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連れ去られた部屋からルードが助け出してくれました

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私は息苦しさで目を覚ました。
なんか体が揺れている。
視界は真っ暗だった。
「ううう!」
声を出そうとして猿轡をはめられているのに気付いた。
両手も動かない。
後ろ手で縛られているみたいだ。
なんかずた袋みたいなのに両手両足を縛られていれられてる。
そのままどこかに運ばれているみたいだ。

どうしてこうなった?
クスリで眠らされたんだ。
確か、女の子に引っ張られて奥の部屋に連れて行かれて、カーテンを越えたところでいきなり誰かに後ろから抱きつかれて、薬か何かをかがされて意識を失ったのだ。

ルードからもらったお守りは役に立たなかったみたいだ。
抱きつかれたくらいでは発動しないんだろうか?
真っ暗で何も見えない。

皆と一緒にいたのに……さらわれるなんて……
これなら強引にコンスと一緒にいれば良かった。
いや、私はチャンバラなんてできない。
もしやっていたら、子供たちに絶対にボコボコにされていた。
無理だ。

子供たちなら大丈夫だと安心したのが間違いだった。

どうしよう?

そういえばルードからもらった指輪もあったんだ。
そういえば何かあったら祈れって言っていた。

ルード、助けて!
私は祈ったのだ。

一心不乱にに祈ったのに何の反応もなかった。

私が意地悪ばかりするルードが嫌いだと思ったからいけないのだろうか?

ルード、変なこと思って悪かったから、お願いだから助けて!

ドン
痛い!
ルードが現れる代わりに私はどさりと顔から地面に落とされたのだ。

完全に私は荷物扱いみたいだった。

そのまま、袋から出された。

「ほおううう、結構な美形ではないか」
その声を聞いてゾクリと背筋が震えた。
司祭服を着た大柄な中年男がいやらしい笑みを浮かべていた。

その横の女を見て私は驚いた。
「うううう」
私が話せないのを見て、女が猿轡を緩めてくれた。

「あなたはテナさん」
私たちを案内してくれたシスターだ。

「ほお、私の名前を憶えていてくれたんだ」
喜んで言ってくれるが

「私をこんなところに連れてきて、どうするつもりなの?」
先ほど話していたきれいなものを見せてくれるわけはないと思ったけれど、私は一応聞いてみた。
碌なことはないと思うけれど。

「そうだね。お嬢ちゃんには私は何の恨みもないけれど、教会としてはあんたが学園にいるのは邪魔みたいだよ」
「邪魔って、私は何もしていないわ」
「よく言うね。あんたがいると、いろいろと不都合があるみたいだよ。大司教様が注意しようとしてあんたを呼び出したけれど、あんたは来なかったんだろ。素直に来ればよかったのに」

ええええ! 私を注意したかったから私を呼んだだけなの?
行っていれば、こんなことが回避できたのなら、行ったのに!
一瞬私はそう思った。

「もっともそれだけで済んだとは思えないけれど……」
ニヤニヤ笑うテナのその言葉に私はがっかりした。
そうだ。それだけで済むわけはないのだ。

「そうだ。これを回収しておけって言われていたんだった」
思い出したようにテナは言うと私の胸元に手を入れてきたのだ。
「な、何をするの?」
私の声は無視して、鎖を掴むとネックレスを引っ張り出してくれた。
ブラウスのボタンが一部はじけ飛ぶ。
「キャッ」
私が声を出したが、その時にはテナの手にルードのくれたお守りが握られていた。
「お、お守り」
「ふんっ、お守りか、ここでは使えないよ」
そう言ってテナはお守りを外そうとしたが、私の首に絡まってお守りは外れない。
逆に私の首が絞まって痛い。

「やめて!」
私は抵抗しようとするが、両手足を縛られているのでほとんど動けない。

「煩い女だね。静かにしておいで」
テナが鎖を引きちぎろうとしたが、うまくいかなかった。

「テナ、俺がこのお嬢ちゃんをかわいがってもいいのか」
鼻息荒く隣の男が言ってくれた。
私はぴくりと震えた。
こんな状況で男に襲われたら抵抗も出来ない。

「少し待ちな。そういうことは大司教様にお伺いを立ててからだ」
テナが言ってくれた。
「ちぇっ、いつも大司教のお下がりかよ」
男がぶつぶつ言っているんだけどお下がりって何よ……
どのみち碌なことがないみたいだ。
私はいい加減に貞操の危険を感じた。

こうなれば魔術を使って、この部屋を破壊してやる。
「ファイア」
私は叫んで火の魔術を使おうとしたのだ。
でも、少し手に光を感じたけれど、何も使えなかった。

「愚かだね。大聖堂の結界の中では魔術は使えないんだよ。だからこのお守りも動かなかったろう」
テナが自慢げに暴露してくれた。
そうか、それでお守りは発動しなかったんだ。

としたら、私、今回は本当にやばい。
でも、すぐそばにルードたちがいるのだ。
私を絶対に探し出してくれる。
私は救出されるのを待てばいいのだ。

「ふんっ、何か期待しているみたいだけど、この部屋は外部の人間には絶対に見つけられないよ。教会関係者以外は存在さえ知らないからね。いくらみんなして探しても見つけられないのさ」
そういうとテナは笑ってくれた。
「そんな」
私は絶望を感じた。
「だから、お嬢ちゃん、それまで俺たちと楽しもうぜ」
男がにやりと笑って近づいてこようとした。
その手には注射器が握られていたんだけど
「何なの? それは」
「なあに、最初はちくりと痛いが、それだけだ。あとは天国が見れるぜ」
男は笑って言ってくれるが、これは麻薬か何かだ。麻薬中毒になるのはまずい。
「そうそう、抵抗するのは最初の間だけよ。あとはみんな喜んで注射されるのを喜ぶのさ」
テナが笑って私の腕をめくって抑えてくれた。
「おびえる顔もかわいいぜ」
男はそう言って注射器の針を私の腕に刺そうとする。

「嫌ーーーーー!」
私が叫んだ時だ。

ピキンッ
何かがはじけ飛ぶ音がした。

それと同時にお守りが強烈な光を放つと
「「ギャッ」」
近づいてきた二人を弾き飛ばしてくれた。

二人は壁にたたきつけられて、動かなくなった。

私はロープを切ろうといろいろやってみるがなかなかうまくいかない。

「クラウ! 大丈夫か」
ルードが部屋に飛び込んできてくれた。
そしてそのまま私に抱きついてくれたのだ。

「ルード、怖かったよ」
私は助け出されてほっとしたのかルードの胸の中で号泣したのだった。
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