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魔物討伐訓練3
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なにこれ!
私の目の前に現れた、巨大な一つ目の巨人!
肌の色が緑色で目が真っ赤。
手には巨大な斧を持ち、怒り狂っているんだけど……その真ん前でのんきにお弁当を広げていた私ってバカなの?
というか、私は完全に固まってしまった。
その一つしかない大きな目が私をねめつけていた。
こいつがこんなところにいたから魔物たちがいなかったんだ。
それもこいつ隠れていたんだけど、そんなのありなの?
私は頭が働いていないのか、他人事のようにその巨人を見上げていた。
「ギャオーーーーー」
再度、私を見下して咆哮すると、巨大な斧を振り上げてくれたのだ。
私はその赤い目に魅入られたように完全に固まってしまっていた。
周りの皆も一つ目の巨人を見上げて固まっていた。
「出たな、化け物!」
何故か、私の後ろで嬉々とした声がした。
全くこの巨人を見ても動じていない声だ。
なんかその声のわくわく感が半端ない。
でも、その前に、巨人が、渾身の力を振り絞って斧を振り下ろしてくれたのだ。
私の真上に!
えっ!
終わった!
私が観念した時だ。
ガキン!
目をつぶった私の前で金属同士のぶつかる巨大な音がした。
あれ、生きてる!
私が目を開けると私のすぐ真ん前で、一つ目巨人の斧を受け止めてくれたコンスがいた。
じりじりと斧が私の前に降りてくる。
目の前に刃物がゆっくりと迫ってくるのだ。
「匕ェェェェ!」
私はそれを見て、石の上から転がり落ちた。
完全に腰を抜かしていたのだ
その前で、コンスが巨人の斧をはじき返していた。
神様仏様コンス様!
私はコンスに助けられたことを感謝した。
巨人は私からコンスにターゲットを変えたみたいだ。
斧を振りかぶって再度コンスに振り下ろす。
ガキン
コンスはその斧を剣で受けていた。
再度振りかぶって振り下ろす。
ガキン
また受ける。
今まで暴れられなかった鬱憤を晴らすようにコンスはその巨人と戦っていた。
「皆、ゴブリンがこちらに来るわ」
ポピーの悲鳴が聞こえた。
「えっ!」
そちらを見るとゴブリンの群れがこちらにやってくる。
訓練された統一された群れだ。
「50匹はいるわよ」
ヘレナが叫んだ。
「ようしやるぞ」
エグモントが剣を抜いた。
これだけ大群なら私がやっても良いだろう。
「ファイアー!」
私は叫んだのだ。
私の手から放たれた火の玉は私の前に出てきたエグモントの耳をかすった。
「ギャッ、何しやがる、クラウ!」
後ろを振り返ってエグモントが叫んでくれた。
「ごめん! やっちゃった」
私は謝ったが、
「お前、言ったとおりじゃないか。味方討つくらいなら、黙って静かにしてろ」
エグモントが叫んでくれた時だ。
私の放った火の玉はゴブリンには全くかすりもせずに、巨木の根本に突き刺さった。
ドカーン
爆発するとその巨木がゆっくりと倒れ込んできて、ゴブリンの群れの真ん中に突っ込んでくれたのだ。
「「「ギャー」」」
ゴブリンの群れが木のせいで大混乱に陥った。
そこに、ポピーとヘレナが火の玉を打ち込んでくれた。
ドカーン
再度、爆発が起こる。
結構の数のゴブリンが倒された。
「貴様と遊んでいる暇もないか」
コンスの残念そうな声がした。
ちらっとそちらを見ると
「喰らえ!」
コンスが宝剣を抜いて飛び上がるのが同時だった。
飛び上がったコンスを1つ目巨人は斧で切りつけようとしてコンスに躱される。
そして、目の前に出てきた巨人の首をコンスが宝剣で切り下げた。
ボトリ
と一つ目巨人の首が落ちる。
凄い! さすがコンス!
私なら絶対に殺されていた1つ目の巨人もあっさりと退治してくれた。
次の瞬間、黒い煙に包まれるとそこには赤い石を残して1つ目の巨人の体は消えてしまった。
私は驚いた。
そうか、ゲームの世界は魔物退治したら石だけになるんだ。
その石の事を魔石というのだと後でヘレナに教えてもらった。
この世界ではゲームの世界と同じで魔物を倒すと魔石だけになるそうだ。
どんなご都合主義なんだよ、と思わないでもなかったけれど。
まあ、血を見なくてみ良いのなら私でも倒しやすい。
「次行くぞ」
せっかく1つ目巨人を退治したのに魔石も拾わずに、コンスは早速ゴブリン退治に精を出しだしたのだ。
それも嬉々として。
「喰らえ! 下郎ども」
そう叫ぶと宝剣を嬉々として振り回している。
そして、コンスが剣を振る度にゴブリン達がバタバタと倒れていくのだ。
なんかかわいそうになるくらい、あっという間にゴブリン達はコンスに退治されてしまったのだ。
「うーん、せっかくゴブリンの群れと戦えたのに、何だ、このあっけなさは」
まだまだ暴れたりなさそうにコンスが呟いているんだけど。
「この木で群れの長が倒されたからじゃない」
ポピーが木を指さした。
その樹の下に赤い少し大きい石が光っていた。
「嘘! 私が当てた火の玉のお陰なの」
私が喜んで言うと、
「何言っているんだよ。狙って放っていないだろう」
「そうだ。俺を殺しそうになったし」
エグモントが私を睨んできた。
「本当にこの群れの長も運がないよな。クラウが盲撃ちで放った火の玉が命中した木でやられるなんて」
「でも、普通は避けるぜ」
「単に馬鹿だったんじゃないの」
皆滅茶苦茶言ってくれるんだけど……
フン! 私もやる時はやるのだ。
誰も褒めてくれないけれど!
私の目の前に現れた、巨大な一つ目の巨人!
肌の色が緑色で目が真っ赤。
手には巨大な斧を持ち、怒り狂っているんだけど……その真ん前でのんきにお弁当を広げていた私ってバカなの?
というか、私は完全に固まってしまった。
その一つしかない大きな目が私をねめつけていた。
こいつがこんなところにいたから魔物たちがいなかったんだ。
それもこいつ隠れていたんだけど、そんなのありなの?
私は頭が働いていないのか、他人事のようにその巨人を見上げていた。
「ギャオーーーーー」
再度、私を見下して咆哮すると、巨大な斧を振り上げてくれたのだ。
私はその赤い目に魅入られたように完全に固まってしまっていた。
周りの皆も一つ目の巨人を見上げて固まっていた。
「出たな、化け物!」
何故か、私の後ろで嬉々とした声がした。
全くこの巨人を見ても動じていない声だ。
なんかその声のわくわく感が半端ない。
でも、その前に、巨人が、渾身の力を振り絞って斧を振り下ろしてくれたのだ。
私の真上に!
えっ!
終わった!
私が観念した時だ。
ガキン!
目をつぶった私の前で金属同士のぶつかる巨大な音がした。
あれ、生きてる!
私が目を開けると私のすぐ真ん前で、一つ目巨人の斧を受け止めてくれたコンスがいた。
じりじりと斧が私の前に降りてくる。
目の前に刃物がゆっくりと迫ってくるのだ。
「匕ェェェェ!」
私はそれを見て、石の上から転がり落ちた。
完全に腰を抜かしていたのだ
その前で、コンスが巨人の斧をはじき返していた。
神様仏様コンス様!
私はコンスに助けられたことを感謝した。
巨人は私からコンスにターゲットを変えたみたいだ。
斧を振りかぶって再度コンスに振り下ろす。
ガキン
コンスはその斧を剣で受けていた。
再度振りかぶって振り下ろす。
ガキン
また受ける。
今まで暴れられなかった鬱憤を晴らすようにコンスはその巨人と戦っていた。
「皆、ゴブリンがこちらに来るわ」
ポピーの悲鳴が聞こえた。
「えっ!」
そちらを見るとゴブリンの群れがこちらにやってくる。
訓練された統一された群れだ。
「50匹はいるわよ」
ヘレナが叫んだ。
「ようしやるぞ」
エグモントが剣を抜いた。
これだけ大群なら私がやっても良いだろう。
「ファイアー!」
私は叫んだのだ。
私の手から放たれた火の玉は私の前に出てきたエグモントの耳をかすった。
「ギャッ、何しやがる、クラウ!」
後ろを振り返ってエグモントが叫んでくれた。
「ごめん! やっちゃった」
私は謝ったが、
「お前、言ったとおりじゃないか。味方討つくらいなら、黙って静かにしてろ」
エグモントが叫んでくれた時だ。
私の放った火の玉はゴブリンには全くかすりもせずに、巨木の根本に突き刺さった。
ドカーン
爆発するとその巨木がゆっくりと倒れ込んできて、ゴブリンの群れの真ん中に突っ込んでくれたのだ。
「「「ギャー」」」
ゴブリンの群れが木のせいで大混乱に陥った。
そこに、ポピーとヘレナが火の玉を打ち込んでくれた。
ドカーン
再度、爆発が起こる。
結構の数のゴブリンが倒された。
「貴様と遊んでいる暇もないか」
コンスの残念そうな声がした。
ちらっとそちらを見ると
「喰らえ!」
コンスが宝剣を抜いて飛び上がるのが同時だった。
飛び上がったコンスを1つ目巨人は斧で切りつけようとしてコンスに躱される。
そして、目の前に出てきた巨人の首をコンスが宝剣で切り下げた。
ボトリ
と一つ目巨人の首が落ちる。
凄い! さすがコンス!
私なら絶対に殺されていた1つ目の巨人もあっさりと退治してくれた。
次の瞬間、黒い煙に包まれるとそこには赤い石を残して1つ目の巨人の体は消えてしまった。
私は驚いた。
そうか、ゲームの世界は魔物退治したら石だけになるんだ。
その石の事を魔石というのだと後でヘレナに教えてもらった。
この世界ではゲームの世界と同じで魔物を倒すと魔石だけになるそうだ。
どんなご都合主義なんだよ、と思わないでもなかったけれど。
まあ、血を見なくてみ良いのなら私でも倒しやすい。
「次行くぞ」
せっかく1つ目巨人を退治したのに魔石も拾わずに、コンスは早速ゴブリン退治に精を出しだしたのだ。
それも嬉々として。
「喰らえ! 下郎ども」
そう叫ぶと宝剣を嬉々として振り回している。
そして、コンスが剣を振る度にゴブリン達がバタバタと倒れていくのだ。
なんかかわいそうになるくらい、あっという間にゴブリン達はコンスに退治されてしまったのだ。
「うーん、せっかくゴブリンの群れと戦えたのに、何だ、このあっけなさは」
まだまだ暴れたりなさそうにコンスが呟いているんだけど。
「この木で群れの長が倒されたからじゃない」
ポピーが木を指さした。
その樹の下に赤い少し大きい石が光っていた。
「嘘! 私が当てた火の玉のお陰なの」
私が喜んで言うと、
「何言っているんだよ。狙って放っていないだろう」
「そうだ。俺を殺しそうになったし」
エグモントが私を睨んできた。
「本当にこの群れの長も運がないよな。クラウが盲撃ちで放った火の玉が命中した木でやられるなんて」
「でも、普通は避けるぜ」
「単に馬鹿だったんじゃないの」
皆滅茶苦茶言ってくれるんだけど……
フン! 私もやる時はやるのだ。
誰も褒めてくれないけれど!
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