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第五章 ボフミエ皇帝誘拐する
クリスは仕方なしにボフミエ皇帝になります
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「えっ」
光りが消えた後には3人の魔導師はいなくなっていた。
「クリス大丈夫か」
ジャンヌが聞く。
「あっお姉さま。いつの間にいらっしゃったのですか」
クリスが訪ねる。
「それは少し前にな。
それよりもその金の輪は何だ」
「さあ、今のおじいさんたちに頂いたものだと思うのですが」
ジャンヌの問いにクリスは言いながら触る。
「それはボフミエ筆頭魔導師が装着されるものだと思います」
ジャスティンがいう。
「筆頭魔導師?」
「元々ボフミエは魔導士の国。その国の一番偉い魔導師の事です」
尊敬の念を持ってジャスティンが言う。
「えっ私魔術はほとんど使えませんけど。それがボフミエの筆頭魔導師など難しいのでは」
クリスが言う。
「いや、クリス嬢そう言う問題ではないのではないか」
アレクが言う。
「もともとボフミエは魔導士の国で一番強い魔導師が国のトップを担っていた。
それをゲーリング一族が世襲にしただけで、今まではそこに倒れているアーベルが筆頭魔導師を名乗っていた」
「という事はクリスが皇帝になったという事か」
ジャンヌが驚いて言う。
「まさか、私が皇帝なんて」
クリスが唖然とする。
「まあ皇帝ではないとは思うが、しかし、ボフミエ国のトップにはなったという事だと思う」
アレクが言う。
「まさか、そんな事は」
クリスが否定する。
「しかし、クリス様の目の前にいらっしゃったのはボフミエ建国の3魔導師だとお見受けしました。
ゲーリングらがボフミエ国を乗っ取る前は筆頭魔導師の任命式には必ず3魔導師が出現して、だれが筆頭魔導師になるか宣言していたとの伝承がございます。
クリス様は今まさに任命されたことになるかと」
ジャスティンが説明した。
そして改めて、クリスの前に跪いた。
「このジャスティン・ギンズバーグ。クリスティン・ミハイル様がボフミエ国筆頭魔導師になられた事お祝い申し上げます」
周りのボフミエの民たちも次々に跪く。
「どうか、ニセ皇帝に成り代わり我々の為にご尽力賜りますよう平にお願い申し上げます」
「何卒ボフミエの復興の為にお力を貸してください」
「聖女様のお力で何卒私たちをお守りください」
逃げてきていたボフミエの民たちが次々にお願いする。
「ちょっとお待ちください。私が皇帝の代わりなんて無理です」
クリスが慌てて否定する。
「しかし、クリス嬢。ボフミエの3魔導師は宣言していなくなったし、筆頭魔導師の印の王冠がクリス嬢の頭に残っているけど」
アレクが言う。
「クリス。断るにも建国の魔導士たちはもういないぞ」
「そんな」
クリスは呆然と立ち尽くしていた。
「クリス様。私どもも当然お手伝いします。
何卒私たちを見捨てないでください」
ジャスティンが跪いたまま言う。
「そうそう、こうなったら仕方が無いんじゃないか。私も手伝うよ」
「まあクリス嬢の頼みとあらば手伝うのはやぶさかではない」
「オーウェンも喜んで手伝ってくれるはず」
ジャンヌとアレクが言う。
「えっそんな」
クリスが絶句する。
が、この日にクリスティーナ・ミハイルはボフミエ国のトップになった。
****
「という事で理事長、しばらく学園に帰ることが出来ません」
無理やりつないだ魔導電話でジャルカは報告していた。
「えっクリスがボフミエの皇帝になったって?どうしてそんなことに」
ブラウンが驚いて言う。
「それは本当の事なのか」
横から国王が顔を出した。
「これはこれは国王陛下。お元気ですかな」
「それよりも戦況報告が全然出来ておらんぞ。戦況はどうなったのじゃ?」
怒り心頭な様子のジョージ・マーマレードが叫ぶ。
「それはこちらに」
電話画面をくるりと向ける。
そこには大あくびをしていたジャンヌがいた。
「ジャンヌ!貴様また報連相が出来ていないぞ」
国王は怒鳴り散らしていた。
「何をおっしゃいます。国王陛下。私はクリスを助ける為に転移していて今帰って来たのです。
報告はジャルカに任せておりましたぞ」
言いながらジャンヌは画面をジャルカに向ける
「姫様。そんなご無体な。私は王城の平定は請け負いましたが、陛下への報告は当然姫様がされているものとばかりに」
と言いながら画面を向ける。
「何を言っている。私がそんなことするわけないだろう」
「貴様らな。いい加減にしろ!」
喚く国王を尻目にジャンヌが電話を強引に切った。
「姫様。とんでもない事をされましたな。確かに今は姫様が切られましたぞ」
ジャルカが鬼の首を取ったように喜んで言う。
「何言っている。まもなく、グリフィズが来る。面倒な事は全てグリフィズに任せるよ」
ジャンヌは平然と言い切った。
この時グリフィズは盛大なくしゃみをしていた。
「隊長風邪ですか」
部下が笑って言う。
「いや、今メチャクチャ悪寒がした。絶対に暴風王女が余計な事を考えた証拠だ」
「隊長、ビンゴです。国王陛下から電話です」
「げっ、繋ぐな」
「グリフィズ!」
グリフィズの声は国王の怒鳴り声でかき消された。
かわいそうな副官は延々ジャンヌに替わって国王に怒られることになった。
その頃、別にボフミエ国の街道を馬に乗って必死にボフミエ王都に向けて走っている男がいた。
「クリス必ず助けに行くぞ!」
オーウェンは叫んでいた。
不眠不休で必死に走っていて馬も本人もボロボロのオーウェン・ドラフォードはまだクリスがボフミエの国主になった事はまだ知らなかった。
半死半生の状態のオーウェンがボフミエの王城に着くのはこの3日後の事である。
そしてその時には自分の想い人が勝手にボフミエ帝国の皇帝になっていた。
光りが消えた後には3人の魔導師はいなくなっていた。
「クリス大丈夫か」
ジャンヌが聞く。
「あっお姉さま。いつの間にいらっしゃったのですか」
クリスが訪ねる。
「それは少し前にな。
それよりもその金の輪は何だ」
「さあ、今のおじいさんたちに頂いたものだと思うのですが」
ジャンヌの問いにクリスは言いながら触る。
「それはボフミエ筆頭魔導師が装着されるものだと思います」
ジャスティンがいう。
「筆頭魔導師?」
「元々ボフミエは魔導士の国。その国の一番偉い魔導師の事です」
尊敬の念を持ってジャスティンが言う。
「えっ私魔術はほとんど使えませんけど。それがボフミエの筆頭魔導師など難しいのでは」
クリスが言う。
「いや、クリス嬢そう言う問題ではないのではないか」
アレクが言う。
「もともとボフミエは魔導士の国で一番強い魔導師が国のトップを担っていた。
それをゲーリング一族が世襲にしただけで、今まではそこに倒れているアーベルが筆頭魔導師を名乗っていた」
「という事はクリスが皇帝になったという事か」
ジャンヌが驚いて言う。
「まさか、私が皇帝なんて」
クリスが唖然とする。
「まあ皇帝ではないとは思うが、しかし、ボフミエ国のトップにはなったという事だと思う」
アレクが言う。
「まさか、そんな事は」
クリスが否定する。
「しかし、クリス様の目の前にいらっしゃったのはボフミエ建国の3魔導師だとお見受けしました。
ゲーリングらがボフミエ国を乗っ取る前は筆頭魔導師の任命式には必ず3魔導師が出現して、だれが筆頭魔導師になるか宣言していたとの伝承がございます。
クリス様は今まさに任命されたことになるかと」
ジャスティンが説明した。
そして改めて、クリスの前に跪いた。
「このジャスティン・ギンズバーグ。クリスティン・ミハイル様がボフミエ国筆頭魔導師になられた事お祝い申し上げます」
周りのボフミエの民たちも次々に跪く。
「どうか、ニセ皇帝に成り代わり我々の為にご尽力賜りますよう平にお願い申し上げます」
「何卒ボフミエの復興の為にお力を貸してください」
「聖女様のお力で何卒私たちをお守りください」
逃げてきていたボフミエの民たちが次々にお願いする。
「ちょっとお待ちください。私が皇帝の代わりなんて無理です」
クリスが慌てて否定する。
「しかし、クリス嬢。ボフミエの3魔導師は宣言していなくなったし、筆頭魔導師の印の王冠がクリス嬢の頭に残っているけど」
アレクが言う。
「クリス。断るにも建国の魔導士たちはもういないぞ」
「そんな」
クリスは呆然と立ち尽くしていた。
「クリス様。私どもも当然お手伝いします。
何卒私たちを見捨てないでください」
ジャスティンが跪いたまま言う。
「そうそう、こうなったら仕方が無いんじゃないか。私も手伝うよ」
「まあクリス嬢の頼みとあらば手伝うのはやぶさかではない」
「オーウェンも喜んで手伝ってくれるはず」
ジャンヌとアレクが言う。
「えっそんな」
クリスが絶句する。
が、この日にクリスティーナ・ミハイルはボフミエ国のトップになった。
****
「という事で理事長、しばらく学園に帰ることが出来ません」
無理やりつないだ魔導電話でジャルカは報告していた。
「えっクリスがボフミエの皇帝になったって?どうしてそんなことに」
ブラウンが驚いて言う。
「それは本当の事なのか」
横から国王が顔を出した。
「これはこれは国王陛下。お元気ですかな」
「それよりも戦況報告が全然出来ておらんぞ。戦況はどうなったのじゃ?」
怒り心頭な様子のジョージ・マーマレードが叫ぶ。
「それはこちらに」
電話画面をくるりと向ける。
そこには大あくびをしていたジャンヌがいた。
「ジャンヌ!貴様また報連相が出来ていないぞ」
国王は怒鳴り散らしていた。
「何をおっしゃいます。国王陛下。私はクリスを助ける為に転移していて今帰って来たのです。
報告はジャルカに任せておりましたぞ」
言いながらジャンヌは画面をジャルカに向ける
「姫様。そんなご無体な。私は王城の平定は請け負いましたが、陛下への報告は当然姫様がされているものとばかりに」
と言いながら画面を向ける。
「何を言っている。私がそんなことするわけないだろう」
「貴様らな。いい加減にしろ!」
喚く国王を尻目にジャンヌが電話を強引に切った。
「姫様。とんでもない事をされましたな。確かに今は姫様が切られましたぞ」
ジャルカが鬼の首を取ったように喜んで言う。
「何言っている。まもなく、グリフィズが来る。面倒な事は全てグリフィズに任せるよ」
ジャンヌは平然と言い切った。
この時グリフィズは盛大なくしゃみをしていた。
「隊長風邪ですか」
部下が笑って言う。
「いや、今メチャクチャ悪寒がした。絶対に暴風王女が余計な事を考えた証拠だ」
「隊長、ビンゴです。国王陛下から電話です」
「げっ、繋ぐな」
「グリフィズ!」
グリフィズの声は国王の怒鳴り声でかき消された。
かわいそうな副官は延々ジャンヌに替わって国王に怒られることになった。
その頃、別にボフミエ国の街道を馬に乗って必死にボフミエ王都に向けて走っている男がいた。
「クリス必ず助けに行くぞ!」
オーウェンは叫んでいた。
不眠不休で必死に走っていて馬も本人もボロボロのオーウェン・ドラフォードはまだクリスがボフミエの国主になった事はまだ知らなかった。
半死半生の状態のオーウェンがボフミエの王城に着くのはこの3日後の事である。
そしてその時には自分の想い人が勝手にボフミエ帝国の皇帝になっていた。
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