悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! 学園生活を満喫するのに忙しいです

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され

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第二部 帝国の逆襲

洞窟探検2 帝国皇女が黒い虫を見て悲鳴を上げてアドに抱きついていたので、その虫を蹴り飛ばして皇女の顔に張り付けてやりました・・・・

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翌朝、メラニーらが作ってくれた、昨日のスープの残りを使った雑炊は、悔しいことにとても美味しかった。今までは魔物退治等の野宿での食事は食べられればいいと思っていたけれど、これからは少しは考えようかと思わざるを得なかった。

おにぎりも女子連中で作ってくれた。ちょっと待って、私もおにぎりくらい作れるわよ・・・・って言ったのに、触らせてももらえなかった。解せない。

私も女の子よ。らしくないけれど、胸もないけど、差別は良くない! 

そらあ、この前は巨大おにぎり食べていたけど、普通のおにぎりも握れるのに・・・・。でも、だれ一人フォローしてくれなかったのは何故?


洞窟探検はまず3年生が入っていって、次に2年生、最後が1年生だ。1年生が入った時にはもう獲物は残っていないのでは・・・・と思わないでもなかったが。

私達の入り口は一番端で、3年生のE組、2年生はA組、そして1年はE組だった。
私達は2年生のA組のあと、すなわちアドの組の後に入って行った。

先頭はベンとバンジャマン、続いて私、その後ろがオリーブとソレンヌだ。

洞窟の中は結構広くて、中でいくつにも別れていた。

一応、前もって地図は配られており、私たちはチェックはした。迷ってはいけないので、地図は完全に頭に入れてある。まあ、野生の勘の鋭い私が迷子になっても出口には確実に帰ってこれるとは思うけど。

鬼みたいな母によって、魔の森に5歳の時に放り出されて、年老いた銀オオカミをペットにして連れ帰った私だ。まあ、こんな洞窟探検は遊びに等しいんだけど。

でも、皆で行くことに意義があるのだ。
地図のチェックはオリーブに、行程管理はソレンヌに、先陣はベンとバンジャマンに任せてある。
前世でクラスメートと何かすることは出来なかったので、今日の私はやる気マックスなのだ。

ベン達はゆっくりと前を警戒しながら歩いていく。まあ、魔物が潜んでいれば私は気配ですぐに判るが、皆には一切そんな事は教えていない。それに、彼らは判らないのだ。何事も経験が大切だ。少しでもなれてくれればと思う。そして、オリーブがどこを歩いているかはチェックしてくれている。時間管理は時計と歩く速さを見ながらソレンヌがチェックしている。
うんうん、これこそグループでの体験学習なのだ。私は嬉しくなった。

「姉さん、なんで笑っているの?」
振り向いたベンが不思議そうに聞く。

「フランが変なところは昔からだから、ほっておけ」
「そうなんだ」
さも当然とばかり言うバンジャマンの言葉に簡単にベンも頷くな、と私は言いたかった。



「キャーーーー」
でも、そこに、前から女の悲鳴が聞こえた。


「行くわよ!」
こういう時は私が先頭で駆け出した。

少し走ると集団がいた。そして、そこには帝国皇女に抱きつかれたアドがいたのだ。

それを見た瞬間、私はプッツン切れた。

「ちょっと待てフラン。これは皇女が突然悲鳴を上げて抱きついただけで・・・・」
アドが必死に言い訳する。
それよりも、どこにも魔物は見えない。この皇女、もう殺す。
私が心に決めたときだ。

「フラン様、あそこに黒くうごめく虫が・・・・・」
オリーブの指した所に小さな虫が蠢いているのを見た。

いや、待て、何よ、これは! 悲鳴を聞いて駆けつけてみれば、コボルトは愚かスライムさえいないじゃない。
この帝国の皇女は黒い虫に驚いて悲鳴を上げただと・・・・
そんなの絶対に変だろう。

だって、こいつは黒い虫など驚く訳がない。絶対に地上ならば平気で踏み潰すに違いないのだ。
それにこいつ、アドの腕にこれ見よがしにその胸を擦り付けて私に対して嬉しそうに見ているんだけど。


ふんっ、そちらがそういう気ならこれでどうだ!

完全に切れてしまった私はその虫を軽く蹴る。

その虫はものの見事に私を見下して笑っていた皇女の顔にべチャリと張り付いたのだ。

「ギャーーーーー」
更に巨大な悲鳴とともに、皇女は泡を吹いて倒れた。

ふんっ、ざまーみろ。黒い虫なんかでアドに抱きつくからだ。

こいつは聖女と違って黒い虫など、目にもかけないだろうが、流石に顔に張り付かれたら、驚きのあまり気絶してしまったみたいだ。フンッ。次からはヴァンのおもちゃを借りておこう。次にアドに余計なことをしたら、またやってやるのだ。

私はそう思うとアドを見て笑った。

「いや、ちょっと待って、フラン。今のは不可抗力だから。帝国の皇女だからちゃんと護衛してくれと皇帝からも父からも頼まれて、仕方なく護衛していただけだから」
アドが必死に言い訳する。
側近たちと護衛の騎士はしかし、私が近づくと一斉にアドの周りから消えてしまった。

「ゴキブリくらいで、抱きつかれてるんじゃないわよ」
私はそう言うとアドの頬を張り飛ばしていた。

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