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第十三章 全能神の逆襲
せっかく出てきた戦神は思う存分戦う前に無理やり帰らされました
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「で、ボケナスゼウスはどこに行ったのだ」
シャラザールはやる気満々だった。
久々の出番なのだ。それも真打ち登場の場面でやっと出てこれたのだ。
最近はクリスのレベルが上ったので、中々出番がなかったのだ。
サウス王国でクリスの魔力切れで出た時は既に雪女はクリスによって退治されたあとだったし、パレルモ王国でも悪の権化はクリスが退治したあとだった。マーマレードでもクリスのもとに帰って来た時は魔王を浄化した後だったし、最近はまともに良い所で来臨できていないのだ。
今回は久々の出番だった。
それも巨悪のゼウスが残っているのだ。もともと、ゼウスを地獄に叩き落としたのはシャラザールだったし、元全能神に勝てるのは自分を除いていないなだろう。絶対に見せ場だった。
しかし、せっかくの見せ場なのに、観客が少ないように思うのは自分だけだろうか。
アルバートらはやられて倒れているみたいだし、いつもの腰巾着のあやつらはどうしたのだろう。
「そこの小娘」
シャラザールは唯一立っているビアンカを呼んだ。
「えっ」
ビアンはまさか自分が戦神に呼ばれるとは思ってもいなかった。
後ろを見るが誰もいない。
「私ですか?」
おっかなびっくりでビアンカは聞いた。
「その方しかおるまい。何を驚くことがあろう。5年前に人買いに攫われたその方を助けてやったことがあろうが」
「えっ」
ビアンカは驚いた。人さらいに攫われたのは事実で何故助かったのか本人は良く判っていなかったのだ。その後とても怖れられていたのを何でだろうと思っていたのだが。
「そうじゃ。余がその時に貴様に憑依して助けてやったのじゃ。城もろとも焼却してな」
シャラザールは笑っていった。
「そ、その節はありがとうございました」
そんな恐ろしいことをしてくれたんだ。皆が恐れるのも当然のことだったのだ。
「ん、まあ、そのような事は気にせずとも良いぞ」
シヤラザールは上機嫌で言った。
「それよりもアレクやジャンヌはどうしたのじゃ」
肝心なことを尋ねる。あやつらは使い道もいろいろあって便利なのだ。いないと少し不便だった。
「ジャンヌ様はアレク様を助けに行っていらっしゃいます」
「まだ帰って来ぬのか」
少し不機嫌にシャラザールが言う。他は、周りを見回すが、無様に倒れているものが目についた。
「アルバートらは大した事はなかったの。もう一度訓練のやり直しじゃ。その点、その方のミラーは素晴らしかったぞ」
「あ、ありがとうございます」
ビアンカは褒められるとは思ってもいなかったので、驚いた。
「それにしてもゼウスのやつは何故起き上がって来ぬ」
シャラザールがそちらを見た時だ。
「喰らえ」
その時上空からゼウスが転移してきて雷撃を落としていた。
しかし、それはシャラザールが剣で軽く弾く。
「おのれ、シャラザール。ここで会ったが、100年目」
「何を申す、4年前にその方を地獄に叩き落としてやったではないか」
ゼウスの言葉にシャラザールが馬鹿にしていった。
「そう言う諺じゃ。まあ、馬鹿に言っても効かんな」
「ふんっ、雷撃は4年前も余には効かなかったであろうが。それをまた余に浴びせるとは馬鹿は貴様の方であろう」
お互いに言い合う。
ゼウスは憑依元の小娘を散々痛めつけたのだからシャラザールは結構ダメージを受けていると思っていた。
「まあ良い。余の必殺技貴様も受けてみるが良い」
そう言うと杖を構える。
「必殺超超スーパー闇の一撃」
再びゼウスの周りが真っ黒の闇の奔流に包まれてそれが一気にシャラザールに叩きつけられた。
しかし、シャラザールはそれを剣で叩き斬っていた。
ゼウスの残りの力をすべて集めた必殺の闇の魔術は何の効果もあげずに四散していた。
「な、何故じゃ。何故余の必殺技が効かん。そもそも、小娘をあれだけ痛めつけたのだ。貴様も少しはダメージを受けておろうが」
ゼウスは唖然として言った。
「ふんっ、そのような訳なかろう。余とクリスは別物だからの。余は全然元気じゃ。それも久々の戦場でこれほどやる気があるのは4年ぶりかの」
シャラザールは喜々として言いはなった。
そして、
「では、次は余の番じゃな」
言うや上段に宝剣を構えた。まあ、見物人が少なくとも良かろう・・・・シャラザールはまだ余裕だった。
「ライトニングブラスター」
叫ぶや宝剣を振り下ろしていた。
そして、その凄まじい閃光はゼウスを直撃していた。
ゼウスが張った障壁は一瞬で砕け散り、ゼウスは遥か彼方に弾き飛ばされていた。
シャラザールの言う通り、シャラザールは全くダメージを受けていなかった。一方のゼウスはクリスの聖魔術に少なからぬダメージを受けていた。
はるか先の宮殿を1つ木端微塵に破壊してゼウスは瓦礫に埋もれて止まった。
ゼウスはここは一旦引くしか無いだろうと冷静な判断を下す。
引くと言ってもここが地上の本拠地だったのだが・・・・
どうすべきかゼウスは必死に考えを巡らせている時だ。
シャラザールは全然ゼウスが起き上がって来ないのでこちらから向かおうとしたその時だ。
信号弾を確認した。
地下牢の方向と皇帝宮の方向だった。
「小娘、この合図は何の合図なのじゃ」
シャラザールが聞いた。
「はい、一つは地下牢にとらわれていた人全員を解放出来たという合図で、もう一つはアレク様を助けられたという合図です」
ビアンカが言う。
「そうか、捕まっていた奴らか開放されたのじゃな。それでは思い残すこと無く思いっきり暴れられるな」
シャラザールは喜々として言った。
「あのう、シャラザール様・・・・」
言いにくそうにビアンカがボソボソ言った。
「何じゃ、小娘、よく聞こえんが」
「全軍作戦完了した。繰り返す全軍作戦完了した」
ジャンヌの姿が大写しで各地に映し出される。
「ふんっ、恋人を助けられてそれだけ嬉しいのか」
苦々しそうにシャラザールが文句を言う。ジャンヌらももう少し強くなってほしいものだと思っていた。しかし、これ以上強くなると更にシャラザールの出番が無くなることにシャラザールは気付いていなかったが・・・・・
「繰り返す。作戦は完了した。これより撤収する」
ジャンヌが繰り返して、最後にシャラザールにとっては青天の霹靂に思える言葉を放った。
「な、なんじゃと。まだ余は全然戦っておらんぞ」
シャラザールは慌てて言った。
「おい、ジャルカ、どういうことじゃ」
遠くでポセイドン相手に戦っているジャルカにシャラザールが叫んだ。
しかし、戦いに忙しいふりをしてジャルカは無視する。
「おい、小娘、どういうことじゃ」
「どうと言われましても当初の設定通り撤収としか」
「何、撤収とな、まだ敵が残っておるではないか」
「カウントダウン、3,2,1」
「おい、待て、待つのじゃ、ジャンヌ」
しかし、焦ったシャラザールの叫びはジャンヌに届かなかった。
カチャッと音がすると同時に、魔道具が発動した。
皆次々に転移していく。
次の瞬間、何故か無敵のシャラザールまでもがトリポリの地まで転移していた。
もっと戦いたいというシャラザールの無念をこの地に残して。
シャラザールはやる気満々だった。
久々の出番なのだ。それも真打ち登場の場面でやっと出てこれたのだ。
最近はクリスのレベルが上ったので、中々出番がなかったのだ。
サウス王国でクリスの魔力切れで出た時は既に雪女はクリスによって退治されたあとだったし、パレルモ王国でも悪の権化はクリスが退治したあとだった。マーマレードでもクリスのもとに帰って来た時は魔王を浄化した後だったし、最近はまともに良い所で来臨できていないのだ。
今回は久々の出番だった。
それも巨悪のゼウスが残っているのだ。もともと、ゼウスを地獄に叩き落としたのはシャラザールだったし、元全能神に勝てるのは自分を除いていないなだろう。絶対に見せ場だった。
しかし、せっかくの見せ場なのに、観客が少ないように思うのは自分だけだろうか。
アルバートらはやられて倒れているみたいだし、いつもの腰巾着のあやつらはどうしたのだろう。
「そこの小娘」
シャラザールは唯一立っているビアンカを呼んだ。
「えっ」
ビアンはまさか自分が戦神に呼ばれるとは思ってもいなかった。
後ろを見るが誰もいない。
「私ですか?」
おっかなびっくりでビアンカは聞いた。
「その方しかおるまい。何を驚くことがあろう。5年前に人買いに攫われたその方を助けてやったことがあろうが」
「えっ」
ビアンカは驚いた。人さらいに攫われたのは事実で何故助かったのか本人は良く判っていなかったのだ。その後とても怖れられていたのを何でだろうと思っていたのだが。
「そうじゃ。余がその時に貴様に憑依して助けてやったのじゃ。城もろとも焼却してな」
シャラザールは笑っていった。
「そ、その節はありがとうございました」
そんな恐ろしいことをしてくれたんだ。皆が恐れるのも当然のことだったのだ。
「ん、まあ、そのような事は気にせずとも良いぞ」
シヤラザールは上機嫌で言った。
「それよりもアレクやジャンヌはどうしたのじゃ」
肝心なことを尋ねる。あやつらは使い道もいろいろあって便利なのだ。いないと少し不便だった。
「ジャンヌ様はアレク様を助けに行っていらっしゃいます」
「まだ帰って来ぬのか」
少し不機嫌にシャラザールが言う。他は、周りを見回すが、無様に倒れているものが目についた。
「アルバートらは大した事はなかったの。もう一度訓練のやり直しじゃ。その点、その方のミラーは素晴らしかったぞ」
「あ、ありがとうございます」
ビアンカは褒められるとは思ってもいなかったので、驚いた。
「それにしてもゼウスのやつは何故起き上がって来ぬ」
シャラザールがそちらを見た時だ。
「喰らえ」
その時上空からゼウスが転移してきて雷撃を落としていた。
しかし、それはシャラザールが剣で軽く弾く。
「おのれ、シャラザール。ここで会ったが、100年目」
「何を申す、4年前にその方を地獄に叩き落としてやったではないか」
ゼウスの言葉にシャラザールが馬鹿にしていった。
「そう言う諺じゃ。まあ、馬鹿に言っても効かんな」
「ふんっ、雷撃は4年前も余には効かなかったであろうが。それをまた余に浴びせるとは馬鹿は貴様の方であろう」
お互いに言い合う。
ゼウスは憑依元の小娘を散々痛めつけたのだからシャラザールは結構ダメージを受けていると思っていた。
「まあ良い。余の必殺技貴様も受けてみるが良い」
そう言うと杖を構える。
「必殺超超スーパー闇の一撃」
再びゼウスの周りが真っ黒の闇の奔流に包まれてそれが一気にシャラザールに叩きつけられた。
しかし、シャラザールはそれを剣で叩き斬っていた。
ゼウスの残りの力をすべて集めた必殺の闇の魔術は何の効果もあげずに四散していた。
「な、何故じゃ。何故余の必殺技が効かん。そもそも、小娘をあれだけ痛めつけたのだ。貴様も少しはダメージを受けておろうが」
ゼウスは唖然として言った。
「ふんっ、そのような訳なかろう。余とクリスは別物だからの。余は全然元気じゃ。それも久々の戦場でこれほどやる気があるのは4年ぶりかの」
シャラザールは喜々として言いはなった。
そして、
「では、次は余の番じゃな」
言うや上段に宝剣を構えた。まあ、見物人が少なくとも良かろう・・・・シャラザールはまだ余裕だった。
「ライトニングブラスター」
叫ぶや宝剣を振り下ろしていた。
そして、その凄まじい閃光はゼウスを直撃していた。
ゼウスが張った障壁は一瞬で砕け散り、ゼウスは遥か彼方に弾き飛ばされていた。
シャラザールの言う通り、シャラザールは全くダメージを受けていなかった。一方のゼウスはクリスの聖魔術に少なからぬダメージを受けていた。
はるか先の宮殿を1つ木端微塵に破壊してゼウスは瓦礫に埋もれて止まった。
ゼウスはここは一旦引くしか無いだろうと冷静な判断を下す。
引くと言ってもここが地上の本拠地だったのだが・・・・
どうすべきかゼウスは必死に考えを巡らせている時だ。
シャラザールは全然ゼウスが起き上がって来ないのでこちらから向かおうとしたその時だ。
信号弾を確認した。
地下牢の方向と皇帝宮の方向だった。
「小娘、この合図は何の合図なのじゃ」
シャラザールが聞いた。
「はい、一つは地下牢にとらわれていた人全員を解放出来たという合図で、もう一つはアレク様を助けられたという合図です」
ビアンカが言う。
「そうか、捕まっていた奴らか開放されたのじゃな。それでは思い残すこと無く思いっきり暴れられるな」
シャラザールは喜々として言った。
「あのう、シャラザール様・・・・」
言いにくそうにビアンカがボソボソ言った。
「何じゃ、小娘、よく聞こえんが」
「全軍作戦完了した。繰り返す全軍作戦完了した」
ジャンヌの姿が大写しで各地に映し出される。
「ふんっ、恋人を助けられてそれだけ嬉しいのか」
苦々しそうにシャラザールが文句を言う。ジャンヌらももう少し強くなってほしいものだと思っていた。しかし、これ以上強くなると更にシャラザールの出番が無くなることにシャラザールは気付いていなかったが・・・・・
「繰り返す。作戦は完了した。これより撤収する」
ジャンヌが繰り返して、最後にシャラザールにとっては青天の霹靂に思える言葉を放った。
「な、なんじゃと。まだ余は全然戦っておらんぞ」
シャラザールは慌てて言った。
「おい、ジャルカ、どういうことじゃ」
遠くでポセイドン相手に戦っているジャルカにシャラザールが叫んだ。
しかし、戦いに忙しいふりをしてジャルカは無視する。
「おい、小娘、どういうことじゃ」
「どうと言われましても当初の設定通り撤収としか」
「何、撤収とな、まだ敵が残っておるではないか」
「カウントダウン、3,2,1」
「おい、待て、待つのじゃ、ジャンヌ」
しかし、焦ったシャラザールの叫びはジャンヌに届かなかった。
カチャッと音がすると同時に、魔道具が発動した。
皆次々に転移していく。
次の瞬間、何故か無敵のシャラザールまでもがトリポリの地まで転移していた。
もっと戦いたいというシャラザールの無念をこの地に残して。
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