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第九章 ザール教騒乱
ザール教国決戦3 戦神はザール教国をほとんど戦うこともなく制圧してしまいました
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「な、今のは何だ」
シャラザールは固まった。
「何だと言われましても・・・・」
ジャンヌらはそう言う以外に答えようがなかった。
「あまりにも弱すぎるではないか。これでは余がわざわざ親征した意味がないではないか」
シャラザールの怒りに皆驚く。
アレクはやばいと思った。
このままではまた、いつもの特訓に突入してしまう。
「このような雑魚どもに貴様らは手をこまねいていたのか」
シャラザールがギロリとジャンヌらを睨んだ。
「シャラザール。そんなこと言われても昔と違って今は色々と周りがうるさいのです。
特にクリスが」
ジャンヌは最後を強調した。
うるさいのは彼らの父母の大人たちだが、クリスもそう簡単にうんと言わないはずだ。
「クリスがか。しかし、クリスは陳国の時は自ら進んで軍を起こしたぞ。そして、自分だけ雷撃を乱発して欲求不満を解消していたではないか」
忌々しそうにシャラザールは言った。そう、せっかくの出番だと期待しのに、シャラザールが出た時はもう全ての戦いが終わった後だった。
「せっかく余が久々にノルディンの大軍を1撃で葬り去ろうとしたのに」
歯を噛み締めてシャラザールが悔しそうに言う。
それを聞いてノルディン兵たちは青くなった。
クリスが相手で良かった。でないと一瞬で壊滅させられていたんだ。
と。
「シャラザール。失礼ながらクリスは喜んで雷撃をしたわけではありません」
勇気を出してオーウェンが言う。
「何を言う。その後その方がクリスを慰められて喜んでいたではないか。アメリアなどはクリスがわざとやってオーウェンの同情を引いていたと申しておったぞ」
「それは冗談です」
シャラザールの言葉にアメリアが反論する。
「クリスがそんな事をしないのは憑依しておられるシャラザールが一番ご存知のはず」
「まあ、クリスは余と同じで恥ずかしがり屋だからの」
そのシャラザールの発言に皆目を見開いた。
どの口をして戦神が自らを恥ずかしがり屋なんていうのか一同には全然判らなかった。
戦神が恥ずかしがり屋なら世界中に目立ちたがり屋など一人もいなくなるのではないか。
とアレクは心のなかで思った。
「アレク。何か言ったか」
ギロリとシャラザールが睨んだ。
「ヒェぇぇぇ。何も申しておりません」
思いっきりアレクが首を振る。
「何か文句があるなら、余の剣に問うか」
「それよりもシャラザール。アードルフ教皇を見つけませんと」
「ん、まあそうだが、その教皇とやらは少しくらい強いのか」
訝しげにシャラザールが聞く。
気にするのはそこかよ。
全員突っ込みたかった。
「直ちに捜索にかかります」
アレクがこの場を一瞬でも早く離れようと進言する。
「いや、その必要もあるまい」
そのシャラザールの言葉を聞いていたアードルフはホッとした。
地下室で大音響がして騎士団が一瞬で殲滅したことを知り、アードルフは慌てに慌てていた。
何故伝説の戦神シャラザールが来臨????
アードルフは何故侯爵令嬢風情が大国の皇太子連中をまとめられているか、特にノルディンの赤い死神を配下においていられるのか不思議だった。戦神シャラザールがいたからなんだと初めて知った。
そして、最強の教皇魔導師団が一瞬で殲滅された!!!
もうアードルフにとっては逃げ出すしか手がなかった。
テロも何ももうシャラザールには絶対に敵わない。
アードルフは産まれて初めて絶対に手を出してはいけないものに手を出してしまったことに気付いていた。
今更頭を下げても絶対に許してもらえないだろう。
女物の衣装をかぶり、ベールをつけて女装し、秘密の通路から逃げ出そうとした。
そう、もう逃げるしか無かった。
探される前に逃げ出そうとアードルフが動き出した時だ。
シャラザールが腕を一閃させた。
「ぎゃっ」
アードルフは転移させられてシャラザールの目の前の地面に叩きつけられていた。
「うんっ? ザール教の教皇はオカマだったのか」
女装したアードルフを見て思わずシャラザールが呟いた。
女装したアードルフはどう見てもおかまだった。
「シャラザール様。何卒お許しを」
アードルフは頭を地面につけて平伏した。
「はっ?」
シャラザールはそれを見てがっかりした。
「何だこやつは」
「私めがザール教の教皇アードルフ・ナッティネンでございます。何卒御慈悲を」
平伏してアードルフがいう。
「こんな奴がか」
がっかりしてシャラザールが言う。
「おい、そこの兵士、本当か」
「確かにアードルフ教皇でいらっしゃいます」
兵士は頷いた。
「アレク、この者の罪は」
「布教活動に麻薬パラウェイを使用とのこと。これは多かれ少なかれ全てのザール教施設で確認されました。及び多くの女奴隷を使役したこと。更に我々の諜報員の多くを残酷に殺害したことでございます」
「うむ。クリスも切れていた件じゃな」
「何卒、何卒、お許しを」
「ええい、しつこい。余の息子ザールが始めた宗教を麻薬まみれ奴隷まみれにした罪は万死に値するわ」
「そこをなんとか、お願いいたします」
そう言うとアードルフはシャラザールの足にすがりつこうとした。
「ええい、汚らしい」
シャラザールはそのアードルフを思いっきり蹴り倒した。
飛んでいったアードルフははるか先の城壁に突き刺さっていた。
ザール教はシャラザールによって完全に制圧された。
シャラザールは固まった。
「何だと言われましても・・・・」
ジャンヌらはそう言う以外に答えようがなかった。
「あまりにも弱すぎるではないか。これでは余がわざわざ親征した意味がないではないか」
シャラザールの怒りに皆驚く。
アレクはやばいと思った。
このままではまた、いつもの特訓に突入してしまう。
「このような雑魚どもに貴様らは手をこまねいていたのか」
シャラザールがギロリとジャンヌらを睨んだ。
「シャラザール。そんなこと言われても昔と違って今は色々と周りがうるさいのです。
特にクリスが」
ジャンヌは最後を強調した。
うるさいのは彼らの父母の大人たちだが、クリスもそう簡単にうんと言わないはずだ。
「クリスがか。しかし、クリスは陳国の時は自ら進んで軍を起こしたぞ。そして、自分だけ雷撃を乱発して欲求不満を解消していたではないか」
忌々しそうにシャラザールは言った。そう、せっかくの出番だと期待しのに、シャラザールが出た時はもう全ての戦いが終わった後だった。
「せっかく余が久々にノルディンの大軍を1撃で葬り去ろうとしたのに」
歯を噛み締めてシャラザールが悔しそうに言う。
それを聞いてノルディン兵たちは青くなった。
クリスが相手で良かった。でないと一瞬で壊滅させられていたんだ。
と。
「シャラザール。失礼ながらクリスは喜んで雷撃をしたわけではありません」
勇気を出してオーウェンが言う。
「何を言う。その後その方がクリスを慰められて喜んでいたではないか。アメリアなどはクリスがわざとやってオーウェンの同情を引いていたと申しておったぞ」
「それは冗談です」
シャラザールの言葉にアメリアが反論する。
「クリスがそんな事をしないのは憑依しておられるシャラザールが一番ご存知のはず」
「まあ、クリスは余と同じで恥ずかしがり屋だからの」
そのシャラザールの発言に皆目を見開いた。
どの口をして戦神が自らを恥ずかしがり屋なんていうのか一同には全然判らなかった。
戦神が恥ずかしがり屋なら世界中に目立ちたがり屋など一人もいなくなるのではないか。
とアレクは心のなかで思った。
「アレク。何か言ったか」
ギロリとシャラザールが睨んだ。
「ヒェぇぇぇ。何も申しておりません」
思いっきりアレクが首を振る。
「何か文句があるなら、余の剣に問うか」
「それよりもシャラザール。アードルフ教皇を見つけませんと」
「ん、まあそうだが、その教皇とやらは少しくらい強いのか」
訝しげにシャラザールが聞く。
気にするのはそこかよ。
全員突っ込みたかった。
「直ちに捜索にかかります」
アレクがこの場を一瞬でも早く離れようと進言する。
「いや、その必要もあるまい」
そのシャラザールの言葉を聞いていたアードルフはホッとした。
地下室で大音響がして騎士団が一瞬で殲滅したことを知り、アードルフは慌てに慌てていた。
何故伝説の戦神シャラザールが来臨????
アードルフは何故侯爵令嬢風情が大国の皇太子連中をまとめられているか、特にノルディンの赤い死神を配下においていられるのか不思議だった。戦神シャラザールがいたからなんだと初めて知った。
そして、最強の教皇魔導師団が一瞬で殲滅された!!!
もうアードルフにとっては逃げ出すしか手がなかった。
テロも何ももうシャラザールには絶対に敵わない。
アードルフは産まれて初めて絶対に手を出してはいけないものに手を出してしまったことに気付いていた。
今更頭を下げても絶対に許してもらえないだろう。
女物の衣装をかぶり、ベールをつけて女装し、秘密の通路から逃げ出そうとした。
そう、もう逃げるしか無かった。
探される前に逃げ出そうとアードルフが動き出した時だ。
シャラザールが腕を一閃させた。
「ぎゃっ」
アードルフは転移させられてシャラザールの目の前の地面に叩きつけられていた。
「うんっ? ザール教の教皇はオカマだったのか」
女装したアードルフを見て思わずシャラザールが呟いた。
女装したアードルフはどう見てもおかまだった。
「シャラザール様。何卒お許しを」
アードルフは頭を地面につけて平伏した。
「はっ?」
シャラザールはそれを見てがっかりした。
「何だこやつは」
「私めがザール教の教皇アードルフ・ナッティネンでございます。何卒御慈悲を」
平伏してアードルフがいう。
「こんな奴がか」
がっかりしてシャラザールが言う。
「おい、そこの兵士、本当か」
「確かにアードルフ教皇でいらっしゃいます」
兵士は頷いた。
「アレク、この者の罪は」
「布教活動に麻薬パラウェイを使用とのこと。これは多かれ少なかれ全てのザール教施設で確認されました。及び多くの女奴隷を使役したこと。更に我々の諜報員の多くを残酷に殺害したことでございます」
「うむ。クリスも切れていた件じゃな」
「何卒、何卒、お許しを」
「ええい、しつこい。余の息子ザールが始めた宗教を麻薬まみれ奴隷まみれにした罪は万死に値するわ」
「そこをなんとか、お願いいたします」
そう言うとアードルフはシャラザールの足にすがりつこうとした。
「ええい、汚らしい」
シャラザールはそのアードルフを思いっきり蹴り倒した。
飛んでいったアードルフははるか先の城壁に突き刺さっていた。
ザール教はシャラザールによって完全に制圧された。
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