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第七章 魔王復活

クリスは自らの行いを恥じますが、皆に慰められます

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「あああ、最悪。使者を黒焦げにしてしまうなんて。最低!」
クリスは自己嫌悪のあまり自室のソファの上で頭を抱えていた。

「まあクリス。あの使者が生意気だったから仕方が無いよ」
ちゃっかりと横に座っているオーウェンが慰める。

「オウ。でも、使者に頭にきたからって雷撃を浴びせる国主が他にいますか」
涙目でクリスが言う。
「まあ、奴らが生意気だから仕方が無かったんだよ。俺でも殴りたかったくらいだから」
「でも、普通は雷撃なんて浴びせませんよね」
「うん、まあね」
オーウェンは思わず頷いてしまった。

「やっぱり最低の筆頭魔導師です」
クリスは突っ伏した。

「オーウェン様」
横からメイが非難する。
「クリス様は私の為に。怒ってGAFAを雷撃で攻撃して頂きました。
私はそれを後で聞いてとてもうれしかったです」
メイが横からクリスの肩に手を添える。
「本当に部下想いの主様だと感動しました」
メイはクリスを慈しむように見た。

「メイ」
クリスはメイに抱きついていた。

「今回も使者はクリス様の騎士のジャスティン様を貶めたんです。
それに対してクリスは様は鉄槌を下して頂きました。
ジャステイン様もクリス様に感謝しているはずです。
本当にあの使者の態度は生意気でしたから」
メイはクリスの背に手を添えて慰める。

もっとも使者はほとんど言葉を言えていなかった。
だから命が助かったという面もあったが。
もし、カーンの言ったとおりに話していたらおそらく怒り狂ったジャンヌらによってなます切りにされただろうとことは幸いにも知らなかった。


「クリス。判ったぞ。モルロイは次はワットに攻撃を仕掛けてくるそうだ」
そこへ扉を蹴破るようにしてジャンヌが飛び込んできた。

「ワットの村ですか」
クリスが立ち上がった。

「使者の中で話せるものがいたので尋問したらそう吐いたぞ」
使者の一人はジャンヌの剣幕に驚いてとてもクリスに筆頭魔術師の地位を譲れといいに来たとは言えなかった。代わりにターゲット地点のみ伝えたのだ。

「直ちに私の魔導騎士団を展開しようと思うが」
ジャンヌが言った。
「いえ、お姉さま。私も参ります」
「クリスさすがに危険だ」
オーウェンが慌てて言う。
「足手まといになるかもしれませんが、ロルフによると私とカーンの魔力量は変わらないのでしょう」
クリスがジャンヌを見て言う。
「確かに、そうだが」
それに最悪シャラザールが来臨してくれれば、おそらく魔王は瞬殺できるとジャンヌは思ってしまった。

「では私も行く」
「オーウェン様はこちらで何かあった時の対応をお願いします」
「しかし、クリス」
オーウェンはなおも喰らいつく。
「クリフィズさんにも私ならカーンと対抗できるとはっきり言われてしまいましたし、
ジャルカ様にお願いして魔術の練習もしてきました。オーウェン様は後方でいざという時の対処をお願いしたいのですが」
クリスはオーウェンを見て言う。

確かにクリスの魔力量は限界が見えないとロルフにも言われているし、
雷撃の攻撃にてGAFAの4拠点を同時攻撃の威力を見ると十分に対処できるようにも思えた。

「判った、私もアレクも行こう。それで負ける訳は無い」
ジャンヌが言った。
ボフミエの2大凶器の赤い死神と暴風王女が傍に控えるというのだ。
例えカーンが魔王だったとしても何とかなる陣容かもしれないとオーウェンも思った。
本来ならば絶対にクリスだけ行かせたくはなかったが、後方支援でオーウェンの右に出る者はいなかった。
これが陽動の可能性もある。
アレクとジャンヌとウイルは転移が出来るし、他の地にカーンが来てもおそらく瞬時に転移で対応できるはずだ。

「判った。後方は任せてもらいたい。ありとあらゆる対応は考えておく」
「良し。直ちに作戦会議だ」
オーウェンの言葉にジャンヌが頷いた。


翌朝、目を覚ましたテムゲは座席に縛り付けられているのに気付いた。
「な、なんだ」
周りの席に側近たちも縛られている。
そして側近たちは髪がきれいに刈られて坊主頭になっていた。
「お前ら頭はどうした」
テムゲが聞く。
「殿下も刈られていますぞ」
側近の一人が言う。

「ほっほっほっ」
前部の画面がついてジャルカが現れた。

「貴様。何をした」
テムゲが叫ぶ。

「これは異なことを。このままにするとジャンヌ殿下に拷問で殺されてしまうかと心配になってモルロイに帰してあげようとしておりますのに」
「どうやって帰すつもりだ」
「我がボフミエの最新兵器。人間ロケットで送り返してあげますのじゃ」

「おい、なんか、とんでもないもののように思えるのだが」
テムゲが不安げに言う。

「まあ、わが国の騎士団長にいろいろしていただきましたからな。
それ相応のお礼をせねばなりますまいて」
ジャルカは不吉な笑みを浮かべた。

「待て、私がしたわけでは。やったのは兄上だ」
必死にテムゲは叫ぶ。

「では良い旅を」
ジャルカが合図を送る。
一瞬にて人間ロケットにすさまじい加速がかかる。

「ギョエェェェーーー」
テムゲは叫けんだが、あまりの加速の大きさに白目を剥いて聞か絶していた。
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