悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

文字の大きさ
上 下
80 / 309
第三部 ルートン王国交換留学編

先生に怒られたけれど、魔道具工房の息子と友だちになって魔道剣を貸してもらえました

しおりを挟む
「フェリシー先生、その時間はあなたも他の授業が入っているのではございませんこと?」
王女の礼儀作法の先生のイザベル・サマランカ先生が口出ししてくれた。

「いや、しかし」
「エルグラン王国にはエルグラン王国のやり方があるように、ルートン王国ではルートン王国のやり方があるのです。先生もフランソワーズさんも今はルートン王国王立学園にいらっしゃるのです。ルートン王国の流儀に従って頂きましょう」
「まあ、それは・・・・」
フェリシー先生もイザベル先生には反論できなかったみたいだった。私はイザベル先生の言葉にほっとしたのだった。


何とか、解放されて私はホッとした。もう六時間目の授業も終わるころだ。

お昼も食べられなかった。
まあ、五時間目の礼儀作法の授業はその先生二人に怒られていたから無かったのだが。


「フラン、お前凄いんだな。素振りだけで訓練場を壊すなんて」
教室に帰ると隣の席の男がいきなり声をかけてきた。

たしか、名前はガス何とかだったと思う。

「俺はガスペル・タラガ、家は魔道具の工房をやっているんだ」
「えっ、あなたの所、魔道具作っているの? ひょっとして魔道剣とか作っている」
「ああ、うちのタラガの魔道剣は王都内でも有名なんだぜ」
「嘘ーーーー。本当に? 魔道剣ってどんな感じなの? ライトセーバーみたいにプシューっていって光の剣が出るの?」
「ライトセーバーってのが何かは判らないけれど、見てみるか」
「見たい見たい」
私が喜んで言うと、ガスペルは中庭で待ってろって言って魔道剣を取りに行ってくれた。

「ちょっとフラン。絶対に魔道剣を壊さないでよ」
メラニーが注意してきた。

「判っているわよ。一寸触るだけよ」
「それでなくても訓練場一つ壊したところなんだから」
「だってあれはモンソン先生が真剣にやれって言ったから仕方がないじゃない」
「真剣に振るバカがどこに居るのよ!」
「だから少しだけよ」
「ソニックブレードにならない程度にすればよかったでしょ」
「うーん、ちょっと出ちゃったのよね」
「ちょっとじゃないわよ。ちょっとじゃ」
メラニーに言われるし、アルマンとオーレリアンの視線が冷たいんだけど。

「フラン、これだよ」
ガスペルが部屋に置いていたらしい、魔道剣を持ってきてくれた。

「本当だ。やっぱりライトセーバーみたい」
銀色の形は本物そっくりだった。

「ちょっと出しても良い」
「ちょっとフラン待ちなさいよ」
「大丈夫よ。障壁張るから」
私は周りに障壁を張った。

「えっ、そんなのも出来るのか」
障壁を張ったことにガスペルは感動していってくれた。

「ま、これくらいはね」
私は得意げに言う。
何しろ危険なので訓練場以外でやる時は障壁で囲ってからやるのだ。いつもやっているからこんなのは楽勝だった。

「さっきもやればよかったのに」
「・・・・」
メラニーつぶやきの言葉を私は無視した。

忘れていたのよ!

そう言ったら絶対にまた怒られるから言わないけれど

「このボタン押すの?」
「そう。いきなり出るから気をつけて」

私は言われたように押してみた。

ビューーーーン

音がして黄色の光の剣が現れる。

「凄い。本当のライトセーバーみたい」
私は感動していた。
軽く振ってみる。

ビュン

と風切り音がする。

うそ、この魔導剣でも、ソニックブレードが出来るみたい。

私はウキウキした。本当のスター・ウォーズの世界に入ったみたいだった。

フォースが何かは知らないけれど、魔術があるから、フォースの代わりはいくらでも出来るし、これ、めちゃくちゃかっこいい。

「アルマン、軽く撃ち合いやってみようよ」
私が提案した。

「えっ、本当か」
「ちょっとあんた達、止めなさいよ」
メラニーが止めようとするが、

「大丈夫よ。私の障壁はドラゴンでも破れないんだから」
「あんたはドラゴン以上でしょ」
「なにそれ、酷い言われよう」
私はぶーたれたが、
「事実じゃない」
そう言うメラニーに誰一人反論してくれないんだけど。
オーレリアンなんて頷いているし。こいつ、今度何か別のことでアドにチクってやろう。私は決意したのだ。「虐められた」って言っても「それは逆だろう」ってあいつなら言いかねないし、「セクハラされた」は下手したらオーレリアンがアドに殺されかねないし、「言うことを聞いてくれない」は「フランが無茶言い過ぎだ」って言われかねない。うーん、なかなか難しい・・・・。


「じゃあ軽くな」
私が馬鹿なことを考えている間にアルマンもガスペルから借りて軽く振っていた。

「フラン、あんたは反撃しちゃだめよ」
「そ、そんな」
「あなた、今度やったら絶対に礼儀作法の授業3倍よ」
「な、なんでその話知っているのよ」
怒られる席にはいてくれなかったくせに・・・・。

メラニーには適当に頷いてるうちに、アルマンが私に打ち掛かってきた。

ガキッ

と私が受ける。普通の剣と同じ感覚だ。

「もういっちょ行くぞ」
アルマンが何回か打ち込んできて私が受ける。

「じゃ、私も行くわよ」
「えっ、ちょっと待て」
「止めなさいよ、フラン」
その二人を無視して私は上段から打ち込んだ。

何故かアルマンが横っ飛びに避けるんだけど、

そのままソニックブレードになった剣の衝撃波が私の障壁に激突、

「あれっ」
完全に受け切れずに一部が飛び出した。

その先の木に当って大きな枝が一本落ちてきたのだ。

なんとか、それだけで被害は済んだみたいだ。

「証拠隠滅」
私は叫ぶと炎の魔術で大きな枝を落ちるまでに燃やし尽くしたのだ。

「あ、あんたね」
メラニーが叫ぼうとしてもう首を振っていた。

「フラン、『証拠隠滅』って慣れ過ぎだろう」
私のとっさの反応にアルマンが呆れていった。

「証拠さえ残さなければ大丈夫よ」
「どこがよ。大きな枝がなくなったから中庭が二階の廊下からよく見えるようになったんだけど」
「そんなのみんなすぐに忘れるって」
私はしらっと言い切る。

そう、王宮でヴァンと練習していたときもよく失敗しては燃やしていたのだ。

流石に王妃様の大切にしていたバラの花を燃やしたときにはバレてめちゃくちゃ怒られたけれど。

後でメラニーに告ったら、本当に白い目で見られた。

「本当にフランって凄いんだな」
ガスペルは感激していってくれた。
「ええ、まあ」
私は笑って誤魔化した。

「まあ、良いじゃない。少なくとも友達は一人はできたし」
メラニーらの白い視線を躱しながら、私は3人に言ったのだ。
少なくとも1人ガスペルは友だちになってくれたはずだし。
しおりを挟む
script?guid=onここまで読んでいただいてありがとうございます。
この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933



「次にくるライトノベル大賞2023」

に私の下記の本がノミネートされました
なんと5つ目に
それを記念して『小さいフランの大冒険『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません外伝』王子様に執着された無敵少女、魔王も怖くないが王妃様は苦手です』絶賛更新中
このお話【書籍化】!
7月5日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。



感想 334

あなたにおすすめの小説

私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか

あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。 「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」 突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。 すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。 オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……? 最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意! 「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」 さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は? ◆小説家になろう様でも掲載中◆ →短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

契約破棄された聖女は帰りますけど

基本二度寝
恋愛
「聖女エルディーナ!あなたとの婚約を破棄する」 「…かしこまりました」 王太子から婚約破棄を宣言され、聖女は自身の従者と目を合わせ、頷く。 では、と身を翻す聖女を訝しげに王太子は見つめた。 「…何故理由を聞かない」 ※短編(勢い)

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

王命により泣く泣く婚約させられましたが、婚約破棄されたので喜んで出て行きます。

十条沙良
恋愛
「僕にはお前など必要ない。婚約破棄だ。」と、怒鳴られました。国は滅んだ。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。