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第三部 ルートン王国交換留学編

劇の練習していたら、お邪魔3トリオが私の恥ずかしい本がベストセラーになっていると知らせてくれました

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「アルマン様。私はもう、フラン様が怖くてたまりません」
「イネス、判った。私もフランは恐ろしいが、もう我慢できない。明日のパーティーでフランを断罪しよう」
「本当ですか? アルマン様」
「ああ、約束する。必ずや、今までのフランの罪を審らかに白日のもとに晒して、あの悪役令嬢を断罪しよう」
「嬉しい、アルマン様」
アルマンとイネスが抱き合った時だ。

「オッホッホッホッホッ。こんなところでコソコソ逢引して、何の良からぬ計画を練っていらっしゃるのかしら?」
そこに大笑いをして取り巻き令嬢をたくさん連れた私が登場したのだ。

「フラン様!」
「フラン! 私達はコソコソ会ってなどおらんわ。貴様こそ人の話を盗み聞きをするとはなんとも下品なことだな」
「なんとでもおっしゃって下さい! 私を断罪するなど、出来るならばやってもらいましょう」
そう私が高らかに宣言した時だ。

ダンッ
と、教室の扉が大きく開け放たれたのだ。

「ちょっと、フラン、これはどう言うことよ!」
「今日という今日は許さないわ!」
「このピンク伯爵って何よ。名前くらいまともに付けなさいよ!」
そこにはこの国の王女のシルビアと我が国の公爵令嬢のグレース、そしてピンク頭と今日は珍しく3人共揃った、ガスペルがつけたあだ名のお邪魔トリオが乱入してきたのだ。

「ああああら、あなた達も平民イネスの味方がしたくて来たの?」
私は劇中のそのままの気分で言ってしまったのだ。

「何しょうもないことを言っているのよ」
「この本のことについてに決まっているでしょ」
「著者のブーリオ・ノルアって、あんたの偽名でしょう」
また3人揃っていってくれるんだけど、今度は私もその本を見て、三人の慌てぶりを大らかに笑っている余裕はなかった。

「な、何よ! この『王太子アドは薔薇の魔術師フランを熱愛する』って本は! そもそもこの二人の絵ってどう見ても私とアドじゃない!」
私はこのまえの映像だけで、切れていたのに、またこの小っ恥ずかしい話が今度は本になっているんだけど、どう言うことよ!

「オーレリアン! これは一体全体どう言う事?」
私は一番知っていそうなオーレリアンに叫んでいた。

「さあ、私は何も。殿下が本国から送ってこられて勝手に本屋の配本に載せられただけかと」
オーレリアンがとぼけるんだけど、絶対に嘘だ。

「ああ、この本って、今やこの国のベストセラーなのよ。やっぱりこの本のヒロインってフランの事よね」
本屋の娘のバネッサが言ってくれるんだけど……

「だと思ったんだ。だってこの本の絵はどう見てもフランとアドルフ殿下よね」
テオドラがそう言うし、

「隣国の留学生で王太子のフェルがフランに恋したり、隣国の留学生のシルピー王女や公爵令嬢のグレス、聖女でピンク伯爵家のロスがアドに横恋慕して二人の仲を邪魔しようとするんだけど、二人は熱く結ばれるって話はとても素敵だったわ」
ジュセニアが熱く手を握って言ってくるんだけど。

「フェルって王太子殿下のことよね」
「じゃあ、シルピー王女ってシルビアの事で、公爵令嬢のグレースにピンク頭のローズって事なんだ」
私が三人を指さして言うと、

「フラン、あなた、元々知っているくせに、今知ったみたいにしらばっくれて!」
「絶対にこの話はフランが書いたに違いないわ」
「殿下、フランにはこのような話を書く頭は持ち合わせていないかと」
「あっ、そうだったわね」
「頭が残念だものね」
3人は何か好きなことをいつてくれるんだけど。

「あなた方には頭についてとやかく言われたくないわ」
私が叫んでいた。この3人、何を他人事のように言ってくれるのだ。特に学年最下位のピンク頭には言われたくない。一応エルグランでの私の成績順位は10位だった。

グレースには負けていたが、それは全てあのフェリシー先生の礼儀作法の授業が悪いのだ。あれさえなければ絶対にグレースには勝てるのに!

「でも、じゃあ、こんな私達を馬鹿にした話は誰が書いたのよ」
シルビアが皆を見回した。

「どのみちアドが適当に書いたんじゃ無いの?」
私が言うと

「何故、殿下は私が12歳までオネショをしていたのを知っているのよ」
ピンク頭が大声で言うんだけど。

「あんた12歳までおねしょしていたんだ」
私が言うと

「違うわよ。本の中の私よ。私がそんな事するわけ無いでしょ」
必死にピンク頭は言いはるんだけど、皆、ピンク頭がおねしょしていたのを確信したのだ。

「でも、何か私の変なエピソードが多いのよね」
「じゃあ、これ書いた人は1人しかいないんじゃない?」
メラニーが言い出したんだけど。

「何、まさかあなただって言うの?」
ピンク頭がメラニーに突っ込んでくるんだけど。

「私はあなたが12歳までおねしょしていたのは、今はじめて知ったわよ」
「違う、私はそんな年までオネショはしていない。11歳までよ」
何か全然変わらないことを言っているんだけど。

「名前を反対から読めば判るんじゃない?」
メラニーが変なことを言うんだけど。

「アルノ・オリーブ?」
「判った。あんたと幼なじみのオリーブ・アルノーじゃない。だからあんたが12歳までおねしょしていたのを知っていたんだ」
私が言うと

「おのれオリーブめ。良くもこんな小っ恥ずかしていことを書いてくれたわね」
両手を震わせてピンク頭が言った。
「本当よね。許さないわ」
今日は私も同意見だった。

「なんであなたが文句をいうのよ。完璧なヒロインなのに」
ピンク頭が文句を言うんだけど。

「どこが完璧ヒロインなんだよ。読む限り脳筋だし、単細胞だし、抜けているし、フランそっくりじゃんか」
アルマンはつぶやいた。彼は私が隣りにいる事を忘れていたみたいだ。

そして、つぎの瞬間、思いっきり私に足を踏まれて悲鳴を挙げていたのだった。
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