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第三部 ルートン王国交換留学編
海賊船長赤髪のジャック視点 護衛も付けない愚かな貴族の留学生の船を襲おうとしました
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俺はルートン王国の近海を荒らす、『赤髪のジャック』海賊団の船長だ。
最近はルートン王国の海軍もしゃかりきになってきやがって、商売があがったりになりつつあった。俺達は襲撃する方角を北大陸方面にすることにした。こちらはまだまだ海賊に対して甘くて、エルグラン王国も海上の取締まではうまく出来ていないはずだ。
今のうちに稼ぐに如かずだ。
海賊の元締めのアルメリア王国も最近は締め付けが厳しくなってきた。売上が少ないと煩いのだ。
そんな、アルメリア王国から耳寄りな情報が入ってきたのだ。
何でも、エルグラン王国からルートン王国に留学生の一行が行くらしい。それも、高位貴族のご令嬢方が。なんでも、公爵令嬢まで乗っているっていうじゃねえか。
捕まえれば身代金もたんまりと取れるというわけだ。最近のアルメリアへの貢物にしてもいいし、言うことはない。
それも護衛の艦船もついていないそうだとか。本当に襲ってくれっていうようなものだ。
まあ、見目麗しい女がいれば俺の女にしても良い。そうか、楽しむだけ楽しんで娼館に奴隷として売りさばいてもいい儲けになるはずだ。
男どもは奴隷にすればいいし、言うことはない。
俺達は血眼になって、エルグラン国内にいる情報屋から情報を仕入れた。
そのついでに、今日も商船を襲って積荷を頂いたのだ。
その船はしけたもので大した積み荷はなかったし、女も1人だけだった。
船長らは船倉に拘束して放り込んだが、女は給仕としてここに残したのだ。
まあ、どのみち今日の夜には俺達の慰みものになるのだが、全員相手させると流石に潰れる。それだけは避けたいな。
俺は舌なめずりするように女を睨め回しながら、考えていた時だ。
待ちに待った情報が入ってきた。
「船長。情報屋によると昨日トゥーロンを出た大型船に貴族のお嬢ちゃんらしい女達が多くの護衛を連れて乗り込んだらしいですぜ」
副船長のルーゴが報告してきたのだ。
「護衛を連れているのか」
俺は少し警戒した。それはちょっと面倒だ。
「なあに、船長。帽子屋からの情報によると、その護衛達は腕はからっきしらしいですぜ。何しろたまたま居合わせたルートンの騎士に簡単にのされていたそうですから」
「そうなのか?」
「その騎士たちに稽古を付けていた女騎士が剣は多少使えるそうですが、後はてんでだめだそうです」
「まあ、エルグランの騎士は見目だけは良いけど、腕はからっきしだめだって噂ですからね」
他の団員が追加して言う。
「情報によるとその女騎士も結構きれいなべっぴんだそうですぜ」
「でも、その女騎士、結構腕が良いんじゃないですかい」
「なあに、所詮エルグランの女騎士だ。大したことはあるまい。結構見目も良いらしいから、散々嬲り者にするのも良いかもしれんぞ」
俺はそう言うと部下ともども大笑いした。
「しかし、エルグランの奴らは魔術を使うんじゃなかったですかい」
一人の部下が懸念を話した。そうだ、奴らは魔術大国でもあるのだ。
「なあに、噂だけでさ。魔術師ならばこちらも俺を筆頭に3名もいるんですから」
副船長のルーゴが胸板を叩いて笑ってくれた。
そうだ。俺達の海賊団には他の海賊団と違って攻撃系の魔術師が3名もいるのだ。最悪やばくなれば船ごと燃やすという手もある。そうなれば儲けは減るが、見目麗しそうなやつだけ助ければ良いだろう。
「そうだとすれば、船長、すぐに船を出したほうが良いですぜ。他の海賊団も血眼になって狙っているっていう話ですから」
「そうだな。野郎ども、後はどうでもいい。船を残してすぐに出港だ」
俺の掛け声とともに、商船に巻き付けていた鎖を断ち切る。
土手っ腹に穴が空いた商船はゆっくりと沈んでいった。
そして、副船長の探索魔術も合わせて、探すこと半日、俺達はやっとそれらしきものを発見したのだ。
「船長、前方に大きな船影確認」
「ようし、拡大しろ」
ルーゴは船を拡大投影してくれた。
マストの数から船の大きさまで、情報屋の帽子屋からの情報通りの船だ。
船の上では多くのものが船酔いに苦しんでいるのが目についた。
「おい、おい、なんかだよ、あの体たらくは、これは楽勝だぞ」
ルーゴの声が響いた。
「船長、敵も気付いたみたいです。必死に逃げようとしています」
「ふんっ、今頃気づいても遅いわ。この海賊船に一般の帆船が逃げ切れるわけはあるまい」
俺の声のとおりにぐんぐん我が船は帆船を追い詰めていった。
もはや船の上の人影まで肉眼で見えた。
その真中で元気よく、動き回っている女が見えた。船員と違って制服を着ていないからすぐにわかった。
乗っている船員たちの顔が恐怖に歪んでいるのが見えた。
「ようし、野郎ども、敵の船に乗り込むぞ。女達と楽しむのは後だ。取り敢えず捕まえろ。男たちもひっ捕まえろ。抵抗してくる男は斬っても構わん。あの真ん中の女は生かして捕えろよ。俺が楽しむからな」
「ええええ、船長だけずるいですよ」
「何言っているんだ。女はいっぱい載っているはずだ。1人につき1人くらいは与えられるはずだぞ」
「本当ですかい」
「そうだ。今日は宴会だぞ」
「よし、者共やるぞ」
俺達は負けるなんてこれっぽっちも考えていなかったのだ。
****************************************************
果たして海賊の運命やいかに?
最近はルートン王国の海軍もしゃかりきになってきやがって、商売があがったりになりつつあった。俺達は襲撃する方角を北大陸方面にすることにした。こちらはまだまだ海賊に対して甘くて、エルグラン王国も海上の取締まではうまく出来ていないはずだ。
今のうちに稼ぐに如かずだ。
海賊の元締めのアルメリア王国も最近は締め付けが厳しくなってきた。売上が少ないと煩いのだ。
そんな、アルメリア王国から耳寄りな情報が入ってきたのだ。
何でも、エルグラン王国からルートン王国に留学生の一行が行くらしい。それも、高位貴族のご令嬢方が。なんでも、公爵令嬢まで乗っているっていうじゃねえか。
捕まえれば身代金もたんまりと取れるというわけだ。最近のアルメリアへの貢物にしてもいいし、言うことはない。
それも護衛の艦船もついていないそうだとか。本当に襲ってくれっていうようなものだ。
まあ、見目麗しい女がいれば俺の女にしても良い。そうか、楽しむだけ楽しんで娼館に奴隷として売りさばいてもいい儲けになるはずだ。
男どもは奴隷にすればいいし、言うことはない。
俺達は血眼になって、エルグラン国内にいる情報屋から情報を仕入れた。
そのついでに、今日も商船を襲って積荷を頂いたのだ。
その船はしけたもので大した積み荷はなかったし、女も1人だけだった。
船長らは船倉に拘束して放り込んだが、女は給仕としてここに残したのだ。
まあ、どのみち今日の夜には俺達の慰みものになるのだが、全員相手させると流石に潰れる。それだけは避けたいな。
俺は舌なめずりするように女を睨め回しながら、考えていた時だ。
待ちに待った情報が入ってきた。
「船長。情報屋によると昨日トゥーロンを出た大型船に貴族のお嬢ちゃんらしい女達が多くの護衛を連れて乗り込んだらしいですぜ」
副船長のルーゴが報告してきたのだ。
「護衛を連れているのか」
俺は少し警戒した。それはちょっと面倒だ。
「なあに、船長。帽子屋からの情報によると、その護衛達は腕はからっきしらしいですぜ。何しろたまたま居合わせたルートンの騎士に簡単にのされていたそうですから」
「そうなのか?」
「その騎士たちに稽古を付けていた女騎士が剣は多少使えるそうですが、後はてんでだめだそうです」
「まあ、エルグランの騎士は見目だけは良いけど、腕はからっきしだめだって噂ですからね」
他の団員が追加して言う。
「情報によるとその女騎士も結構きれいなべっぴんだそうですぜ」
「でも、その女騎士、結構腕が良いんじゃないですかい」
「なあに、所詮エルグランの女騎士だ。大したことはあるまい。結構見目も良いらしいから、散々嬲り者にするのも良いかもしれんぞ」
俺はそう言うと部下ともども大笑いした。
「しかし、エルグランの奴らは魔術を使うんじゃなかったですかい」
一人の部下が懸念を話した。そうだ、奴らは魔術大国でもあるのだ。
「なあに、噂だけでさ。魔術師ならばこちらも俺を筆頭に3名もいるんですから」
副船長のルーゴが胸板を叩いて笑ってくれた。
そうだ。俺達の海賊団には他の海賊団と違って攻撃系の魔術師が3名もいるのだ。最悪やばくなれば船ごと燃やすという手もある。そうなれば儲けは減るが、見目麗しそうなやつだけ助ければ良いだろう。
「そうだとすれば、船長、すぐに船を出したほうが良いですぜ。他の海賊団も血眼になって狙っているっていう話ですから」
「そうだな。野郎ども、後はどうでもいい。船を残してすぐに出港だ」
俺の掛け声とともに、商船に巻き付けていた鎖を断ち切る。
土手っ腹に穴が空いた商船はゆっくりと沈んでいった。
そして、副船長の探索魔術も合わせて、探すこと半日、俺達はやっとそれらしきものを発見したのだ。
「船長、前方に大きな船影確認」
「ようし、拡大しろ」
ルーゴは船を拡大投影してくれた。
マストの数から船の大きさまで、情報屋の帽子屋からの情報通りの船だ。
船の上では多くのものが船酔いに苦しんでいるのが目についた。
「おい、おい、なんかだよ、あの体たらくは、これは楽勝だぞ」
ルーゴの声が響いた。
「船長、敵も気付いたみたいです。必死に逃げようとしています」
「ふんっ、今頃気づいても遅いわ。この海賊船に一般の帆船が逃げ切れるわけはあるまい」
俺の声のとおりにぐんぐん我が船は帆船を追い詰めていった。
もはや船の上の人影まで肉眼で見えた。
その真中で元気よく、動き回っている女が見えた。船員と違って制服を着ていないからすぐにわかった。
乗っている船員たちの顔が恐怖に歪んでいるのが見えた。
「ようし、野郎ども、敵の船に乗り込むぞ。女達と楽しむのは後だ。取り敢えず捕まえろ。男たちもひっ捕まえろ。抵抗してくる男は斬っても構わん。あの真ん中の女は生かして捕えろよ。俺が楽しむからな」
「ええええ、船長だけずるいですよ」
「何言っているんだ。女はいっぱい載っているはずだ。1人につき1人くらいは与えられるはずだぞ」
「本当ですかい」
「そうだ。今日は宴会だぞ」
「よし、者共やるぞ」
俺達は負けるなんてこれっぽっちも考えていなかったのだ。
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果たして海賊の運命やいかに?
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この次の作品はこちら
『天使な息子にこの命捧げます』https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/22857933
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表紙絵をクリックしたらレジーナブックスのページに飛びます。
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