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第二部 帝国の逆襲
殴られた隣国王子を第二王子が聖女を連れて治しに来ましたが王子はいきなり苦しみ出しました
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私はベンを受け止めたけれど、その勢いを止められずに、そのまま廊下に倒れ込んでいた。
「ちょっとアルマン、何しているのよ」
私が起き上がってきっとして文句を言うと、
「はあああ!、お前もそいつの肩を持つのか」
「暴力は良くないじゃない」
「勝手にしろ」
アルマンは私を睨みつけると飛び出していった。
「アルマン!」
私が叫ぶがアルマンは振り向きもしなかった。
私は取り敢えず、気絶したベンを保健室まで運んだ。
ベンはアルマンの渾身のパンチを受けて片目を腫らしていた。
「フラン姉さん。ごめんね」
ベンが目を開けていった。
「それは良いけれど、何があったの?」
「何でも無いよ」
ベンが黙りこくった。
「何でも無いわけ無いでしょ!」
「うーん、あいつら僕がフラン姉さんに近づくのが気に入らないんだ」
「そんなのでアルマンがあなたを殴るわけ無いでしょ」
私が言うと、
「姉さんは信じられないと思うけど、僕が王子だから平民の皆は僕が目障りなんだよ」
「ベン、あなたこの学園にいる限り、その考えは捨てなさい」
私はその言葉にきっとしてベンを睨んで言った。
「えっ、でも事実だから」
「事実だろうが、なんだろうが、私がノーって言っているんだからノーなのよ」
私がムッとして言う。
そうだ。誰がなんと言おうと、この学園の生徒は全て平等なのだ。そう考えて、いや行動して、いや違う、強引に全員を巻き込んで私はこの一学期を生きてきたのだ。
もちろん、ベンが言うことは当然のことだ。普通は騎士の息子のアルマンにしても、ケーキ屋の息子のバンジャマンにしても、貴族の令嬢のジャッキーにしても、身分に対する考え方はいろいろあるだろう。平民の皆が王公貴族に対して思う所もあるだろう。その上、私も公爵令嬢だ。それも、今後どうなるかは判らないけれど、このまま普通にいくと、王太子妃、そのまま王妃になるのだ。
みんな、本来ならば敬遠して近寄らないはずだ。
それを強引に、この学園に入学する限りは全ての学生は平等であるという、始祖の建前を持ち出して、それを無理やり学園の常識にして、ここまでやってきたのだ。
建前ではなく、現実にして!
だから、私はベンの言うことは認める訳にはいかないのだ。
こんなのが他国の王立学園でまかり通るわけはない。そもそも、この事がまかり通っているのは、この学園内でも、我がEクラスだけだ。それもはっきり言うと私限定だ。
まあ、私につられてクラスのみんなは、呼び捨てにしているが、他から入ってくる人間、例えばアドに対しては王子殿下と呼んだり、ちゃんとしているのだ。
常識人のベンが孤立するのもある意味仕方がないのかもしれない。
「なんだよその言い方。酷いよ。姉さんがあいつらの肩持つなら、もう良い!」
ベンはそう言うと布団に潜り込んだのだ。
私は慌てたが、どうしようもない。
ベンにも我慢してもらわないと・・・・でも、私が横にいるんだから私に近いベンが孤立するのはなんかおかしいんだけど・・・・。
それにアルマンがこんな弟みたいにか弱いベンを殴るなんて普通に考えて絶対におかしい。
「姉上、連れてきたよ」
そこへ扉が開いて、首輪をつけた聖女をヴァンが連れてきた。
「あっ、ヴァン、ありがとう」
「さあ、ピンク頭、ここでふて寝している腹黒王子の顔にヒールをかけるんだ」
「ちょっと、なんで私があんたの言うこと聞かなければならないのよ」
ヴァンの言葉にその後ろにいたピンク頭が文句を言った。
「えっ、今まで素直に言うこと聞いていたのに、俺の言うことに逆らうわけ」
ヴァンの笑いが凄みを増す。
「何言っているのよ。今まで、おもちゃのゴキブリで私を脅していただけでしょ。もう騙されないんだから」
なんか二人の言うことがよく理解できないんだけど、ヴァンはおもちゃのゴキブリで悪さをしていたらしい。
「あんたもヴァンのおもちゃに騙されたの?」
「騙されたなんてものじゃないわよ。そのせいでずうーとただ働きさせられたのよ! 今まで。どれだけ大変だったか!」
「そうよね。私なんか、本物だと思って爆裂魔術で攻撃してしまったのよ。危うく、王宮を火の海にしてしまうところだったわ」
「それはまた別だと思うけど、本当にムカつくわよね」
「本当よ」
なんかピンク頭と意見があってしまった。
「ちょっと姉上、僕は姉上の為に聖女を連れてきたんだよ。それなのにそう言うことを言う?」
ヴァンがむくれて言う。
「それに、今までだってほとんど姉上の為にやったのに」
そう言われると私は何も言えなくなった。
「だからさっさとやってほしいね。別に嫌なら良いよ。反逆は処刑だから、処刑しても良いならやらなくて良いから」
さらっとヴァンはとんでもないことを言う。まあ実際はそうなんだけど、
「判った、判ったから」
聖女は諦めて言った。
「腹黒王子も早く出てこい」
ヴァンは布団をひっぺがした。
「な、何しやがる」
「はいはい、早くして、ヒール!」
ピンク頭がヒールをかける。
「うーーー」
しかし、ベンはいきなり、頭を押さえて踠き苦しみだしたのだ。
えっ、ヒールで頭が痛くなることなんてあるの?
私たちは唖然としてヒールをかけるピンク頭と苦しむベンを見たのだった。
「ちょっとアルマン、何しているのよ」
私が起き上がってきっとして文句を言うと、
「はあああ!、お前もそいつの肩を持つのか」
「暴力は良くないじゃない」
「勝手にしろ」
アルマンは私を睨みつけると飛び出していった。
「アルマン!」
私が叫ぶがアルマンは振り向きもしなかった。
私は取り敢えず、気絶したベンを保健室まで運んだ。
ベンはアルマンの渾身のパンチを受けて片目を腫らしていた。
「フラン姉さん。ごめんね」
ベンが目を開けていった。
「それは良いけれど、何があったの?」
「何でも無いよ」
ベンが黙りこくった。
「何でも無いわけ無いでしょ!」
「うーん、あいつら僕がフラン姉さんに近づくのが気に入らないんだ」
「そんなのでアルマンがあなたを殴るわけ無いでしょ」
私が言うと、
「姉さんは信じられないと思うけど、僕が王子だから平民の皆は僕が目障りなんだよ」
「ベン、あなたこの学園にいる限り、その考えは捨てなさい」
私はその言葉にきっとしてベンを睨んで言った。
「えっ、でも事実だから」
「事実だろうが、なんだろうが、私がノーって言っているんだからノーなのよ」
私がムッとして言う。
そうだ。誰がなんと言おうと、この学園の生徒は全て平等なのだ。そう考えて、いや行動して、いや違う、強引に全員を巻き込んで私はこの一学期を生きてきたのだ。
もちろん、ベンが言うことは当然のことだ。普通は騎士の息子のアルマンにしても、ケーキ屋の息子のバンジャマンにしても、貴族の令嬢のジャッキーにしても、身分に対する考え方はいろいろあるだろう。平民の皆が王公貴族に対して思う所もあるだろう。その上、私も公爵令嬢だ。それも、今後どうなるかは判らないけれど、このまま普通にいくと、王太子妃、そのまま王妃になるのだ。
みんな、本来ならば敬遠して近寄らないはずだ。
それを強引に、この学園に入学する限りは全ての学生は平等であるという、始祖の建前を持ち出して、それを無理やり学園の常識にして、ここまでやってきたのだ。
建前ではなく、現実にして!
だから、私はベンの言うことは認める訳にはいかないのだ。
こんなのが他国の王立学園でまかり通るわけはない。そもそも、この事がまかり通っているのは、この学園内でも、我がEクラスだけだ。それもはっきり言うと私限定だ。
まあ、私につられてクラスのみんなは、呼び捨てにしているが、他から入ってくる人間、例えばアドに対しては王子殿下と呼んだり、ちゃんとしているのだ。
常識人のベンが孤立するのもある意味仕方がないのかもしれない。
「なんだよその言い方。酷いよ。姉さんがあいつらの肩持つなら、もう良い!」
ベンはそう言うと布団に潜り込んだのだ。
私は慌てたが、どうしようもない。
ベンにも我慢してもらわないと・・・・でも、私が横にいるんだから私に近いベンが孤立するのはなんかおかしいんだけど・・・・。
それにアルマンがこんな弟みたいにか弱いベンを殴るなんて普通に考えて絶対におかしい。
「姉上、連れてきたよ」
そこへ扉が開いて、首輪をつけた聖女をヴァンが連れてきた。
「あっ、ヴァン、ありがとう」
「さあ、ピンク頭、ここでふて寝している腹黒王子の顔にヒールをかけるんだ」
「ちょっと、なんで私があんたの言うこと聞かなければならないのよ」
ヴァンの言葉にその後ろにいたピンク頭が文句を言った。
「えっ、今まで素直に言うこと聞いていたのに、俺の言うことに逆らうわけ」
ヴァンの笑いが凄みを増す。
「何言っているのよ。今まで、おもちゃのゴキブリで私を脅していただけでしょ。もう騙されないんだから」
なんか二人の言うことがよく理解できないんだけど、ヴァンはおもちゃのゴキブリで悪さをしていたらしい。
「あんたもヴァンのおもちゃに騙されたの?」
「騙されたなんてものじゃないわよ。そのせいでずうーとただ働きさせられたのよ! 今まで。どれだけ大変だったか!」
「そうよね。私なんか、本物だと思って爆裂魔術で攻撃してしまったのよ。危うく、王宮を火の海にしてしまうところだったわ」
「それはまた別だと思うけど、本当にムカつくわよね」
「本当よ」
なんかピンク頭と意見があってしまった。
「ちょっと姉上、僕は姉上の為に聖女を連れてきたんだよ。それなのにそう言うことを言う?」
ヴァンがむくれて言う。
「それに、今までだってほとんど姉上の為にやったのに」
そう言われると私は何も言えなくなった。
「だからさっさとやってほしいね。別に嫌なら良いよ。反逆は処刑だから、処刑しても良いならやらなくて良いから」
さらっとヴァンはとんでもないことを言う。まあ実際はそうなんだけど、
「判った、判ったから」
聖女は諦めて言った。
「腹黒王子も早く出てこい」
ヴァンは布団をひっぺがした。
「な、何しやがる」
「はいはい、早くして、ヒール!」
ピンク頭がヒールをかける。
「うーーー」
しかし、ベンはいきなり、頭を押さえて踠き苦しみだしたのだ。
えっ、ヒールで頭が痛くなることなんてあるの?
私たちは唖然としてヒールをかけるピンク頭と苦しむベンを見たのだった。
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