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第八章 ボフミエ王宮恋愛編
クリスは大国皇太子を看病します
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オーウェンはショックだった。
クリスに戦神シャラザールが憑依していたなんて全然知らなかった。
アレクが何故クリスを恐れていたか、やっと判った。
クリスが不死身だという意味もやっと判った。あんな化け物がクリスについていたらクリスがやられる訳なかった。そして、その戦神に勝たないとクリスは嫁にやらんと言われた事を考えるとオーウェンは呆然としていた。
シャラザールから受けた傷と精神的ショックのためにオーウェンは2日間寝込んだ。
その間中オーウェンはクリスに振られる悪夢を見続けた。
精神的に最悪の状態でオーウェンは目覚めた。
体が重い。
ゆっくりと周りを見ると視界の下の方に金色の何かが見える。
それはよく見ると金髪だった。
誰かがオーウェンの胸に倒れ込んで寝ている。
でも、金色の髪って、オーウェンの頭の中には一人しか思い浮かばなかった。
でも、シャラザールに駄目だしされた後だ。それにここ最近口も聞いてもらっていなかった。
でも、依然にしても悠然にしても黒髪、ジャンヌは茶髪・・・・・。
恐る恐るオーウェンはその髪に手を伸ばしてみる。
やらかい髪だった。
その少女が身じろいだ。
ゆっくりとこちらに顔を向ける。
「オウ、おはよう」
それは紛れもなく、クリスだった。
「オウ、ごめんなさい」
クリスが謝った。
「えっ」
オーウェンにはくりすに謝られる理由が無かった。
シャラザールにはボコボコにされたが、クリスには何もされていない。
「本当にごめんなさい。また酔ってしまって助けようとしてオウが怪我してしまったって」
「えっそんなことはないよ」
クリスの話にオーウェンは驚いた。
「嘘よ。ジャンヌお姉さまたちが昨日教えてくれたわ」
「そうだったかな」
オーウェンは絶対に違うと判っていたが、そうなっているならそれでいいかと思った。
「熱は下がったわね」
クリスがオーウェンのおでこに触って言った。
触られて思わず、オーウェンは赤くなった。
「まだ、熱っぽい?」
「そんなことはないよ」
「何か食べる?」
クリスに言われると一昨日の戦闘の後から何も食べていないのに気付いた。
慌ててクリスが食事を取りに出る。
それと入れ替わりにジャンヌとアレクが入ってきた。
「よう元気か」
ジャンヌが聞く。
「なんとかな」
「シャラザール様からの伝言だ。まだまだ軟弱だが、少しは見込みがあると」
アレクが言う。
「良かったな。完全否定されなくて」
「その代わりにボロボロにされた」
「何言ってる。俺も同じだぞ」
オーウェンの言葉にアレクが言う。
「シャラザールは最後に回復魔法をかけてくれるからな。普通は翌日は筋肉痛で痛いくらいだ」
散々経験しているアレクが言った。
「そうなんだ」
初体験のオーウェンは驚いた。そう言えば肋も何本も折れたはずが痛くない。
「何がソウナンですか」
そこへ食事を持って入ってきたクリスが聞く。
「いや、クリス嬢。何でも無いよ」
慌ててアレクが否定する。
「じゃあクリス」
二人は慌てて病室を出ようとする。
「えっ、もう行くのか」
「おじゃま虫は消えるよ」
ジャンヌはそう言うと出て行った。シャラザールの伝言だけ伝えに来てくれたみたいだった。
ジャンヌにしては珍しかった。
「あれっ二人きりになっちゃったね」
「本当に。いつも気なんか使わないのに」
言いながらクリスは膝の上に食器類をおいて座ると、食器を持ってオーウェンの口元に持っていく。
「はいっ。オウ」
「えっ」
「私のせいで怪我したんだから私が食べさせます」
そう言うとスプーンでヨーグルトをすくうとオーウェンの口元に持っていく。
「いや、クリス」
そう言って止めようとしたオーウェンの開けた口の中にスプーンを入れる。
仕方無しにオーウェンは食べる。というか、オーウェンはそのクリスの行為に嬉しさで頭の中がパンクしそうだった。
「いつもの仕返しです」
いつもオーウェンに口の中にお菓子を入れられているのだ。今日くらいは逆に食べさせたい。
クリスの笑顔にオーウェンは目が点になる。
クリスは次にお粥をフウフウして運ぶ。
もうオーウェンは幸せで死にそうだった。こんな事ならたまにはシャラザールにボコボコにされても良かった。オーウェンは久々に幸せ気分を満喫した。
クリスに戦神シャラザールが憑依していたなんて全然知らなかった。
アレクが何故クリスを恐れていたか、やっと判った。
クリスが不死身だという意味もやっと判った。あんな化け物がクリスについていたらクリスがやられる訳なかった。そして、その戦神に勝たないとクリスは嫁にやらんと言われた事を考えるとオーウェンは呆然としていた。
シャラザールから受けた傷と精神的ショックのためにオーウェンは2日間寝込んだ。
その間中オーウェンはクリスに振られる悪夢を見続けた。
精神的に最悪の状態でオーウェンは目覚めた。
体が重い。
ゆっくりと周りを見ると視界の下の方に金色の何かが見える。
それはよく見ると金髪だった。
誰かがオーウェンの胸に倒れ込んで寝ている。
でも、金色の髪って、オーウェンの頭の中には一人しか思い浮かばなかった。
でも、シャラザールに駄目だしされた後だ。それにここ最近口も聞いてもらっていなかった。
でも、依然にしても悠然にしても黒髪、ジャンヌは茶髪・・・・・。
恐る恐るオーウェンはその髪に手を伸ばしてみる。
やらかい髪だった。
その少女が身じろいだ。
ゆっくりとこちらに顔を向ける。
「オウ、おはよう」
それは紛れもなく、クリスだった。
「オウ、ごめんなさい」
クリスが謝った。
「えっ」
オーウェンにはくりすに謝られる理由が無かった。
シャラザールにはボコボコにされたが、クリスには何もされていない。
「本当にごめんなさい。また酔ってしまって助けようとしてオウが怪我してしまったって」
「えっそんなことはないよ」
クリスの話にオーウェンは驚いた。
「嘘よ。ジャンヌお姉さまたちが昨日教えてくれたわ」
「そうだったかな」
オーウェンは絶対に違うと判っていたが、そうなっているならそれでいいかと思った。
「熱は下がったわね」
クリスがオーウェンのおでこに触って言った。
触られて思わず、オーウェンは赤くなった。
「まだ、熱っぽい?」
「そんなことはないよ」
「何か食べる?」
クリスに言われると一昨日の戦闘の後から何も食べていないのに気付いた。
慌ててクリスが食事を取りに出る。
それと入れ替わりにジャンヌとアレクが入ってきた。
「よう元気か」
ジャンヌが聞く。
「なんとかな」
「シャラザール様からの伝言だ。まだまだ軟弱だが、少しは見込みがあると」
アレクが言う。
「良かったな。完全否定されなくて」
「その代わりにボロボロにされた」
「何言ってる。俺も同じだぞ」
オーウェンの言葉にアレクが言う。
「シャラザールは最後に回復魔法をかけてくれるからな。普通は翌日は筋肉痛で痛いくらいだ」
散々経験しているアレクが言った。
「そうなんだ」
初体験のオーウェンは驚いた。そう言えば肋も何本も折れたはずが痛くない。
「何がソウナンですか」
そこへ食事を持って入ってきたクリスが聞く。
「いや、クリス嬢。何でも無いよ」
慌ててアレクが否定する。
「じゃあクリス」
二人は慌てて病室を出ようとする。
「えっ、もう行くのか」
「おじゃま虫は消えるよ」
ジャンヌはそう言うと出て行った。シャラザールの伝言だけ伝えに来てくれたみたいだった。
ジャンヌにしては珍しかった。
「あれっ二人きりになっちゃったね」
「本当に。いつも気なんか使わないのに」
言いながらクリスは膝の上に食器類をおいて座ると、食器を持ってオーウェンの口元に持っていく。
「はいっ。オウ」
「えっ」
「私のせいで怪我したんだから私が食べさせます」
そう言うとスプーンでヨーグルトをすくうとオーウェンの口元に持っていく。
「いや、クリス」
そう言って止めようとしたオーウェンの開けた口の中にスプーンを入れる。
仕方無しにオーウェンは食べる。というか、オーウェンはそのクリスの行為に嬉しさで頭の中がパンクしそうだった。
「いつもの仕返しです」
いつもオーウェンに口の中にお菓子を入れられているのだ。今日くらいは逆に食べさせたい。
クリスの笑顔にオーウェンは目が点になる。
クリスは次にお粥をフウフウして運ぶ。
もうオーウェンは幸せで死にそうだった。こんな事ならたまにはシャラザールにボコボコにされても良かった。オーウェンは久々に幸せ気分を満喫した。
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