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第二部 帝国の逆襲
エピローグ アツアツで皆に呆れられました
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その後は大変だった。
私の頭の上に慌てて追ってきたアドが落ちてきて、思わず張り倒したし、怒り狂った母が飛んできたりと大変だったのだ。ベンを燃やそうとした母を止めるのが大変だった。
母は私達を領地に返してくれて生き残りの者たちから事情を徴収すると、そのまま怒り狂ってどこかに転移していった。父と一緒に。
そのまま母は帝国の王宮を、皇帝諸共怒りのあまり灰燼にしたみたいだった。
皇帝を亡くした帝国は皇子が十名以上いて、皇位継承を目論む王子たちの血みどろの内戦状態に陥ったらしい。
また、教皇を失ったズンダーラ教も内紛勃発して、教会の中で血で血を洗う後継者争いになっているそうだ。
国内のズンダーラ教はこれを機会に国王陛下の指示で完全に独立、エルグラン教として、再出発した。世界各国のズンダーラ教の支部もそれぞれの国の国教となり独立していくみたいだ。
帝国のエミーリア皇女は、皇帝死去を聞くと直ちに元ベルサー王国に帰還して、反乱を起こしたのだ。ベルサー王国を復活させて女王になるんだとか。今一大勢力を集めて帝国の兵士たちを追い出しているところだ。
私への伝言が「あんたには負けない」だったけれど、私は一国の女王陛下と競い合うつもりなど毛頭ないんだけど・・・・
そして、アドだ。
「フラン、はい、アーン」
アドはそう言うとハッピ堂の新作のプリンをスプーンですくって私の口元に持ってきた。
私は定期試験の勉強を食堂でしていて、今、物理をアドに教えてもらっているのだ。今はアドに教えてもらったところを、私がノート見て復習しているところだ。
その私にアドはプリンを食べさせてくれているのだ。
アドは私の隣に嬉々として座っていた。
そう、あの後、ベンに対して怒りまくっている母をなんとか抑えるためにアドも必死に努力してくれた。そして、そのまま喧嘩していたのは有耶無耶のまま、私の隣の位置に戻ってきたのだ。
なんだかなと思うけど・・・・
まあ、私達の邪魔をしていた帝国の皇女は反乱を起こすためにここにはいないし、ベンは皆の使い走りで今は出払っていた。
私はやむを得ず、そのスプーンを口に含んだ。
「美味しい」
思わず笑顔になる。
それを見て周りから黄色い声が上がる。
うちのクラスの連中はいつものことかと呆れモードだが、他クラスの連中は興味津々でこちらを見ている。特に女性陣の視線がきついんだけど。
「アド!」
私はやんわりと注意するが、アドはそんな事はお構いなしだ。
「えっ、要らないの?」
そう言うとそのプリンを自分の口に入れた。
「えっ?」
そう言われると、そうじゃないって叫びたくなる。
「ほうら、やっぱり食べたいでしょ」
そう言うと私の口元にスプーンですくったプリンを持ってくるのだ。
やむを得ず私はぱくりとそれを食べる。
皆の視線が生暖かい・・・・。ちょっと恥ずかしいんだけど・・・・アドはお構いなしだ。
扉が開いて冷たい風が吹きこんできた。少し寒い。
思わず首をすくめるとアドがマフラーを私にかけてくれた。
黄色い声が更に煩くなる。
「ちょっと、そこのバカップル。何してるんだよ」
買い出しに行かされていたベンが叫んでいた。その手にはお菓子の山が載っていた。
「あっ、お菓子!」
そう呟いた私の口の中にアドがプリンを放り込む。
「ちょっと人前なのに」
ベンが怒って言うが、
「おーい、ベン、こっち」
離れたところからアルマンが声を出す。
「えっ、アルマン、あれは何だよ」
「良いんだよ、いつものことだ。ほっとけ」
お菓子を持って行ったベンが叫んでいるが、アルマンたちは呆れた顔をしていた。
そこにまた扉が開いて冷たい風が吹いてくる。
思わずブルッと震えると、スプーンを置いてアドが横からギュッ他抱きしめてくれた。
黄色い悲鳴が上がっているんだけど・・・・。
季節はそろそろ冬になろうとしいた。外は寒くなり始めたけれど、私の心の中は恥ずかしいやら嬉しいやらで、ぽかぽか暖かかった。
おしまい
************************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございました
今後も続編は考えています。また宜しくお願いします。
新作始めました
『推しの悪役令嬢を応援していたら自分がヒロインでした』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/904668301
これもおすすめのお話です。ぜひともお読み下さい。
私の頭の上に慌てて追ってきたアドが落ちてきて、思わず張り倒したし、怒り狂った母が飛んできたりと大変だったのだ。ベンを燃やそうとした母を止めるのが大変だった。
母は私達を領地に返してくれて生き残りの者たちから事情を徴収すると、そのまま怒り狂ってどこかに転移していった。父と一緒に。
そのまま母は帝国の王宮を、皇帝諸共怒りのあまり灰燼にしたみたいだった。
皇帝を亡くした帝国は皇子が十名以上いて、皇位継承を目論む王子たちの血みどろの内戦状態に陥ったらしい。
また、教皇を失ったズンダーラ教も内紛勃発して、教会の中で血で血を洗う後継者争いになっているそうだ。
国内のズンダーラ教はこれを機会に国王陛下の指示で完全に独立、エルグラン教として、再出発した。世界各国のズンダーラ教の支部もそれぞれの国の国教となり独立していくみたいだ。
帝国のエミーリア皇女は、皇帝死去を聞くと直ちに元ベルサー王国に帰還して、反乱を起こしたのだ。ベルサー王国を復活させて女王になるんだとか。今一大勢力を集めて帝国の兵士たちを追い出しているところだ。
私への伝言が「あんたには負けない」だったけれど、私は一国の女王陛下と競い合うつもりなど毛頭ないんだけど・・・・
そして、アドだ。
「フラン、はい、アーン」
アドはそう言うとハッピ堂の新作のプリンをスプーンですくって私の口元に持ってきた。
私は定期試験の勉強を食堂でしていて、今、物理をアドに教えてもらっているのだ。今はアドに教えてもらったところを、私がノート見て復習しているところだ。
その私にアドはプリンを食べさせてくれているのだ。
アドは私の隣に嬉々として座っていた。
そう、あの後、ベンに対して怒りまくっている母をなんとか抑えるためにアドも必死に努力してくれた。そして、そのまま喧嘩していたのは有耶無耶のまま、私の隣の位置に戻ってきたのだ。
なんだかなと思うけど・・・・
まあ、私達の邪魔をしていた帝国の皇女は反乱を起こすためにここにはいないし、ベンは皆の使い走りで今は出払っていた。
私はやむを得ず、そのスプーンを口に含んだ。
「美味しい」
思わず笑顔になる。
それを見て周りから黄色い声が上がる。
うちのクラスの連中はいつものことかと呆れモードだが、他クラスの連中は興味津々でこちらを見ている。特に女性陣の視線がきついんだけど。
「アド!」
私はやんわりと注意するが、アドはそんな事はお構いなしだ。
「えっ、要らないの?」
そう言うとそのプリンを自分の口に入れた。
「えっ?」
そう言われると、そうじゃないって叫びたくなる。
「ほうら、やっぱり食べたいでしょ」
そう言うと私の口元にスプーンですくったプリンを持ってくるのだ。
やむを得ず私はぱくりとそれを食べる。
皆の視線が生暖かい・・・・。ちょっと恥ずかしいんだけど・・・・アドはお構いなしだ。
扉が開いて冷たい風が吹きこんできた。少し寒い。
思わず首をすくめるとアドがマフラーを私にかけてくれた。
黄色い声が更に煩くなる。
「ちょっと、そこのバカップル。何してるんだよ」
買い出しに行かされていたベンが叫んでいた。その手にはお菓子の山が載っていた。
「あっ、お菓子!」
そう呟いた私の口の中にアドがプリンを放り込む。
「ちょっと人前なのに」
ベンが怒って言うが、
「おーい、ベン、こっち」
離れたところからアルマンが声を出す。
「えっ、アルマン、あれは何だよ」
「良いんだよ、いつものことだ。ほっとけ」
お菓子を持って行ったベンが叫んでいるが、アルマンたちは呆れた顔をしていた。
そこにまた扉が開いて冷たい風が吹いてくる。
思わずブルッと震えると、スプーンを置いてアドが横からギュッ他抱きしめてくれた。
黄色い悲鳴が上がっているんだけど・・・・。
季節はそろそろ冬になろうとしいた。外は寒くなり始めたけれど、私の心の中は恥ずかしいやら嬉しいやらで、ぽかぽか暖かかった。
おしまい
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