悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
92 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編

私達のクラスだけ異様に大きい荷物を背負って皆で遠足に登りだしました。

しおりを挟む
皆で鍋料理を山頂で食べて親睦を図るという私の案は、嫌がるメラニーやアルマンらは強引に、父親の騎士団長と一緒に謝りに来たエドガルドら貴族たちはやむを得ず、平民のみんなは私のお菓子につられて協力することになったのだ。

私の考えを聞いたウェスカ先生は唖然としたみたいだったが、「やむを得ませんね」何故か諦めににた境地で頷いてくれた。

一番の難関はフェリシー先生ら監視陣だったが、ウェスカ先生とメラニーがうまく誤魔化してくれたみたいだった。

私は休みの日にルフィナの家のお店に行って、おしゃれ作業着を買い、ついでに食材などを仕入れたのだ。前日から荷物を分担して、私はやる気満々だった。

ドミンゴは薪を持ってきてもらうことにした。ドミンゴはその量の多さにげんなりしていたが。

最悪、アルマンをつけることにしたので、二人分荷物はアルマンが持ってくれるだろう。




グランドに集合した一年生の中で我がEクラスは異様だった。

他のクラスの皆はお弁当と傘、タオルなど小さなリュックサックの軽装なのだ。まあ、皆は登山なのでズボンを履いているが。貴族の令嬢らはおしゃれな乗馬服が多いみたいだが、登山には長袖長ズボンのおしゃれ作業着が最適なのだ。
私がルフィナの家のおしゃれ作業着で行くと聞くと、貴族の女の子らも皆、おしゃれ作業着を買いに走ったみたいなんだけど、大手婦人服工房のイネまで自分の家の服ではなくておしゃれ作業着を着ているんだけど、何で?

「私だけ仲間外れにしないで下さい」って言うんだけど、うーん、何か違うような気がする。これはイネのためにも私の虎の子のお小遣いを使うべきなのではないかと真剣に悩み出した。

「あんたの銀貨一枚では、イネスんとこの服なんか買えないわよ」
メラニーの一言で撃沈してしまったんだけど・・・・

何で公爵家の令嬢なのに、こんなに貧しいんだろ?
私は少し悲しくなった。


一方軽装の皆と違って、我がクラスは巨大な鍋を背負った私を先頭に水嚢20リットルずつ背負った3人の騎士隊に、食材を残りの平民男性や将来騎士以外の就職予定の貴族たちが大きなザックに分けて背負ったのだ。

「ちょっとフラン、何なのよ。その格好は」
私を見つけたシルビアが呆れて言ってきた。

「良いでしょう。エルグラン王国で流行っている鍋ルックよ」
私が平然と言い切ると

「ええええ! エルグランってそんな変なのが流行っているの?」
バカにしたようにシルビアが言ってくれるんだけど。

「殿下。そんなわけないでしょう。フランだけに流行っているのです」
グレースが即座に否定してくれる。

「まあ、フランだものね。また、変な事を考えたのね」
蔑んだ表情でシルビアが言ってくれるんだけど。

「ふんっ、シルビアには私達の料理が出来ても絶対にあげないんだから」
「何言っているのよ。この前もハッピ堂のプリンをくれなかったじゃない」
「殿下。ハッピ堂のプリンは新鮮さが売りで2日間しかもたないのです。だからフランが食べていたのはエセです」
何故かピンク頭が言ってくれる。

「ふんっ、ヴァンとジェドが二人で色々やって、1週間位もつようにしてくれたのよ」
「ああ、あの天才2人組ね。エルグランでは上の二人より下の方が優秀だって噂のお二人よね」
何かシルビアの言い方がムカつく。

「まあ、私よりは弟の方が賢いからうちは良いけれど、王家はアドの方が悪巧みは達者よ」
「あのう、フラン、それ褒めていないんですが」
オーレリアンが必死に言ってくるが、

「何言っているのよ。上に立つものが単純だと皆が騙されて下のものが苦労するでしょ。その点、アドはいつも私を嵌めてくれるから、優秀なのよ」
「いやいやいやいや、それはあんたが単純すぎるからでしょ」
後で散々メラニーに言われたんだけど。

「そうよ。弟のシルヴァン殿下のほうが余程悪巧みは達者よ」
ピンク頭が一人ぶつぶつ言っている。
そう言えばピンク頭はヴァンには頭が上がらず、散々色んな事をさせられていたなと私は思い出していた。あの傲慢無比なピンク頭を顎で使うヴァンの方が優秀なんだろうか?
少しだけ思ったのはアドには秘密だ。


「皆さん。今日はちょうどよい、遠足日和になりました」
壇上に立ったイザベル先生が挨拶を始めた。

空は本当に晴れていた。
冬とはいえ南国は温かいのだ。

「まあ、Eクラスはフランソワーズさんの発案で何か変わった競技をするみたいですが、くれぐれも怪我のないように宜しくお願いしますね」
変な格好の私達の方を見て、呆れてイザベル先生が冷たい視線で言ってくれた。
メラニーらはそんなふうに言って誤魔化してくれたみたいだった。

「王立学園の生徒としてくれぐれも立ち居振る舞いに気をつけて行動して下さい」
私達の方ばかり見て注意するのは止めてほしい。

頂上までは早い人で一時間半、遅い人で2時間で登れるそうだ。
頂上でのお弁当の時間が1時間。
私は1時間で登る気満々なので、食事の準備に1時間、食べるのに1時間で十分に間に合うはずだ。
私は取らぬ狸の皮算用をしていたのだ。

「では皆さん。バテないように、ゆっくり登ってくださいね」
先生の注意が終わると同時に、私達は一斉に行動を開始した。

「ちょっと、フラン、そんなに急いでどこに行くのよ」
シルビアが言ってくるんだけど、そんなのに構っている余裕はなかった。

「みんな、行くわよ」
「ファイトーーーー」
「一発!」
私は前世のCMの一部を合言葉に叫ばせていたのだ。

しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします

希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。 国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。 隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。 「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。