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第八章 ボフミエ王宮恋愛編

エピローグ 桜並木を歩くのはクリスとの想い出

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翌日元気になったオーウェンはクリスと一緒に宋城の近くの河原を歩いていた。
一人で歩けるというオーウェンだが、クリスがどうしてもというのでクリスの肩を借りて歩いていた。
もっとも形だけだったが、クリスと肩を組んで歩けるなんて夢のようだった。
河原には桜の花が満開を過ぎて咲き誇っており、風が吹く度に桜吹雪が舞って、美しかった。

「どうクリス?桜吹雪は」
「本当にきれい」
クリスはうっとりして言った。
「良かった。クリスをやっと連れて来れて。クリスと桜並木を歩くのか夢だったんだ」
「えっ、でも、桜は依然王女との初めて会った舞台でしょ」
思わずブスリとクリスが口をとがらせて文句を言う。
「何言ってるんだよ。クリス。その話ししたら、絶対にクリスを連れて行けって、強請ったのクリスだろう」
「嘘っ、そんなこと言ったっけ」
オーウェンの言葉にクリスは昔を思い出そうとした。
「クリスは言ったんだよ。そして、連れて行ってくれたらクリスは俺のお嫁さんになってくれるってはっきり言ったんだから。ひょっとして忘れたの?」

「あっ」
オーウエンに言われて、クリスは思い出していた。
確か4歳位だったと思う。そんな事を言った覚えが確かにあった。
きれいな桜の中で変わった女の子に会ったというオーウェンの話にたしかヤキモチを焼いてそう言ったんだ。とてもおしゃまな女の子だった記憶があった。

クリスは真っ赤になった。
そのクリスをオーウェンは横から柔らかい瞳で見下ろしていた。
クリスはオーウェンの視線を感じて目を上げた。上目遣いにオーウェンを見る。
二人は思わず見つめ合っていた。


「ええい、二人共離れろ」
そこへ強引にウィルが転移してきた。
しかし、いつもと違って肩で抱き合っている二人の間には転移できず、オーウェンの手でガードされて、弾き飛ばされる。

「もう、ウィル。せっかく良いところだったのに」
「本当に」
その後にジャンヌとアレクが転移してくる。

「な、何の。ウィルもお姉様まで」
クリスは真っ赤になって悶た。
でも、そのクリスの肩にはしっかりとオーウェンの手が回されていた。

「ええい、オーウェン。いい加減に姉さまの方から手を離せ」
ウィルがしゃかりきになって離させようとするが、オーウェンはクリスを抱き寄せてウィルから離す。

そのドタバタした皆の間を風に飛ばされて桜の花びらが舞っていた。
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