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第三部 ルートン王国交換留学編
泣き虫王女と争っている時に礼儀作法の先生がやって来ました
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そんなこんなで、私がクラスで、楽しんでいる? いや、苦しんでいる? それも何か違うけど、まあ、私は前世はほとんど寝たきりだったし、健康で普通の生活? が送れていて楽しんでいたのだと思う。それも前世も含めて生まれて初めての留学を楽しんでいたのだ。
そして、身分がバレないうちに平民だけでも完全制覇しようとしていたのだ!
「今日は私達の国のドットケーキっていうお店のプチケーキを持って来たの」
私は休み時間に平民の子らにせっせと配ったのだ。
これも大量にアドが持たせたものだ。
「えっ、このケーキも美味しいわ。甘すぎず、ちょうどいい塩梅に美味しいわ。凄い!
ルートンはどうしても甘すぎる傾向にあるんだけど、あなたの国って甘さの丁度いい美味しいケーキが多いのね!」
「でしょう。これもテオドラの参考になればと思って持ってきたのよ」
「有難う。私、あなたの国へケーキ作りの修行に、学園卒業したら行こうかな」
「いらっしゃいよ。お店ならいくらでも紹介するわよ」
私は喜んで言った。なんだったら我が家のパティシエとして来てもらってもいいし。
「おいおい、さっそくフランがスカウトしているぞ」
「そうだよな。ガスペルも誘う気満々だし」
何か遠くでアルマンとオーレリアンが余計なことを言っているんだけど。優秀な人材はどこでも喉から手が出るほどに欲しいのだ。勝手知った人間のほうが良いし。
「なあ、フラン、このケーキも10周年になっているんだけど」
また、ガスペルが余計なものを見つけてくれた。
「本当だ。この人形のモチーフもやっぱりフランに似ているわ」
ルフィナが言ってくれるけど、まあ、私を似せて作っているんだから当然似ているのよね。でも、それをバラすと身分がバレるかもしれないから・・・・
「そうかな。そうでもないんじゃない」
私が適当に誤魔化そうとした時だ。
来なくて良い奴がいきなりやって来たのだ!
教室の扉がダンと開くと、
「フランソワーズ・ルブラン! あなた、あろう事か自分の身分を盾にして、気に食わない騎士団長の息子と魔道具工房の息子を停学にしたのですって!」
そこには腕を腰に当てて、憤然と周りを睥睨している、シルビア・ルートンが、仁王立ちしていたのだ。
何かシルビアは飛んでもない勘違いしているんだけど・・
それに後ろには取り巻きを一杯引き連れている。
ダミアンもはるか後ろに隠れているんだけど・・・・
「なんて、傲慢で、どうしようもない奴なの!」
シルビアが言うんだけど、私を指差して言うのはやめてほしい!
「煩いわね!」
私が叫ぶと、
「皆聞いた。王女殿下に煩いって言ったわよ!」
取り巻きどもが、騒ぎ立てた。
「泣き虫シルビアにとやかく言われる筋合いはないわ」
「何ですって」
シルビアは怒りのあまり両手を震わせていた。
「あなた、不敬よ。いくら王立学園が身分差に優しいと言っても、ここにおわす方をどなたと心得るの!」
イネが昨日の仕返しとばかりに、ここが正念場だと、必死に騒ぎ立てるんだけど。
「畏れ多くも、シルビア・ルートン第一王女殿下なのよ」
イネは私の首を取った様な自慢げな顔をしているんだけど。
私は面倒臭い奴は無視することにしたのだ。
「ねえ、テオドラ、そのお菓子なんだけど」
「ちょっとフラン、いくらなんでも王女殿下に無視はまずいんじゃない?」
顔面蒼白なテオドラの横からメラニーらが心配して言ってくれる。
「そうよ、あなた何様のつもりなの」
イネが大声で言うんだけど。
「だって、私、昔、言われたのよね。とある王女様に。『貴族なら用がある時は前もって先触れを出してから行くように』って。そうしない限り無視するって言われたのよ」
私は馬鹿にするようにシルビアを見下したのだ。
「な、何ですって」
「あなた、平民の分際で王女殿下に何を言うのよ」
「だからシルビア、言っただろう。フランには先触れ出さないとやり返されるって」
ヒステリックに叫ぶ、シルビアとイネの横で私は懐かしい顔を見た。
「ああああ、役立たずのディオじゃない」
「あなた、公爵家のご令息でシルビア様の婚約者筆頭候補のクラウディオ・チェルバ公爵令息様になんてこと言うのよ」
「そうよ、平民の分際で」
「何を考えているの」
イネの言葉に皆騒ぎ出す。
「フランやばいんじゃない」
メラニーが目配せしてくれた。
そうだ。このまま行くと身分が平民でないのがバレる。それだけはなんとかして阻止しないと・・・・
「えっ、フランは平民じゃない・・・・」
「ああああ!」
私は大声を上げるとバラそうとしたディオの口を手で防いだ。
「ちょっとあなた、ディオ様に触れるなんてどういう事」
イネの叫び声に
「本当よ。私のディオに触れないで」
その声にヒステリックにシルビアが叫ぶや、私の手を離そうとする。
嫌でも離したらディオがバラすかもしれないし、私ははずすまいとますます強く手を押し付けた。
ディオの顔が白くなっているんだけど、知ったことでは無い。
「ちょっといい加減にしないさよ」
更にシルビアがヒートアップするんだけど。
「ちょっと、あなた達、何しているのですか」
そこに、礼儀作法のイザベル先生の声が響いたのだ。
「もう授業はとっくに始まっているのですよ」
そして、最も聞きたくないフェリシー先生の声が聞こえたのだった。
ええええ! 何でこのタイミングで礼儀作法のフェリシー先生がまたここに現れるの!
私は唖然としたのだった・・・・
そして、身分がバレないうちに平民だけでも完全制覇しようとしていたのだ!
「今日は私達の国のドットケーキっていうお店のプチケーキを持って来たの」
私は休み時間に平民の子らにせっせと配ったのだ。
これも大量にアドが持たせたものだ。
「えっ、このケーキも美味しいわ。甘すぎず、ちょうどいい塩梅に美味しいわ。凄い!
ルートンはどうしても甘すぎる傾向にあるんだけど、あなたの国って甘さの丁度いい美味しいケーキが多いのね!」
「でしょう。これもテオドラの参考になればと思って持ってきたのよ」
「有難う。私、あなたの国へケーキ作りの修行に、学園卒業したら行こうかな」
「いらっしゃいよ。お店ならいくらでも紹介するわよ」
私は喜んで言った。なんだったら我が家のパティシエとして来てもらってもいいし。
「おいおい、さっそくフランがスカウトしているぞ」
「そうだよな。ガスペルも誘う気満々だし」
何か遠くでアルマンとオーレリアンが余計なことを言っているんだけど。優秀な人材はどこでも喉から手が出るほどに欲しいのだ。勝手知った人間のほうが良いし。
「なあ、フラン、このケーキも10周年になっているんだけど」
また、ガスペルが余計なものを見つけてくれた。
「本当だ。この人形のモチーフもやっぱりフランに似ているわ」
ルフィナが言ってくれるけど、まあ、私を似せて作っているんだから当然似ているのよね。でも、それをバラすと身分がバレるかもしれないから・・・・
「そうかな。そうでもないんじゃない」
私が適当に誤魔化そうとした時だ。
来なくて良い奴がいきなりやって来たのだ!
教室の扉がダンと開くと、
「フランソワーズ・ルブラン! あなた、あろう事か自分の身分を盾にして、気に食わない騎士団長の息子と魔道具工房の息子を停学にしたのですって!」
そこには腕を腰に当てて、憤然と周りを睥睨している、シルビア・ルートンが、仁王立ちしていたのだ。
何かシルビアは飛んでもない勘違いしているんだけど・・
それに後ろには取り巻きを一杯引き連れている。
ダミアンもはるか後ろに隠れているんだけど・・・・
「なんて、傲慢で、どうしようもない奴なの!」
シルビアが言うんだけど、私を指差して言うのはやめてほしい!
「煩いわね!」
私が叫ぶと、
「皆聞いた。王女殿下に煩いって言ったわよ!」
取り巻きどもが、騒ぎ立てた。
「泣き虫シルビアにとやかく言われる筋合いはないわ」
「何ですって」
シルビアは怒りのあまり両手を震わせていた。
「あなた、不敬よ。いくら王立学園が身分差に優しいと言っても、ここにおわす方をどなたと心得るの!」
イネが昨日の仕返しとばかりに、ここが正念場だと、必死に騒ぎ立てるんだけど。
「畏れ多くも、シルビア・ルートン第一王女殿下なのよ」
イネは私の首を取った様な自慢げな顔をしているんだけど。
私は面倒臭い奴は無視することにしたのだ。
「ねえ、テオドラ、そのお菓子なんだけど」
「ちょっとフラン、いくらなんでも王女殿下に無視はまずいんじゃない?」
顔面蒼白なテオドラの横からメラニーらが心配して言ってくれる。
「そうよ、あなた何様のつもりなの」
イネが大声で言うんだけど。
「だって、私、昔、言われたのよね。とある王女様に。『貴族なら用がある時は前もって先触れを出してから行くように』って。そうしない限り無視するって言われたのよ」
私は馬鹿にするようにシルビアを見下したのだ。
「な、何ですって」
「あなた、平民の分際で王女殿下に何を言うのよ」
「だからシルビア、言っただろう。フランには先触れ出さないとやり返されるって」
ヒステリックに叫ぶ、シルビアとイネの横で私は懐かしい顔を見た。
「ああああ、役立たずのディオじゃない」
「あなた、公爵家のご令息でシルビア様の婚約者筆頭候補のクラウディオ・チェルバ公爵令息様になんてこと言うのよ」
「そうよ、平民の分際で」
「何を考えているの」
イネの言葉に皆騒ぎ出す。
「フランやばいんじゃない」
メラニーが目配せしてくれた。
そうだ。このまま行くと身分が平民でないのがバレる。それだけはなんとかして阻止しないと・・・・
「えっ、フランは平民じゃない・・・・」
「ああああ!」
私は大声を上げるとバラそうとしたディオの口を手で防いだ。
「ちょっとあなた、ディオ様に触れるなんてどういう事」
イネの叫び声に
「本当よ。私のディオに触れないで」
その声にヒステリックにシルビアが叫ぶや、私の手を離そうとする。
嫌でも離したらディオがバラすかもしれないし、私ははずすまいとますます強く手を押し付けた。
ディオの顔が白くなっているんだけど、知ったことでは無い。
「ちょっといい加減にしないさよ」
更にシルビアがヒートアップするんだけど。
「ちょっと、あなた達、何しているのですか」
そこに、礼儀作法のイザベル先生の声が響いたのだ。
「もう授業はとっくに始まっているのですよ」
そして、最も聞きたくないフェリシー先生の声が聞こえたのだった。
ええええ! 何でこのタイミングで礼儀作法のフェリシー先生がまたここに現れるの!
私は唖然としたのだった・・・・
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