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第十章 マーマレード元皇太子の反撃
酔っ払ったクリスは怒りの魔王にばっちいの飛んでけと叫びました……………
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「ふんっ、残念だったわね。魔人の薬など、飲まれては大変ですからね」
王妃はニヤリと笑った。
王妃に扮した魔王は勘違いをしていた。オーウェンらはクリスにお酒を飲ませてシャラザールを来臨させる計画だったのだが……。
もっとも地獄に分離されているシャラザールが来臨できるかは不明だったが。
そして、シャラザールが地獄で捕まっていることもオーウェンらは知らなかった。
「魔人の薬?」
クリスがキョトンとして聞いた。
「王妃様。何おっしゃっていらっしゃるんですか。オーウェン様がそんなの私に飲ませるわけ無いではないですか」
いつもよりものんびりした声の調子でクリスが言った。
何かいつもと違う。
よし、うまくいった。
オーウェンはホッとした。眠っているクリスを起こす意味でも、キスする時にアルコールを少し口に含んでキスしたのだ。
少量でも問題ないとのことだったので、オーウェンはきつけ薬の代わりにシャラザール来臨を目論んだのだった。
思いの外、王妃が早く来たが、既にアルコールはクリスの体内にあって、シャラザールが来臨するのも時間の問題だとオーウェンは思った。
「でも、王妃様。お顔が怖いです。すすだらけだし」
クリスは笑い上古だったのか、笑い出した。
オーウェンは焦った。
あまり魔王を怒らせるのは良くない。なんでシャラザールが来臨しないのだろうか。すぐに来るとジャルカからは聞いていたのだが。
「あなたのお仲間の王女と王子がおいたをしたから、ちょっとお仕置きをしていたのよ」
魔王はニヤリと笑った。
「あら、でも、それってジャンヌお姉さまとアレク様のことでしょう。それは王妃様の実の娘と未来の婿なのではないのですか?」
「まあ、そうとも言うかしら」
魔王はニコリと笑った。
「まあ、王妃様ったら、冗談も言われるのね」
ヘラヘラとクリスは笑った。
「でも、王妃様。魔術で戦うことでは決してお姉さまの罰にはなりませんわ」
「そうなの?白目になって、口から泡を出していたけど・・・・」
王妃は笑って言う。
その王妃の様子にクリス以外はきっと王妃を睨みつけた。
「何言っていらっしゃるんですか。そんなのお姉さまはびくともしませんわ。ああ良い訓練だったって喜んでいるに違いありません」
いやいや、クリス、白目剥いて口から泡吐き出していたら死にかけだろう・・・・・・
他の者はそう言いたかったが………・
オーウェンはオーウェンでシャラザールの来臨が今か今かと待ち構えていたが…………
「そうなのか」
魔王も困惑していた。普通はここは怒るところなのだ。その怒って攻撃してくるところを返り討ちにするのが魔王の常套手段で醍醐味なのだ。
しかも、この女、全然魔王を怖がっていない。まあ確かに前回はやられかけた。しかし、今回はシャラザールもいないのだ。絶対に勝てると魔王は思っていた。
「そうですよ。お姉さまが一番嫌がるのは王妃様から礼儀作法講座を1ヶ月間受ける事です。下手したら聞いただけで死にます。魔術で攻撃しても死なないですよ」
そんな訳あるか。死ぬだろう。お前と一緒にするな・・・・・・
これは魔王の後ろにいた部下たちの思いだ。
「赤い死神もそうなのか」
クリスが何故こんな事を言っているか判らなくて魔王はもう少し付き合うことにした。
何しろ相手は化け物。何千キロも離れていたところから雷撃攻撃を仕掛けてくるやつだ。
シャラザールがいなくてもすごいやつかもしれん。
魔王はいつもの傍若無人な魔王らしく無く、珍しく慎重だった。
「ええええ?、アレク殿下は礼儀作法講座はそれほどでも。そんなの罰則になっていないと思いますよ。彼はそれくらい耐えられそうです。それよりも幼稚園の先生役を1ヶ月させたほうが余程堪えると思いますよ」
クリスはヘラヘラ笑って言う。
オーウェンはあの赤い死神が幼稚園児たちに捕まってもみくちゃになっている様を思い出して思わず吹き出しそうになった。
いや、絶対に今考えてはいけないことだ。
クリスは変だ。何故シャラザールが出てこない。
そう言えば待てよ。前も王妃にアルコール飲まされてシャラザールが出てこないことがあったぞ。
はたとオーウェンは気づいた。
「なるほどなるほど」
魔王は徐々に険悪になりつつあった。あの赤い死神を幼稚園児の中に放り込むのも良いかもしれない。
しかし、この魔王様が何でこんなくだらない話に付き合わねばならないのだ。
単にクリスが酔っているだけではないかと。
オーウェンは焦っていた。少しでも時間稼ぎをしようとした。
「じゃあクリス。それを王妃様に書面で書いてあげたら良いんじゃないかな」
「えええ。そうですか」
後ろの侍女が紙を差し出す。
「ジャンヌ・マーマレードは母の言うことを聞かなかったので、礼儀作法講座を1ヶ月受けさせるものとする。ボフミエ魔導国筆頭魔導師クリスティーナ・ミハイル」
クリスは言いながらサラサラ書く。
これは酔っているかどうかも判らないほどしっかりとしていた。
続いてアレクのも書き込む。
「王妃様これでいいですか」
クリスがヘラヘラ笑って言った。
しかし、目の前の王妃の目は怒りで蘭蘭と輝いていた。
「おい、ボフミエの小娘。いいかげんにしろ」
思わず本性を出した。
こいつは絶対に酔っているだけだ。
魔王相手に戦う前に酔っ払うなどどういうことだ。
コイツラはみんな馬鹿か。
ここまで付き合った魔王は自分を叱り飛ばしたかった。
「まあ、王妃様。本性がだた漏れですわよ」
クリスが口を抑える。
もう終わった。オーウェンは呆然としていた。
シャラザールは何故か王妃の前では出てこないのだ。酔っていなければクリスも勝てたかもしれない。でも、酔っていては流石にクリスも勝てまい。
「王妃様汚いです。ばっちい黒い煙がどんどん湧いていて部屋を汚染しています」
「な、なんだと。ばっちい??」
怒りの魔王の真ん前で汚いなどという命知らずのものがいるなどはじめてみた。
魔王はブチギレた。
オーウェンは覚悟を決めた。
クリスの盾になると。死なばもろとも。
クリスの前に出る。
「オーウェン様。汚れます。汚いものに触っちゃ駄目です」
オーウェンの手を掴むと目の前から後ろに放った。
「えっ」
オーウェンは後ろにいた兵士たちの列の中に突っ込んでいった。
酔って全然手加減できていないクリスだった。
「死ね。ボフミエの小娘」
魔王は闇の一撃を最大出力で放出した。
「いやぁぁぁ、バッチイのバッチイのとんでいけ!」
クリスは悲鳴を上げた。
そして、クリスの浄化魔術が制限無しで最大出力で放出された。
王妃はニヤリと笑った。
王妃に扮した魔王は勘違いをしていた。オーウェンらはクリスにお酒を飲ませてシャラザールを来臨させる計画だったのだが……。
もっとも地獄に分離されているシャラザールが来臨できるかは不明だったが。
そして、シャラザールが地獄で捕まっていることもオーウェンらは知らなかった。
「魔人の薬?」
クリスがキョトンとして聞いた。
「王妃様。何おっしゃっていらっしゃるんですか。オーウェン様がそんなの私に飲ませるわけ無いではないですか」
いつもよりものんびりした声の調子でクリスが言った。
何かいつもと違う。
よし、うまくいった。
オーウェンはホッとした。眠っているクリスを起こす意味でも、キスする時にアルコールを少し口に含んでキスしたのだ。
少量でも問題ないとのことだったので、オーウェンはきつけ薬の代わりにシャラザール来臨を目論んだのだった。
思いの外、王妃が早く来たが、既にアルコールはクリスの体内にあって、シャラザールが来臨するのも時間の問題だとオーウェンは思った。
「でも、王妃様。お顔が怖いです。すすだらけだし」
クリスは笑い上古だったのか、笑い出した。
オーウェンは焦った。
あまり魔王を怒らせるのは良くない。なんでシャラザールが来臨しないのだろうか。すぐに来るとジャルカからは聞いていたのだが。
「あなたのお仲間の王女と王子がおいたをしたから、ちょっとお仕置きをしていたのよ」
魔王はニヤリと笑った。
「あら、でも、それってジャンヌお姉さまとアレク様のことでしょう。それは王妃様の実の娘と未来の婿なのではないのですか?」
「まあ、そうとも言うかしら」
魔王はニコリと笑った。
「まあ、王妃様ったら、冗談も言われるのね」
ヘラヘラとクリスは笑った。
「でも、王妃様。魔術で戦うことでは決してお姉さまの罰にはなりませんわ」
「そうなの?白目になって、口から泡を出していたけど・・・・」
王妃は笑って言う。
その王妃の様子にクリス以外はきっと王妃を睨みつけた。
「何言っていらっしゃるんですか。そんなのお姉さまはびくともしませんわ。ああ良い訓練だったって喜んでいるに違いありません」
いやいや、クリス、白目剥いて口から泡吐き出していたら死にかけだろう・・・・・・
他の者はそう言いたかったが………・
オーウェンはオーウェンでシャラザールの来臨が今か今かと待ち構えていたが…………
「そうなのか」
魔王も困惑していた。普通はここは怒るところなのだ。その怒って攻撃してくるところを返り討ちにするのが魔王の常套手段で醍醐味なのだ。
しかも、この女、全然魔王を怖がっていない。まあ確かに前回はやられかけた。しかし、今回はシャラザールもいないのだ。絶対に勝てると魔王は思っていた。
「そうですよ。お姉さまが一番嫌がるのは王妃様から礼儀作法講座を1ヶ月間受ける事です。下手したら聞いただけで死にます。魔術で攻撃しても死なないですよ」
そんな訳あるか。死ぬだろう。お前と一緒にするな・・・・・・
これは魔王の後ろにいた部下たちの思いだ。
「赤い死神もそうなのか」
クリスが何故こんな事を言っているか判らなくて魔王はもう少し付き合うことにした。
何しろ相手は化け物。何千キロも離れていたところから雷撃攻撃を仕掛けてくるやつだ。
シャラザールがいなくてもすごいやつかもしれん。
魔王はいつもの傍若無人な魔王らしく無く、珍しく慎重だった。
「ええええ?、アレク殿下は礼儀作法講座はそれほどでも。そんなの罰則になっていないと思いますよ。彼はそれくらい耐えられそうです。それよりも幼稚園の先生役を1ヶ月させたほうが余程堪えると思いますよ」
クリスはヘラヘラ笑って言う。
オーウェンはあの赤い死神が幼稚園児たちに捕まってもみくちゃになっている様を思い出して思わず吹き出しそうになった。
いや、絶対に今考えてはいけないことだ。
クリスは変だ。何故シャラザールが出てこない。
そう言えば待てよ。前も王妃にアルコール飲まされてシャラザールが出てこないことがあったぞ。
はたとオーウェンは気づいた。
「なるほどなるほど」
魔王は徐々に険悪になりつつあった。あの赤い死神を幼稚園児の中に放り込むのも良いかもしれない。
しかし、この魔王様が何でこんなくだらない話に付き合わねばならないのだ。
単にクリスが酔っているだけではないかと。
オーウェンは焦っていた。少しでも時間稼ぎをしようとした。
「じゃあクリス。それを王妃様に書面で書いてあげたら良いんじゃないかな」
「えええ。そうですか」
後ろの侍女が紙を差し出す。
「ジャンヌ・マーマレードは母の言うことを聞かなかったので、礼儀作法講座を1ヶ月受けさせるものとする。ボフミエ魔導国筆頭魔導師クリスティーナ・ミハイル」
クリスは言いながらサラサラ書く。
これは酔っているかどうかも判らないほどしっかりとしていた。
続いてアレクのも書き込む。
「王妃様これでいいですか」
クリスがヘラヘラ笑って言った。
しかし、目の前の王妃の目は怒りで蘭蘭と輝いていた。
「おい、ボフミエの小娘。いいかげんにしろ」
思わず本性を出した。
こいつは絶対に酔っているだけだ。
魔王相手に戦う前に酔っ払うなどどういうことだ。
コイツラはみんな馬鹿か。
ここまで付き合った魔王は自分を叱り飛ばしたかった。
「まあ、王妃様。本性がだた漏れですわよ」
クリスが口を抑える。
もう終わった。オーウェンは呆然としていた。
シャラザールは何故か王妃の前では出てこないのだ。酔っていなければクリスも勝てたかもしれない。でも、酔っていては流石にクリスも勝てまい。
「王妃様汚いです。ばっちい黒い煙がどんどん湧いていて部屋を汚染しています」
「な、なんだと。ばっちい??」
怒りの魔王の真ん前で汚いなどという命知らずのものがいるなどはじめてみた。
魔王はブチギレた。
オーウェンは覚悟を決めた。
クリスの盾になると。死なばもろとも。
クリスの前に出る。
「オーウェン様。汚れます。汚いものに触っちゃ駄目です」
オーウェンの手を掴むと目の前から後ろに放った。
「えっ」
オーウェンは後ろにいた兵士たちの列の中に突っ込んでいった。
酔って全然手加減できていないクリスだった。
「死ね。ボフミエの小娘」
魔王は闇の一撃を最大出力で放出した。
「いやぁぁぁ、バッチイのバッチイのとんでいけ!」
クリスは悲鳴を上げた。
そして、クリスの浄化魔術が制限無しで最大出力で放出された。
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