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第九章 ザール教騒乱
クリスの魔道士見習いは公爵邸に招待されて圧倒されました
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爆発は反射で拡散されたことで幸いなことに大きなけが人は出なかったが、負傷者は十数名となった。下手人のジークムントと反射で被害を広げたビアンカはフランツとアメリアからじっくりとお小言を受けた。
「すいませんでした」
ほうほうの体で二人は学園長室を出た。
「ふんっ。貴様のせいでひどい目にあった」
「何言ってんのよ。元々あなたが攻撃してきたんじゃない」
ビアンカがいきり立って言った。
「平民風情が貴族にそんな口を聞くな」
ジークムントは憎々しげに言う。
「・・・・・」
ビアンカはその言葉にムカついたが、余り目立ちたくないので黙っていた。
「ふんっ。礼儀のなっていない平民よな。その使用者のお里が知れるわ」
「あのう、たかだか辺境の田舎伯爵の息子風情が、何言ってるの?」
「何だと」
「そうでしょ。私は平民だから何言われても仕方がないけど、クリス様はマーマレード王国の伝統ある侯爵家令嬢なのよ。マーマレードやテレーゼの王族の血も入っているわ。あなたみたいな田舎伯爵の息子風情と比べるのもおこがましいわ」
「何だと」
「やるの。弾き飛ばしてやりましょうか」
ビアンカが手に魔力を込める。
「いや、いい」
慌ててジークムントはビアンカから距離を取った。ビアンカは魔王の攻撃も反射で防いだのだ。やりあってまともに勝てる相手では無かった。
「それよりも後ろに気をつけるのだな。いっ何が起こるかわからないからな」
捨てセリフを残して慌ててジークムントは立ち去っていった。
「ふんっ。あなたこそ気をつけないと次なんかやったら反射で正面から返してあげるわよ」
人気のないところに向かってビアンカは叫んでいた。
「凄いわ。ビアンカ。伯爵令息相手に全くひるまないのね」
それを遠くから見つけたロヴィーナが喜んで駆け寄ってきた。
「ああん、もう、また目立っちゃったじゃない」
赤くなってビアンカは言った。最近周りに毒されたのか、どんどんビアンカは言葉も態度も悪くなりだしていた。そして目立つようになっていた。特にロヴィーナに付きまとわれるようになってから。
ビアンカはもっと目立たないようにしようと誓うのだった。
「それよりもあなた、今日、暇でしょ」
「暇じゃないわよ」
「公爵家に遊びにこない?」
ビアンカの言葉をロヴィーナは無視する。
「公爵様のお家になんて行けるわけ無いでしょ」
「こちらはタウンハウスだからお母様もいないし、のんびりしたものよ。王城の正門まで5分とかからないし、ベスファルトの最新のケーキもあるわよ」
「えっあの、ベスファルトのケーキ!」
ビアンカは飛びついた。ビアンカはお菓子は大好きだった。それも元々皇帝のお菓子と言われたベスファルトのケーキは美味しいと評判だった。一度クリスが分けてくれたのだが、天にも登る美味しさだった。でも、玉に瑕なのが、高価なことだった。庶民がおいそれと食べられる物ではなかったのだった。
「でも、大公爵家の方々とお会いするわけには」
「国都のタウンハウスだから煩いのは侍女頭のウルスラだけだけど、そのウルスラが誰でもいいから友達を連れて来いって煩いのよね。夕食までには返すし、何だったら馬車で王宮まで送るから」
「でも、私本当に平民なのよ」
「問題ないわよ。魔導学園のトップということは今後のボフミエ魔導国を背負って立つ逸材じゃない。大しておもてなしも出来ないけれど、頼むから来て」
ロヴィーサが拝んできた。
そこまで公爵令嬢に言われたらビアンカも頷かざるおえなかった。最悪、王宮を首になっても公爵家で雇ってもらえるかも知れないし……。目立つのは厭だけど、背に腹はかえられなかった。
「でっかい」
しかし、馬車で連れられた先にある公爵家のタウンハウスは敷地は大きかった。
庭園こそ大した大きさではなかったが、入り口に立つ巨大な建物は幅は最低100メートルはあった。
横には大きな聖堂が建っていた。入る前にビアンカは圧倒された。
「おかえりなさいませ。お嬢様」
侍女頭のウルスラを筆頭に10名の出迎えがあった。
「だだいま。ウルスラ、言われたように友達のビアンカを連れてきたわ」
「それはようございました。ヒルダ。ご案内して」
「ビアンカ様。こちらでございます」
ヒルダが案内しようとする。
ビアンカはあまりのことに固まっていた。
貴族の邸宅に案内されるなんて初めてだった。
王宮で慣れていると入っても、ボフミエの王宮はおままごと政権と言われているように、そのような制度もいい加減、クリスを始め王族も皆自分のことは自分でできるので、侍女なんかはほとんどいなかった。敬語等もいい加減で、特にジャンヌとかはいい加減なので、ビアンカは下手したら普通の庶民言葉で話していた。ジャンヌとかアメリアとか本来ならばビアンカなんて到底話しかけられない、一流国の王族には普通に話しかけられるのに、たかだか1地方国家の公爵家の侍女相手に固まってしまった。
「ビアンカ、私も着替えてすぐに行くから待ってて」
ロヴィーサはダンっと手でビアンカの肩を叩くと、さっさと玄関の扉をくぐって入って行った。
「さっビアンカ様もどうぞ」
侍女に促されてビアンカは手と足を同時に出して歩いてついていった。
それをウルスラはニタリと笑ってみていた。
「すいませんでした」
ほうほうの体で二人は学園長室を出た。
「ふんっ。貴様のせいでひどい目にあった」
「何言ってんのよ。元々あなたが攻撃してきたんじゃない」
ビアンカがいきり立って言った。
「平民風情が貴族にそんな口を聞くな」
ジークムントは憎々しげに言う。
「・・・・・」
ビアンカはその言葉にムカついたが、余り目立ちたくないので黙っていた。
「ふんっ。礼儀のなっていない平民よな。その使用者のお里が知れるわ」
「あのう、たかだか辺境の田舎伯爵の息子風情が、何言ってるの?」
「何だと」
「そうでしょ。私は平民だから何言われても仕方がないけど、クリス様はマーマレード王国の伝統ある侯爵家令嬢なのよ。マーマレードやテレーゼの王族の血も入っているわ。あなたみたいな田舎伯爵の息子風情と比べるのもおこがましいわ」
「何だと」
「やるの。弾き飛ばしてやりましょうか」
ビアンカが手に魔力を込める。
「いや、いい」
慌ててジークムントはビアンカから距離を取った。ビアンカは魔王の攻撃も反射で防いだのだ。やりあってまともに勝てる相手では無かった。
「それよりも後ろに気をつけるのだな。いっ何が起こるかわからないからな」
捨てセリフを残して慌ててジークムントは立ち去っていった。
「ふんっ。あなたこそ気をつけないと次なんかやったら反射で正面から返してあげるわよ」
人気のないところに向かってビアンカは叫んでいた。
「凄いわ。ビアンカ。伯爵令息相手に全くひるまないのね」
それを遠くから見つけたロヴィーナが喜んで駆け寄ってきた。
「ああん、もう、また目立っちゃったじゃない」
赤くなってビアンカは言った。最近周りに毒されたのか、どんどんビアンカは言葉も態度も悪くなりだしていた。そして目立つようになっていた。特にロヴィーナに付きまとわれるようになってから。
ビアンカはもっと目立たないようにしようと誓うのだった。
「それよりもあなた、今日、暇でしょ」
「暇じゃないわよ」
「公爵家に遊びにこない?」
ビアンカの言葉をロヴィーナは無視する。
「公爵様のお家になんて行けるわけ無いでしょ」
「こちらはタウンハウスだからお母様もいないし、のんびりしたものよ。王城の正門まで5分とかからないし、ベスファルトの最新のケーキもあるわよ」
「えっあの、ベスファルトのケーキ!」
ビアンカは飛びついた。ビアンカはお菓子は大好きだった。それも元々皇帝のお菓子と言われたベスファルトのケーキは美味しいと評判だった。一度クリスが分けてくれたのだが、天にも登る美味しさだった。でも、玉に瑕なのが、高価なことだった。庶民がおいそれと食べられる物ではなかったのだった。
「でも、大公爵家の方々とお会いするわけには」
「国都のタウンハウスだから煩いのは侍女頭のウルスラだけだけど、そのウルスラが誰でもいいから友達を連れて来いって煩いのよね。夕食までには返すし、何だったら馬車で王宮まで送るから」
「でも、私本当に平民なのよ」
「問題ないわよ。魔導学園のトップということは今後のボフミエ魔導国を背負って立つ逸材じゃない。大しておもてなしも出来ないけれど、頼むから来て」
ロヴィーサが拝んできた。
そこまで公爵令嬢に言われたらビアンカも頷かざるおえなかった。最悪、王宮を首になっても公爵家で雇ってもらえるかも知れないし……。目立つのは厭だけど、背に腹はかえられなかった。
「でっかい」
しかし、馬車で連れられた先にある公爵家のタウンハウスは敷地は大きかった。
庭園こそ大した大きさではなかったが、入り口に立つ巨大な建物は幅は最低100メートルはあった。
横には大きな聖堂が建っていた。入る前にビアンカは圧倒された。
「おかえりなさいませ。お嬢様」
侍女頭のウルスラを筆頭に10名の出迎えがあった。
「だだいま。ウルスラ、言われたように友達のビアンカを連れてきたわ」
「それはようございました。ヒルダ。ご案内して」
「ビアンカ様。こちらでございます」
ヒルダが案内しようとする。
ビアンカはあまりのことに固まっていた。
貴族の邸宅に案内されるなんて初めてだった。
王宮で慣れていると入っても、ボフミエの王宮はおままごと政権と言われているように、そのような制度もいい加減、クリスを始め王族も皆自分のことは自分でできるので、侍女なんかはほとんどいなかった。敬語等もいい加減で、特にジャンヌとかはいい加減なので、ビアンカは下手したら普通の庶民言葉で話していた。ジャンヌとかアメリアとか本来ならばビアンカなんて到底話しかけられない、一流国の王族には普通に話しかけられるのに、たかだか1地方国家の公爵家の侍女相手に固まってしまった。
「ビアンカ、私も着替えてすぐに行くから待ってて」
ロヴィーサはダンっと手でビアンカの肩を叩くと、さっさと玄関の扉をくぐって入って行った。
「さっビアンカ様もどうぞ」
侍女に促されてビアンカは手と足を同時に出して歩いてついていった。
それをウルスラはニタリと笑ってみていた。
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