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第十一章 パレルモ王国の陰謀

怒りのシャラザール来臨すも敵はクリスに殲滅されたあとで、雑用しか残っていませんでした

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クリスは完全に切れていた。
必至にオウの事を心配したのに、皆で騙していたなんて。

酷い、許せない。

というか、死にそうだと思って泣き叫んで元気なオウの頭を胸に抱いていたなんて恥ずかしくて死んでしまいたい・・・・

真っ赤になって恥辱に染まったクリスはふと気が遠くなった。


ダンッ


その時に凄まじい威圧感が宮殿内に降臨した。

「ジャルカ!貴様、よくも余を挑発しおったな」
そこには怒り狂ったシャラザールがいた。

「おのれ、パレルモのゴキブリ共め。余はゴキブリ共を怖がったことはないぞ」
「しかし、面倒だと手を出されなかったではありませんか」
シャラザールの怒りにジャルカは平然と答えた。

「確かに、その時は魔王共を退治するのに忙しくてな」
「そうでしたか。貢物を貰って喜んでおられたような」
「貢物なんぞで余は懐柔されんぞ」
ジャルカの言葉にシャラザールが切れる。

なるほど貢物か。それでシャラザールの追求がゆるくなるならいくらでも贈ろうと思ったアレクだった。

「しかし、攻撃されなかったからこのような誤解を招いたのは事実かと」
ジャルカがやんわりと指摘する。

「おのれ、もう良い。今すぐゴキブリ共を殲滅してやるわ。余に逆らうとどうなるか目にもの見せてくれるわ」
シャラザールは拳を振り上げた。

「しかし、クリス様が貴方様に成り代わって殆ど殲滅さましたが・・・・」
「んな訳はなかろう。この小娘の力はまだ余ほど無いはずじゃ。獲物は残っておろう」
シャラザールは言い張った。

「まあ、お目溢しした雑魚は残っているとは思いますが・・・」
「雑魚じゃと。何で余が雑魚の相手をせねばならん。そんなのはそこにおるアレクらにやらせておけば良かろう」
あいも変わらず、赤い死神を雑用扱いにする戦神であった。

「パレルモ王国本国が残っておろう。前回クリスの攻撃にもザールの教皇が生き残っておったしの」

「ああ、あのクズですか。シャラザール様の小指で始末された」
「敵としては小物であったが、もう止むを得まい」
「しかし、パレルモの影の主役、臭い公爵はその従者とともにクリス様の雷撃の追撃で成敗されましたが」

「国王が残っておろう」
「しかし、国王は表の顔で、裏のクズを率いておったのはクサイ公爵でしたが」
「ジャルカ様。サクサ公爵です」
グリフイズがこそっと注意する。
「同じであろうが。後はジャスティンとドラフォードの軍が今パレルモ王国に攻め込んでおりますが」
「そうか、よし。ジャンヌ、アレク適当に見繕って共をせよ」
「はい?」
二人は変な声を上げた。
シャラザールが行っても大した敵が残っているとは思えなかったが。

「何じゃ。何か不満か」
「いえ、滅相もございません」
アレクは慌てて跪いて言う。

「ふんっ。掃討戦に余も出るぞ。たまには余も雑用をせねばなるまい。途中で奴隷共がまだ捕まっておるやもしれん。出来ればそれも開放しながら行くぞ」
言い訳と理由付けをしながら、シャラザールは100名ほどの部下を連れてジャルカにパレルモに転移させた。

「今更行かれても何もすることは残っておらぬとは思うがの・・・・余程力が有り余っていらっしゃると思う」
ジャルカが笑っていったが、グリフィズはなんとも言えない顔をジャルカに向けていた。


結局シャラザールはクリスの行った雷撃の後始末とパレルモ王国をボフミエ魔導国に併合するという雑用しか出来なかった。
欲求不満のシャラザールの訓練にアレクやジャスティンらが夜通し付き合わさせられたのはいつものことだった・・・・・

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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
あと数話で今章は終わりです。
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