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第十三章 全能神の逆襲
帝国皇子の部屋に踏み込まれました。
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「ペトロ、あなた、私の胸を揉むなんて、何てことしてくれたのよ! オーウェン様さえ揉ませたことはないのに」
エカテリーナは真っ赤になって叫んでいた。何故ここでオーウェンが出てくるのかペトロには判らなかったが。
「いや、ごめん」
頬を張り倒されてなおかつ口汚く罵られているペトロであるが、触ってしまったのは事実なのでここは素直に謝る。
「これはわざとじゃなくて」
「当たり前よ。これがわざとならその場で燃やしているわよ」
今にも爆裂魔術を発動しそうな形相でエカテリーナが言う。
「いやあ、本当にごめん」
ペトロとて女性の胸に顔を埋める行為など初めてでそれで窒息しそうになったなんて言ったらまた殺されそうなので黙っていた。
「本当に。次にやったら殺すからね」
エカテリーナなら本当にやりかねなかった。
「お二人さん。時間ないんで痴話喧嘩はそれくらいでいいかな」
「誰が痴話喧嘩なのよ!」
「痴話喧嘩じゃない!」
二人してボリスに反論していた。
ボリスは肩をすくめるとそれは無視して話しだした。
「まず、アレク兄様がどこで監禁されているかなんだけど」
「でも、ボリス。それは本当なの? アレクお兄様が捕まったって誰に捕まったのよ? お兄様に勝てる人間はこのノルディンにはいなかったと思うけど」
「確かに。ボフミエでもアレク様よりも上といえば、一部だし」
「あなた何言っているのよ。ボフミエの人間なんてお兄様に勝てる人間なんていないわよ」
ペトロの言葉にブラコンのエカテリーナが食って掛かった。
「何言っているんだか。クリス様でしょ・・・・」
「何言っているのよ。あのクリスがお兄様に勝てるわけ無いでしょ」
ペトロの言葉をエカテリーナがぶった斬った。オーウェンを巡る確執からかエカテリーナはクリスに容赦がない。
「えっ、何を言っているんだよ。クリス様は世界最高の魔術師だよ」
「んなわけ無いでしょ。何であの小娘がそうなのよ。絶対に何かのまやかしだわ」
「まあまあ、二人共」
ボリスが抑えようとする。
「ボリス。あんたもクリスの方がお兄様よりも強いと思うの」
「えっ、だって、そうでもないとあのお兄様がその下につく理由が無いでしょ」
ボリスが正論を言う。アレクは唯我独尊、下手したらあの冷酷な皇帝にすら逆らいかねない。それがクリスには従っているのだ。常識的に考えて、どちらが強いかは一目瞭然だった。
「そうだ。アレク様はクリス様にだけは敬語だし」
「それは姉貴分のジャンヌに遠慮しているのよ」
「そうかな。それよりシャラザールに遠慮しているっていうのもあるけれど」
「えっ、なんでここで大昔の戦神が出てくるのよ」
「えっ、ひょっとして知らないの?」
ペトロは慌てて口を閉じた。勝手にバラしたことが判るとまたどんな厄災が降り掛かってくるか判らない。ペトロは青くなった。
「何言っているんだか。ペトロは本当に変なやつね」
エカテリーナが勝手に納得してくれてそれ以上に突っ込んでこないので、ペトロはホッとした。
「僕は皇帝陛下が怪しいと思うんですけど」
「えええ!、たしかにお父さまは冷酷無比だけど、お兄様には勝てないのではなくて」
「薬物を使ってもアレク様には効きにくいですよ」
ペトロはアレクが小さい時から薬物に慣らされているのは聞いていた。
「いや、少し前に陛下を遠くから見たんだけど、何か前よりも力が強くなっている様に感じたんですよ」
「あの父が?」
在位50年の祝賀をしたところなのだ。皇帝は結構な年のはずだった。
「どういうのかな。何か禍々しいものを感じたというか」
「なんかに憑かれたというの?」
「魔王はクリス様が浄化されたはずだし」
「それに、陛下の傍に何かもっと禍々しいものがいたように思うんですよね」
「それは誰なのよ。そんな強いやつはノルディンにはいないわよ」
「怖くなって、すぐその場を離れたからよくわからないんですけど」
思い出すのも嫌そうな顔をしてボリスが言った。あれは本当にまずい奴だと、ボリスの本能が言っていた。
「何やっているのよ。本当にボリスは怖がりね。それじゃ全然わからないじゃない」
「いや、お姉様はそう言われますけど、あれは本当にシャラザール様よりも恐ろしいものだったんですよ」
「ボリスまで何言っているのよ。そんな伝説の戦神出してきても全くわからないじゃない」
エカテリーナは馬鹿にしていった。本当にこの愚弟は使えないと考えながら。
「あっ、それよりも本国に連絡しとかないと」
ペトロが話を逸らすために魔導電話を取り出した。
「あれえ、圏外だ」
「あんたそんなに魔力が弱いの」
バカにしたようにエカテリーナが言う。
「そんなわけないのに」
「切られたんだと思うよ。連絡されたら困るから」
ボリスが腕を組んで言った。
「これを使って、ウィルとつながっているから」
ボリスが魔導電話を操作する。
画面にウィルが映った。
「良かった。ウィル様」
「ペトロ、どうしたんだ。連絡されなくて皆心配しているんだぞ」
ウィルが心配して話しだした。
「よくわからないんですけど、アレク様たちは拘束されたみたいです」
「って誰に?」
「それがよくわからないんですけど」
ペトロがもう少し話そうとした時だ。
いきなり電話がキレた。
「えっ」
「や、やばい。トレースされたみたい」
ボリスが叫んだその時だ。突然目の前に武装した魔術師達が転移してきた。
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『王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/425620227
閑話 3話目発表しました 良ければご覧下さい。
エカテリーナは真っ赤になって叫んでいた。何故ここでオーウェンが出てくるのかペトロには判らなかったが。
「いや、ごめん」
頬を張り倒されてなおかつ口汚く罵られているペトロであるが、触ってしまったのは事実なのでここは素直に謝る。
「これはわざとじゃなくて」
「当たり前よ。これがわざとならその場で燃やしているわよ」
今にも爆裂魔術を発動しそうな形相でエカテリーナが言う。
「いやあ、本当にごめん」
ペトロとて女性の胸に顔を埋める行為など初めてでそれで窒息しそうになったなんて言ったらまた殺されそうなので黙っていた。
「本当に。次にやったら殺すからね」
エカテリーナなら本当にやりかねなかった。
「お二人さん。時間ないんで痴話喧嘩はそれくらいでいいかな」
「誰が痴話喧嘩なのよ!」
「痴話喧嘩じゃない!」
二人してボリスに反論していた。
ボリスは肩をすくめるとそれは無視して話しだした。
「まず、アレク兄様がどこで監禁されているかなんだけど」
「でも、ボリス。それは本当なの? アレクお兄様が捕まったって誰に捕まったのよ? お兄様に勝てる人間はこのノルディンにはいなかったと思うけど」
「確かに。ボフミエでもアレク様よりも上といえば、一部だし」
「あなた何言っているのよ。ボフミエの人間なんてお兄様に勝てる人間なんていないわよ」
ペトロの言葉にブラコンのエカテリーナが食って掛かった。
「何言っているんだか。クリス様でしょ・・・・」
「何言っているのよ。あのクリスがお兄様に勝てるわけ無いでしょ」
ペトロの言葉をエカテリーナがぶった斬った。オーウェンを巡る確執からかエカテリーナはクリスに容赦がない。
「えっ、何を言っているんだよ。クリス様は世界最高の魔術師だよ」
「んなわけ無いでしょ。何であの小娘がそうなのよ。絶対に何かのまやかしだわ」
「まあまあ、二人共」
ボリスが抑えようとする。
「ボリス。あんたもクリスの方がお兄様よりも強いと思うの」
「えっ、だって、そうでもないとあのお兄様がその下につく理由が無いでしょ」
ボリスが正論を言う。アレクは唯我独尊、下手したらあの冷酷な皇帝にすら逆らいかねない。それがクリスには従っているのだ。常識的に考えて、どちらが強いかは一目瞭然だった。
「そうだ。アレク様はクリス様にだけは敬語だし」
「それは姉貴分のジャンヌに遠慮しているのよ」
「そうかな。それよりシャラザールに遠慮しているっていうのもあるけれど」
「えっ、なんでここで大昔の戦神が出てくるのよ」
「えっ、ひょっとして知らないの?」
ペトロは慌てて口を閉じた。勝手にバラしたことが判るとまたどんな厄災が降り掛かってくるか判らない。ペトロは青くなった。
「何言っているんだか。ペトロは本当に変なやつね」
エカテリーナが勝手に納得してくれてそれ以上に突っ込んでこないので、ペトロはホッとした。
「僕は皇帝陛下が怪しいと思うんですけど」
「えええ!、たしかにお父さまは冷酷無比だけど、お兄様には勝てないのではなくて」
「薬物を使ってもアレク様には効きにくいですよ」
ペトロはアレクが小さい時から薬物に慣らされているのは聞いていた。
「いや、少し前に陛下を遠くから見たんだけど、何か前よりも力が強くなっている様に感じたんですよ」
「あの父が?」
在位50年の祝賀をしたところなのだ。皇帝は結構な年のはずだった。
「どういうのかな。何か禍々しいものを感じたというか」
「なんかに憑かれたというの?」
「魔王はクリス様が浄化されたはずだし」
「それに、陛下の傍に何かもっと禍々しいものがいたように思うんですよね」
「それは誰なのよ。そんな強いやつはノルディンにはいないわよ」
「怖くなって、すぐその場を離れたからよくわからないんですけど」
思い出すのも嫌そうな顔をしてボリスが言った。あれは本当にまずい奴だと、ボリスの本能が言っていた。
「何やっているのよ。本当にボリスは怖がりね。それじゃ全然わからないじゃない」
「いや、お姉様はそう言われますけど、あれは本当にシャラザール様よりも恐ろしいものだったんですよ」
「ボリスまで何言っているのよ。そんな伝説の戦神出してきても全くわからないじゃない」
エカテリーナは馬鹿にしていった。本当にこの愚弟は使えないと考えながら。
「あっ、それよりも本国に連絡しとかないと」
ペトロが話を逸らすために魔導電話を取り出した。
「あれえ、圏外だ」
「あんたそんなに魔力が弱いの」
バカにしたようにエカテリーナが言う。
「そんなわけないのに」
「切られたんだと思うよ。連絡されたら困るから」
ボリスが腕を組んで言った。
「これを使って、ウィルとつながっているから」
ボリスが魔導電話を操作する。
画面にウィルが映った。
「良かった。ウィル様」
「ペトロ、どうしたんだ。連絡されなくて皆心配しているんだぞ」
ウィルが心配して話しだした。
「よくわからないんですけど、アレク様たちは拘束されたみたいです」
「って誰に?」
「それがよくわからないんですけど」
ペトロがもう少し話そうとした時だ。
いきなり電話がキレた。
「えっ」
「や、やばい。トレースされたみたい」
ボリスが叫んだその時だ。突然目の前に武装した魔術師達が転移してきた。
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『王太子に婚約破棄されたので、ぶった斬りました!何を?!出来損ない令嬢の波乱万丈恋愛物語』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/237012270/425620227
閑話 3話目発表しました 良ければご覧下さい。
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