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第十章 マーマレード元皇太子の反撃
戦神は地獄で鬼退治をしました
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一方その頃シャラザールは地獄の中の最下層、無限地獄に送られていた。
シャラザールにとって千年ぶりの無限地獄だった。
昔入った当初は何も判らず、裏切られた怒りだけで、かかってきた鬼どもを返り討ちにしているうちに、牢名主ならぬ無限地獄の主になっていたのだが。今回は前回共に脱獄した者共も多くは死に絶えて地獄にも来ているものはいるはずだったが、流石に千年も経っていると、地獄に残っているものもいなさそうだった。
無限地獄は千年前に破壊し尽くした面影はなく、きれいに修復されていた。
本来囚人たちには無限地獄の風景はおとろおどろしくて、逃げ出したくなるはずなのだが、シャラザールにとっては久しぶりで懐かしかった。
檻の中に拘束されていなければ思いっきり地獄の中を走り回りたい気分だった。
その小さな檻で拘束されたシャラザールを、槍を握った10人の鬼たちが取り囲んでいた。
「その方が大罪人、殺人鬼シャラザールか」
鬼の一匹が言う。
「うーん、それは違うぞ。余は大罪人などではない。戦神シャラザールじゃ」
シャラザールが平然と言った。
「ふんっ、何を言うか。神が地獄に叩き込まれるわけはなかろう。貴様はただの大罪人シャラザールじゃ」
「そうじゃ、そうじゃ」
鬼たちが囃し立てた。
「うるさい鬼どもじゃな。せっかくの地獄を懐かしがっておるのに」
不機嫌になってシャラザールが言った。
このような不敬な態度を取るとは、人間ならそのまま爆炎魔術で焼殺するところだ。
いつもならば鬼といえども同じだろう。
ただ、厄介なことにこの檻がシャラザールの魔術の発動を邪魔しそうだった。
試しに手に魔力を流してみるが、途中で発散してしまう。
「で、雑魚どもが何のようじゃ」
面倒になってシャラザールが言った。
「な、なんと我ら閻魔様直属の鬼を侮辱するとは許せん」
「そうじゃ、まず一回目に血祭りにあげてやるわ」
「貴様はこれから何万回も殺されるのじゃ」
「覚悟するが良い」
「ええい、本当に雑魚どもはうるさいだけじゃの。能書きはどうでも良いから、さっさと来い。」
つまらなそうにシャラザールが言う。
「もう許せん。死ねぇぇぇぇ」
鬼の一人が槍を掲げるとシャラザールめがけて刺し殺そうと突き出した。
しかし、槍をシャラザールに突き刺したがあまり反応がない。
「えっ」
鬼は驚嘆した。槍の穂先からも血が流れてこない。
「そんなバカな」
鬼はやりを握り直した。
「今度こそ死ねぇぇぇ」
思いっきり槍を突き刺す。しかし、また反応はない。
「死ね。死ね死ね死ね死ね」
鬼は何度もシャラザールを突き刺した。
しかし、シャラザールはびくともしていないし、全く堪えていなかった。
「何じゃ。蚊でもおるのか」
余裕の対応だ。
「おのれ。もう許さん」
周りの鬼たちも一斉にシャラザールに槍を突き立てた。
10本の槍がシャラザールに突き刺さった。さすがのシャラザールもこれまでだろう。
鬼たちはそう思いシャラザールを見やった。
しかし、シャラザールは平然と檻に頬杖をついて鬼たちを見ていた。
「なんとも感じぬが、お主達なにかしたのか」
シャラザールはニヤリと笑った。
「ではそろそろ余の方から行くぞ」
そう言うや、その一本の槍を掴むと鬼の手から奪い一番最初に刺した鬼に突き刺した。
「ギャッ」
鬼は悲鳴を上げると倒れ込んでいた。
「た、大変じゃ。鬼が殺されたぞ」
「おのれ、よくも」
残りの鬼たちが必死にシャラザールを槍でつこうとするが、
「ふんっ」
とシャラザールが鼻を鳴らすと
「面倒じゃの」
いかにも面倒そうに言うと目にも見えぬ速さでその槍を掴んで次の鬼を刺殺した。
そして、3人めも。
鬼たちは唖然と見ていた。
「や、やばい」
一人の鬼が後ずさった。
「えっ」
更に4人目が刺殺される。
「ギャーーーー」
鬼たちは槍を放り出して一目散に逃げ出した。
やっぱり、地獄の鬼達では戦神シャラザールは殺せなかった・・・・・・・
シャラザールにとって千年ぶりの無限地獄だった。
昔入った当初は何も判らず、裏切られた怒りだけで、かかってきた鬼どもを返り討ちにしているうちに、牢名主ならぬ無限地獄の主になっていたのだが。今回は前回共に脱獄した者共も多くは死に絶えて地獄にも来ているものはいるはずだったが、流石に千年も経っていると、地獄に残っているものもいなさそうだった。
無限地獄は千年前に破壊し尽くした面影はなく、きれいに修復されていた。
本来囚人たちには無限地獄の風景はおとろおどろしくて、逃げ出したくなるはずなのだが、シャラザールにとっては久しぶりで懐かしかった。
檻の中に拘束されていなければ思いっきり地獄の中を走り回りたい気分だった。
その小さな檻で拘束されたシャラザールを、槍を握った10人の鬼たちが取り囲んでいた。
「その方が大罪人、殺人鬼シャラザールか」
鬼の一匹が言う。
「うーん、それは違うぞ。余は大罪人などではない。戦神シャラザールじゃ」
シャラザールが平然と言った。
「ふんっ、何を言うか。神が地獄に叩き込まれるわけはなかろう。貴様はただの大罪人シャラザールじゃ」
「そうじゃ、そうじゃ」
鬼たちが囃し立てた。
「うるさい鬼どもじゃな。せっかくの地獄を懐かしがっておるのに」
不機嫌になってシャラザールが言った。
このような不敬な態度を取るとは、人間ならそのまま爆炎魔術で焼殺するところだ。
いつもならば鬼といえども同じだろう。
ただ、厄介なことにこの檻がシャラザールの魔術の発動を邪魔しそうだった。
試しに手に魔力を流してみるが、途中で発散してしまう。
「で、雑魚どもが何のようじゃ」
面倒になってシャラザールが言った。
「な、なんと我ら閻魔様直属の鬼を侮辱するとは許せん」
「そうじゃ、まず一回目に血祭りにあげてやるわ」
「貴様はこれから何万回も殺されるのじゃ」
「覚悟するが良い」
「ええい、本当に雑魚どもはうるさいだけじゃの。能書きはどうでも良いから、さっさと来い。」
つまらなそうにシャラザールが言う。
「もう許せん。死ねぇぇぇぇ」
鬼の一人が槍を掲げるとシャラザールめがけて刺し殺そうと突き出した。
しかし、槍をシャラザールに突き刺したがあまり反応がない。
「えっ」
鬼は驚嘆した。槍の穂先からも血が流れてこない。
「そんなバカな」
鬼はやりを握り直した。
「今度こそ死ねぇぇぇ」
思いっきり槍を突き刺す。しかし、また反応はない。
「死ね。死ね死ね死ね死ね」
鬼は何度もシャラザールを突き刺した。
しかし、シャラザールはびくともしていないし、全く堪えていなかった。
「何じゃ。蚊でもおるのか」
余裕の対応だ。
「おのれ。もう許さん」
周りの鬼たちも一斉にシャラザールに槍を突き立てた。
10本の槍がシャラザールに突き刺さった。さすがのシャラザールもこれまでだろう。
鬼たちはそう思いシャラザールを見やった。
しかし、シャラザールは平然と檻に頬杖をついて鬼たちを見ていた。
「なんとも感じぬが、お主達なにかしたのか」
シャラザールはニヤリと笑った。
「ではそろそろ余の方から行くぞ」
そう言うや、その一本の槍を掴むと鬼の手から奪い一番最初に刺した鬼に突き刺した。
「ギャッ」
鬼は悲鳴を上げると倒れ込んでいた。
「た、大変じゃ。鬼が殺されたぞ」
「おのれ、よくも」
残りの鬼たちが必死にシャラザールを槍でつこうとするが、
「ふんっ」
とシャラザールが鼻を鳴らすと
「面倒じゃの」
いかにも面倒そうに言うと目にも見えぬ速さでその槍を掴んで次の鬼を刺殺した。
そして、3人めも。
鬼たちは唖然と見ていた。
「や、やばい」
一人の鬼が後ずさった。
「えっ」
更に4人目が刺殺される。
「ギャーーーー」
鬼たちは槍を放り出して一目散に逃げ出した。
やっぱり、地獄の鬼達では戦神シャラザールは殺せなかった・・・・・・・
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