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第八章 ボフミエ王宮恋愛編
東方王女は王宮内を案内してもらうのに、大国皇太子の腕に手を回しました。
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「遅いぞ」
オーウェンが帰ってくると元王子のヘルマンが叫んだ。
「筆頭魔導師様は少しくらい振り向いてくれました?」
シュテファンが聞く。
「シュテファン手が止まっている。次の書類早く回してくれ」
スミスが資料を見ながら頼む。
「すまん。俺もすぐに入るよ」
オーウェンの魔導電話の画面には山のように資料が溜まっていた。
「おいおい、本当かよ。これじゃあ昼飯は」
『食えるわけ無いだろ!』
ロルフまで合わせた4重奏になって返って来た。
昼もサンドウィッチで済ませて、外は夕闇が迫りだした頃も内務はみんな走り回っていた。
それを反対側から見ながらアレクも死んでいた。
「ペトロ、そろそろ止めようぜ」
「アレク様。内務を御覧下さい」
走り回っている内務を見せる。
「彼奴等効率が悪いだけだろう」
「なんか言ったか。アレク」
オーウェンが画面と格闘しながら言う。
「いい加減この資料回さないと、クリス様からお怒りの言葉が振ってきますよ」
「うーん、頭をかいて謝ればクリス嬢なら許してくれそうな」
「前にいらっしゃる内務卿が許さないかと」
「ペトロ。適当にやっておいてよ」
「じゃあもう少し人員入れて下さい。今日も依然王女を勧誘しておいたんで、なんとかアレク様から更なるプッシュをお願いしますね」
ペトロは期待した目でアレクを見た。
「うーん、陳国は駄目だと思うぞ。昔戦で酷いことをした記憶がある」
珍しくアレクは謙虚に言う。アレクが覚えていると言うということは余程酷い事をしたのだろう。
「えっそんな事したんですか。でもそこは持ち前の笑顔で」
「お前何言っているんだよ。俺が巷でなんて呼ばれているか知っているだろ。赤い死神だよ。その俺が笑っても女が振り向いてくれるわけ無いだろう。それにあの子はオーウエンに首ったけだったぞ」
アレクが言う。
「えっそうなんですか」
ペトロが驚いて言う。
「お前横にいて気づかなかったの?だって俺なんて、なんであんたなんかがお出迎えなのよって感じだったのが、オーウェンが後ろにいるぞって教えた途端、俺をほったらかして『オウ』って駆け出したんだから」
「えっ外務卿も形なしですね」
「本当にピエロだよ。覚えていろよ。陳国って感じかな」
(依然王女何してるんだよ。赤い死神に目をつけられたら碌な事はないのに)
ペトロはそう思った。
「あっ思い出した。依然に王宮を案内してやる約束したんだった」
オーウェンが慌てて立上った。
「オーウェン。どこに行く気だ?お前、今日は筆頭魔導師様がいないから今までの遅れを取り戻すって俺達に宣言したんだろ」
「そうですよ。そのために僕らも残っているんですから」
ヘルマン元王子にシュテファン子爵令息のボフミエコンビがオーウェンを止める。
「悪い。明日は必ず、仕事するから。そうだ。依然を内務に引っ張ってくるから。
そうすれば陳国の女の子たちもこちらの仕事に引っ張れるかもしれない」
良いことを思いついたとばかりに、オーウェンが言う。
「何。本当か」
「王女を引っ張って頂けるんですか」
ボフミエコンビはこの一言で陥落した。
「アレク様。このまま行くとまた内務に取られてしまいますよ」
「えええ?」
アレクが驚いて後ろを振り返ると、10名ほどの外務の面々が物欲しそうな顔でこちらを見てくる」
「判った。判ったよ。ダメ元でやってみるけど、その代わり仕事は頼むぞ」
「そういうことでしたら。お願いしますよ」
「信じてますから」
皆俄然とやる気になっていた。
依然らは幹部用の食堂で夕食を食べていた。
留学生は皆、子爵以上の貴族の出身者で占められており、給仕されない食事に戸惑っていた。
「どうしたの。心悦(シンユエ)浮かない顔をして」
「いえ、夜までもこのような食事の仕方なのだと、戸惑いまして」
心悦は侯爵家の令嬢だった。今回は侯爵が王女の側近としてつけて来たのだ。
「でも、このスープ、結構秀逸なんだけど」
ポタージュスープをスプーンで音もなく口に運びながら依然が言う。
「そう、ここのポタージュは最高なんだよな」
そう言いながら直ぐ側に食器を持ってジャンヌが座った。
「ジャンヌ殿下」
依然はその気さくさに驚いた。
「姫様はお粥じゃなかったら何でも最高なんじゃないですか」
ライラが言いながらジャンヌの横に座る。
「本当にもうお粥は飽きたよな」
ジャンヌがブツブツ言う。
「姫様。食べ物の事を悪く言いますと罰が当たりますよ」
ザンが注意する。
「すまん。本当だな。またあの生活に戻ると大変だ」
ジャンヌが謝った。
「殿下すいません。心無いことを配下が言って。ついこの前まで、飢饉だったのですよね。この国は」
依然が慌てて謝る。
「依然。その話し方止めてよ。年も変わんないだろ。ジャンヌでいいって」
「えっでも」
「ご存知のように。マーマレードのガサツ王女として世界的に有名だろ。こっちも依然って呼んでいるんだからそちらもジャンヌで」
「努力しますね」
慌てて依然が言う。
「姫様。相手は格式が高い、陳王国の姫君ですよ。いきなりなんじゃないですか」
ライラが注意する。
「何言っているんだよ。知っているのか。マーマレードは世界一淑女教育が厳しいんだぞ」
その言葉に依然は絶句した。お付きの者たちもなんとも言えない顔をしている。
「それ、姫様が言っても全然判ってもらえませんから」
「そうですよ。おそらく世界の王族の中で一番王女らしくないですよね」
「いやいや、貴族らしくないって」
「街の中の長老のほうが礼儀正しいぞ」
部下たちが好きなことを言う。
「お前らそこまで言うか」
ジャンヌが文句を言う。
「まあ、母上の淑女教育からいかにして逃げるか日々考えていたからな」
「その被害が全てクリス様に行ったんでしょ」
「そう、マーマレードの淑女教育の基準はクリスを見れば判るから」
ジャンヌは言った。
「そのクリス様はどうされたのですか。まだお見かけしておりませんが」
梦蝶が尋ねた。
「あいつは今南部に農業の視察に行っているよ。依然と入れ違いに行ったんじゃないかな」
ジャンヌの言葉に依然はオーウェンが誰を見送りに来ていたか、聞いていなかったことを思い出した。クリスを見送りに来ていたんだ。
「そのクリス様はどのような方なのですか」
依然が聞く。
「普段は大人しくて静かな感じかな」
「姫様に比べたら誰でも大人しいですが」
「ライラ、お前には言われたくない」
「えっ、そんな事無いよね。ザン」
ザンは食べるのに夢中で気付かないふりをする。
「ほら見てみろ。ザンも否定しているぞ」
「そんなザンは酷い」
ライラの言葉にザンの目は笑っていた。
「ごめん、依然遅くなった」
そこにオーウェンがやって来た。
「えっ、オーウェン、内務の仕事もう終わったのか。珍しい」
ジャンヌが驚いて聞いた。
「貴様らが手伝ってくれないからまだ終わっとらんわ。依然に王宮案内するって約束していたから抜けてきたの」
げんなりしてオーウェンが言う。
「手伝うと言ってもな」
「3日後のパーティーの護衛計画早く出せ」
「それはグリフィズがやっているはずだぞ」
「お前の承認がまだなんだよ」
「やばい。そこの魔導師と騎士」
オーウェンの言葉にジャンヌがいきなり話題を変えて、陳国の護衛騎士の词语と護衛魔導師の悠然を指して言う。
「はい?」
二人はいきなり指名されて驚いた。
「良かったら模擬戦やろうぜ」
ジャンヌが言う。
「しかし、私達は王女殿下の護衛の仕事が」
「王宮は基本は安全だぞ。そもそも王宮なんて見るものなんて殆どないけど。
護衛なんてオーウェンがいれば問題ないだろ。それに後ろの奴とも戦いたいだろ」
後ろから入ってきたアレクを指して言った。
「えっ、俺は依然王女を外務に引っ張るっていう役目が」
「そんなの無理無理。依然はオーウェンしか目に入っていないぞ。それよりも、陳国の魔導師と騎士と戦えるぞ」
アレクが出来ない言い訳するが、ジャンヌがそれをぶった切る。
「そんなこと言ってもな」
「お願いします。戦わせて下さい」
二人は頭を下げた。憎き敵だったが、赤い死神と練習でも戦えたら言う事はなかった。
「じゃあ明日、必ず、外務の見学に来ること。それが出来たらやってやるよ」
「えっ私達がですが」
二人は驚いた。見学くらいはいくらでもするけどそんなので良いのだろうか。
「出来たら王女も連れてきてね」
そう、王女が一度でも見学に来てくれればペトロへの義理も果たせるだろうとアレクは思った。
護衛達も見学に王女を連れ出すことに否応は無かった。
ノルデインの皇太子の仕事風景を見学するのも十二分な外交のはずだと二人は目の前の餌に飛びついていた。
「よし、じゃあ早速訓練場へ行こうぜ」
ジャンヌが喜んで立上った。東方の騎士と魔導師とやるのは初めてだった。
ジャンヌの腕がなった。
それを見学しに、他の留学生たちも続いた。
気付いた時は依然とオーウェンは二人きりだった。
「どうする。俺達も見学に行くか」
「えっ、でも、せっかくオウが忙しい中、二人の時間を作ってくれたんだから王宮内を案内してほしいかな」
依然はこてんとあざとく首を傾けた。
「そうか。じゃあ色々聞きたいこともあるし、行くか」
二人は連れ立って外に出た。
オーウェンの腕にはさりげなく、依然の手が回されていた。
*********************************************************
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
内務の幹部連中の紹介です。
内務卿 オーウェン・ドラフォード王国皇太子
ヘルマン・ゲーリング18元第三皇子オーウェンの副官の一人
シュテファン・キッツィンゲン18子爵家令息事務官の一人
スティーブン・スミス18 マーマレード北方のノーザレ出身 魔導学園で1日目にしてクリスにスカウトされた。ここまではマーマレードの王立高等学園のクラスメイト
ロルフ・ノーマン21魔導学園から2日目にして内務にスカウトされた。魔力が見える。ぼつとつとした人柄
オーウェンが帰ってくると元王子のヘルマンが叫んだ。
「筆頭魔導師様は少しくらい振り向いてくれました?」
シュテファンが聞く。
「シュテファン手が止まっている。次の書類早く回してくれ」
スミスが資料を見ながら頼む。
「すまん。俺もすぐに入るよ」
オーウェンの魔導電話の画面には山のように資料が溜まっていた。
「おいおい、本当かよ。これじゃあ昼飯は」
『食えるわけ無いだろ!』
ロルフまで合わせた4重奏になって返って来た。
昼もサンドウィッチで済ませて、外は夕闇が迫りだした頃も内務はみんな走り回っていた。
それを反対側から見ながらアレクも死んでいた。
「ペトロ、そろそろ止めようぜ」
「アレク様。内務を御覧下さい」
走り回っている内務を見せる。
「彼奴等効率が悪いだけだろう」
「なんか言ったか。アレク」
オーウェンが画面と格闘しながら言う。
「いい加減この資料回さないと、クリス様からお怒りの言葉が振ってきますよ」
「うーん、頭をかいて謝ればクリス嬢なら許してくれそうな」
「前にいらっしゃる内務卿が許さないかと」
「ペトロ。適当にやっておいてよ」
「じゃあもう少し人員入れて下さい。今日も依然王女を勧誘しておいたんで、なんとかアレク様から更なるプッシュをお願いしますね」
ペトロは期待した目でアレクを見た。
「うーん、陳国は駄目だと思うぞ。昔戦で酷いことをした記憶がある」
珍しくアレクは謙虚に言う。アレクが覚えていると言うということは余程酷い事をしたのだろう。
「えっそんな事したんですか。でもそこは持ち前の笑顔で」
「お前何言っているんだよ。俺が巷でなんて呼ばれているか知っているだろ。赤い死神だよ。その俺が笑っても女が振り向いてくれるわけ無いだろう。それにあの子はオーウエンに首ったけだったぞ」
アレクが言う。
「えっそうなんですか」
ペトロが驚いて言う。
「お前横にいて気づかなかったの?だって俺なんて、なんであんたなんかがお出迎えなのよって感じだったのが、オーウェンが後ろにいるぞって教えた途端、俺をほったらかして『オウ』って駆け出したんだから」
「えっ外務卿も形なしですね」
「本当にピエロだよ。覚えていろよ。陳国って感じかな」
(依然王女何してるんだよ。赤い死神に目をつけられたら碌な事はないのに)
ペトロはそう思った。
「あっ思い出した。依然に王宮を案内してやる約束したんだった」
オーウェンが慌てて立上った。
「オーウェン。どこに行く気だ?お前、今日は筆頭魔導師様がいないから今までの遅れを取り戻すって俺達に宣言したんだろ」
「そうですよ。そのために僕らも残っているんですから」
ヘルマン元王子にシュテファン子爵令息のボフミエコンビがオーウェンを止める。
「悪い。明日は必ず、仕事するから。そうだ。依然を内務に引っ張ってくるから。
そうすれば陳国の女の子たちもこちらの仕事に引っ張れるかもしれない」
良いことを思いついたとばかりに、オーウェンが言う。
「何。本当か」
「王女を引っ張って頂けるんですか」
ボフミエコンビはこの一言で陥落した。
「アレク様。このまま行くとまた内務に取られてしまいますよ」
「えええ?」
アレクが驚いて後ろを振り返ると、10名ほどの外務の面々が物欲しそうな顔でこちらを見てくる」
「判った。判ったよ。ダメ元でやってみるけど、その代わり仕事は頼むぞ」
「そういうことでしたら。お願いしますよ」
「信じてますから」
皆俄然とやる気になっていた。
依然らは幹部用の食堂で夕食を食べていた。
留学生は皆、子爵以上の貴族の出身者で占められており、給仕されない食事に戸惑っていた。
「どうしたの。心悦(シンユエ)浮かない顔をして」
「いえ、夜までもこのような食事の仕方なのだと、戸惑いまして」
心悦は侯爵家の令嬢だった。今回は侯爵が王女の側近としてつけて来たのだ。
「でも、このスープ、結構秀逸なんだけど」
ポタージュスープをスプーンで音もなく口に運びながら依然が言う。
「そう、ここのポタージュは最高なんだよな」
そう言いながら直ぐ側に食器を持ってジャンヌが座った。
「ジャンヌ殿下」
依然はその気さくさに驚いた。
「姫様はお粥じゃなかったら何でも最高なんじゃないですか」
ライラが言いながらジャンヌの横に座る。
「本当にもうお粥は飽きたよな」
ジャンヌがブツブツ言う。
「姫様。食べ物の事を悪く言いますと罰が当たりますよ」
ザンが注意する。
「すまん。本当だな。またあの生活に戻ると大変だ」
ジャンヌが謝った。
「殿下すいません。心無いことを配下が言って。ついこの前まで、飢饉だったのですよね。この国は」
依然が慌てて謝る。
「依然。その話し方止めてよ。年も変わんないだろ。ジャンヌでいいって」
「えっでも」
「ご存知のように。マーマレードのガサツ王女として世界的に有名だろ。こっちも依然って呼んでいるんだからそちらもジャンヌで」
「努力しますね」
慌てて依然が言う。
「姫様。相手は格式が高い、陳王国の姫君ですよ。いきなりなんじゃないですか」
ライラが注意する。
「何言っているんだよ。知っているのか。マーマレードは世界一淑女教育が厳しいんだぞ」
その言葉に依然は絶句した。お付きの者たちもなんとも言えない顔をしている。
「それ、姫様が言っても全然判ってもらえませんから」
「そうですよ。おそらく世界の王族の中で一番王女らしくないですよね」
「いやいや、貴族らしくないって」
「街の中の長老のほうが礼儀正しいぞ」
部下たちが好きなことを言う。
「お前らそこまで言うか」
ジャンヌが文句を言う。
「まあ、母上の淑女教育からいかにして逃げるか日々考えていたからな」
「その被害が全てクリス様に行ったんでしょ」
「そう、マーマレードの淑女教育の基準はクリスを見れば判るから」
ジャンヌは言った。
「そのクリス様はどうされたのですか。まだお見かけしておりませんが」
梦蝶が尋ねた。
「あいつは今南部に農業の視察に行っているよ。依然と入れ違いに行ったんじゃないかな」
ジャンヌの言葉に依然はオーウェンが誰を見送りに来ていたか、聞いていなかったことを思い出した。クリスを見送りに来ていたんだ。
「そのクリス様はどのような方なのですか」
依然が聞く。
「普段は大人しくて静かな感じかな」
「姫様に比べたら誰でも大人しいですが」
「ライラ、お前には言われたくない」
「えっ、そんな事無いよね。ザン」
ザンは食べるのに夢中で気付かないふりをする。
「ほら見てみろ。ザンも否定しているぞ」
「そんなザンは酷い」
ライラの言葉にザンの目は笑っていた。
「ごめん、依然遅くなった」
そこにオーウェンがやって来た。
「えっ、オーウェン、内務の仕事もう終わったのか。珍しい」
ジャンヌが驚いて聞いた。
「貴様らが手伝ってくれないからまだ終わっとらんわ。依然に王宮案内するって約束していたから抜けてきたの」
げんなりしてオーウェンが言う。
「手伝うと言ってもな」
「3日後のパーティーの護衛計画早く出せ」
「それはグリフィズがやっているはずだぞ」
「お前の承認がまだなんだよ」
「やばい。そこの魔導師と騎士」
オーウェンの言葉にジャンヌがいきなり話題を変えて、陳国の護衛騎士の词语と護衛魔導師の悠然を指して言う。
「はい?」
二人はいきなり指名されて驚いた。
「良かったら模擬戦やろうぜ」
ジャンヌが言う。
「しかし、私達は王女殿下の護衛の仕事が」
「王宮は基本は安全だぞ。そもそも王宮なんて見るものなんて殆どないけど。
護衛なんてオーウェンがいれば問題ないだろ。それに後ろの奴とも戦いたいだろ」
後ろから入ってきたアレクを指して言った。
「えっ、俺は依然王女を外務に引っ張るっていう役目が」
「そんなの無理無理。依然はオーウェンしか目に入っていないぞ。それよりも、陳国の魔導師と騎士と戦えるぞ」
アレクが出来ない言い訳するが、ジャンヌがそれをぶった切る。
「そんなこと言ってもな」
「お願いします。戦わせて下さい」
二人は頭を下げた。憎き敵だったが、赤い死神と練習でも戦えたら言う事はなかった。
「じゃあ明日、必ず、外務の見学に来ること。それが出来たらやってやるよ」
「えっ私達がですが」
二人は驚いた。見学くらいはいくらでもするけどそんなので良いのだろうか。
「出来たら王女も連れてきてね」
そう、王女が一度でも見学に来てくれればペトロへの義理も果たせるだろうとアレクは思った。
護衛達も見学に王女を連れ出すことに否応は無かった。
ノルデインの皇太子の仕事風景を見学するのも十二分な外交のはずだと二人は目の前の餌に飛びついていた。
「よし、じゃあ早速訓練場へ行こうぜ」
ジャンヌが喜んで立上った。東方の騎士と魔導師とやるのは初めてだった。
ジャンヌの腕がなった。
それを見学しに、他の留学生たちも続いた。
気付いた時は依然とオーウェンは二人きりだった。
「どうする。俺達も見学に行くか」
「えっ、でも、せっかくオウが忙しい中、二人の時間を作ってくれたんだから王宮内を案内してほしいかな」
依然はこてんとあざとく首を傾けた。
「そうか。じゃあ色々聞きたいこともあるし、行くか」
二人は連れ立って外に出た。
オーウェンの腕にはさりげなく、依然の手が回されていた。
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ここまで読んで頂いてありがとうございます。
内務の幹部連中の紹介です。
内務卿 オーウェン・ドラフォード王国皇太子
ヘルマン・ゲーリング18元第三皇子オーウェンの副官の一人
シュテファン・キッツィンゲン18子爵家令息事務官の一人
スティーブン・スミス18 マーマレード北方のノーザレ出身 魔導学園で1日目にしてクリスにスカウトされた。ここまではマーマレードの王立高等学園のクラスメイト
ロルフ・ノーマン21魔導学園から2日目にして内務にスカウトされた。魔力が見える。ぼつとつとした人柄
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