4 / 95
継母に引っ叩かれましたが、帝国からの使者に助けてもらいました2
しおりを挟む
でも、このままではいけない。一生涯コイツラの奴隷なんて嫌だ。
どうしよう?
そう悩んでいるときに冒頭の夢を見たのだ。
私はどうかしている。私が婚約破棄されることよりも、私があんなイケメンの婚約者になれるなんて事はあり得ないのだ!
だって、私は男爵家で働くしがないメイドなんだから。
そう思いながら朝の雑用をしていた時だ。
私は継母に呼ばれたのだ。
それも自分の掘っ立て小屋に。
「クラウディア! これは何なの!」
継母は私の宝箱をひっくり返したのだ。
私がいざと言う時のためにと必死にためていた硬貨などが散乱した。
「キャー、お継母様」
私は叫んで必死に硬貨を拾い集めようとした。
パシーン
私はまた、継母に引っ叩かれた。
やばい、顔から、地面に叩きつけられる、
と、覚悟した時だ。
ハシッと抱き止められた。
その抱き止めた人を見たら、逆光だけどとても綺麗な金髪が見えた。
「あ、有り難うございます」
私は受け止めてくれた見ず知らずの人にお礼を言った。
「いや、つい手が出てしまった。大丈夫か?」
男は優しく私の頬に手を伸ばしてくれた。
「痛いっ!」
頬に痛みが走って思わず私は声をあげていた。
「あ、すまない」
男は慌てて謝ってくれた。
「ちょっと、あなた、誰なの? お金をちょろまかせたメイドを注意して教育しているところを、邪魔しないでくれる?」
継母が、ヒステリックに叫んでくれた。
お金はちょろまかしてなんてしてないわよ! それは必死にないし良くして貯めたお金だ。
でもそんな事言ったら三倍返しになる。ここは我慢だ。
「教育に、暴力とはカッセル王国は野蛮なのだな」
でも、男の人が私に代わって言ってくれた。野蛮なのはこのまま母だけだけど。
「な、何ですって!」
男の声に継母は、更に切れていた。
「ルード様、こちらにいらっしゃいましたか?」
後ろから、慌てて、その男の側近らしい人が飛んできた。
「フリーダ、どうしたんだ?」
同時に父が、飛んできた。
「あなた、この男がメイドを注意したら、文句を言ってきたのよ」
「フリーダ、言葉は慎みなさい。こちらは帝国の学園からいらっしゃったルード様だ」
父が私を助けてくれた男を継母に紹介していた。
「えっ、帝国から」
継母の態度が変わった。
「まあ、ようこそいらっしゃいました。オイシュタット男爵の妻のフリーダと申します」
母が私を張り倒して男に文句を言っていたことが無かったかのように態度を変えてくれた。
「……」
私は開いた口が塞がらなかった。
「オイシュタット男爵。あなたの妻はメイドに暴力を振るっていたが」
流石にムットしてルードが言った。
「……」
父は一瞬言葉に詰まった。
「いや、ルード様。そのメイドが相当なことをしたのでしょう。メイドへのしつけも時には必要ですからな」
父の後ろからでっぷりと太った貫禄のある男が出てきた。
「ほおーーーー。外務卿はカッセルではメイドの教育に暴力を振るうとそう言われるのだな」
私は外務卿という言葉に驚いた。何故そんな偉い人がこの男爵家にいるの?
「いや、そう言うわけでは……たまにはそう言うこともあるかと勘案いたした次第でして」
更に外務卿がルードにおもねったのだ。
私は唖然とした。
ルードは帝国の中でも相当偉いらしい。
「いや、申し訳ありません。ルード様。家内にも後で言い聞かせておきますので。フリーダ!」
父が慌てた。
それはそうだろう。
我が男爵家からしたら雲の上の外務卿にこれ以上庇ってもらうわけにもいかない。
それにその外務卿がおもねる相手の機嫌を損じたら、後で王宮から叱責を受けることにも繋がるのだ。
下手したら叱責だけでは済まない。
「申し訳ありません、ルード様」
母も仕方無しにルードに謝った。
「謝る相手を間違っているのではないのか?」
じろりとルードは継母を睨んだ。
「えっ?」
継母は固まった。
「こちらのメイドに謝るべきだろう」
ルードは私を前に押し出してくれたのだ。
じろりと継母が私を睨んでくれた。
止めて! あなたが帰った後で今度は4倍返しされるから!
私は必死にルードを見つめたのに、ルードは許してくれなかった。
「オイシュタット男爵!」
ルードは今度は父に促したのだ。
横で必死に外務卿が継母に謝れと言っていた。
いや、止めてったらあとが怖いから!
私はそう言いたかったが、こんな中で言えることではなかった。
「フリーダ!」
「も、申し訳なかったわ」
噛みながらフリーダが私に棒読みで謝ってきた。
でもその目は後で覚えていなさいよと言っていた。
ああああ! これはだめな奴だ。5倍返しだ。
私は暗澹としたのだった。
*********************************************
どうなるクラウ?
お気に入り登録
感想等頂けたら嬉しいです
どうしよう?
そう悩んでいるときに冒頭の夢を見たのだ。
私はどうかしている。私が婚約破棄されることよりも、私があんなイケメンの婚約者になれるなんて事はあり得ないのだ!
だって、私は男爵家で働くしがないメイドなんだから。
そう思いながら朝の雑用をしていた時だ。
私は継母に呼ばれたのだ。
それも自分の掘っ立て小屋に。
「クラウディア! これは何なの!」
継母は私の宝箱をひっくり返したのだ。
私がいざと言う時のためにと必死にためていた硬貨などが散乱した。
「キャー、お継母様」
私は叫んで必死に硬貨を拾い集めようとした。
パシーン
私はまた、継母に引っ叩かれた。
やばい、顔から、地面に叩きつけられる、
と、覚悟した時だ。
ハシッと抱き止められた。
その抱き止めた人を見たら、逆光だけどとても綺麗な金髪が見えた。
「あ、有り難うございます」
私は受け止めてくれた見ず知らずの人にお礼を言った。
「いや、つい手が出てしまった。大丈夫か?」
男は優しく私の頬に手を伸ばしてくれた。
「痛いっ!」
頬に痛みが走って思わず私は声をあげていた。
「あ、すまない」
男は慌てて謝ってくれた。
「ちょっと、あなた、誰なの? お金をちょろまかせたメイドを注意して教育しているところを、邪魔しないでくれる?」
継母が、ヒステリックに叫んでくれた。
お金はちょろまかしてなんてしてないわよ! それは必死にないし良くして貯めたお金だ。
でもそんな事言ったら三倍返しになる。ここは我慢だ。
「教育に、暴力とはカッセル王国は野蛮なのだな」
でも、男の人が私に代わって言ってくれた。野蛮なのはこのまま母だけだけど。
「な、何ですって!」
男の声に継母は、更に切れていた。
「ルード様、こちらにいらっしゃいましたか?」
後ろから、慌てて、その男の側近らしい人が飛んできた。
「フリーダ、どうしたんだ?」
同時に父が、飛んできた。
「あなた、この男がメイドを注意したら、文句を言ってきたのよ」
「フリーダ、言葉は慎みなさい。こちらは帝国の学園からいらっしゃったルード様だ」
父が私を助けてくれた男を継母に紹介していた。
「えっ、帝国から」
継母の態度が変わった。
「まあ、ようこそいらっしゃいました。オイシュタット男爵の妻のフリーダと申します」
母が私を張り倒して男に文句を言っていたことが無かったかのように態度を変えてくれた。
「……」
私は開いた口が塞がらなかった。
「オイシュタット男爵。あなたの妻はメイドに暴力を振るっていたが」
流石にムットしてルードが言った。
「……」
父は一瞬言葉に詰まった。
「いや、ルード様。そのメイドが相当なことをしたのでしょう。メイドへのしつけも時には必要ですからな」
父の後ろからでっぷりと太った貫禄のある男が出てきた。
「ほおーーーー。外務卿はカッセルではメイドの教育に暴力を振るうとそう言われるのだな」
私は外務卿という言葉に驚いた。何故そんな偉い人がこの男爵家にいるの?
「いや、そう言うわけでは……たまにはそう言うこともあるかと勘案いたした次第でして」
更に外務卿がルードにおもねったのだ。
私は唖然とした。
ルードは帝国の中でも相当偉いらしい。
「いや、申し訳ありません。ルード様。家内にも後で言い聞かせておきますので。フリーダ!」
父が慌てた。
それはそうだろう。
我が男爵家からしたら雲の上の外務卿にこれ以上庇ってもらうわけにもいかない。
それにその外務卿がおもねる相手の機嫌を損じたら、後で王宮から叱責を受けることにも繋がるのだ。
下手したら叱責だけでは済まない。
「申し訳ありません、ルード様」
母も仕方無しにルードに謝った。
「謝る相手を間違っているのではないのか?」
じろりとルードは継母を睨んだ。
「えっ?」
継母は固まった。
「こちらのメイドに謝るべきだろう」
ルードは私を前に押し出してくれたのだ。
じろりと継母が私を睨んでくれた。
止めて! あなたが帰った後で今度は4倍返しされるから!
私は必死にルードを見つめたのに、ルードは許してくれなかった。
「オイシュタット男爵!」
ルードは今度は父に促したのだ。
横で必死に外務卿が継母に謝れと言っていた。
いや、止めてったらあとが怖いから!
私はそう言いたかったが、こんな中で言えることではなかった。
「フリーダ!」
「も、申し訳なかったわ」
噛みながらフリーダが私に棒読みで謝ってきた。
でもその目は後で覚えていなさいよと言っていた。
ああああ! これはだめな奴だ。5倍返しだ。
私は暗澹としたのだった。
*********************************************
どうなるクラウ?
お気に入り登録
感想等頂けたら嬉しいです
77
お気に入りに追加
354
あなたにおすすめの小説
【完結】わたしはお飾りの妻らしい。 〜16歳で継母になりました〜
たろ
恋愛
結婚して半年。
わたしはこの家には必要がない。
政略結婚。
愛は何処にもない。
要らないわたしを家から追い出したくて無理矢理結婚させたお義母様。
お義母様のご機嫌を悪くさせたくなくて、わたしを嫁に出したお父様。
とりあえず「嫁」という立場が欲しかった旦那様。
そうしてわたしは旦那様の「嫁」になった。
旦那様には愛する人がいる。
わたしはお飾りの妻。
せっかくのんびり暮らすのだから、好きなことだけさせてもらいますね。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
【完】ある日、俺様公爵令息からの婚約破棄を受け入れたら、私にだけ冷たかった皇太子殿下が激甘に!? 今更復縁要請&好きだと言ってももう遅い!
黒塔真実
恋愛
【2月18日(夕方から)〜なろうに転載する間(「なろう版」一部違い有り)5話以降をいったん公開中止にします。転載完了後、また再公開いたします】伯爵令嬢エリスは憂鬱な日々を過ごしていた。いつも「婚約破棄」を盾に自分の言うことを聞かせようとする婚約者の俺様公爵令息。その親友のなぜか彼女にだけ異様に冷たい態度の皇太子殿下。二人の男性の存在に悩まされていたのだ。
そうして帝立学院で最終学年を迎え、卒業&結婚を意識してきた秋のある日。エリスはとうとう我慢の限界を迎え、婚約者に反抗。勢いで婚約破棄を受け入れてしまう。すると、皇太子殿下が言葉だけでは駄目だと正式な手続きを進めだす。そして無事に婚約破棄が成立したあと、急に手の平返ししてエリスに接近してきて……。※完結後に感想欄を解放しました。※
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる