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第十章 マーマレード元皇太子の反撃

クリスがいなくなってシャラザールの暴走を皆心配しました

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「何! クリス様がいなくなったって」
「一体どうなっている」
クリス付きの騎士たちは大慌てでクリスを探しだした。

しかし、どこを探してもいなかった。

かわいそうなオーウェンはウィルやアルバートからこってりと説教されたが。

「そんなこと言ったって夢の続きでキスしただけで」
「オーウェン、貴様なんてことを。やっぱり貴様許さん」
今にも切りかかりそうになるウィルを抑えるのでまたひと悶着あった。

「うーん、まあ、別に心配しなくても問題はないと思うが」
ジャンヌが言う。
「姫様。俺も姫様がいなくなっても何も心配しませんよ。でも姉さまなんですよ。あの可憐で儚げな」
「ウィルお前な。クリスは単独でもシャラザール山をふっとばすくらいなんだぞ。私よりも強いだろう」
「そうだよ。基本は世界無敵。シャラザールも憑依しているし」
アレクが全く心配していなくて言う。

「でも、シャラザール様がついているからって大丈夫ですかね」
フェビアンがボソリと言った。

「えっ、どういう意味だ」

「この街、一瞬で破壊されたのシャラザール様なんですよね。不良に絡まれてシャラザール様が怒り狂ったらまたこうなりません?」

「えっ」
ジャンヌは固まった。確かにシャラザールならやりかねないかも。

「そこまではいくらシャラザール様でも」
アルバートが否定しようとするが、

「いや、確かにシャラザールならやりかねない」
アレクが青くなって言った。
「クロチアの王都が将にそうだった」
「それにクリスもだ。切れたらいつも雷撃で宮殿とか破壊しまくっているぞ」
ジャンヌが正気に戻って言った。

「GAFAの4拠点とか、モルロイやノルデインの宮殿とか、そうですよね」
フェビアンが言う。

「いや、クリスはそんな事しないよ」
オーウェンが一人クリスの方を持つが

「そんなの判らないぞ。クリスは理性より先に攻撃するからな」
「確かに可能性がありますね」
スミスまでもが言う。

みんなの脳裏にはヤクザに絡まれて怒りが爆発して街が廃墟になる様子が思い浮かばれた。

「まさか」
「いや、十分にありえる。非常事態だ。直ちに全兵士に巡回させて何としても見つけ出させないと」
信じられないオーウェンを1人残して、みんな慌てて捜索はじめた。


しかし、いくら捜索してもクリスの行方は判らなかった。


クリスの居所がわかったのは3時間後にウィルにミハイル侯爵夫人から電話があったときだった。

「えっどうして姉さまが家にいるの?」
ウィルは驚いた。

「転移してきたんじゃないかと思うんだけど。ちょっと興奮していてよくわからないのよ」
「でも、何千キロも離れているんだよ」
ウィルでも間に海があるから基本は無理だ。500キロ転移したらもうその日は無理。
「まあ、クリスの魔力量だとやろうと思えばできるんじゃない」
あっけらかんと言う母にウィルはめまいがしたが。

「しばらく家で休養させるわ。そちらの誤魔化し宜しくお願いするわね」
シャーロットは言うことだけ言うとあっさり電話を切った。

「えっ、ちょっと母様」
ウィルは慌てて止めようとしたがもう切られた後だった。

「なんとか誤魔化せって誤魔化しようがないんだけど」
ウイルは焦った。
みんなで協議した結果、取り敢えず、クリスはボフミエ本国に帰った事になった。
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