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ルード視点 母が父と喧嘩して実家に里帰りするのに強引につきあわされてしました

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「お判りになりまして?」
やっと母の怒りが少し収まってきた。
俺はほっとした。これでやっとお説教タイムが終わると俺は期待したのだ。

「まあ、しかし、エルザも、わざわざ、属国の男爵令嬢ごときの為に学園に出向かなくてもよいのではないか」
父は余計な一言を発してくれたのだ。
それは火山に爆弾を落とすようなものだった。

「あなた、何かおっしゃられまして」
冷え冷えとした母の声が部屋に響いた。
「えっ、いや、そのだな、エルザの体面的なものもあるかと」
この父は何年母と付き合っているのだろう。
そんなこと言ったらどうなるか、火を見るよりも明らかなのに!

「何が対面的なものなのです。クラウちゃんは私の親友のエレオノーレの娘なのです。その娘の為に私が動いて何が悪いのですか? そもそもお家騒動の時にルードを預かってもらったのですよ。我が家の恩人の娘に対して私が動いて何が悪いのです?」
母がマシンガンのように話しだした。
「いや、それはそうだが、すでにルードがある程度面倒を見ているのであろう」
「それが頼りないから私が動いたのですが」
「いや、しかしだな、その者の祖母はわが父上との婚約があるにもかかわらず、カッセルの伯爵令息と駆け落ちした者ではないか。父上の勘気が解けぬのに、その方が動くと父上が煩いのではないか」
父が恐る恐る言ってくれたのだ。

バキン
その瞬間、母の目の前に置かれた花瓶が割れたのだ。

「「「えっ?」」」
俺達は皆唖然とした。
おそらく母の怒りで魔力が少し暴走したのだ。
これは完全に母が切れた印だった。
もう最悪だ。

「あなた、何年前のお話をしていらっしゃるのです」
冷え冷えとした声で母が話した。

「いや、何年前といわれても」
「もう何十年も前の話ではございませんか」
「いや、まあそうだが、父にとっては許せないのだろう」
「何を仰るのですか? そもそも祖母の問題にその孫が責任あるのですか」
「いや、まあ、血が繋がっているから」
「はああああ! 血が繋がっているということなら、私もライゼマン公爵家の出身ですから私も繋がっております。クラウちゃんの祖母は私の叔母ですから。あなたは私にも責任があるとおっしゃるのですね」
母が血相を変えて言い出したのだ。

「いや、待て、何もそうとは」
「確かに婚約者がいるにもかかわらず、カッセルの伯爵令息と駆け落ちした叔母さまは悪かったとは思います。でも、その孫になんの罪があるのですか?
この子はルードが助けに行った時にほとんど奴隷同然の暮らしをさせられていたのですよ。
ボロボロの格好をして、継母に鞭打たれていたのです。
このルードの恩人の娘がですよ」
母はそう涙ながらに俺を全面に出してきたのだ。
俺と父との目があった。
「いや、それは」
「あなた、私、お願いしましたよね。エレオノーレが死んだ時にその娘のクラウちゃんがちゃんと生活を送れるようにカッセル国王に頼んで下さるように」
「それは外務に伝えたぞ」
「その結果が奴隷ですか」
母はにべもなかった。

「いや、それは……」
「私があなたにあれほどお願いしたのに、その子は奴隷になって継母に鞭打たれていたのです。
私の親友のエレオノーレは、我が家のお家騒動の時に色々と骨折ってくれたのです。そして、死ぬ間際に私に娘をよろしく頼むと言われていたクラウちゃんを奴隷にさせていたのです。聞く所によるとボロ布を着せられて奴隷のように毎日鞭打ちされていたと言うではありませんか?
私があれほど頼まれたのに。
そうですね。それもこれも、他人任せにしてキチンと面倒見なかった私が悪いのです」
母は地面を見て涙ぐんだのだ。

「いや、エルザ」
「私、これまではあなたに大切にされていると思っておりました。でも、私があれほど大切にしてほしいとあなたにお願いした子供が奴隷にされていたなんて」
「いや、だから」
「だからも糞もありませんわ。あなたを信じた私が間違いでした」
淡々と母が言いだした。絶対にこれはまずいやつだ。
感情的になっていればいいが淡々となったときほど母が怖いときはないのだ。

「いや、エルザ」
「私今回の件でつくづく判りました。お義父様のご不興を買っているライゼマン公爵家の係留など奴隷になってもあなたは何も思われないのですね」
きっとして母は父を睨んだんだけど、これはまずい、絶対に俺が巻き込まれる。

「いや、そんなことはないぞ」
「現実にそうだったではありませんか」
「いや、それはカッセル国王がだな」
「私はあなたに言っているのです。カッセル国王など関係ありません」
「……」
父は何も言えなかった。口が開いたり閉まったりしていた。
「私はあなたにあれほどお願いいたしましたのに、その結果が奴隷なんて。私はそう言うふうにしかあなたに思われていないのですね」
「いや、まて、エルザ」
父が言い訳に前に出ようとして母は俺を前に出したのだ。
俺は危うく父と全面衝突するところだった。
夫婦喧嘩なら俺のいないところでやってほしい。

「判りました。そう言うことでしたら実家に帰らせて頂きます」
母が言いきったのだ。

「えっ、いや、エルザ、待て」
「今回、なぜこの様になったか。私のお願いがどうして守られなかったのか、あなたからきちんとした説明があるまでは帰りませんから。そのつもりで」
そう叫ぶと母は俺の手を引いてそのまま父の部屋を飛び出したのだ。

バキンと大きな音がしたのは母が力任せに扉を締めてその扉に父が顔をぶつ音だったのだろう。

母はそのまま、俺の手を引いて馬車乗り場まで俺を引っ張っていったのだ。
いや、いい加減俺の手を離してほしい!

俺はそう思ったのに、無理やり母に連れられてそのまま母の実家に連れて行かれてしまったのだ。
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