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第十二章 婚活と雪女

雪女の独白2

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妾はチャドウィックを追って何も考えずにボフミエに行ってしもうた。あとから考えるとそれが間違いじゃった。

ボフミエがどのような国かも知らずに行ってしまったのじゃ。

その国は思っていたよりも暑かった。

妾の雪のように白い肌が焼けるかもしれないと後悔した。

こんな暑い国に来るのではなかった。

サウスの二の舞ではないか。

木の茂みの中に入り周りを凍らせてホッと一息つく。

妾から逃げ出したチャドウィックなるものを見つけるのは簡単だった。

妾が姿を表すとなんとチャドウィックはこちらに向かって歩いてくるではないか。

妾は冷気を発して吹雪を起こそうとするが、暑すぎるのかなかなか上手く行かない。

吹雪は蒸気になり霧となって周りに漂い、地面も一部が凍った程度だ。

これは少し失敗したかと思ったが、男は何をトチ狂ったのか喜んでこちらに来た。

こいつは馬鹿だ。まだ魅了も発動する前からこちらに飛ぶように近づいてきた。

「ヘーイ。お嬢さん。そちらの椅子でナムでも飲まない」

その言葉に妾はニコリと笑った。妾は美しいので、魅了を発動する前に、馬鹿な男どもは妾の周りに寄って来るのだ。チャドウィックが馬鹿で良かった。

「おおお、お嬢さん。その笑顔とてもきれいです。その黒光りしている頬もつるつるしてとても良いよ」

妾は褒め慣れておるがその褒め言葉がどこか可怪しいと思った。

何かが変じゃ。そうじゃ、いつもは白い雪のような肌だと言われているのに、

「黒光りする頬???」

妾は思わず声に出した。

何じゃ、それは。妾の肌は白いはずだ。

妾は固まった。

「お肌も黒くてきれいだよ。でも完全な黒じゃなくて、君ってハーフなの」

その言葉に妾は絶句した。

そして、恐る恐る地面の氷に映る自分の顔を見た。

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
妾は思わず絶叫していた。

最近黒人共しか取り込んではいなかった。

妾の肌は真っ白なはずなのに、黒人共を取り込みすぎたばかりに真っ黒になってしまっていたのじゃ。

何ということじゃ。妾はその生意気な皇太子を怒りのあまり一瞬で凍らせた。

これはまずい。今から見目麗しい白人の男どもを取り込まないと。

そこへ、見目麗しい白人の男がやって参った。

妾はこの男を取り込もうと思った。

しかし、本来は遠くから吹雪で相手を低体温状態にして意識を朦朧とさせたあと、白い美しい姿を見せて魅了するのじゃが、暑いためかすべてうまく行かぬ。

その男は妾に向かってなんと

「化け物」

と叫んで剣を抜こうなどと愚かな行動に出てきよった。

「おのれ」

止むを得ず、妾は吹雪パワーを最大にして男に叩きつけた。

しかし、中々男はまいらない。

こうなれば妾も最後の手段じゃ。

ゼウスも虜にした豊かな胸を男の目の前に露わにする。

「さあ、私の胸にいらっしゃい」

妾は胸をちらつかせて男を誘ったのじゃ。

さすがの男も妾の胸にはイチコロじゃった。

男は呆けたように妾の豊かな胸に顔をうずめたのじゃ。

本当に男は馬鹿じゃ。

妾は男を取り込むためにその男の躰を抱きしめた。


しかし、

「何してるのよ!」

突然巨大な化け物が現われよった。こいつは見た目は華奢な女に見えるが、中身は嫌な匂いをプンプンさせる化け物じゃった。

化け物は妾の獲物を引き剥がすと、そのパワー全開で張り倒しよった。

「貴様、邪魔をするな」

妾は思わず化け物に切れて叫んでいた。

しかし、いくら妾でも灼熱の地で化け物に対抗できるはずもなく、一瞬でやられてしまった・・・・・

「おのれ、化け物め。せっかくの妾の獲物を」
意識を戻した妾は悔しさのあまり、丸一日寝れなかった。

なんとしてあの雷お化けを退治してやろうか、妄想を重ねた。

なんとかしてこの妾の作り出した極寒の地におびき寄せることは出来ぬだろうか。

あの男をさっさと攫えば良かったのじゃろうか。あの男を餌にすればあの雷お化けも参ったかもしれぬのに。

妾は後悔した。

しかし、天は妾に味方してくれたのじゃ。

何をトチ狂ったのか、あの雷お化けは妾に討たれるためにわざわざこの地に来てくれたらしい。

女は嫌いじゃが、取り込めば白い肌になろうというものじゃ。20人ほどの白人まで連れてきてくれたらしい。恨みもはらせるし、これで肌も白くなし、一石二鳥じゃ。

「フッフッフッ」
妾は笑った。この極寒の地で妾と対峙しようとするなど愚か者のすることじゃ。

さすがのあの化け物もこの地では力は半分も出せまい。

じっくりといたぶってやるとしよう。

妾は久しぶりにやる気になったのじゃ。

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次は決戦です。
雪女のホームグランドでクリスはどうするのか
こうご期待

明日朝更新です。
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