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大司教視点 学園の行事で大聖堂の見学をさせて小娘を拐う計画を立てました
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バリンッ
花の活けてあった花瓶が大きな音をたてて割れた。
俺は目の前にあった花瓶を怒りに任せて地面にたたきつけたのだ。
「おのれーー! あのくそばばあ! よくもこの大司教の俺様にあそこまで好き勝手に言いよってからに!」
俺様は大聖堂に帰るとアデライドのばばあに言い負かされた事を思い出して完全に切れていた。
「どうしたの? 大司教様。そんなに怒って」
そこに能天気な聖女がやってきた。
俺様はその能天気の顔を見て、更に怒りを募らせたのだ。
パシーン!
次の瞬間、その能天気聖女の頬を思いっきり張り倒していたのだ。
「キャッ!」
聖女デジレはその瞬間頬を抑えて地面に倒れていた。
「何するのよ!」
反抗的な目を俺様に向けてきた。
「なんだと、貴様が礼儀作法もわきまえずにいるから、あのアデライドのばばあに延々と文句を言われたのだぞ」
俺はデジレの胸倉を掴むと更に二発張ってやったのだ。
「キャッ、もう止めて」
デジレは泣き出してくれた。
元々大司教である俺様にため口で話していたこやつがすべての元凶なのだ。
「大司教様、さすがにそれ以上は」
ロメウスが止めに入ってきた。
「デジレ、その方などいつでも教会からたたき出してもよいのだぞ。たたき出されたくなければどんなことをしてでもルードの気を引くのじゃ。判ったな!」
俺の怒りがやっとわかったのか
「はい」
泣きながらデジレが頷いてくれた。
「それとランベール。何としてでもあのアデライドのばばあに今回の仕返しをしろ」
「はい? アデライドにですか?」
俺の命に最初からランベールは腰が引けていた。
「貴様も俺様の命令に逆らうのか」
俺がぎろりと睨みつけると、
「大司教様、滅相もございません。ただ、アデライドは学園長も気を使っている相手で私風情ではなかなか厳しかろうと」
ランベールが口を濁した。
確かにそうだ。アデライドのばばあとランベールを比べたら返り討ちにあってさらに醜態を晒す未来しか見えなかった。
「モントラン、その方から宮廷に手を回して、アデライドを貶めろ」
「はい? 私奴でございますか?」
モントランはぎょっとした目で俺を見てくれた。
「しかし、噂によりますと、アデライドは皇帝陛下ですら気を遣う相手だそうです。なかなか難しいかと」
「なんじゃと、皇帝ですら臣下であるあの女の機嫌を取っているというのか? まさか皇帝が物好きにもあの女に手を出したとかいうのではないだろうな」
俺が面白がって言うと、
「さすがの皇帝陛下でも、それはないかと」
笑ってモントランは言った。
「昔からアデライドは直諫の士でして、道理に合わないことも前皇帝陛下にすらズバズバ直言しており、煙たがられていたそうでございます」
「ならば、そこをついて、皇帝とアデライドの間を引き裂けばよいではないか」
俺はよいことを思いついたと思ったのだが
「大司教様。昔、佞臣がそれをやろうとして、アデライドの逆鱗に触れて、領地没収の上、本人は処刑一族郎党は皆平民に落とされたそうでございます」
「な、なんじゃと」
「宮廷の礼儀作法指南で、皇族の皆様も皆、アデライドの指導を受けられており逆らいにくいというのもありますが、皇太后様、皇后様にいたく気に入られており、下手をすると大司教様のお身分にもかかわるかと」
モントランの言うことも一理ある。あのようなババアに気を使うのも癪だが、我が身は今はまだ皇帝よりも身分は低い。まもなく訪れるであろう神の導きの前に余計なことをして、ケチがつくのもまずい。
しかし、言い出したことをここで引っ込めると威信に関わる。
ここはどうしたものか?
俺様が悩んでいる時だ。
「恐れながら、アデライドの裏をかく方法がございます」
ロメウスが言ってくれた。さすが我が謀臣、こういう時には役に立つ。
「今アデライドはかの小娘に礼儀作法の補講までしておりまする。その小娘に瑕疵をつけるのはいかがでございますか」
「瑕疵をつけるとは?」
ロメウスの言うことは時たま理解し難い。本を読みすぎているのか難しい言葉を平然と使ってくれるのだ。
「簡単に言うと拐ってこちら側につければいかがでしょうか? 目をかけていた小娘が我ら教会側につけばアデライドも怒り狂うでしょう」
「どうやるのだ? そうしようとして今まで四苦八苦した挙げ句に失敗しておるではないか」
不機嫌に俺は言った。
元はと言えば、ルードが気にかけている小娘をこの大聖堂に言いくるめて連れてきて俺様の愛人にするという話だったのだ。
それがアデライドがでてくることによって散々な目に合ったのが今だ。
「それが出来たら苦労しないのではないか」
モントランまで頷いてくれた。
「今度一年生の課外授業で大聖堂の見学に来てもらえればよいのです。孤児院とのセットにすれば学園もいやとは言わないでしょう」
「そうかその手があったの」
俺は手を打った。
「そこで拉致するのじゃな」
「左様でございます。その後薬漬けにして後は大司教様のお好きになされば良いかと」
「そうじゃな」
俺は上機嫌になった。
「そこで行方不明になればアデライドの監督不行き届きをつけるやもしれんの」
俺はニヤリとした。
これこそ、小娘を手に入れて、生意気なルードの小僧の慌てふためくさまも見れて、アデライドを貶める一石三鳥かもしれん。
俺は笑いが止まらなくなったのだ。
花の活けてあった花瓶が大きな音をたてて割れた。
俺は目の前にあった花瓶を怒りに任せて地面にたたきつけたのだ。
「おのれーー! あのくそばばあ! よくもこの大司教の俺様にあそこまで好き勝手に言いよってからに!」
俺様は大聖堂に帰るとアデライドのばばあに言い負かされた事を思い出して完全に切れていた。
「どうしたの? 大司教様。そんなに怒って」
そこに能天気な聖女がやってきた。
俺様はその能天気の顔を見て、更に怒りを募らせたのだ。
パシーン!
次の瞬間、その能天気聖女の頬を思いっきり張り倒していたのだ。
「キャッ!」
聖女デジレはその瞬間頬を抑えて地面に倒れていた。
「何するのよ!」
反抗的な目を俺様に向けてきた。
「なんだと、貴様が礼儀作法もわきまえずにいるから、あのアデライドのばばあに延々と文句を言われたのだぞ」
俺はデジレの胸倉を掴むと更に二発張ってやったのだ。
「キャッ、もう止めて」
デジレは泣き出してくれた。
元々大司教である俺様にため口で話していたこやつがすべての元凶なのだ。
「大司教様、さすがにそれ以上は」
ロメウスが止めに入ってきた。
「デジレ、その方などいつでも教会からたたき出してもよいのだぞ。たたき出されたくなければどんなことをしてでもルードの気を引くのじゃ。判ったな!」
俺の怒りがやっとわかったのか
「はい」
泣きながらデジレが頷いてくれた。
「それとランベール。何としてでもあのアデライドのばばあに今回の仕返しをしろ」
「はい? アデライドにですか?」
俺の命に最初からランベールは腰が引けていた。
「貴様も俺様の命令に逆らうのか」
俺がぎろりと睨みつけると、
「大司教様、滅相もございません。ただ、アデライドは学園長も気を使っている相手で私風情ではなかなか厳しかろうと」
ランベールが口を濁した。
確かにそうだ。アデライドのばばあとランベールを比べたら返り討ちにあってさらに醜態を晒す未来しか見えなかった。
「モントラン、その方から宮廷に手を回して、アデライドを貶めろ」
「はい? 私奴でございますか?」
モントランはぎょっとした目で俺を見てくれた。
「しかし、噂によりますと、アデライドは皇帝陛下ですら気を遣う相手だそうです。なかなか難しいかと」
「なんじゃと、皇帝ですら臣下であるあの女の機嫌を取っているというのか? まさか皇帝が物好きにもあの女に手を出したとかいうのではないだろうな」
俺が面白がって言うと、
「さすがの皇帝陛下でも、それはないかと」
笑ってモントランは言った。
「昔からアデライドは直諫の士でして、道理に合わないことも前皇帝陛下にすらズバズバ直言しており、煙たがられていたそうでございます」
「ならば、そこをついて、皇帝とアデライドの間を引き裂けばよいではないか」
俺はよいことを思いついたと思ったのだが
「大司教様。昔、佞臣がそれをやろうとして、アデライドの逆鱗に触れて、領地没収の上、本人は処刑一族郎党は皆平民に落とされたそうでございます」
「な、なんじゃと」
「宮廷の礼儀作法指南で、皇族の皆様も皆、アデライドの指導を受けられており逆らいにくいというのもありますが、皇太后様、皇后様にいたく気に入られており、下手をすると大司教様のお身分にもかかわるかと」
モントランの言うことも一理ある。あのようなババアに気を使うのも癪だが、我が身は今はまだ皇帝よりも身分は低い。まもなく訪れるであろう神の導きの前に余計なことをして、ケチがつくのもまずい。
しかし、言い出したことをここで引っ込めると威信に関わる。
ここはどうしたものか?
俺様が悩んでいる時だ。
「恐れながら、アデライドの裏をかく方法がございます」
ロメウスが言ってくれた。さすが我が謀臣、こういう時には役に立つ。
「今アデライドはかの小娘に礼儀作法の補講までしておりまする。その小娘に瑕疵をつけるのはいかがでございますか」
「瑕疵をつけるとは?」
ロメウスの言うことは時たま理解し難い。本を読みすぎているのか難しい言葉を平然と使ってくれるのだ。
「簡単に言うと拐ってこちら側につければいかがでしょうか? 目をかけていた小娘が我ら教会側につけばアデライドも怒り狂うでしょう」
「どうやるのだ? そうしようとして今まで四苦八苦した挙げ句に失敗しておるではないか」
不機嫌に俺は言った。
元はと言えば、ルードが気にかけている小娘をこの大聖堂に言いくるめて連れてきて俺様の愛人にするという話だったのだ。
それがアデライドがでてくることによって散々な目に合ったのが今だ。
「それが出来たら苦労しないのではないか」
モントランまで頷いてくれた。
「今度一年生の課外授業で大聖堂の見学に来てもらえればよいのです。孤児院とのセットにすれば学園もいやとは言わないでしょう」
「そうかその手があったの」
俺は手を打った。
「そこで拉致するのじゃな」
「左様でございます。その後薬漬けにして後は大司教様のお好きになされば良いかと」
「そうじゃな」
俺は上機嫌になった。
「そこで行方不明になればアデライドの監督不行き届きをつけるやもしれんの」
俺はニヤリとした。
これこそ、小娘を手に入れて、生意気なルードの小僧の慌てふためくさまも見れて、アデライドを貶める一石三鳥かもしれん。
俺は笑いが止まらなくなったのだ。
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