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第七章 魔王復活
クロチア王都はクリス来臨の噂に大恐慌をきたしました
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翌朝も朝から快晴だった。
ボフミエ国ナッツアの郊外の川沿いに作られたスカイバードの発射装置の上にはボフミエ国の色である黄色いスカイバードが鎮座していた。
その機にクリスが今まさに乗ろうとしていた。
昨日、散々一緒に行くというオーウェンを説得するのに、大変な努力をしたクリスは少し疲れていた。
「見送りに行くと絶対に行かせないようにするから」
と今日はオーウェンは朝から執務室に籠って仕事しているはずだった。
「クリス様、お気をつけられて」
入口でジャルカが見送る。
「ジャルカ様。何かあったら後は宜しくお願いします」
ボソリとクリスが小さな声で言った。
その真剣な声にジャルカは目を見開いた。
声が小さかったので、周りは誰も聞こえなかったはずだ。
今まで多くの戦場に立ったクリスから行く前にこのような言葉を聞いたのはジャルカは初めてだった。
「はて、ジャルカは最近耳が遠なりましてな。クリス様のおっしゃることが良く聞こえませんでした」
耳に手を当ててジャルカが聞き返した。
「ジャルカ様。誤魔化されても無理ですよ。この前もジャンヌお姉さまがジャルカ様の地獄耳は相変わらずだと嘆いておられましたから」
立ち止まってクリスはジャルカを振り返った。
「さあ、ジャルカの耳は自分に都合よくできおりまして、都合の悪い言葉は聞こえないのですよ」
「なるほど本当に便利な耳なんですね」
クリスは微笑んだ。
「まあ、クリス様。例え、相手が魔王でも、戦神シャラザールのご加護をお持ちのクリス様が万が一にも負ける事はございませぬよ。そうでしょう。経験者のアレク様」
ジャルカは後ろにいたアレクに振る。
「ジャルカ爺。昔の恐ろしい事を思い出させないでくれ。クリス嬢は無敵だよ。
例えカーンが魔王でも」
昔のノルディン戦の髪を振り乱して攻撃してきたシャラザールを思い出したのか身震いしてアレクが答えた。
「そう、おそらくここ最近一番戦場での経験が豊富なアレク様もこうおっしゃっているんです。
それよりもジャルカはクリス様の魔力が暴走してクロチアの王都が灰燼と化さないかそれが不安です」
「えっそんな事は無いと思いますよ」
クリスははっきりと否定はできなかった。
「そうですな」
「それは判らないですね」
アルバートやアレクらもその危険を否定しなかった。
「えっアルバートは否定してくれないの」
クリスがショックを受ける。
「いやいや、そんな事はありませんよ。そうです。クリス様も努力していらっしゃるんです。
多少はその危険性も下がっているかと」
「えっ危険が下がっただけ???」
アルバートはドツボを踏んだことに気付いた。
「あっ嘘です。今の発言は忘れてください」
アルバートは必死に手を振る。
「ま、クリス様。城を灰燼に変えるのはいつもの事ですから。
それが王都になったところで多少被害が広がるくらいですぞ」
「ちょっと待って下さい。ジャルカ様。城を灰燼に変えた事など無い…」
クリスは必死に否定しようとするが。
「この前のモルロイのお城をはじめGAFAの本拠地も4っつほど」
ジャルカははっきりとクリスの実績を上げだした。
「もう良いです。今回はそんな事はしません」
怒ってクリスはスカイバードに乗り込んだ。
「クリス様」
慌ててアルバートらが続く。
「アレク様。油断は禁物ですぞ」
最後尾のアレクが乗る前にジャルカが言った。
「ありがとうジャルカ爺。気を付けるよ」
最後のアレクがスカイバードの扉を閉める。
「もっとも油断してクリス様が敗れてもシャラザール様が来臨するだけだと思いますが」
そのジャルカの独り言は誰も聞いていなかった。
一方のクロチア王都では大混乱が起こっていた。
「GAFAの本拠を焼け野原にしたクリスティーナが来るぞ」
「シャラザール山を一瞬で破壊したクリスティーナが飛んでくるぞ」
「魔人も素手で殴り殺す恐怖の女傑だそうだ」
「クロチアを1人で占拠した魔王カーンもクリスティーナの雷撃で黒焦げにされたって」
「このままだと、このクロチアの王都を雷撃で灰燼にするつもりらしい」
庶民らはある事無い事噂していた。
「このまま王都にいたら丸焦げになってしまうぞ」
「見めの良い女性は全て召し上げられるそうだ」
「ママ、ボフミエの筆頭魔導師って魔王よりも怖いの」
「そうだよ。子供も皆殺しに会うんだよ」
「やばい、逃げよう」
庶民等は皆家財一式持って一目散に王都の郊外に逃げ出した。
大混雑がクロチア王都を襲っていた。
*****************************************
人物紹介
ジャルカ最高顧問 魔法の塔再建責任者
クリスの前のマーマレード最強魔導師。
ノルディン戦を機に現役を引退。
ジャンヌ王女と共にノルディン国境で遊んで???いた。
ロルフによると今でもボフミエナンバー2の魔導師だとか。
陰険ジャルカとか同僚や施政者、王族から言われている。
良く言うとクリスやジャンヌを暖かく見守っている。
悪く言うと二人をからかって楽しんでいる
アレクやオーウェンは良くジャルカに嵌められてとんでもない事をされている。
ボフミエ国ナッツアの郊外の川沿いに作られたスカイバードの発射装置の上にはボフミエ国の色である黄色いスカイバードが鎮座していた。
その機にクリスが今まさに乗ろうとしていた。
昨日、散々一緒に行くというオーウェンを説得するのに、大変な努力をしたクリスは少し疲れていた。
「見送りに行くと絶対に行かせないようにするから」
と今日はオーウェンは朝から執務室に籠って仕事しているはずだった。
「クリス様、お気をつけられて」
入口でジャルカが見送る。
「ジャルカ様。何かあったら後は宜しくお願いします」
ボソリとクリスが小さな声で言った。
その真剣な声にジャルカは目を見開いた。
声が小さかったので、周りは誰も聞こえなかったはずだ。
今まで多くの戦場に立ったクリスから行く前にこのような言葉を聞いたのはジャルカは初めてだった。
「はて、ジャルカは最近耳が遠なりましてな。クリス様のおっしゃることが良く聞こえませんでした」
耳に手を当ててジャルカが聞き返した。
「ジャルカ様。誤魔化されても無理ですよ。この前もジャンヌお姉さまがジャルカ様の地獄耳は相変わらずだと嘆いておられましたから」
立ち止まってクリスはジャルカを振り返った。
「さあ、ジャルカの耳は自分に都合よくできおりまして、都合の悪い言葉は聞こえないのですよ」
「なるほど本当に便利な耳なんですね」
クリスは微笑んだ。
「まあ、クリス様。例え、相手が魔王でも、戦神シャラザールのご加護をお持ちのクリス様が万が一にも負ける事はございませぬよ。そうでしょう。経験者のアレク様」
ジャルカは後ろにいたアレクに振る。
「ジャルカ爺。昔の恐ろしい事を思い出させないでくれ。クリス嬢は無敵だよ。
例えカーンが魔王でも」
昔のノルディン戦の髪を振り乱して攻撃してきたシャラザールを思い出したのか身震いしてアレクが答えた。
「そう、おそらくここ最近一番戦場での経験が豊富なアレク様もこうおっしゃっているんです。
それよりもジャルカはクリス様の魔力が暴走してクロチアの王都が灰燼と化さないかそれが不安です」
「えっそんな事は無いと思いますよ」
クリスははっきりと否定はできなかった。
「そうですな」
「それは判らないですね」
アルバートやアレクらもその危険を否定しなかった。
「えっアルバートは否定してくれないの」
クリスがショックを受ける。
「いやいや、そんな事はありませんよ。そうです。クリス様も努力していらっしゃるんです。
多少はその危険性も下がっているかと」
「えっ危険が下がっただけ???」
アルバートはドツボを踏んだことに気付いた。
「あっ嘘です。今の発言は忘れてください」
アルバートは必死に手を振る。
「ま、クリス様。城を灰燼に変えるのはいつもの事ですから。
それが王都になったところで多少被害が広がるくらいですぞ」
「ちょっと待って下さい。ジャルカ様。城を灰燼に変えた事など無い…」
クリスは必死に否定しようとするが。
「この前のモルロイのお城をはじめGAFAの本拠地も4っつほど」
ジャルカははっきりとクリスの実績を上げだした。
「もう良いです。今回はそんな事はしません」
怒ってクリスはスカイバードに乗り込んだ。
「クリス様」
慌ててアルバートらが続く。
「アレク様。油断は禁物ですぞ」
最後尾のアレクが乗る前にジャルカが言った。
「ありがとうジャルカ爺。気を付けるよ」
最後のアレクがスカイバードの扉を閉める。
「もっとも油断してクリス様が敗れてもシャラザール様が来臨するだけだと思いますが」
そのジャルカの独り言は誰も聞いていなかった。
一方のクロチア王都では大混乱が起こっていた。
「GAFAの本拠を焼け野原にしたクリスティーナが来るぞ」
「シャラザール山を一瞬で破壊したクリスティーナが飛んでくるぞ」
「魔人も素手で殴り殺す恐怖の女傑だそうだ」
「クロチアを1人で占拠した魔王カーンもクリスティーナの雷撃で黒焦げにされたって」
「このままだと、このクロチアの王都を雷撃で灰燼にするつもりらしい」
庶民らはある事無い事噂していた。
「このまま王都にいたら丸焦げになってしまうぞ」
「見めの良い女性は全て召し上げられるそうだ」
「ママ、ボフミエの筆頭魔導師って魔王よりも怖いの」
「そうだよ。子供も皆殺しに会うんだよ」
「やばい、逃げよう」
庶民等は皆家財一式持って一目散に王都の郊外に逃げ出した。
大混雑がクロチア王都を襲っていた。
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人物紹介
ジャルカ最高顧問 魔法の塔再建責任者
クリスの前のマーマレード最強魔導師。
ノルディン戦を機に現役を引退。
ジャンヌ王女と共にノルディン国境で遊んで???いた。
ロルフによると今でもボフミエナンバー2の魔導師だとか。
陰険ジャルカとか同僚や施政者、王族から言われている。
良く言うとクリスやジャンヌを暖かく見守っている。
悪く言うと二人をからかって楽しんでいる
アレクやオーウェンは良くジャルカに嵌められてとんでもない事をされている。
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