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第十章 マーマレード元皇太子の反撃
クリスの浄化魔術は人の心までも浄化しましたが、人の我欲は1日ももちませんでした。
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そして、聖女クリスの浄化魔術は物だけではなくて、人の心をも浄化した。
多くの人々が自らの日々の行いを悔いた。多くの人々は後悔し、教会の懺悔室の前には凄まじい人々の行列が出現した。
また、兵士の詰め所には多くの人が犯罪を自白するために詰めかけた。
今まで解決していなかった、多くの難解迷宮入りの事件が罪人の自白で解決した。
また、王宮でも、賄賂を受け取った多くの者が一斉に懺悔をはじめて官僚は罪人だらけになってしまった。
クリスは人々が良心に目覚め犯罪が激減した事に(実際は今まで闇に隠れていたものまで表に出て、犯罪は急増したのだが)感激していた。
「クリス、今まで母上の面倒を見てくれてありがとう。私も母上の礼儀作法教室を受けてみるよ」
とジャンヌが言うのを聞いて、クリスは目を剥いた。
でも、やっとジャンヌが王妃と親子で向き合ってくれることがクリスには嬉しかった。
しかし、それを聞いた一同は目が点になった。
「姫様が王妃様の礼儀作法講座を受けられるなんて、大地震の前触れで無ければ良いのですが。」
「いやいや、津波で王都が沈む前触れだ」
「太陽が落ちてくるに違いない」
「もう、終わりだ。地球の終わりの時が来たのだ………」
外野は大騒ぎしたが、本人はいたって真面目だった。
クリスが酔った勢いで書いた書類に自らも納得してサインしていた。
ライラなんて、
「姫様。頭のうちどころが悪かったんですか。後で後悔しても知りませんよ」
必死で諌めたが、ジャンヌは頑として聞き入れなかった。
驚いて電話してきたジャルカは一言。
「姫様。悲観のあまり人生を投げ出されてはいけません」
と訳のわかんないコメントをのたまう。
「何を言っているのだ。ジャルカ爺。私はクリスにも無視し続けた母にも悪いと思っているのだ。1ヶ月の礼儀作法講座を受ける事など、大した事はないではないか」
ジャンヌは皆が騒ぐのが気に入らなかった。
「なるほどなるほど。今の言葉、しかと聞きましたぞ」
ジャルカは念を押した。
「よし、俺は姫様が3日ともたないことに金貨1枚」
「俺も」
「私も」
魔導師団の面々が賭けを始める。
「おい、待て、全員そちら側だとかけが成立しないじゃないか」
ザンが文句を言った。
「じゃあザン。お前耐えられる方に賭けろよ」
「そんなの太陽が西から昇る事よりあり得ないだろう」
ヨハンの言葉にザンが即座に否定する。
「お前らなあ。よし、判った。逆に私が賭けよう」
ジャンヌが言い切った。
「本当ですか」
「やったあ。じゃあ金貨もう一枚追加で」
「私も」
「俺も」
魔導師団員たちはどんどん追加していく。
「じゃあ、私も金貨1000枚で」
ジャルカまでもが乗り出した。
「き、貴様らなあ」
ジャンヌは切れていた。
しかし、一方でジャンヌは思った。これは金を貯めるチャンスだと。
自分さえ我慢すれば良いのだ。高々3日など我慢できるだろうと、ジャンヌはほくそ笑んだ。
聖女クリスの浄化魔術。
多くの人が改心し今までの行いを悔い改めた。
しかし、人間の多くは欲があり、なかなかクリスのように人のために自らを犠牲にするなんて出来ない。だからそれが出来るものが聖女と呼ばれるのであって、皆が皆そうなれば、皆が聖女になってしまう。
そして、そんな事はあり得なかった。
「すいません。昨日話した、殺人事件。実は私はやっておりません」
自ら自首して来た囚人がいきなり言葉を違えた。
「はっ?、お前、犯人しか知りえない情報をはっきりと言っていたぞ」
「いえ、つい出来心で嘘をついてしまって」
「そんな訳あるか。誤魔化すな」
兵士は机を叩いて怒鳴っていた。
「財務卿。金貨1枚猫糞したのは嘘です」
「何を言っている。残業を毎日1時間誤魔化していたと、証人まで連れて懺悔していたではないか」
「いや、それはその・・・・・」
皆、昨日の懺悔の行動を恥じて、というか、罰が怖くて誤魔化そうとしだした。
必死に否定しようとしだしたのだ。
そして、ここにも一人、必死に逃げ出した者がいた。
はあはあ言いながら、木陰に隠れている。
「ジャンヌ。ジャンヌはどこにいるの」
それを探す王妃が・・・・。
ジャンヌも最初の10分は何とか耐えた。
それもクリスバージョンの礼の角度が1度違うとかいうとんでもない礼儀作法ではない。
普通の礼儀作法なのだが、それでも、耐えられたのはたったの10分だった。
何とか王妃のすきを突いて逃げ出したのだ。
「だから無理だと言ったのに」
そこには同じく幼稚園ならぬ孤児院から逃げ出したアレクがいた。
「お前には言われたくない」
ついジャンヌの声が大きくなった。
「ジャンヌそこにいたのね」
王妃が叫ぶ。
「やばい」
慌ててジャンヌは駆け出した。
「待ちなさい。ジャンヌ」
ジャンヌを追って王妃が走っていく。
「お姉さま。大丈夫かしら」
それを見送ったクリスが心配そうに言った。
元々酔った勢いであんな事を書いたクリスが悪いのではないかと、周りは思わないでもなかった。
しかし、しっかりとやりますとサインしたのはジャンヌ自身なのだ。
元々、礼儀作法なんて食べられないからいらないというジャンヌが、王妃の礼儀作法講座なんて耐えられるわけ無かったのだ。
それをクリスの聖魔術で心が浄化され、おそらく一番単純なジャンヌが一番魔術の影響をモロに受けてしまったのだ。
そこで聖女のようになったジャンヌが勢いで受けてしまった。
それが悲劇の始まりだった。
皆は心から思った。
クリスの言うことは、シラフの時に、それもじっくりと考えてから受けようと肝に銘じたのだった。
多くの人々が自らの日々の行いを悔いた。多くの人々は後悔し、教会の懺悔室の前には凄まじい人々の行列が出現した。
また、兵士の詰め所には多くの人が犯罪を自白するために詰めかけた。
今まで解決していなかった、多くの難解迷宮入りの事件が罪人の自白で解決した。
また、王宮でも、賄賂を受け取った多くの者が一斉に懺悔をはじめて官僚は罪人だらけになってしまった。
クリスは人々が良心に目覚め犯罪が激減した事に(実際は今まで闇に隠れていたものまで表に出て、犯罪は急増したのだが)感激していた。
「クリス、今まで母上の面倒を見てくれてありがとう。私も母上の礼儀作法教室を受けてみるよ」
とジャンヌが言うのを聞いて、クリスは目を剥いた。
でも、やっとジャンヌが王妃と親子で向き合ってくれることがクリスには嬉しかった。
しかし、それを聞いた一同は目が点になった。
「姫様が王妃様の礼儀作法講座を受けられるなんて、大地震の前触れで無ければ良いのですが。」
「いやいや、津波で王都が沈む前触れだ」
「太陽が落ちてくるに違いない」
「もう、終わりだ。地球の終わりの時が来たのだ………」
外野は大騒ぎしたが、本人はいたって真面目だった。
クリスが酔った勢いで書いた書類に自らも納得してサインしていた。
ライラなんて、
「姫様。頭のうちどころが悪かったんですか。後で後悔しても知りませんよ」
必死で諌めたが、ジャンヌは頑として聞き入れなかった。
驚いて電話してきたジャルカは一言。
「姫様。悲観のあまり人生を投げ出されてはいけません」
と訳のわかんないコメントをのたまう。
「何を言っているのだ。ジャルカ爺。私はクリスにも無視し続けた母にも悪いと思っているのだ。1ヶ月の礼儀作法講座を受ける事など、大した事はないではないか」
ジャンヌは皆が騒ぐのが気に入らなかった。
「なるほどなるほど。今の言葉、しかと聞きましたぞ」
ジャルカは念を押した。
「よし、俺は姫様が3日ともたないことに金貨1枚」
「俺も」
「私も」
魔導師団の面々が賭けを始める。
「おい、待て、全員そちら側だとかけが成立しないじゃないか」
ザンが文句を言った。
「じゃあザン。お前耐えられる方に賭けろよ」
「そんなの太陽が西から昇る事よりあり得ないだろう」
ヨハンの言葉にザンが即座に否定する。
「お前らなあ。よし、判った。逆に私が賭けよう」
ジャンヌが言い切った。
「本当ですか」
「やったあ。じゃあ金貨もう一枚追加で」
「私も」
「俺も」
魔導師団員たちはどんどん追加していく。
「じゃあ、私も金貨1000枚で」
ジャルカまでもが乗り出した。
「き、貴様らなあ」
ジャンヌは切れていた。
しかし、一方でジャンヌは思った。これは金を貯めるチャンスだと。
自分さえ我慢すれば良いのだ。高々3日など我慢できるだろうと、ジャンヌはほくそ笑んだ。
聖女クリスの浄化魔術。
多くの人が改心し今までの行いを悔い改めた。
しかし、人間の多くは欲があり、なかなかクリスのように人のために自らを犠牲にするなんて出来ない。だからそれが出来るものが聖女と呼ばれるのであって、皆が皆そうなれば、皆が聖女になってしまう。
そして、そんな事はあり得なかった。
「すいません。昨日話した、殺人事件。実は私はやっておりません」
自ら自首して来た囚人がいきなり言葉を違えた。
「はっ?、お前、犯人しか知りえない情報をはっきりと言っていたぞ」
「いえ、つい出来心で嘘をついてしまって」
「そんな訳あるか。誤魔化すな」
兵士は机を叩いて怒鳴っていた。
「財務卿。金貨1枚猫糞したのは嘘です」
「何を言っている。残業を毎日1時間誤魔化していたと、証人まで連れて懺悔していたではないか」
「いや、それはその・・・・・」
皆、昨日の懺悔の行動を恥じて、というか、罰が怖くて誤魔化そうとしだした。
必死に否定しようとしだしたのだ。
そして、ここにも一人、必死に逃げ出した者がいた。
はあはあ言いながら、木陰に隠れている。
「ジャンヌ。ジャンヌはどこにいるの」
それを探す王妃が・・・・。
ジャンヌも最初の10分は何とか耐えた。
それもクリスバージョンの礼の角度が1度違うとかいうとんでもない礼儀作法ではない。
普通の礼儀作法なのだが、それでも、耐えられたのはたったの10分だった。
何とか王妃のすきを突いて逃げ出したのだ。
「だから無理だと言ったのに」
そこには同じく幼稚園ならぬ孤児院から逃げ出したアレクがいた。
「お前には言われたくない」
ついジャンヌの声が大きくなった。
「ジャンヌそこにいたのね」
王妃が叫ぶ。
「やばい」
慌ててジャンヌは駆け出した。
「待ちなさい。ジャンヌ」
ジャンヌを追って王妃が走っていく。
「お姉さま。大丈夫かしら」
それを見送ったクリスが心配そうに言った。
元々酔った勢いであんな事を書いたクリスが悪いのではないかと、周りは思わないでもなかった。
しかし、しっかりとやりますとサインしたのはジャンヌ自身なのだ。
元々、礼儀作法なんて食べられないからいらないというジャンヌが、王妃の礼儀作法講座なんて耐えられるわけ無かったのだ。
それをクリスの聖魔術で心が浄化され、おそらく一番単純なジャンヌが一番魔術の影響をモロに受けてしまったのだ。
そこで聖女のようになったジャンヌが勢いで受けてしまった。
それが悲劇の始まりだった。
皆は心から思った。
クリスの言うことは、シラフの時に、それもじっくりと考えてから受けようと肝に銘じたのだった。
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