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第八章 ボフミエ王宮恋愛編
赤い死神は外務に陳国の二人の騎士を強引に勧誘しました
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一方内務の向かいの外務ではアレクが依然の護衛騎士の词语と護衛魔導師の悠然を皆に紹介していた。
「依然王女は内務に取られたのですね」
ペトロが内務で話している依然を見て聞く。
「ペトロ。でも、ちゃんと陳国の方をお二人も連れてきただろう。何しろ悠然は外務大臣の周氏の親戚なんだそうだ」
「本当ですか」
「はい。遠い親戚ですけど」
「遠い親戚でも周氏とはこれで連絡は取れよう。彼女たちは外務省に勤務して頂ける」
「えっ殿下そこまでは」
悠然が驚いて言う。
「何を言っているのかな。2人がかりで私に勝てなかったら、外務に勤務すると約束したではないか。外務に勤務していただければ、週に1回は私が稽古をつけてあげよう」
「えっ本当ですか」
词语はアレクの話に惹かれた。敵とは言え、赤い死神に稽古をつけてもらえるなんてめったに無い。それにボフミエには強い騎士がゴロゴロいた。
「私としても陳国とよしみが出来ることはとても嬉しい」
ニコリとアレクは笑って言った。
「しかし、依然王女殿下の護衛の任務がありますし」
悠然は抵抗する。
「依然王女がこちらに来て頂くと言うことはないのだが、あちらは内務卿に首ったけみたいだし。
ここは王宮。基本は安全には問題はないぞ。何なら、陳国の国王に聞いてみようか」
「えっそのような恐れ多い」
アレクの言葉に慌てて悠然が否定しようとする。
「それは心外だなあ。陳国が強大過ぎてこの外務卿では話してくれないと」
ギロリとアレクが見る。
「いえ、そのような」
悠然は震えあがった。相手は赤い死神だ。一番怒らせてはいけない相手だった。
周りも青くなる。
特にペトロは。対応誤るとトリポリのように陳国の宮廷に火の粉がかかる。
そこに魔導電話が鳴った。
これ幸いとペトロが取る。
そこにはクリスが映った。ペトロはホッとした。
「おはようございます」
「おはようございます」
クリスの挨拶に慌てて全員立上って挨拶する。
悠然はアレクが姿勢を正すのを見て驚いた。他の皇太子と相対するのとは全然違う。他の皇太子とは友達感覚だったのに。
「アレク様。お忙しいところすいません」
「いえ、クリス様。何も問題はありませんよ」
悠然はアレクがクリスに様をつけたのも驚いた。
「実は新しい財務卿がやっと見つかりまして、外務の皆さんにも紹介させて頂きます。
ジパグ国の皇太子殿下であらせられるコレキヨ様です」
「コレキヨでございます。アレクサンドロ皇太子殿下にはお初にお目にかかります」
コレキヨは深い礼をした。
「コレキヨ様。ここでは私は皇太子ではなくて外務卿です。あなたも財務卿なのですから、同僚ですよ」
「これはこれは失礼いたしました。ではアレキサンドロ様と」
「アレクでいいですよ」
アレクは笑って言った。
「ではアレク様。よろしくお願いいたしますね」
にこやかにコレキヨは笑った。
「で、アレク様。そちらの2名の女性の方はどなたですか」
目ざとくクリスが見つけて言った。
「こちらは陳国からの留学生の词语さんと悠然さんです」
「李词语と申します」「周悠然です」
いきなり振られて二人は慌てて挨拶した。
「クリスティーナ・ミハイルと申します」
「お二人共、外務の仕事に興味を持ってた頂いたのですが、留学生の身。手伝うには国の許可がいるということで陳国の国王陛下にお電話でお許しを頂こうかと思いまして」
「えっ、そうなのですか。陳国の国王陛下とお電話で話されるのですか」
何故かクリスがそこに食らいついてきた。
「まあ、本来はお会いしたほうが良いとは思うのですが、何分遠いですし」
「アレク様。出来たら、そのお電話の中で私もご挨拶させていただくわけにはいかないでしょうか」
「筆頭魔導師様自らですか」
アレクが驚いて聞く。
「あのう、私のような者が直接お話させていただくのはおこがましいとは思うのですが」
「何をおっしゃいます。魔王を退治なされたクリスティーナ様と話すのを忌避するものなど、どこにおりましょう」
「そうは言ってもアレク様のお父様とはお話させて頂けたことは無いではないですか」
クリスがいじけて言う。
「何をおっしゃいます。ノルディンなどという辺境の北国の王などとお会いいただかなくても宜しいではありませんか。そもそも私めがここにおりますれば、会う必要など無いでしょう。私では役不足ですかな」
悠然らは唖然としていた。傲岸無比と噂されるノルディンの皇太子が自国を卑下しているのだ。それも何故か必死だ。
もっともアレクとしてはどこでシャラザールが来臨するかわからないクリスなど連れてノルディンに行ける訳なかった。下手したら一瞬で帝都は灰燼と化す。
「そうですか」
残念そうにクリスが言う。
「陳国国王との面談のおりはクリス様にご同席頂けるように手配しておきます。ご帰還は明日ですね」
「明日は色々ございますので、明後日以降でお願いしたいのですが」
「判りました。お任せ下さい」
「宜しくお願いいたします」
電話が切れた。
ほうっとアレクはため息をつく。
それを珍しそうに他のものが見ているのに気付いて
「ペトロ。悠然と協力して、クリス嬢が話したように、明後日以降で、陳国国王と魔導電話会談の設定を。スケジュールはクリス嬢のスケジュールに合わせろ」
いつものアレクに戻って命令していた。
「でも、アレク様。本当に大丈夫なのですか」
「何がだ」
「だってこの前はトリポリ国王に全く相手にされなかったではないですか」
「そんなことはないだろう。なあ悠然」
「そうは思いますけど」
いきなり振られて悠然は慌てた。
「この前のトリポリみたいに宮殿破壊は止めてくださいよ」
思わずペトロは言ってしまった。
「何を言っている。ペトロ。君は北極旅行がしたいのかな」
「いえいえ、とんでもありません。早速に悠然様と国王にお電話できるように調節します」
慌ててペトロは言った。
「最悪、依然王女にお願いすればいいだろう。断るとは思えないけれど。なあ、悠然」
悠然はコクコクと頷いた。陳国の宮殿が火の海になるのは嫌だ。どんな事をしても対話できるようにしようと心に決めた悠然だった。
「依然王女は内務に取られたのですね」
ペトロが内務で話している依然を見て聞く。
「ペトロ。でも、ちゃんと陳国の方をお二人も連れてきただろう。何しろ悠然は外務大臣の周氏の親戚なんだそうだ」
「本当ですか」
「はい。遠い親戚ですけど」
「遠い親戚でも周氏とはこれで連絡は取れよう。彼女たちは外務省に勤務して頂ける」
「えっ殿下そこまでは」
悠然が驚いて言う。
「何を言っているのかな。2人がかりで私に勝てなかったら、外務に勤務すると約束したではないか。外務に勤務していただければ、週に1回は私が稽古をつけてあげよう」
「えっ本当ですか」
词语はアレクの話に惹かれた。敵とは言え、赤い死神に稽古をつけてもらえるなんてめったに無い。それにボフミエには強い騎士がゴロゴロいた。
「私としても陳国とよしみが出来ることはとても嬉しい」
ニコリとアレクは笑って言った。
「しかし、依然王女殿下の護衛の任務がありますし」
悠然は抵抗する。
「依然王女がこちらに来て頂くと言うことはないのだが、あちらは内務卿に首ったけみたいだし。
ここは王宮。基本は安全には問題はないぞ。何なら、陳国の国王に聞いてみようか」
「えっそのような恐れ多い」
アレクの言葉に慌てて悠然が否定しようとする。
「それは心外だなあ。陳国が強大過ぎてこの外務卿では話してくれないと」
ギロリとアレクが見る。
「いえ、そのような」
悠然は震えあがった。相手は赤い死神だ。一番怒らせてはいけない相手だった。
周りも青くなる。
特にペトロは。対応誤るとトリポリのように陳国の宮廷に火の粉がかかる。
そこに魔導電話が鳴った。
これ幸いとペトロが取る。
そこにはクリスが映った。ペトロはホッとした。
「おはようございます」
「おはようございます」
クリスの挨拶に慌てて全員立上って挨拶する。
悠然はアレクが姿勢を正すのを見て驚いた。他の皇太子と相対するのとは全然違う。他の皇太子とは友達感覚だったのに。
「アレク様。お忙しいところすいません」
「いえ、クリス様。何も問題はありませんよ」
悠然はアレクがクリスに様をつけたのも驚いた。
「実は新しい財務卿がやっと見つかりまして、外務の皆さんにも紹介させて頂きます。
ジパグ国の皇太子殿下であらせられるコレキヨ様です」
「コレキヨでございます。アレクサンドロ皇太子殿下にはお初にお目にかかります」
コレキヨは深い礼をした。
「コレキヨ様。ここでは私は皇太子ではなくて外務卿です。あなたも財務卿なのですから、同僚ですよ」
「これはこれは失礼いたしました。ではアレキサンドロ様と」
「アレクでいいですよ」
アレクは笑って言った。
「ではアレク様。よろしくお願いいたしますね」
にこやかにコレキヨは笑った。
「で、アレク様。そちらの2名の女性の方はどなたですか」
目ざとくクリスが見つけて言った。
「こちらは陳国からの留学生の词语さんと悠然さんです」
「李词语と申します」「周悠然です」
いきなり振られて二人は慌てて挨拶した。
「クリスティーナ・ミハイルと申します」
「お二人共、外務の仕事に興味を持ってた頂いたのですが、留学生の身。手伝うには国の許可がいるということで陳国の国王陛下にお電話でお許しを頂こうかと思いまして」
「えっ、そうなのですか。陳国の国王陛下とお電話で話されるのですか」
何故かクリスがそこに食らいついてきた。
「まあ、本来はお会いしたほうが良いとは思うのですが、何分遠いですし」
「アレク様。出来たら、そのお電話の中で私もご挨拶させていただくわけにはいかないでしょうか」
「筆頭魔導師様自らですか」
アレクが驚いて聞く。
「あのう、私のような者が直接お話させていただくのはおこがましいとは思うのですが」
「何をおっしゃいます。魔王を退治なされたクリスティーナ様と話すのを忌避するものなど、どこにおりましょう」
「そうは言ってもアレク様のお父様とはお話させて頂けたことは無いではないですか」
クリスがいじけて言う。
「何をおっしゃいます。ノルディンなどという辺境の北国の王などとお会いいただかなくても宜しいではありませんか。そもそも私めがここにおりますれば、会う必要など無いでしょう。私では役不足ですかな」
悠然らは唖然としていた。傲岸無比と噂されるノルディンの皇太子が自国を卑下しているのだ。それも何故か必死だ。
もっともアレクとしてはどこでシャラザールが来臨するかわからないクリスなど連れてノルディンに行ける訳なかった。下手したら一瞬で帝都は灰燼と化す。
「そうですか」
残念そうにクリスが言う。
「陳国国王との面談のおりはクリス様にご同席頂けるように手配しておきます。ご帰還は明日ですね」
「明日は色々ございますので、明後日以降でお願いしたいのですが」
「判りました。お任せ下さい」
「宜しくお願いいたします」
電話が切れた。
ほうっとアレクはため息をつく。
それを珍しそうに他のものが見ているのに気付いて
「ペトロ。悠然と協力して、クリス嬢が話したように、明後日以降で、陳国国王と魔導電話会談の設定を。スケジュールはクリス嬢のスケジュールに合わせろ」
いつものアレクに戻って命令していた。
「でも、アレク様。本当に大丈夫なのですか」
「何がだ」
「だってこの前はトリポリ国王に全く相手にされなかったではないですか」
「そんなことはないだろう。なあ悠然」
「そうは思いますけど」
いきなり振られて悠然は慌てた。
「この前のトリポリみたいに宮殿破壊は止めてくださいよ」
思わずペトロは言ってしまった。
「何を言っている。ペトロ。君は北極旅行がしたいのかな」
「いえいえ、とんでもありません。早速に悠然様と国王にお電話できるように調節します」
慌ててペトロは言った。
「最悪、依然王女にお願いすればいいだろう。断るとは思えないけれど。なあ、悠然」
悠然はコクコクと頷いた。陳国の宮殿が火の海になるのは嫌だ。どんな事をしても対話できるようにしようと心に決めた悠然だった。
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