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第七章 魔王復活
クロチア最終決戦7 魔王カーンはクリスに闇魔法を浴びせました
しおりを挟む魔王カーンは次々に倒される魔人を顔を引きつらせてみていた。
「所詮、魔人など作り物か。やはり余自らやるしかないか」
カーンはそう言うとにやりと笑い爆裂魔法をクリス目掛けて放った。
クリスは前面に大きな障壁を築いて受ける。
すさまじい爆発が起こった。
「行けっ」
周りに残っていた魔人4匹に出撃を命じる。
魔人どもはクリスたちに向かっていった。
1匹は手を振り上げてクリスたちに向かうが、剣をひっさげたウィルとアルバートに両側から切りつけられてた。
「グウォ―――――」
悲鳴を上げて黒い靄をまき散らしながら魔人が倒れる。
なおかつ起き上がろうとしたが、そこにウィルが爆裂魔法を浴びせた。
爆発音とともに魔人は灰塵と化した。
1匹はナタリーに抱きつこうとして、袈裟懸けにあい、目の前に現れたメイに向けて爆裂魔法を浴びせようとして、逆にミラーで反射されて自らの魔法をもろに浴びて灰燼と化す。
残りの2匹はクリスに迫る。しかし、トテトテと走るクリスを捕まえようとして搔い潜られる。
クリスはそのまま飛び上がって魔人の顔面に自らの右手を叩きつけていた。
吹っ飛ばされた魔人はモルロイの悪だくみ人間、アクラシの姿に戻りピキピキと体を震わせて倒れていた。
最後の1匹はウィルとアルバートに挟まれて、両側から同時に衝撃波を食らう。
ウィルからの衝撃波は障壁で防ぐが、アルバートからの衝撃波を後ろからもろに受けて倒れこむ。そこにナタリーとメイが剣を抜いて切り下げた。
悲鳴を上げてのたうつ魔人に最後はウィルが爆裂魔法を浴びせて消滅させていた。
その前には怒りに燃えた魔王カーンが立っていた。
「ボフミエの小娘。よく来たな」
カーンがクリスを前に言う。
「魔王カーン。素直に降伏しなさい」
クリスが言うが、
「ふんっ。降伏するなら貴様だ」
カーンはそう叫ぶやクリス目掛けて駆け出した。
「やらすか」
ウィルが衝撃波を放つが、カーンは一瞬ではじき返す。
そして、剣を構えたウィルに爆裂魔法を浴びせた。
ウィルは障壁で防ごうとするが、耐えられずに弾き飛ばされる。
「喰らえ」
アルバートが斬撃を放つが障壁で防いだカーンは衝撃波でアルバートを弾き飛ばしていた。
「どけっ」
クリスの前に出たナタリーを指から放った爆裂魔法で弾き飛ばし、メイは拳で殴りつけて弾き飛ばしていた。
「喰らえ、化け物」
カーンはそう叫ぶや、全力を傾けた爆裂魔法をクリスに向けて放った。
クリスは障壁で防ぐ。
すさまじい爆発が起こる。
その跡には巨大なクレーターが現れた。
クリスが両手から爆裂魔法を放つ。
カーンも同時に放っていた。
両社の中央で巨大な魔法が重なり、小さな太陽が出現する。すさまじい閃光を伴った爆発が起こる。もはや周りで見ている者は己を障壁で自らを守る事しか出来なかった。
魔王が魔法を放ち、クリスが受ける。
次にクリスが魔法を放ち魔王が受けていた。次々と目にも止まらない速さで攻守が入れ替わる。
周りはそのすさまじさに遠巻きに見守るしかなかった。
ウィルは姉がここまで強かった事に呆然としていた。
ボフミエの仮宮殿の閣議室では、その様子を画面にかじりつきながらオーウェンが見守っていた。
「行け、クリス、そうそこだ」
最初は見るのが嫌だと避けていたのに、いつの間にか最前列に出て叫びまわっていた。
戦場では最初は互角の戦いだったが、徐々にカーンの息が切れだした。
クリスの放った爆裂魔法がカーンを掠る。
カーンも爆裂魔法を放つが力が弱い。
クリスは障壁で軽く防いだ。
徐々にカーンをクリスは追い詰めていった。
「そろそろ降伏しなさい」
「ふんっなぜしなくてはならない」
徐々に追い詰められながらカーンは頷かない。
しかし、反撃は徐々に弱くなる。
クリスが一歩前に出た。
その瞬間、カーンはにやりとした。
そして、クリスは足元から黒い靄に覆われていた。
それはクリスの動きを止める。
「ふんっ罠にかかったな」
カーンはにやりと笑った。今まで押されていると見せつけて罠の魔法陣までおびき寄せていたのだ。
「喰らえ。闇の一撃」
カーンは残りの渾身の力を振り絞って闇魔法の最上級魔法を解き放つ。
カーンの手からはすさまじい大きさのドス黒い魔力の奔流が放たれた。
それはそのままクリスを飲み込んだ。
「姉様!」
ウィルの悲鳴が戦場に響いた。
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人物紹介
ヘルマン・ゲーリング18元ボフミエ帝国第三皇子。現内務次官。オーウェンの副官の一人
オーウェンの下で内務の実務を担う。シュテファン・キッツィンゲン18とスティーブン・スミス18はその仲間。オーウェンの無理難題の被害者。たまには休みが欲しいと思っているが、彼ら以上に働いているオーウェンに向かって言う勇気はない……
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