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第十三章 全能神の逆襲

帝国皇子たちは絶体絶命の危機に陥りました

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「ペトロ!」
エカテリーナが慌てて駆け寄ろうとする。

「ふんっ、妾に背を向けるとは」
アフロディアは笑うと爆裂魔術をエカテリーナに向けて放とうとした。

「危ない」
ボリスは叫ぶと卵型のものをアフロディアに投げつける。

「フンっ」
アフロディアはそれに爆裂魔術を放った。

その瞬間、凄まじい閃光が光る。
周りは真っ白になって何も見えなくなった。

その隙に二人を助けようとボリスは動こうとするが、

「後ろ」
エカテリーナの叫びに慌てて後ろを振り返る前に、アフロディアの鞭がボリスの背を襲っていた。

「ぎゃっ」
ボリスは叫ぶや壁に叩きつけられた。

「ボリス」
「ふんっ、小賢しい真似を」
半眼でアフロディアが言う。気配だけで鞭を振るったとみえる。

「もう許さない。喰らえ」
エカテリーナは渾身の力で爆裂魔術を放っていた。

「ふんっ」
しかし、それはアフロディアが手を振ると弾き飛ばされて壁に大穴を開けるにとどまっていた。

「うそ、全然通じない」
「ふん、そんなもので妾に通じるとでも思ったのかい」
「お、お母様」
エカテリーナは唇を噛んだ。そうだ、母はアレク並に強いのだ。エカテリーナでは勝てなかった。

でも、なんとかしなければいけなかった。

エカテリーナは針を一本取り出した。

「何じゃそのみみっちいのは」
それを力を込めてアフロディアに向けて加速させる。

アフロディアは爆裂魔術を浴びせた。

加速していた針が吹っ飛ぶ。

しかし、その時には四方八方からエカテリーナが放った針がアフロディアに迫っていた。

「な、何じゃと」
四方八方に爆裂魔術を放つが、全ては防ぎされない。

「ギャーーーー」
針がズブズブとアフロディアに刺さった。

「お、おのれえええ」
切れたアフロディアはエカテリーナ目掛けて特大の爆裂魔術を放とうとして、後頭部に高速で針が突き刺さって頭から地面に突っ込んでいた。
爆裂魔術も逸れる。

その倒れたアフロデイアにブスブス針が刺さるが、アフロディアはあまり、衝撃を受けていないみたいだった。

エカテリーナの魔力切れだった。

針を加速させるだけと言っても何十本もの針を加速させたのだ。エカテリーナの限界だった。

アフロデイアは起き上がると爆裂魔術を放った。

エカテリーナは必死に避ける。

「ギャッ」
しかし、2発目がかすった。かすっただけでエカテリーナは地面に叩きつけられた。

そして、起き上がろうとして後ろからもろに爆裂魔術を食らって壁に叩きつけられていた。

「おのれエカテリーナめ。良くも母である妾にしてくれたな」
怒髪天のアフロディアがゆっくりと近づいた。

「貴様も二度と皆に見られない顔にしてやろうかの」
アフロディアは笑って言った。

そして、ゆっくりとエカテリーナに近寄る。

エカテリーナが必死に逃げようとしたが、這って進むにしても限界があった。

アレクも気絶中。

ペトロは意識不明の重体。ボリスもピクリともしなかった。

エカテリーナは絶体絶命のピンチに陥っていた。
アフロディアはやる時はやるのだ。それが血の繋がっている娘でも。
エカテリーナはもはやどうしようもないと諦めた。


その時だ。
「わっはっはっはっ」
いきなり、廊下から大声が聞こえた。

「余はシャラザールである」
「な、なんじゃと」
アフロディアはキーーーとした目で廊下を睨みつけた。

「どこにいるのだ」
アフロディアは慌てて、飛び出した。

エカテリーナにはそれが廊下に置いてきた魔導電話だろうと判っていた。

「そこを閉めろ」
廊下の扉を慌ててボリスが閉めた。

「あんた、生きていたの」
エカテリーナが慌てて聞く。

「敵を欺くには味方からってね」
「あんた私が殺されそうになった時に何で無視していたのよ。ペトロみたいに身を挺して救いなさいよ」
「後でペトロによく礼を言った方がいいよ姉上」
無視してボリスが言う。

「アフロディア様の時には魔導電話がなかったからしばらく時間が稼げるはずだ。すぐにアレク兄様の拘束を解いて。兄様が少しでも戦力になったらまだ勝てる可能性があるから」
いうや、ボリスが自身でアレクの拘束具を解く。

「兄様」
ボリスはアレクを揺するがアレクはびくともしない。

その時扉がドンドンドンと叩かれた。

「げっ、もう帰ってきた」
ボリスが叫んだ時だ。

扉が一瞬で爆発した。

「おのれ貴様ら、このような姑息な罠を仕掛けよって」
そこには怒髪天のアフロディアが、ボロボロになった魔導電話を両手に持って立っていたのだ。

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