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公爵家に案内されて習ったとおりにしようとしたら、いきなり抱きしめられて頭が真っ白になってしまいました

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私は必死に辞退しよえうとしたのに、そのままオイゲン様の馬車に乗せられたのだ。
アデライド先生が断ってくれると思ったのに……

「あの子はこうと決めたら絶対に曲げないから」
の一言で裏切られた。
あの子がエルザさんを指すのは聞くまでもなかった。
エルザさんはアデライド先生がいるのに、強引にお茶会にしたくらいだ。
その押しの強さは下手したら公爵家一番なのかもしれない。

更に
「そのために今まで特訓してきたのです。特訓の成果を存分に披露なさい」
とまで言われてしまったのだ。


「でも、あなた一人では心配だから私もついていきましょうか」
私は、頷こうかと一瞬考えた。

でも、私にとって雲の上の公爵家の方々と会うのに、後ろで一挙手一投足注意されるとなるとそれはそれで大変だ。
私は泣く泣く断ったのだ。


衣装は制服のままで良いと言われたので、私はそのまま馬車に乗せられたのだ。

オイゲン様は公爵家の令息で、雲の上の人で、何を話していいか判らないと私はドキドキしたんだけど、とても気さくな方で、すぐに打ち解けた。

「君のお母さんには姉に虐められた時に良く助けてもらったよ」
オイゲン様は母の話をしてくれたのだ。
「えっ、そうなのですか?」
「ああ、姉はあの通り一度決めたら考えを曲げないからさ。俺もエーリック様も本当に苦労したんだ。そんな困った時に君のお母さんが、『エルザも少しくらい折れれば』って言ってくれてさ、本当に助かったよ」
オイゲン様はそう言って昔を懐かしんでくれた。
「私、8歳の時に母を亡くしたから、学園の時の事聞いたことがなくて。母はどんな感じだったんですか」
「皆に人気があったよ。ダンスパーティーとか引く手あまたで、誰がエスコートするかで取り合いだったんだ」
「えっ、そうなんですか?」
オイゲン様の言葉に私は驚いた。

「でも、国に婚約者がいるってことで、皆とても残念に思っていたよ」
「へええええ、そうなんですね。男の人に人気があるって初めて聞きました」
私が言うと
「まあ、クラウディア嬢も人気があるだろう」
オイゲン様がお世辞で言ってくれた。

「えっ、地味な私はそんな事ないですよ」
「よく言うよ。絶対に人気があると思うけれど……そうか、ルードが邪魔しているのかもしれないな」
「ルードがですか? それはないと思いますけど」
私が否定した。
「うーん、君の前では格好つけているかもしれないけれど、最初はルードが君を迎えに行くって言い張ったんだ。でも、ルードは停学中だからダメだって皆に言われて、姉の一言で俺がクラウディア嬢を迎えに行くことになったんだ。あいつは最後までブツブツ文句を言っていたよ」
オイゲン様はそう言うんだけど、
「そうなんですか? おそらく、私がオイゲン様になにか失礼を働くかもしれないって心配したんじゃないですか」
「そんな訳あるわけ無いだろう。あいつは姉の子供であることを良いことになにか悪いことを俺にしてもその度に姉の後ろに隠れるようなやつだぜ。俺の心配をするなんてありえないな」
「えっ、でも、オイゲン様は公爵家の跡取りじゃないですか? いくらルードが親戚でも流石に気にするでしょう」
「そんな訳無いだろう。普通は家では跡取りが当主の次に偉いと思うかもしれないけれど、我が家では父と母が同格で、その次が姉。俺なんか走り使いだからね」
「それだけ家族仲が良い証拠ですよ」
「そうだと言いけれど、ほら、我が公爵家に着いたよ」
オイゲン様が言うと前に白い壁に囲まれた大きな屋敷が見えてきた。

「すごい、とても大きいんですね」
私は思わず口を開けて驚いてしまった。

「まあ、領地の屋敷に比べればこじんまりしているけれどね」
さすが公爵家。領地の屋敷はこの屋敷の10倍はあるそうだ。
門を通って少し走ると入口に着いた。

「えっ!」
私はそこで目を点にしてしまった。
なんと使用人がずらりと並んでくれていたのだ。

「あのう、オイゲン様。誰か他にいらっしゃるのですか?」
「いや、姉上の夫のエーリック様は今日は来ているとは聞いていないから、クラウディア嬢の迎えだと思うよ」
笑ってオイゲン様が言ってくれたんまだけど、

「いや、私、属国の男爵家の令嬢ですよ。それに今は制服ですし」
「まあ、俺も学生時代は制服だったからな。ここは気にしなくて、アデライド先生に教えてもらったようにすれば良いんじゃないか」
「さすがに、これはないのでは」
私は唖然としたが、馬車はさっさと正面玄関に止まってしまったのだ。

唖然とする私を置き去りにしてあっさりとオイゲン様は降りてくれて、
「クラウ、大丈夫だったか? 叔父上に何か余計なことをされなかったか」
オイゲン様を押しのけるようにルードが顔を出して、聞いてきたんだけど、
「おい、余計なことってなんだよ」
オイゲン様は気分を害されたみたいだ。
「いえ、オイゲン様にはとても良くして頂いて」
私は慌てて否定したが、

「ルード、さっさとクラウちゃんをエスコートして、お父様とお母様に紹介して」
後ろからエルザさんが声を掛けてきた。

「判りました」
そう言うと、ルードは私に手を出してくれた。
皆こちらを見てくれるんだけど、私は真っ青になってルードに手を引かれて馬車を降りた。

「お祖父様。お祖母様。私の再従兄妹のクラウディア嬢です」
公爵夫妻と思える方々に私は紹介してもらえた。

「おはちゅにお目にかかります。オイシュタット男爵家のクラウディアです」
いきなり私は咬んでしまった。
真っ青になったが、なんとかカーテシーは出来たと思う。

「まあ、こんなかわいい親戚が来てくれてとても嬉しいわ」
そう言うと、私は公爵夫人に抱きしめられていたのだ。

ええええ! いきなり抱きしめるなんてあったっけ?
私はその瞬間頭が真っ白になって後は何をしたか良く覚えていなかった。
*********************************************************
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
アドリブが出来ないクラウでした。


私の電子書籍化された小説第三巻がシーモア様で先行配信開始
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました』
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