悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第三部 ルートン王国交換留学編

メラニー軍曹の発案で朝練までさせられて授業中居眠りして、何故かフェリシー先生に怒られました

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私は朝は基本的に早いはずだ。いつもは六時半に起きているのだ。八時半の授業には十分に間に合うはずだった。

「ちょっとフラン、起きなさい」
でも、その日は暗いうちにメラニーにたたき起こされたのだ。

「えっ、まだ五時半よ」
私が寝ぼけ眼で時計を見て、驚いて言うと、
「もう五時半よ。今日から朝練もやるって言ったでしょ」
「だってまだ、暗いじゃない!」
「良いからさっさと起きなさい」
私は再度、布団の中に潜り込もうとして、布団をはがされてメラニーにたたき起こされてしまったのだ。



中庭にメラニーに連れて行かれると、既にクラスの全員がそろっていた。

「じゃあ、みんな、まず準備運動よ。間隔開けて」
半分寝ている私達はのろのろ動く。

「遅い! もっとテキパキ動く」
「はーい」
「もっとしゃきっとして」
「はいっ」
メラニーは怖い! 訓練も完全に軍隊式だ。

「いち、に、さん、し」
「いち、に、さん、し」
「声が小さい!、もっと大きく!」

「いち! に! さん! し!」
「いち! に! さん! し!」
私はもうやけで大きな声を出した。

「何で、大道具まで朝練をやらないといけないんだよ」
ドミンゴがぶつぶつ文句を言った。

「ドミンゴ! 何か言った」
ニコリとメラニーが不敵に笑って言った。これはやばい奴だ。
「いえ、何でもありません」
さすがのドミンゴもやばいと思ったのだろう。顔が少し引きつっている。

「いつ、いかなる時に、病気や怪我で交代しなければならない時があるかもしれないでしょ。そのためには日頃から、皆は基礎訓練だけはしておかないといけないのよ。それにクラス全員で一致団結して当たることが優勝するために必要なの」
メラニーが言い切る。

「いや、優勝は難しいんじゃないか。王太子殿下の三年生もいるし」
ガスペルがボソリと言った。
「そこ、なにか言った?」
「いえ、なんでもありません」
メラニーの叱責に慌ててガスペルは首を振った。


「じゃあ、発声練習から行くわよ」
準備運動を終えた後で、メラニーの掛け声で発声練習が始まった。

「あえいうえおあお」
メラニーがお腹の底から声を出して

「あえいうえおあお」
皆が続く。

「もっとお腹の底から声を出して」
「はいっ」
メラニーの叱責にみんな答える。メラニーのトレーニングは厳しい!

「かけきくけこかこ」
「かけきくけこかこ」
メラニー軍曹の指揮の元、私たちは朝から中庭で大きな声で朝練をしていた。

「ちょっと、あなた達、朝から煩いんじゃなくて」
寝ぼけ眼でシルビアが寮の部屋から顔を出して注意してきた。

「ああああら、殿下。昨日は夜遊びでもしていらっしゃったんですか? もう朝ですわよ」
私が言い返す。

「そんな訳ないでしょ。でも、何もこんな朝早くからやる必要はないでしょう」
「おほほほほ、さすがA組は余裕ですわね。もうやる前から我らE組に勝つのを諦めていらっしゃいますの?」
私は胸を反らして言ってやった。

「な、何ですって!」
「所詮、上位貴族の坊ちゃんお嬢ちゃんの集まりのAクラスなど、私達の敵ではありませんわ。やる気のないクラスはゆっくりお休み遊ばせ。おほほほほ」
私は高笑いしてやったのだ。

「よく言ったわね。見ていらっしゃい」
シルビアは窓をハジンっと大きな音を立てて閉めると

ドンドンドンドン!
大きな音でドアをノックする音が聞こえた。

「殿下、どうされたんですか?」
「ちょっとグレース、早く起きなさい。朝練始めるわよ」
「ええええ! 殿下、私、夜中までフラビオ様と一緒にいて」
「何言っているのよ、ローズ。不純異性行為は厳禁よ」
「いや、決してそんなんじゃなくて、お話聞いていただけなんです」
何故かピンク頭の声が中庭まで聞こえてくるんだけど。

「凄いな、エルグランの聖女様は。夜中まで何やっていたんだか」
ガスペルの声に
「本当よね」
平民の子らが笑っているんだけど。

相変わらずピンク頭はお盛んなことだ。でも、エルグランの人気を貶めることは止めて欲しい。

私達は失笑しつつ稽古を続けたのだった。



「ありおりはべりいまそかり、はいっ、みなさんで」
「あいおいはへいいまおかい」
私は既に半分寝ていた。

朝一番の授業は古文だった。ゲームの製作者が手を抜いたのか、本当に日本の古文だ。まあ、外国語の古文のラテン語を勉強させられるよりは余程ましだったけど、メラニーに早起きさせられて、やらされた朝練で程好い疲れと眠い中での古文の先生の声は丁度良い子守唄で、私はそのまま、寝てしまった。

ガツン!

思いっきり、頭を叩かれて私は思わず目を覚ました。

「フランソワーズさん! 何を授業中に居眠りしているんですか?」
「えっ、フェリシー先生? いつの間に礼儀作法の授業の時間になったんですか?」
メラニーも、起こしてくれたら良いのに!
そう思って前を見たら、そこには困った顔の古文の先生がいて、私の横には怒髪天のフェリシー先生がいたのだ。

「何を寝ぼけているのですか! あなたが気になって見回りに来てみればこの体たらく」
フェリシー先生の叱責が始まった。これが始まると長いのだ。
教壇では古文の先生が困った顔をしているし、
「先生、古文の先生が困っていらっしゃいますが」
私は言ってやったのだ。

「な、何ですって! そもそもあなたが居眠りしているのが悪いのでしょう! 宜しいです。お昼休みにすぐに私のところに来なさい」
「ええええ!」
私は失敗したことに気付いてしまった。

これってお昼御飯食べられないのが決定したって事よね・・・・
これなら、授業中怒られている方が余程ましだった・・・・
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