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第三部 ルートン王国交換留学編

私達のクラスだけ異様に大きい荷物を背負って皆で遠足に登りだしました。

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皆で鍋料理を山頂で食べて親睦を図るという私の案は、嫌がるメラニーやアルマンらは強引に、父親の騎士団長と一緒に謝りに来たエドガルドら貴族たちはやむを得ず、平民のみんなは私のお菓子につられて協力することになったのだ。

私の考えを聞いたウェスカ先生は唖然としたみたいだったが、「やむを得ませんね」何故か諦めににた境地で頷いてくれた。

一番の難関はフェリシー先生ら監視陣だったが、ウェスカ先生とメラニーがうまく誤魔化してくれたみたいだった。

私は休みの日にルフィナの家のお店に行って、おしゃれ作業着を買い、ついでに食材などを仕入れたのだ。前日から荷物を分担して、私はやる気満々だった。

ドミンゴは薪を持ってきてもらうことにした。ドミンゴはその量の多さにげんなりしていたが。

最悪、アルマンをつけることにしたので、二人分荷物はアルマンが持ってくれるだろう。




グランドに集合した一年生の中で我がEクラスは異様だった。

他のクラスの皆はお弁当と傘、タオルなど小さなリュックサックの軽装なのだ。まあ、皆は登山なのでズボンを履いているが。貴族の令嬢らはおしゃれな乗馬服が多いみたいだが、登山には長袖長ズボンのおしゃれ作業着が最適なのだ。
私がルフィナの家のおしゃれ作業着で行くと聞くと、貴族の女の子らも皆、おしゃれ作業着を買いに走ったみたいなんだけど、大手婦人服工房のイネまで自分の家の服ではなくておしゃれ作業着を着ているんだけど、何で?

「私だけ仲間外れにしないで下さい」って言うんだけど、うーん、何か違うような気がする。これはイネのためにも私の虎の子のお小遣いを使うべきなのではないかと真剣に悩み出した。

「あんたの銀貨一枚では、イネスんとこの服なんか買えないわよ」
メラニーの一言で撃沈してしまったんだけど・・・・

何で公爵家の令嬢なのに、こんなに貧しいんだろ?
私は少し悲しくなった。


一方軽装の皆と違って、我がクラスは巨大な鍋を背負った私を先頭に水嚢20リットルずつ背負った3人の騎士隊に、食材を残りの平民男性や将来騎士以外の就職予定の貴族たちが大きなザックに分けて背負ったのだ。

「ちょっとフラン、何なのよ。その格好は」
私を見つけたシルビアが呆れて言ってきた。

「良いでしょう。エルグラン王国で流行っている鍋ルックよ」
私が平然と言い切ると

「ええええ! エルグランってそんな変なのが流行っているの?」
バカにしたようにシルビアが言ってくれるんだけど。

「殿下。そんなわけないでしょう。フランだけに流行っているのです」
グレースが即座に否定してくれる。

「まあ、フランだものね。また、変な事を考えたのね」
蔑んだ表情でシルビアが言ってくれるんだけど。

「ふんっ、シルビアには私達の料理が出来ても絶対にあげないんだから」
「何言っているのよ。この前もハッピ堂のプリンをくれなかったじゃない」
「殿下。ハッピ堂のプリンは新鮮さが売りで2日間しかもたないのです。だからフランが食べていたのはエセです」
何故かピンク頭が言ってくれる。

「ふんっ、ヴァンとジェドが二人で色々やって、1週間位もつようにしてくれたのよ」
「ああ、あの天才2人組ね。エルグランでは上の二人より下の方が優秀だって噂のお二人よね」
何かシルビアの言い方がムカつく。

「まあ、私よりは弟の方が賢いからうちは良いけれど、王家はアドの方が悪巧みは達者よ」
「あのう、フラン、それ褒めていないんですが」
オーレリアンが必死に言ってくるが、

「何言っているのよ。上に立つものが単純だと皆が騙されて下のものが苦労するでしょ。その点、アドはいつも私を嵌めてくれるから、優秀なのよ」
「いやいやいやいや、それはあんたが単純すぎるからでしょ」
後で散々メラニーに言われたんだけど。

「そうよ。弟のシルヴァン殿下のほうが余程悪巧みは達者よ」
ピンク頭が一人ぶつぶつ言っている。
そう言えばピンク頭はヴァンには頭が上がらず、散々色んな事をさせられていたなと私は思い出していた。あの傲慢無比なピンク頭を顎で使うヴァンの方が優秀なんだろうか?
少しだけ思ったのはアドには秘密だ。


「皆さん。今日はちょうどよい、遠足日和になりました」
壇上に立ったイザベル先生が挨拶を始めた。

空は本当に晴れていた。
冬とはいえ南国は温かいのだ。

「まあ、Eクラスはフランソワーズさんの発案で何か変わった競技をするみたいですが、くれぐれも怪我のないように宜しくお願いしますね」
変な格好の私達の方を見て、呆れてイザベル先生が冷たい視線で言ってくれた。
メラニーらはそんなふうに言って誤魔化してくれたみたいだった。

「王立学園の生徒としてくれぐれも立ち居振る舞いに気をつけて行動して下さい」
私達の方ばかり見て注意するのは止めてほしい。

頂上までは早い人で一時間半、遅い人で2時間で登れるそうだ。
頂上でのお弁当の時間が1時間。
私は1時間で登る気満々なので、食事の準備に1時間、食べるのに1時間で十分に間に合うはずだ。
私は取らぬ狸の皮算用をしていたのだ。

「では皆さん。バテないように、ゆっくり登ってくださいね」
先生の注意が終わると同時に、私達は一斉に行動を開始した。

「ちょっと、フラン、そんなに急いでどこに行くのよ」
シルビアが言ってくるんだけど、そんなのに構っている余裕はなかった。

「みんな、行くわよ」
「ファイトーーーー」
「一発!」
私は前世のCMの一部を合言葉に叫ばせていたのだ。

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