悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
108 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編

ヒロインの演技指導のために聖女の男漁りの様子を見に行きました

しおりを挟む
お昼休みの間中フェリシー先生に怒られて、私はお昼ごはんが食べられなくて最悪だった。

更にその上、五時間目の授業は何とフェリシー先生の礼儀作法の授業だったのだ……

もう最悪だった……


「フランさん。何ですか! そのふらふらした礼の仕方は? もっと姿勢を正してやるのです。それでも公爵令嬢ですか? 同じ公爵令嬢のグレースさんの方が余程ちゃんとしていますよ」
フェリシー先生の叱責が飛ぶ。一限目とお昼休みとこの五限目、何故、今日は三回もフェリシー先生のお小言を聞かねばならないのだろう!

これも全てはメラニーが五時半に起こしに来たからだ。私はムッとしていた。

やっと魔のような五限目が終わった時私はもうふらふらだった。

「もう死ぬ!」
私が机に突っ伏したときだ。
私の体の下からお菓子が差し入れられたのだ。
誰だ? この親切な人は?

私がガバッと顔を起こすと何とメラニーだったのだ。

「有り難う、メラニー」
今までの怒りも何のその。私はお礼を言うとそのお菓子を貪り食べたのだ。お菓子をくれるなんて、メラニーは思ったよりもいい奴だ。あっさりお菓子で懐柔される私は何なんだろうと思うんだけど。

「ちょっとフラン! さすがにその食べ方はないんじゃない?」
メラニーが指摘するんだけど、

「らっておはかかがすひすひて!」
「何を言っているか、判らないわよ」
口にいっぱいお菓子を含んで返答する私にメラニーが注意してくるんだけど、私はそれは無視して更に手を出した。

「ちょっとフラン、さすがにもう持っていないわよ」
「本当に仕方がないわね」
呆れて言うメラニーに代わって、テオドラが自分の店の焼き菓子を出してくれた。

「有り難う!」
私はお礼もそこそこにそれにむしゃぶりつく。

「本当にこれが公爵令嬢だとは到底見えないわね」
「本当に」
メラニーの言葉に皆が頷いている。

「えっ!」
さすがにこれは不味いかも………
私が焦り出した時だ。

「イネス判った? これが下品な平民の食べ方なのよ」
「成る程、フラン様は私のためにわざわざそのような食べ方をして頂けたのですね!」
イネが納得した様子で頷いてくれた。

「そうよ」
「そんな訳ないでしょ。フランの地よ、地!」
当然のように頷いた私をメラニーが即座に否定してくれたんだけど、何も否定しないでも良いじゃない!
私はムッと膨れたのだ!

次の数学の授業はメラニーとテオドラのお菓子で何とか乗りきった。

そして、放課後、練習の前に食堂に駆け込み、麺類で何とかお腹を膨らませたのだ。



私がお腹を膨らませて一息ついて演劇の練習が始まった。

「あ、あ、アルマン様」
イネはアルマンを呼ぶのに早速噛みまくっている。

「イネス、もう一度、最初から」
早速メラニーに注意された。

「アルマン様」
今度はうまく言えて、その後、アルマンに縋りつくはずが、縋りつかなかった…… 10センチくらい離れて止まってしまうのだ。

「な、何やっているのよ。イネス。そこはアルマンの手にすがりつくのよ」
「でも、そんな恥ずかしいこと出来ません」
イネスが真っ赤に夏ていうんだけど……

「何言っているのよ。これは演劇なのよ。演技よ! 演技! もっと平民イネスに感情を込めてやってよ」
「はい」
イネスは渋々もう一度やうとする。

「アルマン様」
叫びながらなんとかアルマンの指を握る。

少しだけ前進した、と私は思ったのだが、「全然ダメじゃない。腕に完全にすがりつくのよ」
メラニーが怖い顔でイネスに注意する。
「で、でも」

「フラン、ちょっとやってみてよ」
「えっ、私がやるの?」
私は嫌そうにした。

「散々見たでしょ。ピンク頭みたいにやればいいんだから」
「うーん、だから嫌なんだけど」
私は目をつぶって意識を集中する。

「アルマン様」
そう言ってしなを作るとアルマンに近寄ろうとしたら、アルマンが吹き出して逃げていったんだけど、どういうことよ!

「だって、フラン、それでピンク頭のつもりかよ。何かオカマに迫られて・・・・痛て」
笑って言い訳するアルマンに、靴をぶつけてやったのだ。

「うーん、これは難しいのよね。いくわよ」
仕方なしにメラニーが言うと両手を組んで中腰になって、

「アルマン様」
と言って叫ぶとしなを作ってアルマンの腕にすがりついたのだ。

「うーん、マアマアだけど、何かぎこち無かったわよ」
私が言うと、
「仕方がないじゃない。私もピンク頭のマネするの嫌だし」
開き直ってメラニーが言うんだけど。

「あの、メラニー、自分でもできないことを私にやらせるの?」
少し怒り気味にイネが言う。

「何を言っているのよ。私は単なる舞台監督だけど、あなたは主演女優なのよ。

すなわちヒロインなのよ。ヒ・ロ・イ・ン! 

判る? 
このクラスがクラス対抗戦で勝てるかどうかは全てヒロインであるあなたにかかっているのよ」
「ええええ! でも、私、そんなに演技上手くないし」
おだてられて少しイネの態度が柔らかくなる。

「大丈夫よ。あなたなら出来るわ。そう思うわよね。フラン」
メラニーが必死にウインクして私を見てくるんだけど。

「そうよ。イネなら出来るわ」
私が大きく頷いた。そうだ。ここでイネにやる気になってもらわないとA組に勝てない。A組に負けてシルビアに馬鹿にされるのだけは嫌だった。

「そうだ。実際にピンク頭を見ればいいんじゃない?」
メラニーが言ってきた。

「そうね、それが一番いいわ」
私達はピンク頭を見にA組に行ったのだ。



「おお、クラウディア、クラウディア、どうしてあなたはクラウディアなの?」
A組ではシルビアがディオ相手に必死に演技をしていた。私は危うく吹き出すところだった。ロミオとジュリエットの一場面だ。この世界にも似た演劇があるんだろう。何もそれをパクらなくてもいいのに。これは絶対にシルビアの趣味だ。

他の皆は賢明にもその演技を見ているんだけど、ピンク頭だけは暇そうに明後日の方向を見ていた。

「良い、イネ! あのピンク頭を見るのよ。今は暇そうにしているけど、ターゲットが入ってきたらガラリと変わるから、それを真似るのよ」
「聖女様を真似るんですか?」
イネが不思議そうに言うが、そう言えばピンク頭は聖女だった。でも、聖女があんな淫乱で良いのかと思わないでもなかったが…… あれを見たらエルグランの威厳が無くなるんじゃないだろうか?

そこに扉が開いてフラビオ・コフレンテスが入ってきた。

そのフラビオを見た途端に、くさいシルビアの演技そっちのけでピンク頭が近寄っていく。
両手を組んで、目をうるうるさせながら、「フラビオ様」そう媚を売るようにしなりながら、フラビオの腕にすがりついたのだ。フラビオもまんざらでは無いようで縋りつかれてニコリと笑みを浮かべた。

「イネス、ちゃんと見た?」
「ああいう風にやるのよ」
メラニーと私が言うと
「ええええ! あれは私にはハードルが高すぎるんですけど」
「そこを何とかするのがイネスなのよ。大丈夫、ピンク頭になったつもりでやれば出来るわ」
私達がイネスに助言を与えている時だ。

「ちょっとフラン、あなた、何、人のクラスに来て、私の迫真の演技を邪魔してくれているのよ」
そこへ怒ったシルビアがやって来たのだ。

「あーら、それは申し訳ありませんでしたわ。でも、殿下もまだまだですわね。私ならば横で叫ばれようが何されようが、自分の演技をし続けますわ」
私は早速悪役令嬢フランを演じだした。メラニーからは演劇までは平常の時も演技を続けれろと言われているのだ。

「な、なんですって。良くも言ってくれたわね。今度そうしてあげるからそのまま続けられるかどうか、見てあげるわ」
「それはご丁寧にありがとうございます。でも、人の邪魔をするよりも、自らの演技の練習をされたほうがよろしくてよ。横で少し、邪魔されたくらいで演技ができなくなるのは練習不足の証拠ですわ」
私は扇子を口元に充てて言ってみた。
やっぱり、私は悪役令嬢の才能があるのかもしれない。ワクワクしてくるんだけど。

「ぐぬぬぬ、ああ言えばこう言う。何しにここに来たのよ」
「ちょっとイネにピンク頭の演技を見せようと思って」
「ちょっと、ピンク頭って何よ。あなた、聖女様に向かって何てこと言うのよ」
「頭の中がピンク頭だからピンク頭で何が悪いのよ」
文句を言ってきたグレースに私が言い返す。

「グレース様。宜しいんですのよ。まあ、私の演技は天才的ですから」
ピンク頭がなにかトチ狂ったことを胸を張って言ってくれるんだけど。

「そうなの。とても参考になるわ。あなた、男をひっかけるテクニックはぴか一よね。毎回会う度に隣りにいる男が違うし」
私が嘲笑って言うと

「な、なんですって! そんなの演劇となんの関係もないじゃない」
ピンク頭が怒り出したんだけど。

「こちらの演劇にはとても参考になったわ。有難う」
私がお礼を言う。

「ふんっ、今のうちだけよ。でかい口を聞いていられるのは。絶対にあなた達E組には負けないわ」
「おーほほほほ。またまた、冗談が過ぎますわ。聖女様。冗談はその行動だけにして頂けるかしら」
「な、なんですって」
「男をとっかえひっかえしているってE組にまで話が広がっていますわよ」
私は言い切ってやったのだ。

「ふんっ、私はこころ清らかな聖女なのよ。だから怖れられているあなたと違って男の方にも人気があるのよ」
「ほうううう、毎夜ごとに男を引っ替えているの間違いではなくて」
「そんなわけないでしょ」
「そうよ。いくら勝ち目が無いからって、人のクラスにまで来て邪魔するのは止めてさっさと出ていって頂ける?」
シルビアがやっと会話に入ってきた。

「まあ、淫乱聖女様の行動をヒロインに見せられたから私達は退散しますわ。他の演技なんて見ても何の参考にもなりませんから」
私は憎々しげな悪役令嬢の演技をしてみせた。

「むーーーー。許さない。絶対にE組の連中はギャフンと言わしてやるわ」
「やれるものならやってご覧なさい」
シルビアと私の間に火花が散ったのだった。
しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

【完結】「私は善意に殺された」

まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。 誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。 私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。 だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。 どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※他サイトにも投稿中。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

リストラされた聖女 ~婚約破棄されたので結界維持を解除します

青の雀
恋愛
キャロラインは、王宮でのパーティで婚約者のジークフリク王太子殿下から婚約破棄されてしまい、王宮から追放されてしまう。 キャロラインは、国境を1歩でも出れば、自身が張っていた結界が消えてしまうのだ。 結界が消えた王国はいかに?

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?

こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。 「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」 そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。 【毒を検知しました】 「え?」 私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。 ※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。