98 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編
王宮で海賊船退治の真相が腹黒王太子によってバラされてしまいました
しおりを挟む
王妃様の言葉に私は唖然とした。帝国の皇帝に天誅を下した母のことを連想して言っていると思うのだが、私は基本的に侵略するつもりなんて全然ないんですが・・・・
でも、この雰囲気はとてもまずい。
周りの騎士なんて陛下の一言で剣を抜いて切りかかるつもり満々なんだけど。
「妃殿下。彼女はそんな事は思っていないと存じますぞ」
陛下の後ろに控えていた老人が庇ってくれた。
私はそのおじいさんをどこかで見た記憶があった。
「リャネス。何を言うのです。その娘はあの破壊の魔女の娘なのですよ。学園では騎士団長の息子を傘下に収めて着々と勢力を伸長しているとか。アルメリアと組んで国家転覆を図っているに違いありません」
なんか王妃様に酷い言われようなんだけど、私は単に学園で楽しい留学生活を送りたいだけなのに・・・・。アルメリアって海洋国家のアルメリアだと思うんだけど、海賊と裏で組んでいるとか良い噂を聞いたことがない。でも、この前この海賊を退治したのは私なんですけど、全ての功はダニエルに譲ったけれど。そんな私がそのアルメリアと組める訳ないじゃない!
「フランソワーズ嬢にそんな腹芸は出来ないと存じますぞ、妃殿下。何しろ、ルートン山でも名物の三本杉の一本を切り倒したくせに、三本杉の看板をマジックで消して二本杉と書いて誤魔化せると考えておられたくらいですからの。そんなのに引っかかるのは我が国の姫様くらいですわい」
おじいさんは笑っていってくれた。
そう、この笑いは
「ああああ! ルートン山で私たちの鍋を勝手につついていたおじいさんだ」
私は思わず指さして、思いっきりフェリシー先生にその手を叩き落されていたのだけど。
「その節は世話になりましたの。陛下の御伽衆のリャネスと申します」
老人があいさつしてくれた。
痛む手を庇いつつ、そうか、この老人は王宮の人だったのか。それでシルビアとかと親しかったのだ。先生に怒られている時も勝手にしゃしゃり出て私が植林することとで許してくれたのはそう言うことか。
「なんじゃ。リャネスはルブラン公爵令嬢と知り合いか」
「はい。とても破天荒なご令嬢で」
なんかこのおじいさんもムカつくことを言う。
「ちょっとリャネス。いくら私でも、あんなので引っかかる訳無いでしょ。やっても無駄だと言ったのに、ディオとフランの二人で誤魔化していただけじゃない」
「いや、俺も誤魔化せるとは思っていないけれど」
シルビアの声に隣のディオがつぶやくんだけど。
ふんっ、どうせ。単細胞ですよ。単純で悪かったですね!
「まあまあ、フランソワーズ嬢。嘘が付けないということは外交においてとても大切なことなのです。まあ、お隣の王太子殿下も嘘は苦手なようですが」
「リャネス殿。私は誠実だと言ってほしいですな」
私は隣を見るとアドはムッしていた。
「まあ、後ろの腹黒お二方が企んでいらっしゃれば話は別ですが」
「そうよね。グレースもピンク頭も悪巧みが好きそうだもの」
私が振り返って言うと
「はあああ、何言っているのよ」
「そうよ。単純なあなたに比べれば誰でも腹黒よ。と言うか腹黒は私達の前でしょ」
二人が言い返してきた。でも、二人の前って私の可愛い弟たちしかいないんだけど・・・・
「皆さん、ご静粛に」
フェリシー先生が注意してきたのでやむなく私は前を見た。
「ちょっと皆、何を言っているの? 私はまだ、公爵令嬢を信じた訳では無いわよ」
王妃様が言ってくるんだけど。
「何を言っているのですか。母上。彼女がアルメリアと組めるわけがありませんよ」
王太子が私をニコリと笑って見た。なんか不吉な予感がする。
「何しろ彼女は留学生一行を襲った海賊をほとんど1人で退治したのですから」
「えっ、それはダミアンがしたのでは」
「そうです。英雄ダミアンに助けてもらったのです」
王妃の言葉の尻馬に乗って私は必死に誤魔化そうとした。
「まあ、フランソワーズ嬢、あなたの謙遜する態度は素晴らしいが」
王太子は傍らにいた係の者に合図した。
「あああああああ」
そこには大写しで雄叫びとともに、片手に恐怖の叫び声を上げるダミアンを持ち、ターザン宜しく海賊船に向かって飛んでくる私が写っていたのだ。
その画像には海賊相手に獅子奮迅の活躍する私がはっきりと写っていたのだ。
私は頭を抱えていた。
その画像を見て唖然とする王妃様を始めとするルートン王国の貴族たちと怒り狂っているフェリシー先生と呆れた他の同行者がいた。何かアドの視線も怖いんだけど。
変だな、いつものガサ入れの時の私と同じなのに!
いや違う、それよりもフェリシー先生の顔が怖い。これは下手したら3時間コースか・・・・
本当に王太子の奴、なんてことをしてくれたのだ! そもそもどこの海賊だ。こんな画像を残していたのは。
こんな事ならばあの海賊船、拿捕せずに燃やしておけば良かった・・・・
そう考えたが後の祭りだった。
でも、この雰囲気はとてもまずい。
周りの騎士なんて陛下の一言で剣を抜いて切りかかるつもり満々なんだけど。
「妃殿下。彼女はそんな事は思っていないと存じますぞ」
陛下の後ろに控えていた老人が庇ってくれた。
私はそのおじいさんをどこかで見た記憶があった。
「リャネス。何を言うのです。その娘はあの破壊の魔女の娘なのですよ。学園では騎士団長の息子を傘下に収めて着々と勢力を伸長しているとか。アルメリアと組んで国家転覆を図っているに違いありません」
なんか王妃様に酷い言われようなんだけど、私は単に学園で楽しい留学生活を送りたいだけなのに・・・・。アルメリアって海洋国家のアルメリアだと思うんだけど、海賊と裏で組んでいるとか良い噂を聞いたことがない。でも、この前この海賊を退治したのは私なんですけど、全ての功はダニエルに譲ったけれど。そんな私がそのアルメリアと組める訳ないじゃない!
「フランソワーズ嬢にそんな腹芸は出来ないと存じますぞ、妃殿下。何しろ、ルートン山でも名物の三本杉の一本を切り倒したくせに、三本杉の看板をマジックで消して二本杉と書いて誤魔化せると考えておられたくらいですからの。そんなのに引っかかるのは我が国の姫様くらいですわい」
おじいさんは笑っていってくれた。
そう、この笑いは
「ああああ! ルートン山で私たちの鍋を勝手につついていたおじいさんだ」
私は思わず指さして、思いっきりフェリシー先生にその手を叩き落されていたのだけど。
「その節は世話になりましたの。陛下の御伽衆のリャネスと申します」
老人があいさつしてくれた。
痛む手を庇いつつ、そうか、この老人は王宮の人だったのか。それでシルビアとかと親しかったのだ。先生に怒られている時も勝手にしゃしゃり出て私が植林することとで許してくれたのはそう言うことか。
「なんじゃ。リャネスはルブラン公爵令嬢と知り合いか」
「はい。とても破天荒なご令嬢で」
なんかこのおじいさんもムカつくことを言う。
「ちょっとリャネス。いくら私でも、あんなので引っかかる訳無いでしょ。やっても無駄だと言ったのに、ディオとフランの二人で誤魔化していただけじゃない」
「いや、俺も誤魔化せるとは思っていないけれど」
シルビアの声に隣のディオがつぶやくんだけど。
ふんっ、どうせ。単細胞ですよ。単純で悪かったですね!
「まあまあ、フランソワーズ嬢。嘘が付けないということは外交においてとても大切なことなのです。まあ、お隣の王太子殿下も嘘は苦手なようですが」
「リャネス殿。私は誠実だと言ってほしいですな」
私は隣を見るとアドはムッしていた。
「まあ、後ろの腹黒お二方が企んでいらっしゃれば話は別ですが」
「そうよね。グレースもピンク頭も悪巧みが好きそうだもの」
私が振り返って言うと
「はあああ、何言っているのよ」
「そうよ。単純なあなたに比べれば誰でも腹黒よ。と言うか腹黒は私達の前でしょ」
二人が言い返してきた。でも、二人の前って私の可愛い弟たちしかいないんだけど・・・・
「皆さん、ご静粛に」
フェリシー先生が注意してきたのでやむなく私は前を見た。
「ちょっと皆、何を言っているの? 私はまだ、公爵令嬢を信じた訳では無いわよ」
王妃様が言ってくるんだけど。
「何を言っているのですか。母上。彼女がアルメリアと組めるわけがありませんよ」
王太子が私をニコリと笑って見た。なんか不吉な予感がする。
「何しろ彼女は留学生一行を襲った海賊をほとんど1人で退治したのですから」
「えっ、それはダミアンがしたのでは」
「そうです。英雄ダミアンに助けてもらったのです」
王妃の言葉の尻馬に乗って私は必死に誤魔化そうとした。
「まあ、フランソワーズ嬢、あなたの謙遜する態度は素晴らしいが」
王太子は傍らにいた係の者に合図した。
「あああああああ」
そこには大写しで雄叫びとともに、片手に恐怖の叫び声を上げるダミアンを持ち、ターザン宜しく海賊船に向かって飛んでくる私が写っていたのだ。
その画像には海賊相手に獅子奮迅の活躍する私がはっきりと写っていたのだ。
私は頭を抱えていた。
その画像を見て唖然とする王妃様を始めとするルートン王国の貴族たちと怒り狂っているフェリシー先生と呆れた他の同行者がいた。何かアドの視線も怖いんだけど。
変だな、いつものガサ入れの時の私と同じなのに!
いや違う、それよりもフェリシー先生の顔が怖い。これは下手したら3時間コースか・・・・
本当に王太子の奴、なんてことをしてくれたのだ! そもそもどこの海賊だ。こんな画像を残していたのは。
こんな事ならばあの海賊船、拿捕せずに燃やしておけば良かった・・・・
そう考えたが後の祭りだった。
2
お気に入りに追加
4,165
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
王子様は王妃の出産後すぐ離縁するつもりです~貴方が欲しいのは私の魔力を受け継ぐ世継ぎだけですよね?~
五月ふう
恋愛
ここはロマリア国の大神殿。ロマリア歴417年。雪が降りしきる冬の夜。
「最初から……子供を奪って……離縁するつもりだったのでしょう?」
ロマリア国王子エドワーズの妃、セラ・スチュワートは無表情で言った。セラは両手両足を拘束され、王子エドワーズの前に跪いている。
「……子供をどこに隠した?!」
質問には答えず、エドワーズはセラを怒鳴りつけた。背が高く黒い髪を持つ美しい王子エドワードの顔が、醜く歪んでいる。
「教えてあげない。」
その目には何の感情も浮かんでいない。セラは魔導士達が作る魔法陣の中央に座っていた。魔法陣は少しずつセラから魔力を奪っていく。
(もう……限界ね)
セラは生まれたときから誰よりも強い魔力を持っていた。その強い魔力は彼女から大切なものを奪い、不幸をもたらすものだった。魔力が人並み外れて強くなければ、セラはエドワーズの妃に望まれることも、大切な人と引き離されることもなかったはずだ。
「ちくしょう!もういいっ!セラの魔力を奪え!」
「良いのかしら?魔力がすべて失われたら、私は死んでしまうわよ?貴方の探し物は、きっと見つからないままになるでしょう。」
「魔力を失い、死にたくなかったら、子供の居場所を教えろ!」
「嫌よ。貴方には……絶対見つけられない場所に……隠しておいたから……。」
セラの体は白く光っている。魔力は彼女の生命力を維持するものだ。魔力がなくなれば、セラは空っぽの動かない人形になってしまう。
「もういいっ!母親がいなくなれば、赤子はすぐに見つかるっ。さあ、この死にぞこないから全ての魔力を奪え!」
広い神殿にエドワーズのわめき声が響いた。耳を澄ませば、ゴゴオオオという、吹雪の音が聞こえてくる。
(ねえ、もう一度だけ……貴方に会いたかったわ。)
セラは目を閉じて、大切な元婚約者の顔を思い浮かべる。彼はセラが残したものを見つけて、幸せになってくれるだろうか。
「セラの魔力をすべて奪うまで、あと少しです!」
魔法陣は目を開けていられないほどのまばゆい光を放っている。セラに残された魔力が根こそぎ奪われていく。もはや抵抗は無意味だった。
(ああ……ついに終わるのね……。)
ついにセラは力を失い、糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた。
「ねえ、***…………。ずっと貴方を……愛していたわ……。」
彼の傍にいる間、一度も伝えたことのなかった想いをセラは最後にそっと呟いた。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
殿下には既に奥様がいらっしゃる様なので私は消える事にします
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のアナスタシアは、毒を盛られて3年間眠り続けていた。そして3年後目を覚ますと、婚約者で王太子のルイスは親友のマルモットと結婚していた。さらに自分を毒殺した犯人は、家族以上に信頼していた、専属メイドのリーナだと聞かされる。
真実を知ったアナスタシアは、深いショックを受ける。追い打ちをかける様に、家族からは役立たずと罵られ、ルイスからは側室として迎える準備をしていると告げられた。
そして輿入れ前日、マルモットから恐ろしい真実を聞かされたアナスタシアは、生きる希望を失い、着の身着のまま屋敷から逃げ出したのだが…
7万文字くらいのお話です。
よろしくお願いいたしますm(__)m
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。