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第十一章 パレルモ王国の陰謀
奴隷クリの絶望
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このお話読んで頂いてありがとうございます。
今話は暗いです。
************************************************
クリの足首は鎖で繋がれていた。年はいくつだったか既に忘れた。
日が出て朝起きてから日が沈むまで、ひたすら畑仕事をさせられた。しかも、この青い花を咲かせる植物の世話だ。この地は亜熱帯。暑い。
雑草取りも大変だった。
ボフミエで一家で食べていけなくなって商人に金を払って逃げようとした。
しかし、相手が悪徳商人だったみたいで、妻や子供たちから離されてこの地に連れてこられたのだ。その時に奴隷にされたということが初めて判った。
金を払って奴隷にされるってどういうことなんだ。
自分の愚かさを笑いたくなった。
妻は娼婦に落とされたのだろう。
小さかった娘や息子がどうなったかも知らない。
一年前に、その最低だったボフミエ帝国が崩壊したと風の便りに知った。
聖女クリス様が降臨したと。
上が代わった所でどうなるものでもないと思っていた。
しかし、どうしたか知らないが、今は飢えは無くなったらしい。
嘘くさいが。どのみち誰かが誤魔化しているのだろう。
だってすぐに南のザール教国がそのボフミエ魔導国に占拠されたのだから。
帝国の侵略政策は聖女になっても変わっていないらしい。誤魔化すのも同じだろう。
同じ境遇にあった奴隷たちがすべて解放されたと聞いたが、解放された所でどこに行けというのだ。それも嘘くさいが。
クリは思った。もう妻にも子供たちにも二度と会うこともないだろう。
クリには絶望しか無かった。
どうしろというのだ。もう妻もいない。子もいない。
生きている希望もない。
ただひたすら畑を耕すだけだった。
クリは生きていることが虚しかった。
畑を耕す時に後ろに監視の兵士がいる。奴らも暑くて監視するのが嫌そうだった。
たまに奴隷が暑さで倒れた。
兵士たちはそれを鞭打つが、たまに二度と立ち上がれない奴もいる。そう言う奴隷は穴を掘って埋めた。
ここは地獄だった。
自由もない。金もない。女もいない。
たまに脱走する奴隷がいた。
しかし、うまく脱走できるはずもなく、奴隷舎の入り口で吊るされて死ぬまで放置されていた。
もっともクリにはどうでも良かった。
死ぬなら死ぬ。殺すならさっさと殺せ。
自らの無能さのおかげで家族を奴隷商人に金を払って売ったという愚かさの前にはもう何も残っていなかった。
そう、そんな奴隷たちの絶望がバラウェイの元を作っているのだ。
バラウェイは人間の絶望を養分に大きくなるのだ。
そして、それを吸って地に落ちた人間がまた奴隷となってこの地に帰ってくるのだった。
このパレルモの地に。
**************************************************
いつも読んで頂いてありがとうございます。
このままだと辛すぎるのでここでメインの人物紹介を
クリスティーナ・ミハイル19 主人公。ボフミエ魔導国筆頭魔導師兼シャラザール教教皇。現在無敵の戦神シャラザールが憑依中。切れた時の雷撃は何千キロ離れても正確に相手を攻撃。宮殿一つなど一瞬です。基本は人たらしで、マーマレード、ボフミエでの人気は圧倒的。ドラフォードの軍部にもファン多数。ドラフォード国王よりも人気が高いので、国王は白眼視している。父はマーマレードの侯爵で内務卿。母はテレーゼ王国の公爵家出身。弟はウィリアムで護衛騎士の一人
オーウェン・ドラフォード22 ボフミエの内務卿。大国ドラフォード王国の皇太子。クリスの幼馴染で今章でクリスと結ばれる予定。今はもみじマークをつけられるほど仲は最悪。黒髪の貴公子が三枚目に落ちている。
アレクサンドル・ボロゾドフ23 ノルディン帝国皇太子にしてボフミエ魔導国の外務卿。別名赤い死神 滅ぼした国は片手でおさまらない。生きる恐怖だが、シャラザールの憑依しているクリスには絶対に逆らえない。想い人はジャンヌ。
ジャンヌ・マーマレード22 マーマレード王国皇太子にしてボフミエ魔導国魔導師団長。おおらかで将帥の気質はある。クリストは親戚で幼馴染。別名暴風王女
アメリア・テレーゼ24 テレーゼ王国皇太子にしてボフミエ魔導国教育卿兼新大陸のフロンティア総督。シャラザール3国の王妃はテレーゼ3姉妹なのでオーウェンとジャンヌとはいとこである。かばってくれた元ボフミエ帝国の第三王子で今の内務次官のヘルマン・ゲーリング19と恋仲。
コレキヨ29 東の島のジパグ国皇太子。財務卿にしてザール総督。今章ではまだ出番がない。
依然23 東の大国陳国王女で農務卿。コレキヨと恋仲。
ジャスティン・ギンズバーグ29ボフミエ魔導国騎士団長。世界最強騎士にしてクリスの筆頭騎士。現在はザールにて師団を率いている。別名正義の騎士。
今話は暗いです。
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クリの足首は鎖で繋がれていた。年はいくつだったか既に忘れた。
日が出て朝起きてから日が沈むまで、ひたすら畑仕事をさせられた。しかも、この青い花を咲かせる植物の世話だ。この地は亜熱帯。暑い。
雑草取りも大変だった。
ボフミエで一家で食べていけなくなって商人に金を払って逃げようとした。
しかし、相手が悪徳商人だったみたいで、妻や子供たちから離されてこの地に連れてこられたのだ。その時に奴隷にされたということが初めて判った。
金を払って奴隷にされるってどういうことなんだ。
自分の愚かさを笑いたくなった。
妻は娼婦に落とされたのだろう。
小さかった娘や息子がどうなったかも知らない。
一年前に、その最低だったボフミエ帝国が崩壊したと風の便りに知った。
聖女クリス様が降臨したと。
上が代わった所でどうなるものでもないと思っていた。
しかし、どうしたか知らないが、今は飢えは無くなったらしい。
嘘くさいが。どのみち誰かが誤魔化しているのだろう。
だってすぐに南のザール教国がそのボフミエ魔導国に占拠されたのだから。
帝国の侵略政策は聖女になっても変わっていないらしい。誤魔化すのも同じだろう。
同じ境遇にあった奴隷たちがすべて解放されたと聞いたが、解放された所でどこに行けというのだ。それも嘘くさいが。
クリは思った。もう妻にも子供たちにも二度と会うこともないだろう。
クリには絶望しか無かった。
どうしろというのだ。もう妻もいない。子もいない。
生きている希望もない。
ただひたすら畑を耕すだけだった。
クリは生きていることが虚しかった。
畑を耕す時に後ろに監視の兵士がいる。奴らも暑くて監視するのが嫌そうだった。
たまに奴隷が暑さで倒れた。
兵士たちはそれを鞭打つが、たまに二度と立ち上がれない奴もいる。そう言う奴隷は穴を掘って埋めた。
ここは地獄だった。
自由もない。金もない。女もいない。
たまに脱走する奴隷がいた。
しかし、うまく脱走できるはずもなく、奴隷舎の入り口で吊るされて死ぬまで放置されていた。
もっともクリにはどうでも良かった。
死ぬなら死ぬ。殺すならさっさと殺せ。
自らの無能さのおかげで家族を奴隷商人に金を払って売ったという愚かさの前にはもう何も残っていなかった。
そう、そんな奴隷たちの絶望がバラウェイの元を作っているのだ。
バラウェイは人間の絶望を養分に大きくなるのだ。
そして、それを吸って地に落ちた人間がまた奴隷となってこの地に帰ってくるのだった。
このパレルモの地に。
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いつも読んで頂いてありがとうございます。
このままだと辛すぎるのでここでメインの人物紹介を
クリスティーナ・ミハイル19 主人公。ボフミエ魔導国筆頭魔導師兼シャラザール教教皇。現在無敵の戦神シャラザールが憑依中。切れた時の雷撃は何千キロ離れても正確に相手を攻撃。宮殿一つなど一瞬です。基本は人たらしで、マーマレード、ボフミエでの人気は圧倒的。ドラフォードの軍部にもファン多数。ドラフォード国王よりも人気が高いので、国王は白眼視している。父はマーマレードの侯爵で内務卿。母はテレーゼ王国の公爵家出身。弟はウィリアムで護衛騎士の一人
オーウェン・ドラフォード22 ボフミエの内務卿。大国ドラフォード王国の皇太子。クリスの幼馴染で今章でクリスと結ばれる予定。今はもみじマークをつけられるほど仲は最悪。黒髪の貴公子が三枚目に落ちている。
アレクサンドル・ボロゾドフ23 ノルディン帝国皇太子にしてボフミエ魔導国の外務卿。別名赤い死神 滅ぼした国は片手でおさまらない。生きる恐怖だが、シャラザールの憑依しているクリスには絶対に逆らえない。想い人はジャンヌ。
ジャンヌ・マーマレード22 マーマレード王国皇太子にしてボフミエ魔導国魔導師団長。おおらかで将帥の気質はある。クリストは親戚で幼馴染。別名暴風王女
アメリア・テレーゼ24 テレーゼ王国皇太子にしてボフミエ魔導国教育卿兼新大陸のフロンティア総督。シャラザール3国の王妃はテレーゼ3姉妹なのでオーウェンとジャンヌとはいとこである。かばってくれた元ボフミエ帝国の第三王子で今の内務次官のヘルマン・ゲーリング19と恋仲。
コレキヨ29 東の島のジパグ国皇太子。財務卿にしてザール総督。今章ではまだ出番がない。
依然23 東の大国陳国王女で農務卿。コレキヨと恋仲。
ジャスティン・ギンズバーグ29ボフミエ魔導国騎士団長。世界最強騎士にしてクリスの筆頭騎士。現在はザールにて師団を率いている。別名正義の騎士。
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