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第六章 クリス ボフミエ皇帝?になる
クリス暗殺1
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アマダ商会のランベルトは爪を噛んでいた。
ここ数日極端に機嫌が悪い。
「ボフミエ海域でマーマレードからの食糧を強奪しようとした海賊10隻が交信を断ちました」
モーリツが報告する。
「海賊の本拠地に派遣していた者によるとその本拠地も暴風王女によって逆占拠されたそうです」
「ボフミエ北方のトリポリも怒った赤い死神によって変心。焦った周辺挙国から大量の食糧がボフミエに流れ込んでいます」
「それを狙わせた山賊もジャスティンによって壊滅か」
「はい」
ランベルトの問いにモーリツが頷く。
「マーマレードが大量の食糧を援助するとともにGAFAと断絶。支店にあった大量の商品はすべて没収されたか。抗議した結果はどうなった」
「なしのつぶてです。GAFA関係者は国家反逆罪で見つけ次第捕まえるようにと軍部から命令が出ているとかいないとかでマーマレード内にも現在は入れない状態です」
「ふんっ高々マーマレード一国の取引停止などたいしたことは無いが、今回のやりようは許せん。
いずれ高い利子を払ってもらおう。それよりもボフミエだ。特殊部隊は潜入させているな」
「はい」
「クリスの小娘の命を狙え」
「宜しいのですか?」。
「ここまでコケにされたのだ。マーマレードのミハイル家も思い知るが良いわ。国王と我々商会とどちらが強いか。GAFAの了解も得ている。クリスが消えればボフミエの行政組織も瓦解するだろう。民を煽って暴動を多発させるのは他の商会がやってくれる。我々は小娘の暗殺に全力をあげろ」
「了解しました」
モーリツは頭を下げた。
ランベルトは巨大4大商会であるGAFAが負ける訳は無いと思っていた。
「ジャルカ様。お久しぶりですね」
魔導電話に光った名前を見て電話を取るのを一瞬ためらったが、すぐとらないと後で何言われるか判らないと思い直しルーファスは止む終えず愛想笑いをして出た。
「ルーファス卿、何を言っておるのかの。一昨日も電話で話したところじゃが、ついにぼけたか」
ルーファスはそう言えば2日前にもいやいやながら話したことを思い出していた。
「誰かから来る大量の依頼でね、寝不足で頭がパニクっているんですよ。誰のおかげだか」
「何を言っているかと思えば、世界一の情報網を持つルーファス長官ならば、お茶の子さいさいで簡単に出来る事をお願いしているだけじゃがな」
「あのう、既にマーマレード国外は管轄外なんですが」
「国際色豊かなマーマレードの情報長官たるものが何を言っておるのかの。当然すべての国で起こることを把握しておかないと行けないのではないかな」
「この人員でそれをやれと」
若干切れ気味にルーファスが反論する。
「人手不足ならば王妃殿下にでもお願いしようかの」
「やめて下さい。それでなくても仕事量が多いのに。
王妃殿下の逆鱗に触れると愚痴の嵐で3時間は余分に残業が増えます」
ジャルカの嬉しそうな声に慌ててルーファスは拒否した。
「で、GAFAの動きはどうじゃ?」
「ボフミエ近辺の海賊はジャンヌ殿下のおかげで一掃。暴風王女の噂で近辺の海賊共が逃げ出したようです」
「姫様もやる時はやりなさるの」
機嫌よくジャルカは頷いた。
「北部の奴隷として人攫いしていた山賊たちはジャスティン様たちによって、これも完全駆除された模様です。
後は南部に一部、GAFAの工作員が入り込んでいる模様。暴動を示唆しているようです」
「まあそっちはヘルマン王子に行ってもらったのじゃが、もしダメならばオーウェン様に行ってもらうかの」
「それが宜しいかと。それと今入ってきたのですが、アマダがいろいろ暗躍しているみたいです。
暗殺を計画しているのではないかと思われますが」
「ターゲットは姫様か」
「それは難しいのではないですかね。何しろ暴風王女ですからね。商人風情の特殊部隊ではなかなか太刀打ちできないのではないかと」
「しかし、赤い死神も正義の騎士も難しいかとは思うが。陰険王子のオーウェン殿か」
「いや、アマダは本拠がドラフォードですからね。その皇太子を狙うなどという事はやらないでしょう」
「しかし、そうすると誰か貴族を狙うのか」
「クリス様ではないですかね」
「クリス様か」
二人は目を合わせた。
「確かに、見た目は一番か弱くは見えるが…」
「どうなるかは判りませんが、警告だけはしておかれた方が…」
「そうじゃの。念のためにアルバートくらいに話しておくか」
ジャルカは頷いた。
クリスは帰りはオーウェンと一緒に高速船でキールまでは帰った。
食料をめぐる暴動が南部で起こったとのことで、キールからオーウェンらが別行動になる。
食料が全国民にいきわたるのは皆の活躍のおかげで間もなくのはずだった。
奴隷供給地帯と化していた北部はジャスティンがGAFAと組んだ奴隷商人の拠点の大半を制圧していた。
マーマレードからの食糧は航路をジャンヌが制圧、海賊たちの一部を監視付きで既に水軍として稼働させつつあった。
ドラフォードからの食糧は南部地域からの搬入を考えており、南部は元々ドラフォードとの国境も近く東方第一師団の本拠地も近いのである程度は治安が回復されていたから、今回の暴動の件でオーウェンも慌てて現状回復に向かったのだった。
空はどんよりと曇っていた。
クリスは20騎の騎兵に守られて国都ナッツァに向かった。
馬車は3台。
真ん中の馬車にクリス、ウィル、メイ、アデリナが乗り込んでいて馬車の横にアルバートが逆にはナタリーが付き従っていた。
そして、その中央部でいきなり爆発が起こった。
ここ数日極端に機嫌が悪い。
「ボフミエ海域でマーマレードからの食糧を強奪しようとした海賊10隻が交信を断ちました」
モーリツが報告する。
「海賊の本拠地に派遣していた者によるとその本拠地も暴風王女によって逆占拠されたそうです」
「ボフミエ北方のトリポリも怒った赤い死神によって変心。焦った周辺挙国から大量の食糧がボフミエに流れ込んでいます」
「それを狙わせた山賊もジャスティンによって壊滅か」
「はい」
ランベルトの問いにモーリツが頷く。
「マーマレードが大量の食糧を援助するとともにGAFAと断絶。支店にあった大量の商品はすべて没収されたか。抗議した結果はどうなった」
「なしのつぶてです。GAFA関係者は国家反逆罪で見つけ次第捕まえるようにと軍部から命令が出ているとかいないとかでマーマレード内にも現在は入れない状態です」
「ふんっ高々マーマレード一国の取引停止などたいしたことは無いが、今回のやりようは許せん。
いずれ高い利子を払ってもらおう。それよりもボフミエだ。特殊部隊は潜入させているな」
「はい」
「クリスの小娘の命を狙え」
「宜しいのですか?」。
「ここまでコケにされたのだ。マーマレードのミハイル家も思い知るが良いわ。国王と我々商会とどちらが強いか。GAFAの了解も得ている。クリスが消えればボフミエの行政組織も瓦解するだろう。民を煽って暴動を多発させるのは他の商会がやってくれる。我々は小娘の暗殺に全力をあげろ」
「了解しました」
モーリツは頭を下げた。
ランベルトは巨大4大商会であるGAFAが負ける訳は無いと思っていた。
「ジャルカ様。お久しぶりですね」
魔導電話に光った名前を見て電話を取るのを一瞬ためらったが、すぐとらないと後で何言われるか判らないと思い直しルーファスは止む終えず愛想笑いをして出た。
「ルーファス卿、何を言っておるのかの。一昨日も電話で話したところじゃが、ついにぼけたか」
ルーファスはそう言えば2日前にもいやいやながら話したことを思い出していた。
「誰かから来る大量の依頼でね、寝不足で頭がパニクっているんですよ。誰のおかげだか」
「何を言っているかと思えば、世界一の情報網を持つルーファス長官ならば、お茶の子さいさいで簡単に出来る事をお願いしているだけじゃがな」
「あのう、既にマーマレード国外は管轄外なんですが」
「国際色豊かなマーマレードの情報長官たるものが何を言っておるのかの。当然すべての国で起こることを把握しておかないと行けないのではないかな」
「この人員でそれをやれと」
若干切れ気味にルーファスが反論する。
「人手不足ならば王妃殿下にでもお願いしようかの」
「やめて下さい。それでなくても仕事量が多いのに。
王妃殿下の逆鱗に触れると愚痴の嵐で3時間は余分に残業が増えます」
ジャルカの嬉しそうな声に慌ててルーファスは拒否した。
「で、GAFAの動きはどうじゃ?」
「ボフミエ近辺の海賊はジャンヌ殿下のおかげで一掃。暴風王女の噂で近辺の海賊共が逃げ出したようです」
「姫様もやる時はやりなさるの」
機嫌よくジャルカは頷いた。
「北部の奴隷として人攫いしていた山賊たちはジャスティン様たちによって、これも完全駆除された模様です。
後は南部に一部、GAFAの工作員が入り込んでいる模様。暴動を示唆しているようです」
「まあそっちはヘルマン王子に行ってもらったのじゃが、もしダメならばオーウェン様に行ってもらうかの」
「それが宜しいかと。それと今入ってきたのですが、アマダがいろいろ暗躍しているみたいです。
暗殺を計画しているのではないかと思われますが」
「ターゲットは姫様か」
「それは難しいのではないですかね。何しろ暴風王女ですからね。商人風情の特殊部隊ではなかなか太刀打ちできないのではないかと」
「しかし、赤い死神も正義の騎士も難しいかとは思うが。陰険王子のオーウェン殿か」
「いや、アマダは本拠がドラフォードですからね。その皇太子を狙うなどという事はやらないでしょう」
「しかし、そうすると誰か貴族を狙うのか」
「クリス様ではないですかね」
「クリス様か」
二人は目を合わせた。
「確かに、見た目は一番か弱くは見えるが…」
「どうなるかは判りませんが、警告だけはしておかれた方が…」
「そうじゃの。念のためにアルバートくらいに話しておくか」
ジャルカは頷いた。
クリスは帰りはオーウェンと一緒に高速船でキールまでは帰った。
食料をめぐる暴動が南部で起こったとのことで、キールからオーウェンらが別行動になる。
食料が全国民にいきわたるのは皆の活躍のおかげで間もなくのはずだった。
奴隷供給地帯と化していた北部はジャスティンがGAFAと組んだ奴隷商人の拠点の大半を制圧していた。
マーマレードからの食糧は航路をジャンヌが制圧、海賊たちの一部を監視付きで既に水軍として稼働させつつあった。
ドラフォードからの食糧は南部地域からの搬入を考えており、南部は元々ドラフォードとの国境も近く東方第一師団の本拠地も近いのである程度は治安が回復されていたから、今回の暴動の件でオーウェンも慌てて現状回復に向かったのだった。
空はどんよりと曇っていた。
クリスは20騎の騎兵に守られて国都ナッツァに向かった。
馬車は3台。
真ん中の馬車にクリス、ウィル、メイ、アデリナが乗り込んでいて馬車の横にアルバートが逆にはナタリーが付き従っていた。
そして、その中央部でいきなり爆発が起こった。
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