいな変な劇をやっていないことを期待したのだが。
「わっはっはっはっはっ」
ちょっと、また魔王の高笑いじゃない!
「思い知ったか、アルメ海賊国よ。わがフランの前に不可能はないのだ」
何か大笑いしているのが、どう見ても私のようにみえるのは気のせいだろうか?
これ絶対に私の海賊退治をモチーフにしてくれている。アルメ海賊国ってどう考えてもアルメリア王国だし、もし、アルメリアの奴らがこれを見たら切れるんじゃないだろうか? と私はルートン王国の未来を少しだけ心配した。
でも、それ以前に、何かどいつもこいつも私を演じてくれるんだけど。
凄くむかつく! それに私はそこまでえらそうじゃないわよ!
そして、最後の私達が1年生のトリなんだけど。
こんなので勝てるのか?
私は思ったのだ。
「では、これより、1年E組の演劇『悪役令嬢フランは魔王になる』をお送りします」
おい、どう考えてもそのままじゃん! 私はメラニーが変えた題名に頭を抱えたくなった。
前半は今までのままだ。
アルマン王子と平民イネの出会いと心の通い合う二人を中心に話が進んでいく。
しかし、それを快く思わない私が登場して
「まあ、何か臭いわ。平民の匂いがするんだけど」
私が叫ぶ。
「本当ですわね。フラン様
「私も匂いましてよ」
「フラン様。ここに平民がおりました」
まあ、これを大半が平民が貴族に扮して、貴族のイネが平民に扮しているのにやるのが肝だとかなんとか、メラニーが言うんだけど、見ただけでは誰が元々平民で、誰が元々貴族なんて判らないじゃない!
それくらいにテオドラ達はうまくなっていた。
「あんたにそう言われてもね」とメラニーに言われたけれど。私は一応、公爵令嬢なんだけど……
「まあ、ニオイのもとを絶たないと」
私が手で合図すると水をガスペルが用意した魔道具で落とす。
イネが水でずぶ濡れになった。
「本当に」
更にテオドラが手を挙げるとまたガスペルが魔道具で水を落とす。
「私も少し」
ジュセニアの声に更に水が……
「あと一つ」
ベロニカの声に更に水がイネに降りかかる。
本当に酷いいじめなのだ。
私は良心の呵責だらけなんだけど……
「酷いわ。さすが鬼のフランよ」
A組の方からシルビアの声が聴こえてくるが、ここは我慢だ。
「まあ、これくらいで良いわ。本当は濡れ鼠も処分したいところだけど」
高笑いを残して私達が去った後にアルマンが出てくるのだ。
「イネス、どうしたのだ。水浸しじゃないか」
そう言うと
「乾け!」
呪文とともに温風魔術を出してアルマンがイネスを乾かした。
「殿下有難うございます」
「誰がこのようなことをしたのだ」
アルマンが格好つけて言うんだけど。
「それは……」
イネスが下を見て言いよどむ。
「言わずとも良い。嫉妬したフランがしたのであろう」
「……」
「すまんな。イネス。私が不甲斐ないばかりにその方に苦労をかけて」
「いえ、殿下もったいないお言葉です」
「イネス」
アルマンがイネスを抱きしめた。
「殿下」
イネスが驚いてアルマンを見た。
「いつか、必ず、フランを断罪する。それまで待ってほしい」
「はい、殿下。私はいつまでも、お待ちしております」
二人は見つめ合って、暗転した。
このまま、どんどんいじめはエスカレートしていったのだ。
私に張られてボロ雑巾のように倒れていたイネスのもとにアルマンが駆け寄った。
「殿下。私、もう耐えられそうにありません」
イネスがアルマンの胸の中で泣き出した。
「イネス、判った。私ももう我慢の限界だ。フランは明日の卒業パーティーで断罪する」
アルマンがはっきり言い切ったのだ。
「でも、殿下、そんな事をして大丈夫なのですか?」
「大丈夫だ。その方への酷い仕打ちは陛下にも報告してある。そこまで言うならば好きにしても良いと父からは言われているのだ」
「でも、公爵家の力は凄いのではありませんか?」
「なあに、騎士団は私に付いてくれるのが決まった。フランの取り巻きの中でも私に付いてくれる者も2、3人いる。明日の卒業パーティーでは必ず断罪は成功するのだ。そうすればその方を私の婚約者に出来る」
「殿下」
二人ははたと抱き合ったのだ。
「わっはっはっはっはっ。何をしておいでなのですか、殿下? このような物陰で下賤な者と逢引とは。それもコソコソと良からぬ事を考えていらっしゃるようですが」
そこに取り巻きを連れて私が登場したのだ。
「な、何を言うのだ。その方こそ、物陰で盗み聞きをするとは下品ではないか」
「盗み聞きなどと人聞きの悪い。私は殿下の側近のオーレリアンから注進を受けてここにわざわざ参ったのです」
「な、何だと、オーレリアン。その方私を裏切るのか?」
「殿下、申し訳ありません。フラン様に脅されて全て話してしまいました」
力なくオーレリアンが言ってくれた。
「ええい、もう良いわ。フラン、その方のイネスに対する凄惨ないじめの数々、証拠は上がっているぞ」
アルマンが私を指差して言ってくれた。
「何をおっしゃっていらっしゃるかわかりかねますわ。大方、殿下の隣の下賤の者のお言葉を信じられただけではございませんこと?」
私は二人を見下して言い切った。
「何を言う。テオドラ嬢、ルフィナ嬢からもはっきりとその旨聞いておるわ」
アルマンが自信を持って言ってきた。
「何を仰るのやら。テオドラ、そのようなことがあったのかしら」
私がテオドラにふると
「いいえ、大方、イネス嬢が大げさに申されているだけだと」
テオドラが笑って答えてくれた。
「な、何だと、その方はイネスがフランに何の罪もないのに水をかけられたと申してくれたではないか」
アルマンが慌てるが、
「殿下のお聞き違いかと」
平然とテオドラが言い切ったのだ。
「ルフィナ嬢、その方はイネスがフランに張り倒されていたと」
「いいえ、そのような事実はございませんわ」
「な、何だと、その方らフランに寝返ったのか」
アルマンが焦って言うけれど。
「何を仰っていらっしゃるやら。殿下ももう少し賢いと思っておりましたけれど、そのような平民の小娘に誑かされるようでは王太子の地位は難しいでしょう。ドミンゴ様」
私は第二王子役のドミンゴを呼んだのだ。平民を王子にする暇はなくて、偉そうに見えるとメラニーの判断でドミンゴが第二王子に急遽成らされたのだ。
「これは兄上、また平民風情の女と仲良くなるなど、好き勝手にしておられますな」
「何故、この場に貴様が出てくるのだ」
アルマンが叫ぶ。
「それは私がお呼びしましたからですわ。殿下は平民風情と愛の巣を築かれたいご様子。南の島の領地が空いておりますから、そちらに移られれば良いのです」
私は冷たく言い切った。
「な、何だと」
アルマンが叫ぶが、
「そうですよ。兄上。後は私が引き継ぎますから」
ガスペルが笑って言ってくれた。
「おのれ。誰かおらんか出会え、出会うのだ。者共、このフランを捕まえるのだ」
アルマンの声に数人の騎士達がかけてきた。
そして、それに合わせて客席から何本ものナイフが投げ込まれて私に突き刺さったのだ。
「えっ?」
私は驚いて自分の体に突き刺さったナイフを見つめていた。
こんなの演劇にはなかったはずだ。一体どうしたんだろう? 私の頭は回っていなかった。
「ふ、フラン!」
側にいたアルマンが叫んだ。
「キャーーーーー」
私を見てイネは悲鳴を上げるとゆっくりと倒れたのだった。
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